12月入社した従業員の年末調整|時期や確定申告の対応も解説

12月入社した従業員の年末調整|時期や確定申告の対応も解説

年末調整において、12月に入社した従業員の分はどのように対応するのでしょうか。判断のポイントとなるのは、12月稼働分の給与がいつ支給されるかという点です。

本記事では、12月入社した従業員の年末調整に関する解説を行います。そのほか、年末調整の概要や、その年の転職や退職後の対応についても紹介します。企業の年末調整担当者は、ぜひ参考にしてください。

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    12月入社した従業員の年末調整

    年末調整は、12月入社の場合、対象になる場合とならない場合があります。転職などによって12月に入社した従業員が、企業に年末調整をしてもらうためにはどのような条件を満たしていればよいのでしょうか。

    12月入社で年末調整の対象になるケース

    12月入社をした場合、転職先で12月分の給与が同月中に支給される場合は、転職先企業で年末調整を行います。しかし、同月稼働分の給与が同月中に支給されることは、多くはありません。一般的には、12月入社で同月稼働した分の給与は翌年1月に支給されるため、転職先企業で年末調整の対象にはなりません。

    12月入社であっても、前職分の給与が12月中に支給された後に退職した場合は、前職の企業で年末調整を行います。

    12月入社で年末調整の対象にならないケース

    12月入社で年末調整の対象にならないのは、転職先企業で12月中に給与の支給がない場合です。その年に、転職先で一度も給与が支給されていないことになるため、年末調整は行いません。また、前職の企業が12月に給与を支給したとしても、年末調整の対象にはなりません。年末調整は、その年の12月31日時点で所属している従業員を対象に行う手続きだからです。

    12月入社で年末調整を行わない場合の対応

    12月入社において、転職先でも前職でも年末調整の対象にならない人は、自分で確定申告を行わなければなりません。12月に転職する人は、事前に「年末調整の対象になるのか」「確定申告が必要なのか」という点を明確にしておきましょう。

    そもそも年末調整とは 

    年末調整とは、企業が従業員の所得税を申告し、正しく納税する手続きです。確定申告との違いも含めて、わかりやすく解説します。

    年末調整とは?

    年末調整とは、企業が従業員の所得税を計算し、概算である源泉徴収税額との差額を精算する手続きのことです。企業は、年末調整で本来納めるべき所得税に対して、多く源泉徴収していた場合は還付を行い、不足していた場合は追加徴収を行います。

    確定申告とは

    確定申告とは、納税者が1年間の所得をもとに、正しい所得税額を申告・納付する手続きです。納税者は、源泉徴収された所得でも、過剰に納めている場合があれば確定申告で還付を受けられます。また、年末調整では対応できない控除を受けられる点も特徴です。

    確定申告の主な対象者は、個人事業主や不動産収入がある方です。ただし、給与所得者でも、一定の副業収入がある場合や、医療費控除、寄付金控除、雑損控除を受けたい場合には確定申告を行います。

    会社員でも確定申告が必要なケース

    企業に勤める従業員であっても、年末調整だけでなく確定申告が必要な場合があります。代表的な例として、以下のようなケースが挙げられます。

    • 給与や賞与の収入金額が年2,000万円を超える人
    • 給与収入のほかに、20万円超の所得がある人
    • 2か所以上の企業で給与所得がある人
    • 同族会社の役員で、同族会社から給与以外の不動産賃料などを受け取っている人
    • 災害減免法の規定によって源泉徴収の猶予や還付を受けた人
    • 源泉徴収義務のない者から給与等の支給を受けている人
    • 退職所得の税額計算(正規)で、源泉徴収金額よりも多くなる人

    参照:『No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人』国税庁

    そのほか、必須ではありませんが、確定申告をしたほうがよい例もご紹介します。

    • 年末調整で控除書類を提出をしていない
    • 年末調整の内容を間違えた
    • 年末調整では対象外の控除を受けたい
    • ふるさと納税の納付先が6か所以上ある

