賞与の仕組みとは|ボーナスとの違いや時期・回数など基礎を解説
賞与(ボーナス)とは、業績や個人の成果に応じて支給する特別な賃金のことです。従業員に対して賞与を支給する日本企業は一定数いますが、賞与の基本的な仕組みを理解できていないという人も一定数いるでしょう。
- 賞与とボーナスに違いはあるか
- 賞与にはどのような種類があるか
- 社会保険料や税金はかかるのか
本記事は、賞与の基本的な仕組みとして、支給時期や回数、社会保険料や税金、手続きの流れについてなど基礎を解説します。人事評価と密接にかかわる賞与について知ることで、制度設計や運用にお役立てください。
賞与/ボーナスの基礎を解説
賞与やボーナスは、年間支給回数や支給額に違いはあれど、多くの企業が支給しています。人事担当者は、賞与やボーナスに関する基礎知識をしっかり押さえておきたいところです。
まずは賞与/ボーナスの基本的な情報をご紹介します。
賞与/ボーナスとは
賞与/ボーナスとは、従業員に対して与えられる臨時の賃金を指します。
一般的に給与以外の方法で、夏季と冬季の年2回支給する企業が多いです。支給方法や基準に決まりはなく、企業や組織によって異なります。
また、名目も「賞与」「ボーナス」のほか、支給時期に合わせて「夏季手当」「年末手当」「期末手当」などと呼ぶ企業もあります。
賞与は、算出された額面額から保険料や源泉徴収税を差し引いた額が、従業員に支給されます。
賞与と定期給与との違い
定期給与は、一般的に「給料」「賃金」と呼ばれるものです。企業は従業員に対して、毎月1回以上支給日を定め、その日に全額を通貨で支払う義務があります。(労働基準法第24条)
一方、賞与は通常、特定の期間(夏季や年末、年度末など)に支払う追加の賃金です。従業員に対して「必ず支払わなければならない」という法律上の決まりはありません。
ただし、就業規則の給与規定に賞与を支払う時期や金額について明記している場合は、支払い義務が生じるため注意しましょう。
参照:『労働基準法第24条(賃金の支払)について』厚生労働省
賞与とボーナスの違い
賞与とボーナスは、ほとんど同じ意味合いで使われており、明確な違いはないといえるでしょう。国税庁のホームページでは、以下のように記載されています。
賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するもの
引用:『No.2523 賞与に対する源泉徴収』国税庁
賞与とボーナスは同義であると捉えてよいでしょう。
賞与と寸志の違い
賞与は特定の期間に支給される追加の報酬であり、業績や勤務年数などに応じて与えられます。
一方寸志とは、従業員への感謝や努力への褒賞として与えられる小額の報酬のことです。寸志の語源である「わずかばかりのこころざし」つまり「ちょっとした厚意」からきているといわれています。
寸志は通常、特定の出来事や功績に対して臨時で支給されることがありますが、定期的な支給ではありません。賞与支払いの対象にならないアルバイトや、全額支給の対象とならない入社1年目の従業員に対して、日頃の労いの意味で寸志を支払う企業があるようです。
賞与(ボーナス)の種類と特徴
企業によっては、特定の時期や条件に応じて支払われる賞与があります。賞与の5つの種類とそれぞれの特徴をご紹介します。
・基本給連動型賞与 ・決算賞与 ・業績賞与 ・年末賞与 ・一時金 |
基本給連動型賞与
基本給連動型賞与は、基本給に連動して支給額が決まる賞与で、多くの企業に採用されている仕組みです。従業員の基本給には、諸手当や残業代が含まれません。
一般的に「給料の◯か月分」といわれるように「基本給×◯か月分」の額が支給されます。
たとえば、交通費など手当を除いた基本給が20万円、賞与が基本給の2か月分なら、賞与額は「20万円×2か月」で40万円です。
決算賞与
決算賞与は、その企業の決算期や会計年度の終了後に支給される賞与で「年度末賞与」や「臨時賞与」「特別賞与」と呼ぶこともあります。
企業の業績や利益に基づいて計算され、従業員に対して経営の成果の一部を還元することを目的としています。そのため、基本給連動型賞与のように支給額を予測するのは難しいでしょう。
また決算の結果、企業の業績が不調であれば支給しない場合もあります。
