育児休業申出書の書き方とは【記入例】申請の手続きも解説

育児休業申出書の書き方とは【記入例】申請の手続きも解説

育児休業申出書は、従業員が育児休業を取得する際に企業へ提出する書類です。正しく記入し、 期限内に提出する必要がありますが、具体的な書き方や手続きの流れがわからず、不安を感じる方も多いでしょう。

本記事では、育児休業申出書の書き方や記入例、申請の流れについて詳しく解説します。企業の人事労務担当者はもちろん、育休を申請する従業員の方も、ぜひ参考にしてください。

▼育児休業制度について一からおさらいするには以下のページもご確認ください。
育児休業制度とは【育児休暇との違い】期間や給与の扱いと手続きを人事担当者向けに解説

目次アイコン目次

    育児休業申出書とは

    育児休業申出書とは、従業員が育児休業を申請するために企業へ提出する書類です。
    企業は従業員から申請を受け、育児休業に関する公的手続きを進めることになります。

    育休に関連する申請手続きは複数あるため、整理して理解しておかなければなりません。育児休業申出書は、従業員が育児休業を取得するために必要な最初の書類ともいえます。

    育児休業申出書は、法律で定められた様式はなく、企業ごとにフォーマットが異なります。
    企業側はあらかじめ書類の提出先や記入方法を定め、従業員へ明確に案内することが大切です。

    育児休業申出書が重要な理由

    育児休業申出書は、企業内で保管されるため、なかには「形式的な書類」「あまり重要でない」と考える方もいるかもしれません。

    しかし、実際には育児休業の手続きにおいて重要な役割を果たします。

    育児休業申出書が重要な理由は以下のとおりです。

    • 法的手続きの観点
    • 従業員による企業側への明確な意思通知
    • 従業員の権利保護

    従業員は、書面を通じて正式に育児休業を希望している意思を企業側に伝えます。

    そして育児休業申出書を受理した企業は、本人の真意に基づいた申請であると認め、法的な手続きを進められるようになります。

    書類は従業員が育児休業を取得する権利を主張する証明として機能するのです。

    育児休業申出書の提出期限

    育児休業申出書の提出期限は、育児休業開始の1か月前が目安です。

    ただし、育児休業開始1か月前は、すでに産前産後休業を開始している従業員がほとんどです。産前産後休業の開始前までに育児休業申出書を回収しておくのが望ましいでしょう。

    注意したい点は、育児休業開始前1か月は、すでに従業員が産前産後休業を開始している可能性がある点です。従業員は、産前産後休業の開始前までに育児休業申出書を企業に提出しておく必要があります。

    なお、育児休業を延長する場合は、原則として延長開始予定日の2週間前までに申請する必要があります。

    育児休業申出書の提出先

    育児休業申出書は、従業員が企業の指定する担当部署へ提出します。

    企業は、従業員から妊娠の報告を受けた時点で、「育児休業申出書」をはじめ提出が必要な書類を案内しましょう。

    また、提出先の部署や記入の注意点を事前に明確にしておくことで、混乱が少なく提出を促せます。

    育児休業給付金の申請手続きについて詳しく知るには以下のページもご確認ください。

    育児休業申出書と育児休業等取得者申出書の違い

    育児休業申出書と混同しやすい書類に、「育児休業等取得者申出書」があります。

     提出先目的
    育児休業申出書企業育児休業の取得を申し出る
    育児休業等取得者申出書年金事務所/健康保険組合社会保険料の免除を申請する

    育児休業等取得者申出書の正式名称は「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書」です。育児休業中の社会保険料免除を申請する際に使用します。企業が年金事務所や健康保険組合への提出用に用意するもので、従業員が準備することはありません。

    一方で育児休業申出書は、企業に育児休業の取得を申し出るための書類であり、従業員が準備し、提出先は企業です。

    2つの書類は名称が似ていて混同しやすいため、書類の提出先や目的の違いを理解しておきましょう。

    参照:『育児休業等を取得し、保険料の免除を受けようとするとき』日本年金機構

    育児休業申出書の書き方・記入項目

    育児休業申出書には、育児休業の申請に必要な情報を正しく記入する必要があります。

    企業ごとにフォーマットは異なりますが、一般的に最低限必要になる項目を以下で紹介します。

    項目記入する内容
    申し出の年月日育児休業取得の申し出をした年月日
    申し出た従業員の基本情報・氏名
    ・社員番号
    ・所属部署など
    子どもの氏名養育する子どもの氏名
    子どもの生年月日養育する子どもの生年月日(出産予定日)
    申し出た従業員との続柄申し出る従業員との続柄
    休業開始予定日育児休業の開始予定日
    休業終了予定日育児休業の終了予定日
    休業中の連絡先・住所
    ・電話番号
    ・メールアドレスなど
    備考欄特記事項があれば記入
    企業側の署名捺印欄企業側の担当者や所属部署の上長の署名と捺印

    育児休業申出書を提出する時点で子どもがまだ生まれていない場合は、「申し出にかかわる子どもの情報」欄に出生予定日を記入し、氏名の記入は不要です。

    子どもの名前や生年月日が確定したら、正式な情報を伝えてもらいましょう。

    ほかにも必要に応じて以下の内容を記入することがあります。

    • 申し出にかかわる子ども以外に1歳未満の子どもがいる場合はその子どもの情報
    • 休業の再申請などの場合は、理由
    • 育児休業を延長する場合は、理由
    • パパ・ママ育休プラスの取得における申し出の場合、配偶者の育児休業期間の初日以降であること

