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夜勤における休憩時間のルールをわかりやすく|仮眠なしは違法? 休憩と休日の考え方や過ごし方を解説

夜勤における休憩時間のルールをわかりやすく|仮眠なしは違法? 休憩と休日の考え方や過ごし方を解説

夜勤中の休憩時間は、従業員の健康と安全を確保するうえで重要です。基本的には日勤における休憩時間と同じですが、夜勤だからこそ気をつけたいポイントについて気になる方もいるかもしれません。

本記事では、夜勤における休憩時間のルールをわかりやすく解説します。仮眠や休日の取り扱いまで幅広く紹介しますので、勤怠管理の担当者は、ぜひ参考にしてください。

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    そもそも夜勤とは

    夜勤とは、勤務時間帯が深夜にあたる労働形態です。通常、「夕方から深夜」や「夜から翌朝」にかけて行われる勤務であり、24時間体制で稼働する医療や介護、製造業や運送業で採用されています。

    労働基準法では、22〜翌5時の労働を深夜労働と定義し、この時間帯に働くことを一般的に夜勤といいます。

    夜勤は、日勤の労働者に比べて心身の負担が大きいとされるため、適切な休憩時間を確保しなければなりません。健康や生活リズムが乱れがちな従業員の健康や安全に配慮し、労働環境を整備する必要もあるでしょう。

    夜勤中に日付を超えたら2日勤務になる?

    夜勤中に日付を超えた場合、勤務日数は2日と数えるのでしょうか。休憩の付与や残業代の計算の際に悩む方もいるかもしれません。

    結論は、たとえ夜勤中に日が変わっても、勤務日数は1日と見なされます。

    通常、勤務日数は0〜24時までの24時間を1区切りとする「暦日」で数えますが、日付をまたぐ夜勤を暦日で数えると、労働者の負担が大きくなるためです。

    労働基準法では、休憩時間や残業代を1日単位で適用するため、24時を超えた時点で労働時間をリセットすると、労働者に必要な休憩や残業代が与えられない可能性があります。

    たとえば21時から翌5時の夜勤で、仮に「12時から24時」と「深夜0時から5時」を別日として扱うと、それぞれ6時間を超えていないため、休憩を与えなくてもよいことになってしまいます。

    そのため、夜勤中に深夜24時を超えても、始業時刻がある日の1勤務と扱われます。

    夜勤における休憩時間と休日の考え方・ルール

    続いて、夜勤における休憩時間・休日の基本的な考え方や、法律上のルールについて解説します。

    夜勤で休憩時間なしは法律違反?

    夜勤だからといって特別なルールがあるわけではなく、夜勤においても労働基準法の規定に沿って、休憩を与えることが原則です。労働時間に応じた休憩を付与しないことは法律違反です。

    労働基準法によると、6時間を超え8時間以下の労働時間には、少なくとも45分の休憩を与えなければなりません。さらに8時間を超過する場合は、少なくとも1時間の休憩の付与が義務づけられています。

    休憩の3原則とは?

    夜勤であっても、日中の労働と同様、休憩時間の3つの原則が適用されます。

    1. 休憩は労働時間の途中に与える
    2. 休憩中に労働させてはならない
    3. 休憩は従業員に一斉に与える

    たとえば従業員が22~翌6時まで働く場合、休憩は1~2時や4~5時など、労働時間中に与えなければなりません。朝6時まで働いたあとに7時まで1時間の休憩を与えるという方法では、1つめの「途中に与える」という原則に違反します。

    また、休憩時間中は従業員をすべての労働から解放する必要があります。休憩中に待機を命じたり、電話番を任せたりするのは、2つめの「労働させてはならない」に反するためです。

    3つめの「一斉に与える」には、例外が設けられています。接客娯楽業や運輸交通業、保健衛生業などすべての従業員が同じ時間に休憩するのが難しい業種は、一斉に休憩を与える必要はありません。また、会社と従業員との間で労使協定を結んでいる場合も同様に一斉付与は不要です。

    基本的に労働基準法に準じていれば問題ありませんが、夜勤が8時間を超える場合は、従業員の肉体的・精神的な負担を軽減する取り組みを実施しましょう。

    たとえば、夜勤が長時間に及ぶ際は仮眠時間を設けたり、休憩時間を追加したりする企業もあります。

    参照:『労働基準法』e-Gov法令検索

    休憩なしの宿直は違法?

    夜勤の休憩時間には日中と同じルールが適用されますが、「宿直」という勤務形態は例外が認められています。

    宿直とは、緊急時の対応や定期巡回を目的として、職場に泊まり込む労働です。一般的な業種ではめずらしく、主に病院や介護施設などで採用されています。

    宿直は日中と同じ業務を夜も稼働させる夜勤とは異なります。宿直には通常業務がないため、労働時間や休憩休日の規定が適用されず、休憩を与えなくても法律違反にはなりません。

    ただし、従業員に宿直を命じるためには、労働基準監督署長の許可を得る必要があります。

    夜勤明けの休日は必要?

