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キャリアマネジメントとは? 進め方や必要性、具体的な施策も紹介

キャリアマネジメントとは、将来を見据えた目標に向かって自身の計画を実行していくことです。時代やビジネス環境の変化によって必要性が高まっています。

ダイバーシティが浸透している現代においては、個人の価値観を尊重することが重視されています。キャリアマネジメントにおいても個人の希望や特性を踏まえ、個人がより働きやすく、活躍できるようなプランを立てたうえで実行するのが理想でしょう。

本記事では、キャリアマネジメントについて解説しながら、必要性やメリット、具体的な進め方、施策についても紹介します。組織で働くビジネスパーソンはもちろん、経営層や人事担当者も参考にしてください。

キャリアマネジメントとは? 進め方や必要性、具体的な施策も紹介
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    キャリアマネジメントとは

    キャリアマネジメントとは、個人のキャリア目標の達成に向けて、本人の希望や特性を踏まえて計画を立て、実行していくことです。

    もともとは、企業が個人のキャリアマネジメントを主導するのが一般的でした。今では企業だけでなく従業員本人が主体的にキャリアマネジメントを行うようになっています。

    バウンダリーレスキャリアという考え方

    キャリアマネジメントを考えるうえで重要なのは「バウンダリーレスキャリア」という新しい働き方です。

    バウンダリーレスキャリアとは、会社や職務、地域などの境界を超えて自由にキャリアを築くことです。国内外の企業を横断するキャリア形成や、フリーランスとしての活動も含まれます。

    1つの組織や価値観にとどまるのではなく、さまざまな場所で経験を積み、キャリアを形成する働き方として注目されています。

    キャリアマネジメントが重視されるようになった背景

    日本ではビジネスを取り巻く環境が変わり、ひと昔前の年功序列や終身雇用などを主流とする働き方から価値観が大きく変わりました。キャリアマネジメントが重視されるようになったのも、働き方や社会の価値観の変化などが背景にあります。

    働き方改革による労働環境の変化

    働き方改革の推進による労働環境の変化は、キャリアマネジメントが重視されるようになった理由の一つです。近年、終身雇用や年功序列などの考え方が崩れ、人材の流動化が目立ち始めました。

    働き方改革では、時短勤務やフレックスタイム制、テレワークなど、さまざまな働き方が促進されています。コロナ禍におけるテレワークの普及により、企業によっては自宅などオフィス以外の場所で働く人も認められています。

    柔軟な働き方が取り入れられるなか、従業員の主体的なキャリアマネジメントが重視されるようになりました。

    社会の多様化

    多様性を重視するダイバーシティの推進も、キャリアマネジメントが重要視される背景の一つです。

    個人の価値観や特性を尊重するダイバーシティの考えは、キャリアにおいても大切にされています。

    画一的な企業の方向性を押しつけるのではなく、個人がそれぞれの価値観に基づいてキャリアマネジメントを行うことで、キャリアを自由に選択できるようになりました。

    キャリアマネジメントの必要性

    キャリアマネジメントの必要性について、時代背景と企業の視点、人材(個人)の視点から解説します。

    時代背景

    現代は、デジタル化や働き方改革など、ビジネス環境が刻々と変化しています。人材の流動化も進み、キャリアアップのために転職する個人も増えています。

    かつて日本では終身雇用や年功序列が主流であり、従業員はキャリア形成について深く考えたり迷ったりする必要はありませんでした。

    しかし現代は、キャリア選択の自由度が高まった一方で、個人のキャリアを納得いくものにするために、みずから積極的に動かなければなりません。従業員が望む結果を求めてキャリアマネジメントを行う必要性があるといえるでしょう。

    企業視点

    企業にとって、キャリアマネジメントは離職防止につながります。企業側(上司や人事)によるキャリアサポートは、従業員の会社に対するエンゲージメントを高めます。

    また、企業から従業員に向けてさまざまな情報が提供されると、社内全体のキャリアに関する興味関心が高まり、前向きな考え方が育まれ、キャリアプランを描きやすくなるでしょう。

    一方で、キャリアマネジメントが逆効果になる可能性もあります。従業員の希望を無視する対応や変化に気づかない対応は、離職を促す要因です。

    人材視点

    キャリアマネジメントを行うためには、自己理解が大切です。どのようなキャリアを目指す場合にも、自分の意志や価値観、強みや弱みを理解する必要があります。

    キャリアマネジメント推進で得られるメリット

    個人のキャリアマネジメントを、企業が推進することで得られる代表的なメリットには「従業員の能力開発」と「エンゲージメントやロイヤリティの向上」があります。

    従業員の能力開発

    企業が個人のキャリアマネジメントを支援すると、意欲的な姿勢を促進し、一人ひとりのスキルや知見を高められます。個人の能力向上は、仕事のパフォーマンスを向上させ、全体の利益にもつながるでしょう。

