タイムカードの打刻にはルールが不可欠!ルールを徹底させる方法も!
タイムカードは原則的に従業員本人が打刻しなければなりません。しかし、なかには不正打刻が行われているケースもあります。タイムカードの打刻不正を防ぐためには、「明確なルール設定」と「徹底した周知」が必要です。
本記事では、タイムカードの打刻に必要なルールや、ルールを浸透させる方法を解説します。打刻ミスを防ぐ勤怠管理システムについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
タイムカードの打刻にはルールが必要
そもそも、企業が従業員にタイムカードを打刻させる目的は「客観的な方法による従業員の勤怠管理」です。タイムカードの打刻を習慣づけると、正確な労働時間を把握できます。
従業員の労働時間の把握は、労働安全衛生法第66条8の3に定められた企業の義務です。
第六十六条の八の三 事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。
引用:『労働安全衛生法』e-Gov法令検索
なお、上記の「厚生労働省令で定める方法」とは、労働安全衛生規則第52条の7の3により「タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータなどの電子計算機の使用時間の記録等」とされています。
(法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法等)
第五十二条の七の三 法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。
引用:『労働安全衛生規則』e-Gov法令検索
労働時間を正確に把握するためには、タイムカードの打刻ルールを明確に定め、全従業員に周知する必要があります。
タイムカードの打刻ルールの具体例
「労働時間の客観的な把握」を徹底するためには、どのようなルールを定めるべきなのでしょうか。
- 本人打刻は必須のルール
- 打刻タイミングのルール
- 打刻時間のズレの処理ルール
- 直行や在宅など出勤しない場合のルール
本人打刻は必須のルール
第一に、タイムカードを打刻できるのは従業員本人のみであると周知徹底させることが大切です。本人以外の打刻は禁止であることを明らかにし、タイムレコーダーの周囲に張り出すなどの対策を講じましょう。
特に、紙のタイムカードには出勤時間や退勤時間を手作業で記入するため、不正打刻に注意が必要です。反対に、勤怠管理システムを導入している企業では、不正打刻ができない仕組みとなっているケースが多いでしょう。
打刻タイミングのルール
打刻のタイミングについてもルールを設定します。ポイントは各種集会や活動について、自主参加と業務扱いを明確に線引きすることです。
基本的な考え方として、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間は、労働時間としてカウントします。「ラジオ体操」「着替え」「掃除」など線引きが難しいものに関しては、企業側が明確に線引きし、従業員に周知しましょう。
また、退勤時には速やかな打刻を促すことも大切です。打刻の前に雑談や休憩をはさむと、正確な労働時間を把握できなくなってしまいます。
打刻時間のズレの処理ルール
打刻時間のズレが生じた場合の申告や、処理方法についてもルール化しておく必要があります。
出勤時間を打刻する前にちょっとした業務に手をつけたり、退勤時間の打刻後に急な業務が発生したりと、十分注意していても打刻時間のズレは起こり得るものです。
ミスが生じた場合のルールを明確にしておくと、労働時間のズレを速やかに修正できます。
直行や在宅など出勤しない場合のルール
在宅勤務やテレワーク、直行・直帰する場合など、会社に出勤しないケースについてもルールを整備する必要があります。たとえば残業申請制度を導入し「残業する場合にはあらかじめ上司の承認を得る」というルールを設けるのいいでしょう。
手作業で管理するのは困難なため、勤怠管理システムの導入もおすすめです。
打刻ルールを定めない危険性
タイムカードの打刻ルールを定めない場合、以下のようなリスクが発生する危険性があります。
- 不正打刻
- 修正作業の増加
不正打刻
打刻に関する明確なルールがない状態では、不正打刻が横行する恐れがあります。
不正打刻の例 |
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・実際には出勤していないにもかかわらず、ほかの従業員が代わりに打刻する ・退勤時間を打刻したあとに残業する(サービス残業) ・残業手当を不正に受け取るために、退勤時刻をずらす |
上記ような不正打刻を防止するためには、ルール化が不可欠です。
修正作業の増加
明確なルールがないと、打刻漏れが増加するリスクが増します。「きっと労働時間には含まれないだろう」と、従業員が悪気なく出勤時間を打刻しなかったり、退勤時間を早めに打刻してしまったりするケースも考えられます。