業績賞与
業績賞与は、企業や個人の業績に応じて支給される賞与です。目標達成や成果に基づいて計算されます。業績賞与は、従業員の貢献度や成果を公平に評価し、報酬として還元する仕組みです。
業績や成果に応じて、掛け率が変わる成果主義型であることが特徴といえるでしょう。業績賞与を実施している企業は、求人票などに「賞与は業績に応じて支給」と記載する場合が多いです。
年末賞与
年末賞与は、企業や組織が年末(12月)に従業員に対して支給する賞与です。
一般的な企業、組織では、基本給連動型賞与を夏と冬の年2回支給することが多く、そのうちの一つとして「冬のボーナス」などと呼ばれることもあります。
年末賞与は、基本給連動型賞与と同じように基本給をベースに計算されます。
一時金
一時金も賞与(ボーナス)の一種とされており、通常年2回支給されることが多いです。
労働組合では、報酬金と生活給の区別として、生活給を「一時的に受け取るもの」や「賃金の後払い」として考えるため、一時金と呼ばれているようです。
業績などに応じて支給されるほか、従業員の経済的な安定を提供する目的を持つ生活給の場合もあります。なお、賞与以外では、退職金として一時金を支払うこともあるようです。
民間と公務員の賞与(ボーナス)の違いと特徴
民間企業と同じように公務員にも賞与がありますが、少し性質が異なります。
公務員の賞与は法令に定められている
公務員の賞与は「期末手当」と「勤勉手当」の合計額を支給することが法令で定められています。前年の民間企業の賞与額を加味して、毎年8月に人事院勧告として発表されるのが通例です。
期末手当は、支給月数が一律で計算されされる賞与であり、民間企業における基本給連動型賞与と類似しています。
一方勤勉手当は、職員個々の職務の遂行状況や人事評価に基づいて支給されるため、民間の業績連動型賞与に近いといえるかもしれません。
公務員の賞与は支給日が決められている
民間企業では、一般的に夏季賞与が6月または7月頃、年末賞与が12月頃に支給されます。
公務員の賞与は、おおよそ夏が6月30日、冬が12月10日と決められています。当日が土日に重なると前倒しされて金曜日になるようです。
公務員の賞与額の算定方法
民間企業の賞与は企業の業績や従業員の人事評価、勤務年数なども考慮されつつ、一般的には「基本給×◯か月分」の額が支給されます。
公務員の賞与のうち勤勉手当は職員の成績によっても変動があり、詳しい支給方法や支給日、対象者、算定方法などは、人事院規則によって定められています。
2022年の国家公務員の賞与額の平均は約65万円で、5年ぶりに増えました。なお、地方公務員の賞与は、国家公務員の支給状況に応じて決められるようです。
参照:『令和4年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給』内閣官房内閣人事局報道資料
参照:『人事院規則九―四〇』e-GOV法令検索
賞与(ボーナス)支払いの仕組み
賞与は定期給与と違い、基本的には支払いの義務や対象者、回数の決まりはなく、企業ごとに制度として設けられています。一般的な賞与支払いの仕組みをご紹介します。
・支払い対象となる従業員 ・支払い要件 ・支払い時期 ・支払い日 ・支払い回数 |
支払い対象となる従業員
賞与の支払い対象となる従業員は、企業によって異なります。
一般的には、正社員や契約社員など、企業と直接的に雇用契約を結んでいる従業員が対象です。パートタイムなどの非正規や間接雇用である派遣社員は、労働条件の内容によって賞与の支給対象となる場合もあるため、雇用契約書や就業規則を確認する必要があります。
ただし近年は「同一労働同一賃金」が適用され、雇用形態だけで賞与の支払い対象に格差をつけると違法と見なされる可能性があります。
正社員や契約社員と同等の職務内容や職務責任がある従業員は、非正規雇用であっても同様の待遇が求められる場合があるため、注意しましょう。
支払い要件
賞与の支払い要件として、従業員は支給日に企業に在籍している必要があります。査定期間に勤務の実績がないと、賞与の支給対象にはならないでしょう。