    エンゲージメントやロイヤリティの向上

    企業がキャリアマネジメントを支援すると、従業員のエンゲージメントやロイヤリティが向上します。企業への貢献を実感し、離職防止につながるでしょう。

    キャリアマネジメントの進め方

    キャリアマネジメントとは? 進め方や必要性、具体的な施策も紹介

    キャリアマネジメントの進め方として、一般的な手順やステップを紹介します。

    1. プランニング
    2. 能力開発
    3. 内省と行動の継続

    1.プランニング

    キャリアマネジメントを行うために大切なのが、最初のステップである「プランニング」です。目標やなりたい将来像を明確にし、その実現に必要な要素を整理・検討する過程を指します。

    2.能力開発

    次に、プランニングに基づいて着実に計画を実行し、能力開発を目指します。必要なスキルや知識が不足している場合は、習得に向けた行動プランも立てて実行します。

    能力開発には新たなスキルの習得だけでなく、現場で実務経験を積むことも大切です。上司や人事部に相談して異動を願い出たり、社外で経験できる機会がないか探したりしてみましょう。

    3.内省と行動の継続

    キャリアマネジメントは、プランニングによる計画の実行と能力開発を繰り返すことで進みます。状況や環境の変化に合わせて内省と行動を繰り返し、修正することが重要です。

    キャリアマネジメントの事例

    キャリアマネジメントの促進に取り組む企業事例を、厚生労働省が表彰する『グッドキャリア企業アワード2022』からご紹介します。

    雪印メグミルク株式会社

    雪印メグミルク株式会社は、全世代を対象とし、総合的で継続的なキャリア支援を実施している企業として大賞を受賞しました。

    具体的には「グループ人材育成の推進」「従業員一人ひとりのキャリア形成支援」「多様な人材が活躍できる職場づくり」に取り組んでいます。

    取り組みの効果として「人的資本経営の進化」や「キャリア自律人材の増加」「ダイバーシティ&インクルージョンの発展」が得られたと公表しています。

    明治安田生命保険相互会社

    明治安田生命保険相互会社は、人事情報を一元管理したタレントマネジメントシステムの構築やキャリアコンサルタントによる窓口を設置し、キャリア形成を考えられる環境を整備したと認められイノベーション賞を受賞しました。

    取り組みの効果として、能力やキャリア開発の風土醸成が定着し、自己啓発に取り組む従業員が増加したと公表しています。

    アンケートでは、従業員の82%が「知識・能力を身につける機会がある」、70%が「知識・能力を高めようとする組織風土がある」と回答しています。自己啓発に取り組む従業員の増加が伺えます。

    参照:『グッドキャリア企業アワード2022』厚生労働省

    キャリアマネジメントの施策

    キャリアマネジメントを企業がサポートする方法には、どのような施策があるのでしょうか。具体的な4つの施策を紹介します。

    • 異動や配置転換
    • 研修
    • 面談
    • 能力開発の支援

    異動や配置転換

    異動や配置転換により、異なる業務を経験すると本人の経験値が上がり、多面的に物事を見られるようになり、企業に対する理解が深まるでしょう。

    ただし、本人の要望を踏まえたうえで、配置転換を実施することが重要です。

    研修

    研修の実施も、キャリアマネジメントの重要な施策です。

    研修テーマは、以下のような内容を盛り込むと学びを深められるでしょう。

    • キャリアプラン(マネジメント)に関する研修
    • 年代や役職で求められる役割
    • 体験型の研修

    キャリアカウンセラーを招いた講演会の実施もおすすめです。

    面談

    定期的な面談の実施も、キャリアマネジメントの支援につながります。従業員が思い描くキャリアプランと、企業の認識を擦り合わせることができるでしょう。

    企業側は、あくまでも対話する姿勢で面談を実施します。価値観や企業の要望を強く押しつけることのないように注意しましょう。

    能力開発の支援

    個人の能力開発のために支援することも、キャリアマネジメント施策の一つです。キャリアマネジメントでは、プランニングに対して必要な能力開発を行う必要があります。

    具体的には、オンライン講座の受講費用や書籍購入費用の負担、外部セミナー参加の機会提供などが挙げられるでしょう。

    まとめ

    キャリアマネジメントとは、仕事上の目標に向かって自身の計画を実行していくことです。将来について本人の希望や特性などを踏まえて計画を立て、実行することを意味します。

    キャリアマネジメントを支援することは、従業員本人だけでなく、企業にもメリットがあります。本記事で紹介した施策や進め方を参考に、従業員のキャリア形成をサポートすることで、自社の成長を目指しましょう。