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【人事向け】勤務態度は評価するべき? 評価項目や方法、注意点を解説

勤務態度は、従業員の仕事に対する姿勢の評価として欠かせない項目です。勤務態度を評価したいと思うものの、どのように評価すればよいかわからない人事担当者は多いでしょう。

本記事では、勤務態度評価の重要性や項目、注意点を詳しく解説します。

【人事向け】勤務態度は評価するべき? 評価項目や方法、注意点を解説
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    勤務態度とは?

    勤務態度とは、仕事に対する姿勢全般を指す言葉です。仕事に対する責任感や積極性、周囲との協調性など、実績や能力とは異なる、働くうえでの行動や姿勢をあらわします。

    業務でどれだけ高い成果を上げていたとしても、ルールを守れなかったり、自分勝手な行動が目立ったりする場合は、企業にとって不利益となるでしょう。

    勤務態度を評価する基準に統一的なものはないため、企業の文化にあわせた基準を設けることが大切です。

    勤務態度を評価する重要性

    勤務態度の評価が重要とされる理由は、以下の3つです。

    • ほかの従業員のモチベーションに影響する
    • 最適な人材配置につなげられる
    • 企業に不利益が生じる

    それぞれ解説します。

    ほかの従業員のモチベーションに影響する

    勤務態度の悪い従業員は、周囲に悪影響を及ぼし、個人のモチベーションを下げる可能性があります。

    とくに遅刻や欠勤が多い従業員を見過ごしたままにすると、その行動が組織内で許されると考える人が増え、悪い勤務態度が連鎖していきます。結果的に一人ひとりの仕事に対する責任感が薄れ、組織全体の生産性が低下してしまうでしょう。

    最適な人材配置につながる

    勤務態度を評価する過程で、それぞれの従業員がどのような人物であるかを把握しなければなりません。

    個人の特性や強み、改善が必要な点を見極めることで、適材適所の人材配置にもつなげられるでしょう。一人ひとりが得意な分野で強みを発揮できれば、組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。

    企業に不利益が生じる

    勤務態度を適切に評価しないと、問題がある社員を放置することになり、企業イメージが損なわれてしまうなどの不利益が生じます。

    たった一人の勤務態度の悪さが、取引先を含めた社外トラブルに発展する恐れもあるのです。ときには、労災の原因となったり、経営方針がブレているように捉えられてしまったりすることも考えられるでしょう。そこで、個人の勤務態度を適切に評価することが重要なのです。

    勤務態度の評価項目6つ

    勤務態度を正しく評価するために必要な代表的な項目を6つ紹介します。

    • 規律性
    • 協調性
    • 責任感
    • 積極性
    • 安全意識
    • 経営意識

    規律性

    規律性とは、就業規則や社会的なルールを守ろうとする態度に関する勤務態度の評価項目です。

    評価項目の例
    ・時間を守る
    ・無断での欠勤や遅刻、早退しない
    ・期限を守る
    ・指示に従う
    ・服装や身だしなみを整える
    ・正しい言葉遣いをする
    ・指示された内容に沿って働いている

    時間を守り、言葉遣いに注意を払うことは、社会人としての基本的なルールであり規範です。勤務態度の評価項目として設定する際は、誰にでもわかりやすい言葉で明示しましょう。

    協調性

    協調性とは、チームと協働をはかる態度です。

    評価項目の例
    ・ホウレンソウ(報告・連絡・相談)を徹底できる
    ・周囲と適切にコミュニケーションや連絡が取れる
    ・ほかの従業員のフォローができる
    ・後輩に対する教育に励める
    ・日常業務以外の社内行事にも積極的に取り組める

    どのような仕事であっても1人で完結できず、何かしらの意思疎通が必要とされます。

    協調性を評価するための着眼点は、与えられた日常業務だけでなく、同僚や後輩の仕事が円滑に進んでいるかに目を向けているかということです。ミスをカバーしたり、業務を教えたりしているかという点が、勤務態度を評価するポイントといえるでしょう。

    責任感

    責任感とは、自分に任された業務範囲や目標、仕事を達成する目的を理解し、求められた成果を出そうとする努力や意欲です。

    評価項目の例
    ・目標や期限を守る
    ・社内外問わず約束したことを守る
    ・問題発生時に適切に対応できる

    与えられた仕事や約束を守り、最後まで遂行できるかが重要な勤務態度の評価対象です。何か問題が発生した際に、決して人任せにせず誠意をもって対処できることも、責任感があると評価できるポイントです。

    積極性

    積極性とは、任された仕事をこなすだけでなく、業績を伸ばすための提案をするなど、求められた成果を出すための努力や意欲を示す態度です。

    評価項目の例
    ・会議や打ち合わせなどで発言や提案ができる
    ・新規の事業やビジネスに挑戦している
    ・業務にかかわる資格取得に挑戦している

    仕事に対する積極性も、重要な勤務態度の評価項目です。業界や業務にかかわる専門知識の習得や資格取得といった意欲的な行動量も、積極性をチェックするポイントといえるでしょう。

    安全意識

    安全意識とは、業務を安全に進めるうえでルールを守る態度です。

    評価項目の例
    ・業務にふさわしい服装や身だしなみである
    ・事故やトラブルが起きないように、日頃から安全に気を配っている
    ・健康管理を行っている
    ・自分の机の周りを日頃から整理整頓している