また、査定期間中は勤務していたものの、支給日前に退職した従業員については、あらかじめ賃金規定に記載されていれば、賞与の支給を制限することもできます。いずれにしても雇用契約書や就業規則には、賞与の査定期間や支給日の在籍要件を明記することが重要です。
「ボーナスの支給対象者は、支給日時点で在籍している従業員に限定される」という条項を盛り込んでおかなければ、あとからトラブルに発展する可能性もあるため注意しましょう。
支払い時期
賞与の支払い時期は企業によって異なりますが、6月や7月に夏季賞与、12月に年末賞与を支給する企業が多い傾向にあります。
ほかにも、6か月ごとの中間賞与や年度末の決算賞与など、特定の時期に支給する企業もあるようです。
支払い日
賞与の支払い日に決まりはありませんが、家庭で出費が重なるとされる8月や年末に家計の補助となるように、6月下旬や7月上旬、12月初旬に設定されているようです。
ただし、公務員の賞与の支払い日については、おおよそ夏が6月30日、冬が12月10日と人事院規則によって定められています。
支払い回数
賞与の支払い回数にも制限はなく、企業によって異なります。年4回以上支給している場合もあります。
一般的な支払い回数は、6か月ごとに夏と冬の年2回が多いでしょう。
賞与(ボーナス)の支払い基準
企業はそれぞれ独自のルールに基づいて賞与の額を計算します。一般的には、以下の複数の基準を組み合わせながら、決められることが多いようです。
・基本給の額 ・等級・役職 ・従業員個人の業績評価 ・勤怠実績 ・企業の業績 |
基本給
本人の基本給を基準として、その何か月分かで賞与の額を決める方法です。
基本給は勤続年数や個人の能力など、過去から積み重ねた企業への貢献度を反映しているという考えに基づいて、もっとも一般的に採用されている基準といえるでしょう。
算出方法がわかりやすい反面、個別の成績が反映されていないため、従業員のモチベーション向上につなげるのが難しいというデメリットもあります。
等級・役職
等級や役職を基準として、同一の賞与額を支給する方法です。等級とは仕事のレベルや能力などを基準にした職務階層、役職は部長や課長などの職位を指します。
この基準は、等級や役職が上がるにつれて、経営への貢献度も比例して大きくなるという考えに基づいて採用されています。
従業員個人の業績評価
従業員個人の業績を評価し、その結果を基準として、賞与に反映させる方法です。
具体的には売り上げをはじめとする企業の業績への貢献度、業務に関連する資格の取得や勉強会への参加、昇進が挙げられるでしょう。
この基準を採用すると、従業員のモチベーション向上が期待できます。次の目標に向けて、より一層業務に真剣に向き合うようになるでしょう。
勤怠実績
賞与額は、従業員の勤怠実績が考慮される場合があります。基本的に、著しく勤怠実績が悪い従業員の賞与額を、控除するための基準と理解するといいかもしれません。
たとえば、支給要件に「査定期間中に3分の2以上の出勤率を達成する」「遅刻や欠勤の日数を賞与から差し引く」という基準を設けるのです。
ただし、賞与など賃金全般を減額するようなルールを適用する場合、あらかじめ給与規程に明確に記載しなければなりません。目に余る遅刻や早退、欠勤、懲戒処分に当たる行為など正当と認められるような基準を設ける必要があります。
企業全体の業績
企業全体の業績を基準として、賞与額が変動する方法です。このような賞与を「業績連動型賞与」といいます。
メリットは、自社の業績が好調なときに利益を還元できるため、賞与の支払いによる経営への負担を抑えられる点です。従業員にとっても、所属企業の成長を実感できるというメリットがあるでしょう。
ただし、自身の所属部署が業績に貢献していたとしても、全社的な業績が低下していれば、賞与は減少し、場合によっては「今季の賞与はなし」ということもあります。
賞与(ボーナス)額の相場
賞与額は業界や企業規模などによって、支給の有無も相場も異なります。厚生労働省の発表によると、約8割の労働者が賞与が支給されている事業所に雇用されています。
同じ発表資料をもとに、2022年(令和4年)の夏季賞与と年末賞与について、賞与額の平均をご紹介します。
夏季賞与
5人以上の事業所において、夏季賞与の1人当たりの平均支給額は、前年比2.4%増の389,331円でした。
