ITリテラシーとは【意味を簡単に】高い人・低い人の特徴と高める研修や資格を紹介
ITリテラシーとは、IT技術を使う際に求められる情報の取り扱いや能力のことです。
パソコンやインターネットを使った業務が当たり前になっている企業では、年齢に関係なく求められるスキルといえます。しかし最近は、ITリテラシーの欠如から、広報目的やプライベートのSNSからトラブルに発展する事例も少なくありません。
本記事では、ITリテラシーの意味を簡単に解説したうえで、高い人と低い人の特徴、従業員のITリテラシーを高める施策を紹介します。
ITリテラシーとは|意味を簡単に解説
ITリテラシーとは、ITについて基本的な知識やスキルを持ち、日常業務や生活の中で適切に活用できる能力です。現代において必要不可欠であり、仕事や日常生活のさまざまな場面で求められています。
リテラシーの意味
そもそもリテラシーとは、読み書き能力という意味を持ちます。英語では「literacy」と表記します。
また、リテラシーは特定の分野に関する知識や技術を、適切に活用できる能力も意味するようになりました。経済知識を指す「金融リテラシー」やインターネット利用に関する「ネットリテラシー」など、さまざまな分野で使用されています。
ITリテラシーの具体例
ITリテラシーの具体例は以下の通りです。
ITリテラシーの具体例 | |
---|---|
ファイル管理 | ファイルやフォルダ作成、コピーなど |
キーボードショートカットの利用 | 効率的な作業に使えるショートカットキーの使用 |
オペレーティングシステムの操作 | WindowsやmacOSを効果的に活用する |
パスワード管理 | パスワードを作成して管理する |
セキュリティソフトの利用 | アンチウィルスソフトウェアのインストールやアップデート |
ITリテラシーを構成する3つのスキル
ITリテラシーを分解すると、以下の3つから構成されるといわれています。
- 情報基礎リテラシー
- コンピュータリテラシー
- ネットワークリテラシー
それぞれの特徴を解説します。
情報基礎リテラシー
情報基礎リテラシーとは、あらゆる情報を把握して適切に活用する能力のことです。情報の真偽を判断して正しい知識を選択することも含まれます。
現代はフェイク記事や誤情報であふれており、誤った情報を信じると、トラブルに発展する可能性が高くなります。また、情報を精査して、SNSで適切に発信する力も必要です。
情報基礎リテラシーを高めることで、情報関連のリスクから自身を守ることができるでしょう。
コンピュータリテラシー
コンピューターリテラシーとは、コンピュータソフトウェアを適切に使用する能力のことです。文書や表計算、プレゼンテーション資料の作成などが挙げられます。
コンピューターリテラシーは職種により求められるレベルは異なりますが、職務遂行において不可欠な能力といえます。
ネットワークリテラシー
ネットワークリテラシーとは、インターネットなどのネットワークを適切に使用する能力のことです。電子メールやソーシャルメディア、チャットツールの使用が挙げられます。
ネットワークリテラシーはインターネットを適切に使うために欠かせません。ネットワークリテラシーに対する意識が低いと、情報漏えいやプライバシーの侵害に発展するリスクがあります。
ITリテラシーが低いとどうなる?|リスク
従業員のITリテラシーが低いと、どのようなリスクが考えられるでしょうか。主なリスクは以下の通りです。
- 業務効率の低下
- DX化の遅れ
- 情報漏えい・サイバー攻撃
- 顧客理解の不足
- SNSトラブル
- 従業員のスキル低下
業務効率の低下
従業員のITリテラシーが低いと、さまざまな業務に時間を要し、作業効率が低下します。ITリテラシーには基本的なパソコン操作や周辺デバイスの扱い方が含まれます。
たとえば、プリンタの使い方がわからないと、ほかの従業員がフォローする必要が生じ、全体の業務効率が下がるでしょう。また、ソフトウェアの基本操作ができないと、データ入力や資料作成に余計な時間がかかります。このような状況では、チーム全体の生産性が低下し、全体の業務に支障をきたすことになります。
DX化の遅れ
ITリテラシーの低さはDX化の遅れにも影響を及ぼします。DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術を活用してビジネス環境を変化させ、新たな価値を創出し企業の競争力を高める考え方です。
