内定式では何をする? 内容やプログラムの流れ、事前準備も解説

内定式とは、内定を正式に伝えるための式典です。企業にとっては、内定者の入社意思を高めたり、内定者における入社への不安や緊張に対してフォローができたりする機会でもあります。

内定式の式次第や内容によっては、内定者のモチベーションを下げてしまう恐れもあります。そのため、企業は、内定式の事前準備を万全に行い、無事に成功させなければなりません。

本記事では、内定式の目的や事前準備、式次第などを解説します。「内定者のモチベーションをさらに上げたい」「入社辞退率が高い」などのお悩みを持つ企業の人事担当者は、ぜひ参考にしてください。

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    内定式とは

    内定式とは、企業が内定を出した学生に対し、正式に内定を伝えるための式典です。内定式では、企業が授与する内定証書をもって、正式な内定が決定します。内定証書とは、採用後に企業から内定者へ渡される通知書です。

    一般的な企業の内定式は、社長や幹部陣が出席します。また、内定者が一同に集結するため、内定者にとっては同期入社のメンバーと初めて顔を合わせる機会でもあります。このように、内定式では、内定証書の授与や既存社員や同期との懇談などによって、内定者の入社意欲を高められるのです。

    内定式の時期

    内定式は、例年10月1日に開催することが一般的です。ただし、10月1日が祝日の場合や企業の都合によっては、11月に開催されることもあり、必ず10月1日に開催する必要はない場合もあります。

    経団連では、正式な内定日を卒業する年度の10月1日以降としているため、例年10月1日に開催する企業が多いのです。

    参照:『2025(令和7)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について (2024年4月25日 No.3635) | 週刊 経団連タイムス』一般社団法人 日本経済団体連合会

    内定式と入社式の違い

    内定式と入社式の違いは、目的が異なります。内定式は、内定者に正式に内定を伝えることであり、入社式では新入社員を正社員として迎える記念式典です。

    内定式の段階では、あくまでも内定者(学生)であり、企業の正社員ではありません。内定者は、入社式以降に企業の正社員として認められます。

    内定証書と内定通知書の違い

    内定証書と混同しやすいのが内定通知書です。内定証書は、内定式で手渡される証明書であるのに対し内定通知書は、採用選考後に、郵送などによって企業から採用が決まった応募者に対して内定を通知するための書類です。

    内定式の目的

    企業が内定式を開催する目的にはどのような点があるのでしょうか。具体的な目的を解説します。

    内定者の入社意思を強くするため

    内定者の段階では、企業へ入社することについて実感がない学生も少なくありません。内定式の開催によって、内定者が実際に内定証書の授与を受けたり、企業の先輩社員や同期メンバーとコミュニケーションを取ることで、入社イメージをより描きやすくなります。

    企業への理解度を促進するため

    内定式では、企業が入社に関する説明だけではなく、企業の経営理念やビジョンに関する説明も行います。そのため、内定者の企業に対する理解度がより深まる機会にもなるはずです。内定者の企業理解が深まると、入社後に従業員として働くイメージやキャリアプランの想像にもつながるため、入社意欲を高める効果も期待できます。

    入社に向けた手続きを行うため

    内定式では、入社に関する手続きも行われます。企業は、内定証書や採用通知書を発行・交付し、内定者は入社承諾書など必要書類を提出します。

    内定式は、正式に内定を伝えるだけではなく、入社に向けた事務手続きを行う目的もあるのです。

    内定者同士の顔合わせのため

    内定式は、内定者が一同に集まる式典です。そのため、内定者にとっては、同じ時期に入社し、ともに社会人として勤務する仲間たちと初めて対面する貴重な場といえます。内定者は、内定式によって同期とコミュニケーションを取ることで、安心感や入社意欲を高められるでしょう。

    内定者へのフォロー

    内定式には、経営幹部だけでなく従業員も出席します。一般的には、部署を代表して一般社員や役職陣が出席します。従業員が内定式に出席する目的は、内定者との懇談などを通してコミュニケーションを取り、入社への不安や緊張を和らげるためです。

    内定式の事前準備

    企業が内定式を実施するにあたり、どのような事前準備が必要となるでしょうか。具体的に必要とされる準備について解説します。内定式の式次第や内容によっても、必要な事前準備は異なりますので、一般的な式次第で行われる内定式のケースとして参考にしてください。

    開催場所の決定

    内定式は、内定者だけでなく企業の出席者もいるため、一同に大勢が集まります。会社規模によっても異なりますが、余裕をもって参加できるような会場を用意すると安心です。中小企業の場合は自社で行うことが一般的です。一方、大企業の場合は会場を借りて開催することも珍しくありません。自社以外で開催する場合は、事前に会場の予約や準備も計画しましょう。

    式次第の作成

    内定式に何をするのかといった式次第を考えます。

    一般的な内定式では、以下の内容を含みます。

    • 開会の挨拶
    • 企業の代表挨拶
    • 内定証書の授与
    • 経営理念や目標、ビジョンの説明
    • 入社に関する説明
    • 内定者の自己紹介
    • 全体懇談
    • 閉会の挨拶

    式次第の工夫や充実で、内定者の入社意欲向上にも効果が期待できるため、入念に計画しましょう。

    アンケートの準備

    企業は、内定式出席者に向けたアンケートを準備することも大切です。アンケートを取ることで、入社式や翌年以降の内定式の改善にもつなげられます。アンケートは、回答者の負担が重くなりすぎないよう、質問数や内容を精査したうえで、簡単に回答できる実施方法にしましょう。

