年末調整の書類の保管期間とは? 管理すべき書類の種類と管理方法、期間を解説
年末調整での申告書類は保管する必要があり、なおかつ保管期限が定められています。保管方法は大きく、紙ベースと電子データベースの2種類あります。申告書類には個人情報が記載されているため、個人情報の流出を防ぐためにも保存時の注意点も把握しておきましょう。
本記事では、年末調整の書類の保管期間などを解説します。おすすめの保管方法も解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
年末調整の概要
年末調整とは、一年間の給与所得などの情報をもとに、源泉徴収税額を適切に計算し直す手続きです。なお、年末調整書類の提出期限は1月末日までです。
年末調整で使用する書類とは?
年末調整で使用する書類の種類を紹介します。
年末調整の申請書は9種類
源泉徴収義務者である組織を経由して提出する申告書などの書類は、源泉徴収義務者が保存する必要があります。源泉徴収義務者が保存する申告書は以下の通りです。
1 | 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 |
---|---|
2 | 従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書 |
3 | 給与所得者の配偶者控除等申告書 (平成29年分以前は「給与所得者の配偶者特別控除申告書」) |
4 | 給与所得者の基礎控除申告書(令和2年分以降) |
5 | 給与所得者の保険料控除申告書 |
6 | 所得金額調整控除申告書(令和2年分以降) |
7 | 退職所得の受給に関する申告書 |
8 | 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書 |
9 | 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 |
参考:『No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間』国税庁
源泉徴収票は保管しない
源泉徴収票は企業が2つ作成し、1つを税務署に提出し、もう1つを従業員に発行します。原本を提出するため、企業は源泉徴収票を保管できません。
ただし、源泉徴収票を作成するのに必要な「源泉徴収簿」は一定期間、保管する必要があります。
年末調整の書類の保管期間
年末調整の書類の保管期間は事前に定められています。保管期間に満ちていない書類を廃棄してしまわないように注意しましょう。
年末調整の書類は7年保管
源泉徴収義務者は申告書を、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保管しなければなりません。保存期間中に税務署長から提出を求められた場合、組織側は応じる必要があります。
7年経過したら保存義務はなくなるため、すみやかに破棄しましょう。
参考:『No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間』国税庁
7年保管が必要なほかの書類
取り引きに関する帳簿や決算に関して作成された書類など、経理・税務関係の書類は7年の保管が必要です。 たとえば帳簿書類(総勘定元帳や仕訳帳、現金出納帳、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書)などが該当します。
なお、書類ごとにより、保管期間のカウントが始まる時期は異なります。以下の表にまとめたので参考にしてください。
作成日から | 法定申告期限の翌日から | 帳簿は閉鎖の日 請求書などは受領した日の属する課税期間末日の翌日から2か月を経過した日から |
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・じん肺健康診断記録およびエックス線写真 ・空気中の粉じん濃度の測定記録および測定結果の評価記録 | ・源泉徴収簿 | ・課税仕入れなどの税額の控除にかかる帳簿 ・請求書 |
年末調整の書類は紙・データで保管
年末調整の電子化により年末調整の書類は、紙ベースだけでなく、電子データで保管することも可能です。提出を求められた場合には、紙もしくは電子データにより提供しましょう。
年末調整の書類のデータ別保管ポイント
紙ベースと電子データ、いずれも大切に保管する必要があります。保管ポイントをおさえておけば、手続きがスムーズになったり管理が楽になったりするでしょう。
紙保管のポイント
年末調整に必要な書類は多いため、申告書ごとに分類することが大切です。また、年数ごとにファイルでまとめておきましょう。背表紙には申告書の種類や年度を記載しておけば、特定の書類を必要なタイミングで探しやすくなります。
電子データの保管ポイント
書類管理の手間を省くなら、電子データがおすすめです。電子データで保管する方法は、大きく以下の2つに分けられます。
- 紙の書類をスキャニングしてPDFなどで保管
- 最初からパソコンで作成して保管
後者は、データの作成から保管まで電子で行えるため、手軽です。
また、ファイル名やフォルダ名を検索しやすいように付けておきましょう。これにより、該当のキーワードを入力すれば、探しているファイルやフォルダがすぐにヒットします。
年末調整の書類を保管するときの注意点
年末調整の書類を保管するときの注意点は以下の3つです。
- 個人情報の取り扱いに注意する
- すみやかに提出できる状態にしておく
- 厳重に廃棄する
それぞれ解説します。
個人情報の取り扱いに注意する
書類には、名前や住所だけではなく、個人番号(マイナンバー)など、大切な個人情報が記載されています。紙ベースの書類を保管する場合には、鍵付きの棚に収納しましょう。
データとして保管する場合には、パスワードをかけて担当者以外アクセスできないようにすることが大切です。また、従業員に管理の重要性をしっかりと周知しておきましょう。
すみやかに提出できる状態にしておく
年末調整の書類は、源泉徴収票の再発行や納税調査などで提出を求められるケースがあります。探さなくても速やかに提出できるように整理整頓しておきましょう。
また、シールやラベルを使って取り出さなくても分かるようにしておくと便利です。
厳重に廃棄する
7年の保管期限が過ぎた書類は、個人情報が漏えいしないように適切に処理を行いましょう。紙ベースの場合には、専門業者へ溶解処理を依頼することも一つです。データの場合は復元できないように粉砕処理するなど厳重に廃棄しましょう。
年末調整書類の長期保管は電子データがおすすめ
7年間の長期間にて、全従業員が提出した9種類の申告書を保管するのにスペースが必要です。
年末調整書類の電子化も進んでいるため、パソコンでデータを作成・保管がおすすめです。業務効率化専用のソフトを使うと、行政手続きにかける作業時間を大幅にカットできる可能性があります。
まとめ
年末調整の申請書は9種類あります。いずれも保管する必要があるため、紙ベースで書類を作成してしまうと、管理に手間がかかるでしょう。そのため、年末調整の書類管理や手続きは、電子化するのがおすすめです。電子化なら、物理的な管理の手間を省けます。
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