育休手当はいつからいつまで支給? 支給日や期間、計算方法も解説

「育休手当がいつ振り込まれるかわからない」「初回の支給が遅れることがある?」そんな疑問をお持ちではありませんか。
育休手当(育児休業給付金)は、申請から初回振込まで時間がかかることがあります。支給日を整理して把握できていないと「生活費の計画が立てられない」「従業員に正確な情報を伝えられない」といった問題が発生するかもしれません。
本記事では、育児休業給付金がいつからいつまで支給されるものなのか、支給日や期間、計算方法まで解説します。
▼育児休業制度について一からおさらいするには以下のページもご確認ください。
→育児休業制度とは【育児休暇との違い】期間や給与の扱いと手続きを人事担当者向けに解説

育休手当はいつ支給されるか
育休手当は支給開始がハローワークで決定したあと、1週間程度で支給されます。育休手当申請の際に本人が指定した銀行口座に振り込まれる仕組みです。
ただし、育休手当の支給は、初回と2回目以降でタイミングが異なります。
初回 | 育休開始から約3~4か月後 |
---|---|
2回目以降 | 企業が申請して約1か月後 |
育休手当はいつからいつまで支給されるのか、具体的な支給時期や仕組みを以下で解説していきます。
産前産後休業のあとに育児休業が始まる
子どもの出産や育児にかかわる休業制度には、産前産後休業と育児休業があります。それぞれの仕組みを理解することで、支給日も明確になりますので、以下の表を確認してみましょう。
休業種類 | 給付金種類 | 支給元 | 支給日 |
---|---|---|---|
産前産後休業 | 出産手当金 | 健康保険 | 産前産後休業が終了したのち、申請手続きを行ったあと(申請から約1か月後) ※すぐに手続きした場合、出産日から3か月程度で支給 |
育児休業 | 育児休業給付金 | 雇用保険 | 初回は育児休業開始のあと、3~4か月程度で支給 |
子どもを出産する女性は、育児休業の前に「産前産後休業」を取得します。産前産後休業の対象期間は、出産予定日を含めた産前6週間(多胎児は14週間)以内と、産後8週間以内です。
産前産後休業中は、健康保険から「出産手当金」が支給されます。育児休業は、産前産後休業が終了した翌日から開始される仕組みです。
つまり、出産や育児にともなう休業の流れは、産前産後休業から育児休業の順になります。
どちらの休業制度でも給付金が支給されますが、リアルタイムで受け取れるわけではなく、申請後一定期間を経て支給される仕組みと理解しておきましょう。
参照:『産前産後休業や育児休業制度を知りたい|ライフイベントから見る生活設計|ひと目でわかる生活設計情報』公益財団法人 生命保険文化センター

初回の育児休業給付金はいつ支給されるか
育休手当の初回支給日は、育児休業開始から約3~4か月を過ぎたあとです。
育児休業の開始日から数えると一定期間かかるのは、以下の3つの理由があります。
- 出産手当金の支給が終了してから、正式に育児休業のカウントが始まる
- 支給対象期間が2か月単位で計算される
- 企業が申請後、ハローワークの審査期間がある
育児休業を取得する人は、育休手当が支給されるまで配偶者の収入や貯金でやりくりする必要があるのです。初回の支給まで生活費のシミュレーションをしておくと安心です。
2回目以降の育児休業給付金はいつ支給されるか
2回目以降の育休手当は、企業が申請してから約1か月後に支給されます。
育休手当は企業が2か月ごとにハローワークに申請し、そのたびに雇用保険の休業状況を審査したうえで支給される仕組みになっています。
休業状況の審査には2週間程度、支給が決定してから実際の支給までは1週間程度かかります。
そのため、2回目以降における育休手当の支給申請から支給まで、おおよその目安として1か月程度かかると考えておきましょう。
2回目以降の支給のため、企業が正しく申請できるよう従業員と連携する必要があります。
育児休業給付金が支給されるまでの流れ
育休手当が支給される流れを把握しておくことは、企業側のスムーズな対応にもつながります。
- 従業員(雇用保険の被保険者)が企業に育休(育休手当)取得を申し出る
- 企業や従業員が、提出書類に必要事項を記入する
- 企業がハローワークにて申請(書類提出)を行う
- 申請が認められると、企業宛に支給決定通知書および次回支給申請書が届く
- 支給決定から約1週間後、育休手当が支給される
- 以降、企業が2回目以降の支給申請を行う
育休手当は基本的に企業がハローワークにて申請手続きを行います。企業の担当者は、育休手当の流れを理解し、書類を準備しましょう。