主な産業別では以下の通りです。前年に比べると製造業が7.0%増加、卸売業と小売業が0.1%増加、医療と福祉が0.1%減少しています。
産業 | 平均支給額 | 前年比 |
---|---|---|
製造業 | 527,118円 | +7.0% |
卸売業・小売業 | 357,998円 | +0.1% |
医療・福祉 | 275,083円 | −0.1% |
事業所規模別では、100人以上の企業では夏季賞与が前年よりも多く支給されている一方で、100人未満の企業では前年よりも少なくなっていることがわかります。
また事業所規模が多くなるにつれて、1人当たりの平均賞与支給額も多くなるようです。
事業所規模 | 平均支給額 | 前年比 |
---|---|---|
500人以上 | 673,602円 | +5.9% |
100〜499人 | 441,551円 | +5.7% |
30~99人 | 336,960円 | −0.4% |
5~29人 | 264,470円 | −0.3% |
参照:『毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13ページ)』厚生労働省
年末賞与
5人以上の事業所において、年末賞与の1人当たりの平均支給額は、前年比3.2%増の392,975円でした。
主な産業別の支給額は以下の通りです。前年と比べると製造業が2.4%、卸売業と小売業が6.2%、医療と福祉が0.3%増加しています。
産業 | 平均支給額 | 前年比 |
---|---|---|
製造業 | 514,074円 | +2.4% |
卸売業・小売業 | 365,502円 | +6.2% |
医療・福祉 | 309,224円 | +0.3%> |
事業所規模別で見ると、事業所規模にかかわらず年末賞与の支給額が前年に比べて増えていることがわかります。
事業所規模 | 平均支給額 | 前年比 |
---|---|---|
500人以上 | 642,349円 | +3.3% |
100〜499人 | 452,892円 | +6.6% |
30~99人 | 354,645円 | +2.8% |
5~29人 | 274,651円 | +0.6% |
参照:『毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等(13ページ)』厚生労働省
賞与(ボーナス)支払いに必要な手続きと流れ
毎月の給与と同様に、賞与からは所得税や社会保険料が差し引かれます。所得税は、賞与額から社会保険料を引いたあとに税率を掛けて算出します。
また賞与の支給額は、従業員が将来受け取る年金額にかかわるため、被保険者賞与支払届を提出し、報告しなければなりません。
被保険者賞与支払届の提出を含めた、賞与支払いに必要な手続きと流れを説明します。
1.賞与支払い予定月の登録 2.被保険者賞与支払届の受け取り 3.被保険者賞与支払届の作成 4.被保険者賞与支払届の提出 |
1.賞与支払い予定月の登録
被保険者賞与支払届は、日本年金機構や各健康保険組合から企業に送付される書類です。
事前に企業は管轄の年金事務所に「新規適用届」または「事業所関係変更(訂正)届」を提出し、賞与を支払う予定月を登録しておかなければなりません。
2.被保険者賞与支払届の受け取り
先に登録した賞与支払い予定月の前月になると、被保険者賞与支払届が日本年金機構や健康保険組合から郵送されます。
賞与支払届には、被保険者番号や氏名、生年月日などの被保険者情報が記載されているため、内容に不備がないか確認しましょう。
3.被保険者賞与支払届の作成
受け取った被保険者賞与支払届に必要な情報を記入します。企業の情報のほか、従業員の情報や実際に支払った賞与の金額、標準賞与額などを記入します。
給与計算ソフトには賞与支払届を自動作成できるものもあるため、従業員数が多い企業は導入を検討してみるとよいでしょう。
もしすべての従業員に、賞与を支給しなかった場合は「賞与不支給報告書」の提出が必要です。
4.被保険者賞与支払届の提出
被保険者賞与支払届は、賞与支給日から5日以内に管轄の年金事務所または事務センターに提出しなければなりません。