ITリテラシーが低いと、従業員は新しいデジタルツールやシステムの導入に抵抗を感じ、適応が遅れます。その結果、業務のデジタル化が進まず、他社との競争力で劣ることになります。DXを推進するためには、データ分析や自動化ツールの活用が不可欠ですが、ITリテラシーが低いと技術を十分に活用できません。
情報漏えい・サイバー攻撃
情報漏えいも避けなければならないリスクです。ITリテラシーが低い従業員は、セキュリティ意識が欠けており、知らないアドレスからのメールを開いてウイルス感染させてしまう恐れがあります。
また、誤操作で個人情報を流出させてしまう事態も考えられるでしょう。顧客や取引先の情報が流出すると、信頼を失うだけでなく賠償問題に発展するリスクがあります。
ITリテラシーを学ぶことは、パスワード管理の徹底や安全なネット利用など、リスクマネジメントの一環として重要です。
顧客理解の不足
顧客情報を正確に知るためには、ITリテラシーが必要です。近年はインターネットで市場動向を知る機会が増えています。しかし、信ぴょう性の低い情報も多いため、正確な情報を見極める能力が求められています。
ITリテラシーが低いと、でたらめな情報を信じて顧客ニーズや市場の動向を誤解し、誤った戦略を立ててしまうリスクも否定できません。これにより、顧客の信頼を失い、場合によっては法的な問題を引き起こす可能性もあります。
ビジネスチャンスを逃さぬよう、正確な情報をもとに顧客ニーズを把握するために、ITリテラシーを向上させることは重要といえます。
SNSトラブル
ITリテラシーが低いと、SNSへの不適切な投稿で、企業のイメージダウンにつながる恐れがあります。
最近は従業員がSNSの使い方や情報発信のリスクを理解していないために、誹謗中傷や顧客情報を安易に投稿し、問題になった事例も少なくありません。SNSは拡散力が強いため、一度広まった情報を取り消すことは困難です。
ITリテラシーを身につけることで、SNSの適切な利用方法を理解し、企業のイメージを守りつつ、トラブル回避に役立ちます。従業員に対してSNS利用に関するガイドラインを設け、研修を実施することも一案です。
従業員のスキル低下
ITリテラシーが低いと最新の技術に対応できず、スキルの低下につながる可能性があります。従業員のスキルが時代遅れになりキャリアにも影響を与えるため注意が必要です。継続的なスキルアップやITリテラシーの向上は、企業の発展に欠かせない要素です。
ITリテラシーが低いと最新の技術に対応できず、従業員のスキルの低下につながるリスクがあります。現代のビジネスでは、新しいソフトウェアやデジタルツールの習熟が求められますが、ITリテラシーが低いと最新技術に対応できません。
従業員のスキルが時代遅れになると、業務効率が低下し、本人のキャリアにも悪影響を及ぼします。継続的なスキルアップとITリテラシーの向上は、企業の発展に欠かせないといえるでしょう。
ITリテラシーが高い人の特徴
ITリテラシーが高い人はどのような人でしょうか。特徴を紹介します。
- 適応力が高い
- 情報を取捨選択できる
- セキュリティへの意識が高い
適応力が高い
ITリテラシーが高い人は、さまざまなツールに対して柔軟に対応できる能力があります。たとえば、新しいソフトウェアが導入された場合でも迅速に使いこなし、効率的に業務を行うことができます。急速に変化する現代の環境において、最新技術への適応力は重要な能力といえます。
採用活動でITリテラシーが高い人を見つけるには、注目している新サービスや活用しているサービスについて質問するとよいでしょう。これにより、業務効率化に対するアンテナの高さを確認できます。
情報を取捨選択できる
ITリテラシーが高い人は、膨大な情報の中から必要な情報を見極めて効果的に活用する能力があります。たとえば、インターネットから信頼性のある情報を選択できる力です。
インターネット記事だけで情報を判断すると誤った認識をする可能性があるため、事実に基づいた実体験や調査結果などの一次情報を確認することが重要です。情報を取捨選択する能力は、ビジネスにおける正確な意思決定を支えるでしょう。
セキュリティへの意識が高い
ITリテラシーが高い人は、最新のセキュリティ状態を把握し、適切な対策を実施できる能力があります。
たとえば、パスワードの管理やフィッシング詐欺への対策です。未然に情報漏えいを防ぐために、最新のセキュリティ対策を講じることで企業の情報資産を守れます。セキュリティ意識の高さは、企業全体のリスク管理にも役立ちます。