    安全への配慮が行き届いていないと、不要な事故やトラブルの原因をつくりかねません。万が一の事態を踏まえて事前に準備しているかが、勤務態度を評価するポイントの一つです。健康管理や整理整頓ができているかも、安全意識を評価する項目といえるでしょう。

    経営意識

    経営意識は、主に管理職や経営者などのマネジメント層に求められる評価項目です。自身の立場に対する自覚や、経営目標・理念を理解した行動を指します。

    評価項目の例
    ・企業の中長期計画に沿って業務を進めている
    ・経営理念に沿って行動できている
    ・経営を理解した行動ができている

    売り上げを出すために必要以上の経費を使ったり、強引な売り込みなどで会社の評判を下げたりするような行為は、経営意識に反しています。経営意識を高めるためには、経営理念を明確にして従業員に浸透させることが重要です。

    勤務態度の評価方法

    勤務態度を評価する項目基準が設計できたら、実際に評価してみましょう。実際の評価では、企業風土や文化、現場の実情にあわせてそれぞれ3〜5段階で点数をつけていきます。

    「1〜5」「△○◎」「A〜E」など、数字や記号を用いて評価レベルを設定しましょう。

    具体例

    勤務態度の評価方法の例は以下の通りです。

    点数評価基準
    5点(☆)ほかの従業員の模範となるような勤務態度で、実際に結果や成果が出ている・対象期間中に一度も遅刻や欠勤がない
    ・会議中に提案した内容が実施され、業績の向上につながった
    4点(◎)ほとんどが実践できているが、成果につながるとよい・会議や打ち合わせで積極的に意見や発言ができている
    ・上司や後輩に対して積極的にコミュニケーションをはかっている
    3点(○)成長や改善に対する意欲は感じられるが、まだまだ対応できる部分が見られる・言葉遣いについて上司から指摘されたあとに改善したが、まだ実践できていないこともある
    ・普段はコミュニケーションが取れているが、繁忙期になると周囲への気配りができなくなる
    2点(△)自分に与えられた業務しかできない・自分の担当業務しかできていない
    ・改善案は出すものの、実践できていない
    1点
    (×)
    ほかの従業員に悪影響を及ぼす恐れがある・上司から注意を受けており、改善する意識がない
    ・低い意識のまま業務を続けられると、事故やトラブルに発展する恐れがある

    ポイント

    実際に勤務態度を評価する際は、以下の2つのポイントを意識することが大切です。

    • 段階的に評価をつける
    • 評価の理由を詳細に記載する

    6つの勤務態度の評価項目に対し、自社の状況にあわせたルールを設定しましょう。それぞれの評価項目を細分化して、段階的に評価するようにすると、より評価しやすくなります。

    段階的な評価に加えて、なぜその評価に至ったのか、従業員が納得できる理由を詳細に記載することも重要です。誰が見ても妥当性を理解できるよう、統一的で客観的な評価を心掛けましょう。

    勤務態度を評価する際の注意点

    勤務態度を評価に取り入れる場合、次の4つのポイントに注意しましょう。

    • 評価者の感情を持ち込まない
    • 複数人で評価する
    • 評価期間を明確にする
    • 評価対象者にフィードバックする

    評価者の感情を持ち込まない

    勤務態度は定量的な評価が難しく、評価者の個人的な感情に左右される恐れがあります。しかし、評価者によって評価基準がバラバラで結果が偏ることは避けなければなりません。

    自分を慕っている部下や近い距離で働いている従業員に高い評価をつけるのは、ほかの従業員に不満を抱かせてモチベーション低下を招く原因です。

    個人的な感情や価値観にとらわれず、適切な基準に沿って正確に評価する必要があります。

    複数人で評価する

    評価基準に基づいて冷静に判断しようとしても、個人の考え方や好き嫌いが評価に影響してしまう恐れがあります。個人的な感情に左右されないためにも、複数人で評価することが重要です。

    バランスよく、多面的な観点から評価するように意識しましょう。

    評価期間を明確にする

    3か月や1年などの評価期間を設定し、いつからいつまでの勤務態度を評価したのかを明確にします。評価する際は、直近の行動や勤務態度だけを見るのではなく、評価期間全体で考えるよう心掛けましょう。

    評価対象者にフィードバックする

    勤務態度の評価対象者に対して、可能な限りフィードバックをします。評価が高かった従業員に対しては、褒めるだけでなく優先的に要望を聞き入れると、さらなるモチベーション向上につながるでしょう。

    評価が低かった従業員に対しては、決して放置せず、低くなった理由を一緒に考えて改善を促すことが大切です。必要に応じて、本人のスキルが活かせる適切な部署への異動も検討しましょう。

    勤務態度の適切な評価にシステムの導入も検討を

    勤務態度とは、実績や能力とは異なる、働くうえでの行動や姿勢全般を指します。仕事への意欲や規律を守ること、周囲との協調性など、組織やチームの雰囲気にかかわる重要な項目です。

    勤務態度を適切に評価することで、従業員の士気を高め、最適な人材配置に近づくというメリットがあります。

    成果や実績と異なり目に見えない勤務態度の評価は、評価基準の設計と適切な評価が行われる仕組みづくりが大切です。勤務態度を含めて納得度の高い評価を実施したいとお考えなら、タレントマネジメントシステムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

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