    このように、会社員だからといって必ずしも全員が年末調整のみで済むわけではありません。会社員であっても、確定申告することにより、還付金を受けられるケースもあるため、確定申告の対象かどうかも確認しておきましょう。

    転職や退職による年末調整か確定申告の違い

    12月入社だけでなく、転職や退職によって、年末調整の対象になるのか確定申告が必要になるのかが異なります。その年に転職や退職をした場合の一般的なケースについて、解説します。

    12月までに転職した場合

    12月までに転職先に入社した場合、基本的には年末調整の対象になりますが、源泉徴収票の提出の有無によって、対応が異なります。

    前職の源泉徴収票を提出している場合 

    12月までに転職先企業に入社し、前職で発行された源泉徴収票を転職先に提出した場合です。このケースでは、転職先企業が前職分も含めて年末調整を行います。

    転職先企業は、従業員の前職分に関する所得などは把握できません。そのため、前職分の源泉徴収票があれば、その内容に従って年末調整ができるのです。

    前職の源泉徴収票の提出が間に合わない場合

    12月までに転職先に入社し、前職で発行された源泉徴収票を転職先に提出できていない場合です。このケースでは、年末調整の対象にはなりません。転職先企業は、途中入社した従業員の前職分の所得を把握できないためです。前職分の源泉徴収票があれば、その内容に従って転職先が年末調整を行いますが、源泉徴収票が提出されなければ、情報がないため、行えないのです。

    退職した同年内に転職をしなかった場合

    退職後、同年中に転職をしなかった人は、自分で確定申告を行います。年末調整は、企業が行う手続きであるため、その年の12月31日時点で会社に所属していない場合は、年末調整の対象にはなりません。前職分の収入や所得については、前職分の源泉徴収票の情報をもとに、翌年の確定申告で申請します。

    転職後の年末調整で必要な書類

    転職後の年末調整では前職分の「源泉徴収票」が必要です。退職後、同年中に転職した場合は、前職で発行された源泉徴収票を企業に提出しなければなりません。転職先企業では、途中入社の従業員について、前職分の収入も含めて年末調整を行うためです。源泉徴収票がなければ、正確な収入や所得を把握するのは難しいです。源泉徴収票は年末調整に欠かせない書類です。

    源泉徴収票について企業側が注意すべき点

    企業の担当者は、途中入社した従業員に対して、年末調整時期までに前職分の源泉徴収票を必ず提出するよう、伝える必要があります。また、途中入社の従業員が前職分の源泉徴収票を紛失したなどもよくあるケースです。企業側は、該当従業員に対して、速やかに前職の源泉徴収票再発行を依頼するよう伝えましょう。

    転職後の年末調整で注意したいポイント

    転職後の年末調整について、あらかじめ把握や注意しておくべき点について解説します。

    転職を年に2回以上した場合

    その年に、転職を2回以上した場合は、12月末時点で所属している企業で年末調整を行います。その年に給与の支給を受けた企業の源泉徴収票が必要になるため、従業員にすべて提出してもらわなければなりません。 

    年末調整の書類に記載する住所 

    年末調整の書類には、翌年1月1日時点での住所を記入することになっています。企業の担当者は、従業員に向けてあらかじめその旨を伝えます。特に、12月下旬に引越しを予定している人などは注意するよう呼びかけましょう。

    年末調整と確定申告が必要になる場合

    年末調整だけでなく、確定申告が必要になる従業員もいます。たとえば副業やアルバイトをしている従業員や、年末調整では受けられない控除の対象者、給与収入が2,000万円を超える場合などが挙げられます。一般的に、年末調整や確定申告について詳しく理解できていない人は少なくありません。企業の担当者は、代表的な例などを用いながら、あらかじめ従業員に周知しましょう。

    まとめ

    12月入社の年末調整は、転職先や前職企業における給与支給の有無などによって異なります。また、12月までに入社した場合でも、従業員が年末調整時期までに前職分の源泉徴収票を提出しなければ、年末調整は行えません。企業側は、漏れなく年末調整を行うために、12月までに入社した従業員に対して、年末調整の有無や注意点を伝えることが大切です。

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