    企業は従業員に対して、暦日である24時間単位で休日を与えなければなりません。

    そのため、従業員が夜勤終了後に休日を取得する場合は、夜勤明けの当日は休みにならず、その翌日を丸1日、休日とする必要があります。

    たとえば、従業員が6月1日22時から2日の5時まで働いた場合は、6月3日を休日とし、6月4日から出勤とします。

    しかし、この原則に基づくと夜勤明けの従業員は勤務間隔が空いてしまい、人手不足の職場では仕事が回らずに困ってしまうこともあるでしょう。

    そこで、以下の条件に当てはまる場合は、夜勤終了時刻から数えて24時間を1日分の休日として扱い、その後、出勤させることが認められています。

    • 就業規則でシフトによる3交替制であることが明示されており、運用されている
    • 日によってシフトが変更されず、常に夜勤を担当する従業員である

    参照:『第4章 労働時間、休憩及び休日(20条-2)』厚生労働省

    夜勤で休憩時間を取らせるタイミング

    夜勤中の従業員に休憩時間を取らせるタイミングに関して、明確な決まりはありません。

    労働基準法に定められた、労働時間が「6時間超8時間以下は少なくとも45分」「8時間超は少なくとも1時間」という休憩時間のルールを守っていれば、基本的には問題ないでしょう。

    ただし、夜勤の担当者が1人しかいない状況では、交替要員がいないため、法定通りの休憩時間が取れなくなる恐れがあります。労働基準法に違反しないためにも、人手不足だからといって1人に夜勤を任せるのは避けましょう。

    夜勤16時間の休憩時間に仮眠なしは違法?

    労働基準法では、夜勤中の仮眠に関する明確なルールはありません。労働時間が「6時間超8時間以下は少なくとも45分」「8時間超は少なくとも1時間」を守っていれば問題ないでしょう。

    ただし、どの業種においても、従業員の健康や業務中の安全確保の観点から、夜勤を含めた拘束時間が長時間に及ぶ場合は、仮眠時間を与えることが推奨されています。

    夜勤がある医療・看護業界がその一例です。長時間の夜勤は心身への負担が大きいため、仮眠だけでなく夜勤時間の短縮も視野に入れてもよいかもしれません。

    参照:『看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン(P.100〜101)』公益社団法人日本看護協会

    夜勤での休憩時間の目安と過ごし方

    労働基準法では、労働時間が8時間を超える場合、休憩時間を少なくとも1時間与えなければならないと定められています。

    休憩時間の過ごし方は人それぞれ異なりますが、看護師は夜勤の休憩時間中に仮眠を取る人が多いようです。

    日本看護協会の「夜勤を含み拘束時間が16時間を超えるような場合、2時間以上の休憩時間を与えるのが望ましい」という要請を受けて、看護業界では、2時間程度の仮眠時間を設けている職場もあります。

    ほかの業界においても、夜勤が長時間にわたる場合は、2時間以上を目安として仮眠時間を設けるとよいかもしれません。

    参照:『看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン(P.46)』公益社団法人日本看護協会

    夜勤において休憩時間を確保するためにすべきこと

    夜勤中の休憩時間を確保するためには、次の3つの取り組みを実施することが大切です。

    • 休憩時間のルールを明確に設定する
    • 仮眠室を用意する
    • 夜勤専従スタッフを雇う

    それぞれのポイントについて、以下で解説します。

    休憩時間のルールを明確に設定する

    夜勤には日勤のような昼休みがないからこそ、休憩時間のルールを明確にする必要があります。

    「手が空いたときに休む」「休める人から休む」といった不明確なルールで運用していると、従業員が休憩時間を取り損ねてしまう恐れがあります。また、先輩が働いていると、後輩はなかなか休憩を取りたいと言い出しにくいものです。

    あらかじめ夜勤の休憩ルールを定めておけば、多くの従業員が平等に休憩時間を取れるようになります。たとえば「何時から何時までを休憩時間とするか」「どのような順番で休憩を取るか」といった内容を取り決めておくとよいでしょう。

    仮眠室を用意する

    従業員が夜勤中に仮眠を取りやすいよう、仮眠スペースを用意することもおすすめです。空間に余裕があれば仮眠室の設置が理想ですが、部屋が不足していたら、パーテーションで空間を区切るという方法もあります。夜勤中の仮眠は、心身の疲労回復やストレス解消に効果が期待できます。従業員がリラックスして仮眠を取れる環境を整備しましょう。

    夜勤専従スタッフを雇う

    夜勤中に十分な休憩時間が取れないのは、主に人手不足が原因と考えられます。従業員がスムーズに休憩時間を取れるよう、夜勤専従スタッフの雇用を検討するとよいでしょう。

    しかし、夜勤スタッフの採用は容易ではありません。そこで一部の業務においては、補助スタッフを導入するのも一つの方法です。業務負荷を分散することができ、一人ひとりの負担が軽減されると、それぞれが休憩時間を十分に取りやすくなります。

    夜勤中の休憩時間を確保し、従業員の健康を守りましょう

    夜勤中の休憩時間は、昼間の労働時間と同じく、労働基準法の規定が適用されます。具体的には、労働時間が6時間超8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間超の場合は少なくとも1時間の休憩が必要です。このルールに沿って休憩時間を与えていれば、、ひとまず法律上の問題は回避できます。

    ただし、夜勤は従業員の心身に与える負荷が大きいため、仮眠の時間を設けるのが望ましいとされています。

    看護業界においては、22時以降の労働について、実労働時間が8時間を超える場合には連続2時間の仮眠時間を設定することが推奨されています。

    仮眠室の設置や夜勤専従スタッフの雇用も検討しながら、すべての従業員が十分な休息を取れる制度を設計しましょう。

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