ITリテラシーが低い人の特徴
続いてITリテラシーが低い人の特徴を紹介します。
- 新しいツールに抵抗感を示す
- 自分で検索して調べる習慣がない
- インターネットを過信している
新しいツールに抵抗感を示す
ITリテラシーが低い人は、新しい技術やツールに対して不安を感じ、導入を避ける傾向があります。結果的に、効率的な業務プロセスを取り入れられずに生産性が低下します。
反対にITリテラシーが高い人は、変化を恐れず、新しい技術を積極的に取り入れる姿勢を持っています。
採用活動でITリテラシーが低い人を見つけるには、業務のルーティンワークにどのようなものがあるのかを聞きましょう。ルーティンワークが悪いわけではありませんが、就業時間の中で割合が高いと、決まったことしか行わない傾向があります。
自分で検索して調べる習慣がない
ITリテラシーが低い人は、問題解決のために自分で情報を検索する習慣がなく、情報を効果的に収集・評価する能力が不足しています。万が一問題が発生した場合、迅速に対応できず、業務が滞る可能性があります。
自分で情報を探し出し、適切な解決策を見つける能力は必要です。ITリテラシーの高い人は、このような能力を持ち合わせているため、問題解決力が高いです。
インターネットを過信している
ITリテラシーが低い人は、インターネットの利便性を重視するあまり、セキュリティリスクを軽視してしまう傾向があります。その一例がパスワードの使い回しです。
本来は、サイトごとに異なるパスワードを設定することが理想的です。しかしサイト別にパスワードを覚えて安全に記録するのは手間がかかります。
パスワードを使い回せば管理が楽になる一方で、そのパスワードが一度でも流出すると、同じパスワードを使用しているすべてのアカウントに不正アクセスされる危険性があります。
ITリテラシーを高めることで、セキュリティリスクに対する意識が向上し、適切な対策を講じることができるでしょう。
従業員のITリテラシーを高める必要性
従業員のITリテラシーを高める必要性について解説します。
DX推進
デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるためには、従業員一人ひとりが最新のデジタル技術を理解し、活用できる能力が必要です。ITリテラシーが高ければ、業務プロセスの効率化や新しいビジネスモデルの構築、顧客サービスの向上などが実現します。従業員がデジタル技術に精通していることで、企業全体のDXがスムーズに進むでしょう。
労働生産性の向上
ITリテラシーが高い従業員は、効率的に業務を遂行できるため、会社全体の生産性が向上します。たとえば、データ分析やプロジェクト管理ツールを活用して迅速かつ正確に業務を進められます。業務のスピードが上がり、品質向上にもつながるでしょう。
ITリテラシーの高い従業員が増えることで、企業全体の生産性が向上し、競争力が強化されます。
リスクマネジメント
情報漏えいやサイバー攻撃のリスクを最小限に抑えるためには、ITリテラシーが不可欠です。従業員が基本的なセキュリティ対策を理解し、実践することで、コンプライアンス違反やセキュリティ事故を防ぐ意識が高まります。
ITリテラシーが高ければ、企業の情報資産が守られ、リスクマネジメントが強化されるでしょう。企業は安心してビジネスを展開することができ、信頼性を維持できます。
従業員のITリテラシーを高める施策
従業員のITリテラシーを高める施策を3つ紹介します。
- 研修
- IT活用の環境整備
- 資格取得支援
研修
定期的なITリテラシー研修を実施して、最新の技術やセキュリティ情報を共有することが重要です。研修により、従業員は必要なスキルを継続的に学び続けられます。
IT研修は外部への依頼も可能です。サービスを選ぶ際は、以下の基準を参考に自社に最適なものを計画するとよいでしょう。
- 従業員の成果や育成を目的にしている
- 従業員が能動的に学べるスタイルを採用している
- 学習に対するモチベーションをサポートしている
- 役職に応じたカリキュラムを提供している
IT活用の環境整備
ITインフラを整備し、従業員がITツールを活用しやすい環境を提供します。たとえば、最新のソフトウェアやハードウェアを導入して、従業員が効率的に業務を遂行できるようにします。整った環境により、新しい技術を学ぶ機会や学習意欲が向上し、ITリテラシーへの関心も高まるでしょう。
資格取得支援