被保険者賞与支払届を提出すると、後日「納入告知書」が郵送されてくるため、決定した保険料を翌月末日までに納付するのを忘れないように注意しましょう。
参照:『従業員に賞与を支給したときの手続き』日本年金機構
参照:『賞与を支給したとき、賞与支払予定月に賞与が不支給のとき』日本年金機構
賞与計算で知っておきたい社会保険料と税金について
賞与計算を行う際に、社会保険料と税金についても知っておく必要があります。賞与額から差し引かれるのは、厚生年金保険料や健康保険料、雇用保険料、所得税です。
社会保険料
社会保険料は、従業員や企業が社会保険制度に基づいて支払う保険料のことです。主な社会保険としては、健康保険や厚生年金保険、雇用保険などがあります。
これらの保険料は従業員の給与から天引きされ、雇用主である企業も一定の割合を負担します。賞与の支給時には、支給額に応じて社会保険料を計算しなければなりません。
具体的な社会保険料の計算方法は、保険料率や基準額などによって定められています。
健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料
健康保険・厚生年金の保険料は、賞与の総額から1,000円未満を切り捨てた金額に、それぞれの保険料率を掛けて算出します。
雇用保険料
雇用保険の保険料は、賞与の総額に雇用保険料率を掛けて算出します。雇用保険料率は、ほぼ毎年改定されているため注意しましょう。
所得税
所得税は累進課税制度が採用されているため、支給金額が高くなるほど税率も高くなります。さらに、支払い対象者の年齢や扶養家族の有無などによって差があります。
社会保険料を除いた額に、所得税率を掛けることによって、最終的に賞与の振り込み支払い額が決定します。
賞与(ボーナス)から社会保険料の控除が不要な例
賞与は保険料の徴収対象です。一方で以下のケースに該当するとき、社会保険料が発生せず、控除もありません。ただし、雇用保険料は退職がいつであっても徴収されます。
社会保険資格を喪失した場合
賞与支給月の末日までに、退職などによって資格を喪失すると、賞与に関連する社会保険料は発生しません。ただし、社会保険料は「資格を喪失する月の前月分までの保険料」を徴収する仕組みであるため、退職日によって異なります。
3つの具体例をもとに解説します。
1.12月20日に賞与を支給された従業員が、月末(12月31日)に退職した場合
従業員の社会保険資格の喪失日は翌日の1月1日となるため、12月に支給した賞与に対して社会保険料が発生し、控除の対象になります。
2.12月20日に賞与を支給された従業員が、12月25日に退職した場合
社会保険資格の喪失日は翌日の12月26日となるため、12月に支給した賞与に対する社会保険料は徴収されません。
社会保険料を徴収していなくても、賞与が支払われているのであれば、賞与支払届を提出する必要があります。
3.12月10日に退職した従業員に、12月20日に賞与を支給した場合
社会保険資格の喪失日は退職翌日の12月11日となるため、12月に支給した賞与に対する社会保険料は徴収されません。
このように月末までに退職した従業員に、企業があとから賞与を支給した場合は、賞与支払届を提出する必要はないとされています。
産前産後休業を取得した場合
従業員が産前産後休業を取得した場合、休業を取得した日から休業が終了した日の翌日までの期間中に支給された賞与に関しては、社会保険料が免除されます。
そのため、賞与支給の際に控除も発生しません。
育児休業を取得した場合
従業員が連続して1か月以上の育児休業を取得した場合、賞与支給月の月末が休業に含まれていれば、社会保険料は免除されます。
たとえば、12月20日に賞与が支給されて、12月31日時点で休業中であれば、社会保険料の控除対象外です。
まとめ
賞与は企業が従業員に対して支給する特別な賃金です。支給に関する法的な義務はなく、企業の裁量によって支給額、支給回数、時期などが異なります。
賞与の支給は、従業員のモチベーションに大きく影響するでしょう。しかし、賞与に関する知識がなかったり、支給基準があいまいだったりすると、モチベーションを下げてしまいかねません。
賞与計算をする予定のある人事担当者は、賞与に関する決まりや自社の支給基準などをしっかり理解しておきましょう。