正確な労働時間の把握は、企業の義務です。打刻漏れに対しては修正作業が必要なため、あまりに修正が多いと人事や経理業務の効率低下が懸念されます。
打刻ルールを徹底するコツ
打刻ルールはただ設定するだけでなく、全従業員に徹底させることが大切です。打刻ルールを徹底するための3つのコツをご紹介します。
- 打刻しやすい場所に設置する
- 打刻状況をチェックする担当者を決める
- 啓発活動を活発にする
打刻しやすい場所に設置する
タイムレコーダーは、誰もが打刻しやすい場所に設置しましょう。出退勤の際、従業員がすみやかに打刻できる場所が理想的です。
また、打刻の前後でカードの収納場所を変えると、打刻し忘れを防げます。タイムレコーダーを何台か設置するなど、混雑する時間帯でもスムーズに打刻できるよう工夫を施しましょう。
打刻状況をチェックする担当者を決める
打刻し忘れやミスに対応するために、打刻をしていない従業員がいないかどうかチェックする担当者を決めましょう。すみやかに打刻や訂正を促すことで、適切な勤怠管理を実現できます。
また、担当者1人に任せきりにせず、部署単位でチェックする体制づくりが必要です。
啓発活動を活発にする
打刻の重要性を周知するため、啓発活動を行うことも大切です。従業員が目にしやすい場所に、打刻ルールの重要性や打刻ルールを記したポスターなどを張るとよいでしょう。
また、チャットツールでの定期的なリマインドを送るのも有効です。設定した時刻に自動でリマインドを送る、リマインダーツールの活用を従業員に促すのもおすすめです。
タイムカード打刻における問題点
タイムカードによる勤怠管理は多くの企業で行われていますが、いくつかの問題点もあります。
- ヒューマンエラーを防止できない
- 集計に時間と労力がかかる
- リアルタイムでの勤怠管理が難しい
ヒューマンエラーを防止できない
タイムカードによる勤怠管理では、打刻・集計・計算など手作業で行われる部分が多いため、ヒューマンエラーを完全に防止することは難しいとされています。
誰でも簡単に打刻できるぶん「ほかの従業員が代わりに打刻する」「労働時間を水増しする」という不正が起こる余地もあるでしょう。
また、タイムカードを押し忘れた場合は手書きで記入する必要があります。紙のタイムカードで正確性を担保することは容易ではありません。
集計に時間と労力がかかる
タイムカードによる打刻ルールが適切に運用されたとしても、集計や給与計算に多くの時間を要します。
また、手作業では打刻漏れだけでなく、担当者による転記ミスや計算ミスも起こり得ます。担当者に大きな負担がかかり、ミスによって未払いや過払いが発生した場合はほかの従業員にも迷惑をかけてしまうでしょう。
勤怠管理システムを導入せず手作業を継続する場合は、ダブルチェックやトリプルチェックの体制を整えることが必要です。
リアルタイムでの勤怠管理が難しい
タイムカードには出勤時間・退勤時間・休憩時間などの情報しか記録されていないため、労働時間や残業時間は別途計算する必要があります。計算・集計は月ごとに行われるケースが一般的で、実際の勤怠状況は月末や締め日にならないとわかりません。
タイムカードではリアルタイムの勤怠管理は困難です。万が一、法律で定められた残業時間をオーバーしてしまいそうな場合も、状況をすみやかに把握できないでしょう。
リアルタイムな勤怠管理を実現するためには、勤怠管理システムの導入が不可欠です。勤怠管理システムなら、従業員の勤務状況をすみやかに把握できるだけでなく、手作業による不正やミスが起こる余地も減らせます。
勤怠管理システムの導入で打刻ミスを削減
正確かつ適正な勤怠管理を実現するなら、専用システムの導入がおすすめです。
勤怠管理システムで打刻できる
勤怠管理システムを導入すれば、打刻した労働時間をデータベース上に記録し、自動的に集計・計算できます。従業員全員の労働状況をリアルタイムに把握できるため、労働環境の改善もすみやかに実施できるでしょう。
また、手作業の入力・集計が不要なので、バックオフィスの業務負担を大幅に軽減できます。システムが自動で計算してくれることで、ヒューマンエラーの防止にもつながります。
勤怠管理システムのメリット
勤怠管理システムを導入すれば、打刻時間をクラウド上に記録できます。勤務状態の実態をリアルタイムで確認できるため、不要な残業を是正できます。
バックオフィス業務が効率化すると、人的リソースをよりコアな業務に割けられます。
また、手入力による転記ミスや計算ミスも防止できるでしょう。さらに、サービスによっては静脈認証など、代理打刻を防止する機能が搭載されていることもあります。
打刻のルールを明確化し、ミスや不正を防止しましょう
タイムカードを用いた勤怠管理では、打刻のルールを明確化することが大切です。ルールを定めたあとは、全従業員に徹底してもらうべく適宜周知やリマインドを行いましょう。
しかし、タイムカードによる勤怠管理はヒューマンエラーのリスクが高く、ミスや不正を完全に防ぐことは困難です。正確かつ適正な勤怠管理を目指すなら、勤怠管理システムの導入も検討してみましょう。
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