従業員がIT関連の資格を取得するために支援します。たとえば、ITパスポート試験や情報セキュリティマネジメント試験の受験料を補助します。
資格取得のための学習過程で、従業員はITリテラシーを高められるでしょう。個々のスキルアップだけでなく、企業全体のITリテラシー向上にも影響します。
ITリテラシーを証明する資格
ITリテラシーを証明する代表的な資格を3つ紹介します。
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、日本国内で広く認知されているITリテラシーの資格です。ITの基本知識から、ビジネスシーンでの使い方まで幅広くカバーしています。
IT以外でも経営全般に関する知識も習得できるため、ビジネスにおける総合的な基礎知識を得ることが可能です。受験資格に制限はなく何歳でも資格が取得できます。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティに関する知識を有する人材の育成に特化した試験です。情報漏えいや、セキュリティに関する知識が身につきます。
情報セキュリティに関するマネジメント計画、運用、評価、改善に必要となる基本的なスキルが身につきます。
参照:『情報セキュリティマネジメント試験』独立行政法人情報処理推進機構
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、システム開発や設計を行う人の多くが取得する資格です。
ITパスポート試験の上位資格であるため、出題範囲は似ていますが、深い知識が求められます。基本情報技術者試験では、ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを制作する人材に必要な基礎知識や技術をもち、実践的な活用能力を身につけていることが必要です。
ITリテラシーに関連するトレンドワード
最後に、ITリテラシーに関連するトレンドワードを紹介します。
DX化と2025年の崖
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業のデジタル技術の活用を推進する概念です。2025年の崖とは、DXが推進されず老朽化したシステムを使い続けることで経済的な損失が発生するという年です。DX化を進めなければ日本の産業競争力が大幅に低下するといわれています
AI(人工知能)
AIは、機械学習やディープラーニングを用いて自動化や高度な分析を実現する技術のことです。もともとは人間が脳で行っている知的作業を、コンピューターでも人工的に模写できるように考えられた技術です。AIの導入により、業務プロセスの最適化や新しいビジネス機会の発掘が期待できます。
IoT(Internet of Things)
IoTは、インターネットに接続されたデバイスが相互に通信し合う技術です。住宅や家電製品などこれまでインターネットに接続されていなかったものが対象です。データの収集や分析が可能となり、業務プロセスの最適化や新しいサービスの提供が実現します。
クラウドサービス
クラウドサービスは、インターネットを通じて提供されるITサービスです。クラウドの利用により、ITインフラのコスト削減やシステムや事業の拡張性を高めることができます。
まとめ
ITリテラシーは、コンピューターやインターネットを効果的に活用するために必要な能力と知識のことです。
ITリテラシーが不足すると、仕事の生産性低下やデータセキュリティの問題を引き起こす可能性があるため、従業員に取得してもらう必要があります。
現代のビジネス環境では、デジタル技術の利用が不可欠となっており、従業員の年齢層にかかわらず、すべての企業でITリテラシーの向上が求められています。ITリテラシーの向上には、従業員向けの教育プログラムの実施や、使いやすいIT環境の整備が効果的です。
組織全体で環境を整備し、学習機会を提供することで、企業全体のITリテラシーの水準を段階的に向上できるでしょう
従業員のスキル管理にOne人事[タレントマネジメント]
One人事[タレントマネジメント]は、従業員のスキルや経歴などを一元管理できるタレントマネジメントシステムです。従業員のスキルや経験から人材育成を戦略的に構築できます。
自社の課題に合わせて欲しい機能を選べるため、多機能で使いこなせないといった無駄はありません。
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