    内定者への招待連絡

    内定者全員に対して、内定式の招待も行わなければなりません。内定者への招待は、以下の内容を記載したメール送付や書面を郵送します。

    • 内定式の日時
    • 開催場所(集合場所もあれば記載)
    • 持ち物
    • 服装

    内定式は正式に内定を通知するための式典です。持ち物や服装についても、招待連絡で明記すると内定者が安心して参加できるでしょう。

    内定式の流れ

    内定式は、どのような流れで行われるのでしょうか。内定式の流れの例として一般的なものをご紹介します。

    開閉会の挨拶

    内定式の開始と閉会について、それぞれ企業の代表者が挨拶を行います。内定式の始まりと終わりを示す挨拶であるため、はっきりとした声で行います。

    内定式終了後に懇親会などを予定している場合は、その旨のアナウンスが必要です。閉会の挨拶の直前に司会担当者がアナウンスをするか、閉会の挨拶担当者が説明したうえで挨拶を行いましょう。

    企業の代表挨拶と企業説明

    企業の代表として社長などが挨拶を行います。企業の一員として、内定者にどのような従業員になっていってほしいかなどを伝えます。

    代表挨拶では、企業の経営理念や経営目標、ビジョンを説明する場合も多いでしょう。内定者は、将来自社に入社予定であるため、企業理解を深めてもらうためにも、わかりやすい説明を行いましょう。

    内定証書の授与と代表者による答辞

    企業から内定者に正式な内定を証明する「内定証書」を授与します。内定者一人ひとりに授与を行う場合と代表者のみによる授与の場合があり、企業規模や内定者数によっても異なります。

    また、内定者を代表として「答辞」も行うため、企業は内定証書の授与や答辞の代表者を決めたら、速やかに該当者に打診し、準備してもらいましょう。

    また、企業によっては、内定者の自己紹介などを式次第に入れることもあります。企業は、内定式の時間配分や内定者の数を踏まえて検討してみましょう。

    全体懇談

    全体懇談では、時間を設けて自由に懇談を行います。内定者同士のコミュニケーションはもちろん、企業の従業員への質問や相談も行える雰囲気にしましょう。また、内定式では短時間で懇談タイムを設けずに、内定式終了後に「懇親会」や「グループワーク」などを開催する企業もあります。

    入社に関する説明

    人事担当者が、入社に関する事務手続きの説明を行います。内定承諾書等、内定者が提出する書類と企業から受け取る書類の説明を行いましょう。

    また、内定式終了後から入社式までの説明も行います。企業によっては、入社式前に研修期間を設けたり、課題を出したりするケースもあります。今後のスケジュールの流れと、必要な手続き等をわかりやすく説明しましょう。

    内定式のオンライン開催

    近年では、内定式をオンラインで開催する企業もあります。具体的な内容やメリットをご紹介します。

    オンライン内定式の実施方法

    オンラインで内定式を実施するためには一般的に以下のような方法が挙げられます。

    • Web会議ツール
    • ウェビナー形式

    企業が普段会議などで活用しているWeb会議ツールを用いてオンラインで内定式を開催できます。特に参加者が発言できる機能を搭載しているツールもあるため、内定者の答辞や自己紹介なども問題なく行えます。

    また、ウェビナーとしてLive配信を行うやり方もオンライン会議の方法のひとつです。代表者などは1か所に集まる必要があるものの、参加者が気軽に参加しやすいメリットがあります。

    オンライン内定式のメリット

    オンラインで行う内定式のメリットは以下のような点が挙げられます。

    内定者が出席しやすい

    内定式をオンラインで開催することは、インターネットにつながる環境さえあれば、どこにいても参加できます。また、内定式の緊張感に不安を感じる内定者にとっては会場での開催よりもオンラインでの開催のほうが、気軽に参加できるでしょう。

    企業のコスト削減

    内定式をオンライン化することで、会場の設営費用や交通費などのコストが抑えられます。オンラインでない場合、遠方から来る内定者に対しては、宿泊代などを企業が負担するケースもあるため、オンライン化は企業にとってコスト削減につながります。

    オンライン内定式のデメリットや注意点

    オンラインでの内定式を開催する場合、デメリットや注意点はゼロではありません。あらかじめ注意すべき点を理解しておきましょう。

    内定者が主体的に参加しにくい

    オンラインでの内定式は、会場開催とは違い、どのような場所でも参加できます。また、自分の参加する姿が周囲から見られない場合もあるため、参加態度が悪くなる可能性もあります。

    内定者が主体的に参加できるよう、式次第のなかに内定者参加型の内容を入れるとよいでしょう。また、オンライン開催であっても式典であるため、服装やマナーに関する注意点なども事前に連絡しておくとよいでしょう。

    問題なく開催できるか事前確認を怠らない

    オンラインでの内定式では、通信環境やツールにつなげる人数などを確認しておきましょう。通信環境に問題はないか確認したうえで、万が一の際に対応できる方法も考えておくと安心です。また、ツールによっては参加者の人数上限を設けているものもあります。内定式に出席する人数を把握し、上限を超えていないかどうかも確認しましょう。

    まとめ

    内定式とは、内定者に対して正式に内定を通知するための重要な式典です。内定式の式次第や内容によって、内定者の入社意思を強めたり、仕事へのモチベーションを上げる機会にもなります。

    近年では、内定式をオンラインで実施するケースも出てきています。どのような開催形式にする場合でも、企業は、内定者の満足度や意欲が高まるような内容で式典の計画と準備を行えるようにしましょう。