育休手当の支給日に関する注意点
育休手当の支給がスムーズに行われるために、いくつかの注意点があります。育休手当を受け取る従業員だけでなく、企業の担当者もあらかじめ理解しておきましょう。
企業の担当者と従業員が連携する
育休手当の支給を円滑に進めるためには、企業の担当者と従業員がこまめに連絡を取り合うことが大切です。
従業員が育休手当を早めに受け取るためには、支給申請を迅速に進める必要があります。支給申請の受付期間は、対象期間の初日から起算して4か月を経過する月の末日までです。
企業側が受付開始後すぐに申請する場合と、期限間近で申請する場合では、支給されるタイミングが異なるため、余裕をもって手続きを進めましょう。
育休手当は毎月支給に変更できる
育休手当は、原則2か月分がまとめて支給される仕組みです。ただし、従業員が希望すれば、1か月ごとの支給にすることもできます。
企業の担当者は毎月申請しなければならないという手間がかかりますが、従業員が希望する場合は対応できるようにしましょう。
育休手当は従業員みずからによる申請も行える
育休手当の申請は、基本的に企業が行います。しかし、企業側の申請手続きが遅れるなど、何らかのやむを得ない事情がある場合は、従業員みずからが申請することもできます。
ただし、どちらにしても申請には企業側でしか用意できない必要書類があるため、従業員は会社の協力を得なければなりません。
企業は、とくに産後の女性従業員の心身の負担も考慮し、できるだけ迅速に対応しましょう。
育休手当をおさらい
そもそも育休手当とは、「育児休業給付金」の通称です。育休手当は、原則1歳までの子どもを育てる育児休業取得者を対象にした公的な給付金制度です。
育休前の給与を基準とした休業開始時賃金日額の5割から約7割が支給される仕組みになっています。育休中はほとんどの人が働いていないぶん、収入が減ってしまうため、国が補償制度を設けています。
育児休業給付金の計算|いくら?
育休手当は、以下の式に項目をあてはめて計算します。
育児休業給付金額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%(休業開始181日目以降は50%) |
およそ給与の3分の2(休業開始181日目以降は2分の1)程度が支給されると考えておきましょう。
なお、育休手当は際限なく給付される制度ではありません。上限額と下限額が設定されており、毎年変わるため最新の情報を確認する必要があります。
育児休業給付金をシミュレーションしてみたい方は、以下の記事で詳しくご確認いただけます。上限と下限も紹介しています。
育児休業給付金の対象期間はいつまで? 関連制度の組み合わせによる期間を解説
育休手当の支給期間は決められており、育児休業制度に基づいて、休業取得日数に応じて支給されます。
ただし、特別な事情により育児休業の延長が認められる場合は、育休手当の支給も延長申請が可能です。
たとえば、育児休業終了日までに子どもが保育園に入所できないときや、配偶者の病気やケガにより子どもの養育が難しい状況が挙げられます。
また、育児休業に関連する制度として、「産後パパ育休」と「パパ・ママ育休プラス」でも育休手当が支給されます。
産後パパ育休の対象期間
産後パパ育休は、正式には「出生時育児休業」といいます。子どもの出生から8週間以内に、最大28日間の育児休業を取得できる制度です。産後パパ育休の名前のとおり、主に男性を想定した制度ですが、養子の場合には女性従業員も取得可能となります。
産後パパ育休を取得する従業員は、出生時育児休業給付金を受給できます。支給期間も制度と同様に最大28日間です。
パパ・ママ育休プラスの対象期間
パパ・ママ育休プラスは、両親がともに育児休業を取得する場合に、育児休業の「対象期間」を1歳2か月まで延長できる制度です。
通常の育児休業制度では、子どもが1歳になるまでを対象期間としていますが、制度を利用すると、2か月多くなります。
ただし、育児休業を取得できる「合計期間」は1年間で変わりません。
両親のうち、あとから育児休業を取得する人が対象となり、育休の取得期間をずらして調整できます。
パパ・ママ育休プラスを利用しても、1人が1年2か月間育休を取得できるわけではなく、両親の育休期間を合計して1年間2か月を養育期間とする仕組みです。
育休の取得期間をずらすし、子どもが1歳2か月になるまで、どちらかの親が育児休業を取れるよう調整できるのが、制度の特徴です。
育児休業給付金はいつまで延長できるのか
育児休業は、特別な事情によって職場復帰できない場合、期間を延長できます。育児休業を延長すると同時に、育休手当の受給期間も延長されますが、申請手続きが必要です。
延長は最大2回までで、1歳6か月までの延長申請と、2歳までの延長申請をそれぞれ別途実施しなければなりません。
育休手当の延長が認められる主なケースは、保育園の入園申し込みをしているが入園できない場合や、配偶者の死亡・疾病などにより子どもの養育が困難になった場合です。
2025年4月からは、保育園などに入園できなかったことを理由とする延長申請の基準が厳しくなり、提出書類が増えました。
参照:『育児休業給付金の延長申請について』厚生労働省
参照:『育児休業給付金の支給対象期間延長手続き』厚生労働省
育児休業給付金の延長について詳しく知るには以下の記事をご確認ください。
まとめ
育休手当(育児休業給付金)の対象期間は、産前産後休業終了の翌日から「子どもが1歳になるまで」です。特別な事情がある場合は、1歳6か月や2歳まで延長も可能です。
支給は原則「2か月ごと」にまとめて行われ、初回の振込は育児休業開始から約3~4か月後が目安です。その後は、企業がハローワークに申請してから約1か月後に振り込まれます。
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