    企業にとって追加で必要な項目があれば、事前に確認しておきましょう。

    育児休業申出書の記入例やテンプレート

    育児休業申出書の記入例として、厚生労働省が公開しているテンプレートが役立ちます。

    厚生労働省のテンプレートでは、育児休業を申し出るための状況や必要な情報が整理されて項目が設けられています。

    これから企業独自の様式を作成する場合は、「どのような項目を記入すべきか」 検討の材料として活用できます。

    参照:『育児休業申出書』厚生労働省

    育児休業申出書を提出する流れ

    育児休業申出書は、どのような流れで提出してもらえばよいのでしょうか。

    申請手続きの流れを理解しておくことで、従業員は迷わず申請ができ、企業側も適切に対応できます。

    育児休業申出書を提出する流れについて解説します。

    従業員が企業に妊娠を報告する

    育児休業申出書を提出する前に、従業員は企業に妊娠の事実を報告します。企業が妊娠の報告を受けてはじめて、育児休業の申請手続きが進められます。

    就業規則や社内ルールにおいて「妊娠の事実がわかった従業員はすみやかに報告すること」を明文化し、日頃から周知しておきましょう。

    企業は育児休業取得の意思を確認する

    企業は育児休業を取得する意思を個別に確認します。

    2022年4月の改正育児・介護休業法施行により、企業は個別に意向確認や情報周知を行うよう義務づけられました。

    具体的には以下の内容を個別に確認します。

    • 育児休業の取得意思
    • 産後パパ育休の取得意思
    • 利用できる育児休業の情報
    • 受給できる給付金制度の情報
    • 育児休業中における負担すべき社会保険料に関する内容

    個別の意向確認は、面談だけでなく、書面やFAX、メールなどの方法でも行えます。

    企業の担当者は、育児休業の種類や期間、育児休業給付金について説明できるようにしておかなければなりません。

    給付金や社会保険料の免除は、従業員の生活にかかわる重要な仕組みです。担当者は正しく理解しておきましょう。

    従業員が育児休業申出書を記入して提出する

    育児休業の取得意思が確認できた従業員に対して「育児休業申出書」を渡します。

    申出書の記入方法や提出期限を説明し、期限内に従業員に提出してもらいましょう。

    育児休業の申請には、 ほかにも必要な書類があります。育児休業申出書の説明とあわせて、関連する書類についても案内する必要があります。

    育児休業申出書の受理通知を行う

    企業の担当者は、従業員が記入した育児休業申出書を受け取ったら、内容を確認します。

    記載内容に不備がなければ、従業員に「育児休業申出書の受理」を通知しましょう。

    受理通知には、育児休業の「申し出があった日」と育児休業の「開始および終了予定日」を記載します。

    企業は育児休業の取得要件を満たしている従業員の申し出を、正当な理由なく拒否できません。

    正当な理由なく育休の取得を拒否すると、育児・介護休業法違反となり、勧告や企業名の公表などの措置を取られることがあるため、注意が必要です。

    参照:『育児・介護休業法のあらまし』厚生労働省

    育児休業申出書の内容を変更したいとき

    育児休業申出書の受理後、従業員の事情によって内容を変更しなければならないこともあります。

    たとえば、以下のようなケースが挙げられます。

    • 出産予定日より実際の出産日が早まった / 遅れた
    • 育児休業終了予定日を早める / 延長する必要が生じた
    • 配偶者の疾病や死亡など、家庭の状況が変わった

    特別な事情が生じた場合、従業員が申し出ることで、育児休業の開始日や終了日を繰り上げられます。

    申し出を変更する際の申請期限

    育児休業開始予定日を繰り上げる場合、変更後の休業開始予定日の1週間前までに、従業員が企業に申し出なければなりません。

    一方で育児休業終了予定日を繰り下げる場合は、当初の終了予定日だった日の1か月前までの申し出が期限です。

    育児休業の期間は、家族の状況や体調によって予定どおりに進まないことも想定されます。しかし、期限を守らないと手続きがスムーズに進まないため、企業も従業員も余裕を持って対応することが大切です。

    参照:『育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律 第7条』e-Gov法令検索

    申し出を変更する際の手続き方法

    育児休業申出書の内容を変更する場合、従業員は変更申請書を提出する必要があります。申請書には以下の内容を記入します。

    • 変更を申し出る年月日
    • 変更の申し出を行う従業員氏名
    • 変更の申し出によって、育児休業を開始または終了する日
    • 変更を申し出る理由

    「変更を申し出る理由」は、育児休業開始日を早める場合のみで問題ありません。

    企業が認めるのであれば、メールやFAXでの変更申請も可能です。ただし、書類以外の方法であっても、あとから書面で印刷できる方法にしましょう。

    まとめ

    育児休業申出書は、従業員が育児休業を取得するために必要な申請書類のひとつです。企業内で保管するものであり、法律による指定の様式はありません。

    企業が独自に育児休業申出書フォーマットを用意する必要があります。厚生労働省のテンプレートを参考にして、テンプレートや従業員の案内用に記入例を準備しておきましょう。

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