チャレンジ目標の具体例|設定のポイントや管理シート、人事評価との関連を解説
チャレンジ目標とは、「達成が困難な目標」を指し、設定することで個人の成長を促す効果が期待できます。ただし、チャンレンジ目標を適切に設定しないと、従業員のモチベーションやエンゲージメントを低下させてしまう恐れもあります。
本記事では、チャレンジ目標とは何かについて、具体例を交えながら解説します。ストレッチ目標との違い、設定のポイント、管理シートの作成方法、人事評価との関係性についてなど総合的に紹介しています。
ストレッチ目標の違い
チャレンジ目標とは、「達成の難易度が高い目標」のこと。多くの場合、会社側が従業員に実施を促します。達成するまでに一定の努力が必要となるため、従業員のスキルを大幅に向上させる狙いがあります。取り入れる企業も多い人材育成方法の一つです。
一方でチャレンジ目標は、設定の仕方を間違えると達成できずに、従業員のやる気を落としてしまう可能性もはらんでいます。
ストレッチ目標との違い
チャレンジ目標と混同されがちな言葉に「ストレッチ目標」があります。ストレッチ目標は「今より少し頑張れば、達成できるような難易度の目標」です。
一方、チャレンジ目標は「もしかしたら達成できない可能性もあるほど、難易度が高い目標」です。難易度を比べると「チャレンジ目標>ストレッチ目標」といえるでしょう。
チャレンジ目標の具体例
チャレンジ目標は本人の現在のスキルレベルによって変動するものなので、一概に例示するのが難しいところがあります。実際に担当者が目標を設定する場合や本人に立ててもらう場合、悩んでしまう方も多いでしょう。
代表的な具体例を3つご紹介しますが、あくまでも本人のスキルレベルに応じて調整してみてください。
具体例1:TOEICで◯◯点とる
簡単に達成できる点数だとチャレンジ目標とはいえません。語学力が必要な業界は、TOEICを基準にするといいでしょう。例として現時点での点数+150~200点アップを目安にするといいかもしれません。または990点、つまり満点を目指すなどハイレベルな目標設定をするのがポイントです。
具体例2:新規案件を●件獲得する
チャレンジ目標を営業職で設定する場合、新規案件の獲得数を目標に据えるといいでしょう。このほかにも、新規顧客数や利益率など、わかりやすい数値にあらわせるものがいいです。この際も、現時点では実現が難しいような数値を設定することがポイントです。
具体例3:一般合格率が低い資格を取得する
チャレンジ目標を技術職や専門職で設定する場合、合格率が非常に低い資格取得を目標にすることをおすすめします。合格後は確実にスキルアップへつながるため、従業員の今後のキャリアに役立つはずです。資格取得以外だと特許出願数や開発件数なども、具体的にチャレンジングな数値が設定しやすい基準となります。
チャレンジ目標 設定のメリット・重要性
チャレンジ目標を設定するメリットや重要性を解説します。
従業員のモチベーションアップ
チャレンジ目標を明確に設定することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上が期待できます。通常の目標よりも、達成までに「自分自身が大幅にスキルアップしている実感」が得られやすいからです。
企業力の強化
チャレンジ目標の達成によって従業員一人ひとりが大幅にスキルアップできると、組織全体の企業力も高まるでしょう。幅広く高い専門性を有した従業員が増えると、新規ビジネスに参入できるかもしれません。さらに、人材採用の点においてもメリットがあります。企業力が向上すると、優秀な人材が多数集まってきやすくなるからです。
チャレンジ目標 設定のポイント
次に、チャレンジ目標を設定する際のポイントやコツをご紹介します。チャレンジ目標は、一歩間違えると、逆に従業員のモチベーションを落としてしまう恐れもあります。設定の際はポイントやコツを押さえて慎重に進めましょう。
あくまでも実現可能であること
実現が不可能なチャレンジ目標を立ててしまうと、モチベーションが維持できなくなるため、逆効果です。簡単に達成できてしまう目標では、チャレンジ目標とはいえません。しかし、あまりにも現実からかけ離れた難しすぎる目標も厳禁なのです。従業員の現在の能力をよく把握して、適切なバランスで設定を促しましょう。
具体的に設定すること
チャレンジ目標では「●●に対応できる力を身につける」などあいまいな目標は避けましょう。具体的かつ明確な目標を設定してください。目標に取り組む際、「あとどれだけ頑張ればいいのか」というゴールまでの道のりを可視化できる状態だと、目標達成に向けて努力しやすくなります。点数や件数など、数値で計測可能なものを設定しましょう。
短期間で達成できる小さな目標も設定すること
従業員のモチベーション維持のために、短期的な目標も同時に設定することもおすすめします。1つの大きなチャレンジ目標を達成するために、小さな目標をいくつか設定しておくイメージです。達成感を定期的に味わうことで、チャレンジ目標達成までのやる気が継続しやすくなります。
