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年末調整における障害者控除とは|控除額や対象範囲を解説

年末調整における障害者控除とは|控除額や対象範囲を解説

年末調整の控除には「障害者控除」の枠が設けられています。障害の等級などにより、控除額が異なります。障害者控除は申請しないと受け取れないため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

本記事では、障害者控除の範囲や控除額、申請方法、年末調整の書き方まで解説します。障害者控除をこれから申請する方や理解を深めたい方などは、ぜひ参考にしてください。

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    年末調整における障害者控除とは

    障害者控除とは、納税者本人や配偶者、扶養家族が所得税法上の障害者である場合に受けられる所得控除です。障害者控除を受けると、所得税や住民税の納付額が減少します。障害者控除の扶養親族に年齢制限は設けられていないため、16歳未満の扶養親族でも障害者控除の適用が可能です。

    また、障害者控除には「障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」の3種類があり、それぞれ控除額が異なります。次の表に、種類ごとの認定目安をまとめましたので、参考にしてください。

    障害者控除を受けるうえでの「障害者」の認定目安障害者控除を受けるうえでの「特別障害者」の認定目安障害者控除を受けるうえでの「同居特別障害者」の認定目安
    外での生活はできるものの、介助なしでは外出できない障害者手帳1・2級特別障害者の認定目安に加えて、生計をともにするものと同居していること
    愛の手帳1・2度
    軽度の認知症などの症状が見られる精神障害者保健福祉手帳1級
    戦傷病者手帳第3項症等

    参考:『65歳以上の方に対する障害者控除対象者の認定』東大和市

    対象範囲

    障害者控除の適用を受けるには、次のいずれかに該当する必要があります。

    1認知能力を欠く精神障害者
    2知的障害者と診断された人
    3精神障害者保健福祉手帳を受けている人
    4身体上の障害がある人として身体障害者手帳に記載されている人
    5年齢が65歳以上で精神または身体に障害のある人で、市町村長等の認定を受けている人
    6戦傷病者手帳を受けている人
    7原爆被爆者として厚生労働大臣の認定を受けている人
    8年末時点で連続して6か月以上、重度の寝たきり状態で複雑な介護を必要とする人

    参考:『No.1160 障害者控除』国税庁

    年末調整の障害者控除を受けられる対象は、原則として障害者手帳が交付された人に限られます。

    「障害者手帳」未所持でも障害者控除を受けられるケース

    障害者手帳を有していない方でも、次のいずれかの条件を満たせば障害者控除を受けられます。

    • 市町村長などの認定がある
    • 身体障害者手帳などの交付申請中である

    それぞれ解説します。

    市町村長などの認定がある

    市町村長などの認定があるものは、障害者手帳を有していなくても、障害者控除を受けられます。

    ただし、認定が認められるものは、65歳以上で要介護認定の要支援を受けているものです。該当する方が市町村長などに申請を行い、認定されると「障害者控除対象者認定書」が交付されます。

    年末調整においては、障害者控除対象者認定書が障害者手帳の代わりになる書類です。なお、障害者控除対象者認定書は、毎年交付を受ける必要があります。

    参考:『65歳以上の方に対する障害者控除対象者の認定』東大和市

    身体障害者手帳などの交付申請中である

    身体障害者手帳が手元になくても、次のいずれかの条件を満たすと年末調整ができます。

    • 手帳の交付を申請中である
    • 手帳の交付を受けるための医師の診断書を有している
    • 手帳の交付を受けられるほどの障害があると認められている

    参考:『No.1186 身体障害者手帳等の交付を申請中である場合の障害者控除の適用について』国税庁

    障害者控除で受けられる控除額

    障害者控除で受けられる額は、次の等級により異なります。

    障害者27万円(市・都民税26万円)
    特別障害者40万円(市・都民税30万円)
    同居特別障害者75万円(市・都民税53万円)

    参考:『65歳以上の方に対する障害者控除対象者の認定』東大和市

    障害者控除の申請方法

    会社員と個人事業主で、控除の申請方法は大きく異なります。それぞれの申請方法をご紹介します。

    会社員の場合

    会社員の場合、勤務先が年末調整をするため「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に控除適用者の情報を記入します。万が一、年末調整で申請し忘れてしまった場合、確定申告で障害者控除を適用させられます。

    個人事業主の場合

    個人事業主の場合、確定申告をする際に障害者控除を申請します。確定申告書を作成する際、対象者の氏名や障害の状況などの記入が必要です。

    年末調整での障害者控除の書き方

    障害者控除を受けるには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄に必要事項の記入が必要です。対象者ごとに書き方を解説します。

    本人が受ける

    本人が受ける場合、まずは「1」にチェックを入れます。そのあと「2」もしくは「3」いずれか該当する方に丸をつけましょう。「4」は、自身の状況に応じた内容を記載しましょう。

    年末年始障害者控除1

    配偶者が受ける

    同居している配偶者の控除申請をする場合、まずは「1」にチェックを入れます。そのあと「2」もしくは「3(同居している場合)」いずれか該当する箇所に丸をつけましょう。「4」は、配偶者の状況に応じた内容を記載しましょう。

    年末年始障害者控除2

    別居しており、特別障害者を申請する場合は、まず「1」にチェックを入れてから「2」に丸をつけます。「3」には、決められた項目で、状況に応じた内容を記入してください。

    年末年始障害者控除3

    親や子どもの扶養家族が受ける

    親や子供の扶養家族が受ける場合、まずは「1」にチェックを入れます。そのあと「2」もしくは「3(同居している場合)」いずれか該当する箇所に、丸をつけて対象の人数を記入します。「4」は扶養家族の状況に応じた内容を記入しましょう。

    年末年始障害者控除4

    別居しており、特別障害者を申請する場合も同様に、まずは「1」にチェックを入れます。その後「2」に丸をつけて、人数を記入しましょう。「3」には必要事項を記入してください。

    年末年始障害者控除5

    年末調整の障害者控除の申請時の注意点

    年末調整で障害者控除を申請する際におさえておくべきポイントは次の2つです。

    • 障害者手帳の用意
    • 「要介護認定」を受けるだけでは対象外

    それぞれ解説します。

    障害者手帳の用意

    障害者控除の申請には、基本的に障害者手帳が必要です。交付には、1か月以上かかることも多いため、年末調整までの猶予をもたせて早めに手続きしておくことが好ましいでしょう。

    「要介護認定」を受けるだけでは対象外

    介護保険法上の「要介護認定」を受け、日常生活に支障が出ていたとしても、障害者手帳が発行されない以上、所得税法上の障害者控除は受けられません。障害者手帳がなくても申請できる場合もあるため、当てはまるケースがあるか確認するとよいでしょう。

    障害者控除を申請しないとどうなる?

    障害者控除を受けないと、障害者に対する所得控除を受けとれないため、必要以上の税金を納付することになります。万が一、障害者控除の申請を忘れてしまった場合は、確定申告で申告を修正しましょう。

    正しい内容で申告することで、障害者控除を受けられるため、払い過ぎた所得税が還付されます。前年の年末調整データをもとに、障害者控除も変更がないものとして年末調整をしていることも考えられるため、詳しくは会社に問い合わせてみましょう。

    まとめ

    障害者控除には「障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」の3種類があります。それぞれ、控除額が異なります。ただし、申請しなければ障害者控除は受け取れません。本記事でご紹介した申請方法を参考に、年末調整を行いましょう。