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社会保険の同月得喪とは? 発生するケースや対応方法を解説

従業員の社会保険の手続きにおいて、入社と退職が同じ月に行われた従業員がいた場合の対応方法について正しく理解しておく必要があります。本記事では、社会保険における同月得喪について詳しく解説しています。また、同日得喪についても触れているので、社会保険手続きの担当者はぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

社会保険の同月得喪とは? 発生するケースや対応方法を解説
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    社会保険とは?

    社会保険とは、病気やけが、失業のリスクに備えるための保険制度です。社会保険は、広義の意味で「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5つの保険によって構成されています。

    このうち、会社員や公務員が加入対象である「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の3つの社会保険は、狭義の意味での社会保険と呼ばれます。

    社会保険の対応で把握しておきたい基本ルール

    従業員の入社や退職の際には、社会保険への加入や資格喪失の手続きが必要です。社会保険の対応において把握しておくべき基本ルールについて解説します。

    社会保険料は1か月単位で徴収

    社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料)は、月単位で発生します。つまり、日割り計算されないため、月の途中で入社した従業員についても入社した月から1か月分を徴収する必要があります。

    資格喪失日は退職日の翌日

    社会保険の資格喪失日は、退職した日の翌日です。そのため、喪失した日の属する月の前月まで保険料が発生します。たとえば、8月31日に退職した場合、社会保険の資格喪失日は9月1日であるため、8月分までの保険料が発生します。

    参考:『月の中旬に退職したのですが、保険料は日割りで徴収されるのですか。』日本年金機構 

    社会保険の同月得喪の意味

    社会保険の同月得喪とは、社会保険の資格を取得した月にその資格を喪失するケースのことを指します。たとえば、退職と入社が同じ月に発生したケースがこれに該当します。同月得喪に該当する従業員がいた場合、担当者は適切な対応をとる必要があることに留意しましょう。

    社会保険の同月得喪が発生する・発生しないケース

    社会保険の同月得喪が発生するケースおよび発生しないケースについて解説します。

    同月得喪が発生するケース

    たとえば、4月1日に入社して資格を取得し、4月15日に退職した場合は同月得喪に該当します。また、12月10日に入社して、12月20日に資格を喪失した場合も同様に同月得喪に該当します。

    同月得喪が発生しないケース

    先ほど触れたように、社会保険の喪失日は退職日の翌日です。たとえば、3月1日に入社した社会保険の資格を取得し、3月31日に退職した場合、資格の喪失日は4月1日であるため、同月得喪には該当しません。

    社会保険の同月得喪が発生した場合の対応方法

    社会保険の同月得喪が発生した場合の対応方法について解説します。厚生年金保険料と健康保険料において取り扱いが異なるケースもあるため、対応には注意が必要です。

    厚生年金保険料

    同月得喪が発生した場合は、厚生年金保険料の徴収が必要です。この場合、退職時に給与から控除し、翌月末に納付します。

    ただし、例外として資格を喪失した月と同月に厚生年金保険の資格および国民年金(第2号被保険者を除く)資格の取得があった場合、先に喪失した厚生年金保険料の納付は不要であるため、あとから還付する必要があります。

    手続きの流れとしては、年金事務所から企業宛に還付についてのお知らせが届き、そのあとに還付の手続きを行います。

    参考:『月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。』日本年金機構

    健康保険料

    健康保険料については、厚生年金保険料のように例外はなく、入社の同月に退社したとしても1か月分を徴収する必要があります。

    参考:『資格の喪失について | よくあるご質問 』 全国健康保険協会

    社会保険の同月得喪における注意点

    社会保険の同月得喪が発生した場合、保険料が還付されるケースがあります。還付の手続きにおける注意点について解説します。

    年金事務所からの通知をきちんと確認する

    厚生年金保険料の例外に該当する場合は、年金事務所から企業あてに還付の通知が届きます。その後、還付は自動で行われるわけではなく「還付請求書」を提出する必要があるため、還付の通知をきちんと確認しておくことが重要です。

    参考:『月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。』日本年金機構

    対象者への返金を忘れずに行う

    年金事務所から還付された保険料は、負担者である退職者にも還付する必要があります。年金事務所から直接被保険者に還付されることはないため、還付請求と合わせてしっかりと管理するようにしましょう。

    同月得喪の対応について従業員に対して事前に知らせておく

    被保険者に対して、還付された保険料の返金方法など、同月得喪の対応について事前に伝えておくとトラブルを防げます。退職後は退職した従業員と連絡が取れなくなる可能性も高いため、返金額は給与振込口座に振り込む旨をあらかじめ伝えておくか、退職後にも連絡を取れるようにしておくなど、手続きをスムーズに進められるようにしておくとよいでしょう。

    従業員が入社・退職した際の社会保険の手続き

    従業員が入社・退職した際における社会保険の手続きの方法について解説します。

    入社・退職した際の手続き

    従業員が入社した際は、入社から5日以内に「被保険者資格取得届」を日本年金機構に提出する必要があります。また、従業員が退職した際は「被保険者資格喪失届」と「被保険者証」を提出する必要があります。

    参考:『就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き』日本年金機構 
    参考:『従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き』日本年金機構 

    資格の取得手続き前に従業員が退職してしまった場合

    たとえば、4月1日に入社して4月2日に退職した場合、資格取得の手続きが終わっていないケースもあります。社会保険の資格取得の手続き前に退職してしまった場合、取得と喪失の手続きを行う必要があるため注意が必要です。

    社会保険の「同月」得喪と「同日」得喪の違い

    最後に、同月得喪とよく似た用語である「同日得喪」について解説します。同日得喪とは、社会保険の資格の取得と喪失が同じ日に発生することを指し、定年後再雇用制度を採用した場合に同日得喪の手続きが行われます。

    定年後再雇用制度とは?

    定年後再雇用制度とは、定年退職した後に同じ企業で再度雇用契約を結ぶ制度のことです。現在、人材不足が深刻な課題とされている中で、経験豊富なシニア世代を活かす手段として、この制度が注目されています。

    参考:『高年齢者の雇用 』厚生労働省

    同日得喪の手続きをする意味

    再雇用をした場合、勤務日数の減少などを理由として給与が下がるケースもあります。しかし、一般的には、給与が下がったとしてもすぐに社会保険料の負担額も下がることはないため、社会保険料の負担が大きくなってしまいます。そのため、同日得喪の手続きをとることで再雇用後の給与に応じた標準月額報酬で社会保険料を計算できる仕組みとなっているのです。

    まとめ

    社会保険の同月得喪と同日得喪は、取り扱う頻度が高くないため仕組みがよく分からない方も多いでしょう。このようなケースが発生した場合に、適切に対処できるよう事前に準備しておくことをおすすめします。

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