進捗を管理すること
チャレンジ目標を設定したあとは、達成までの進捗を管理しましょう。もし予定通りに計画が進んでいないときは、行動を振り返り、改善を促す必要があります。予定通りに進んでいた場合も、さらなるスキルアップのためのヒントが隠れているかもしれません。目標管理用の業務日報や、1日ごとの目標達成度を書きとめておくといいかもしれません。
1on1の機会などを活用して、定期的なフィードバックも有効です。
チャレンジ目標シート(表)とは
チャレンジ目標シート(表)とは、チャレンジ目標の進捗を管理し、達成を助けるシートです。様式は企業によって異なりますが、インターネット上にテンプレートの配布もあります。
ここでは、チャレンジ目標シート(表)の作成方法について解説します。
チャレンジ目標シート(表)項目
チャレンジ目標シートには、以下の項目を記載してください。
- 目標の内容
- 目標達成までの期日
- 日々実施するタスク
- 達成状況
まずはチャレンジ目標をできるだけ具体的に記入します。目標を達成するまでの期日も忘れずに記載しましょう。明確な締切を決めなければ、だらだらと業務に取り組んでしまいがちです。
チャレンジ目標を補う短期間の小さな目標も期日を決めておくといいです。
そしてチャレンジ目標の達成のために日々行うタスクを細分化します。「毎日参考書を10ページ以上進める」「毎日テレアポを30件かける」など、努力次第で達成可能なものを設定しましょう。さらに日々の達成状況を毎日記入するようにしてください。業務内容を振り返る時間が目標管理には効果的です。
チャレンジ目標シート(表)のサンプル
チャレンジ目標シート(表)は、Microsoftのホームページからサンプルを無料ダウンロードできます。エクセルなどを使って一から作成するのは手間がかかるかもしれません。用途にあわせて種類が選べるので最適なものをダウンロードするのがおすすめです。
参照:『チャレンジ・目標管理表』
参照:『チャレンジ・目標管理シート (タッチ対応)』
チャレンジ目標設定の注意点
チャレンジ目標は、適切に設定しないと従業員のモチベーションを落としてしまいます。チャレンジ目標設定の注意点やポイントをご紹介します。
キャリアプランに沿った目標を立てる
チャレンジ目標は、各従業員のキャリアプランに合ったものを設定するように注意しましょう。キャリアプランがまだ定まっていない従業員は、キャリアプランの策定から始めなければなりません。やりがいを感じやすくするためにも、キャリアプランの軸に沿った目標を意識してください。
振り返る時間をしっかりと設ける
チャレンジ目標シートの計画通りに進んでいるかのチェックも注意すべき点です。現在の進行状況を振り返る時間が重要です。日々のタスクはこなしているのに、目標達成が難しそうな場合は、目標のための行動管理が不適切かもしれません。定期的に現状の確認を行い、達成を目指しましょう。
チャレンジ目標と人事評価
チャレンジ目標は難易度が高く、そもそも設定する必要があるのか?人事評価の基準にしていいのか?と悩まれる担当者もいるかもしれません。チャレンジ目標と人事評価について解説します。
チャレンジ目標は設定してもらうべき?
人材育成を進めるうえで、チャレンジ目標は設定した方がいいでしょう。一般的な業務目標を設定するだけでも十分な成長の機会となりますが、ワンランク上のスキルを身につけるには、チャレンジ目標が効果的です。
チャレンジ目標の達成度で人事評価を行うべき?
チャレンジ目標の達成度を、人事評価に反映させることは避けた方が無難かもしれません。チャレンジ目標は難易度が高く、本人の心理的負担が大きい可能性が高いからです。給与や昇進にチャレンジ目標の内容が反映されるとなると、必要以上にプレッシャーを感じてしまう従業員もいます。チャレンジ目標にネガティブな印象を持ってしまったり、そもそも達成が難しくなってしまいます。チャレンジ目標と人事評価は切り離して考え、あくまでも従業員のより大きな成長を促す機会として考えるといいでしょう。
チャレンジ目標を活かして社員の育成を
チャレンジ目標は、従業員の大幅なスキルアップが期待できます。しかし、現実的でないハイレベルな目標では、よい結果は望めません。適切なチャレンジ目標の設定には、現状の従業員のスキルレベルの把握と目標管理が不可欠です。
チャレンジ目標の管理にはタレントマネジメントシステム
One人事[タレントマネジメント]は、従業員一人ひとりのスキルや経歴を可視化して管理し、人材育成や人事評価に役立てるツールです。
チャレンジ目標もグラフなどで視覚的に管理できるため、人事評価への反映もスムーズです。長らく紙やエクセルで目標管理を行っていた場合も、自社用にシートをカスタマイズでき、簡単なマウス操作で設定ができるので安心です。
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