クラッシャー上司とは【チェックリストあり】特徴や口癖、企業向けの対策を解説
クラッシャー上司とは、高圧的な言動や行動で部下を追い込み、深刻なストレスを与える存在です。クラッシャー上司のもとで働く部下は、強いストレスを抱え、休職や退職に追い込まれることも少なくありません。
現代の人手不足の状況では、従業員の休職や退職は、業務に大きな悪影響を与えるリスクがあります。
本記事では、クラッシャー上司の特徴や、彼らが使う典型的な口癖について詳しく解説し、企業が取るべき対策についても紹介します。
クラッシャー上司とは?
クラッシャー上司とは部下に対して、行き過ぎた指導や無理な要求を繰り返し、精神的な負担を過剰にかける管理職・マネジメント層です。
クラッシャー上司が職場にいると、部下がプレッシャーに耐えきれず、業務に支障をきたします。精神的に追い詰められ、最悪の場合には休職や退職で職場を離れる事態にもつながるため、放置すると部署や職場全体に悪影響を及ぼすかもしれません。
クラッシャー上司とパワハラ上司の違い
クラッシャー上司とパワハラ上司は行動や態度が似ているため見分けがつかないことがあります。両者の違いを整理すると、以下の通りです。
クラッシャー上司 | パワハラ(ハラスメント)上司 | |
---|---|---|
行動目的 | 円滑に仕事を進めるため | 嫌がらせやストレス解消 |
傾向 | ・自分が正しいと思い込んでいる ・論理的に追及してくる | ・大声で怒鳴る ・暴力を振るう |
クラッシャー上司は、自分の立場を利用して精神的・肉体的ストレスを与えるなどの特徴があります。ハラスメントをする上司と似ていますが、異なる点は行動の目的です。
パワハラ上司は怒りの感情を発散させるために、行動を起こします。クラッシャー上司は自分が正しいと思い込んでいるため、指導の一環として捉えていることもあります。
クラッシャー上司とパワハラ上司の行動自体は似ているため、相手に嫌な思いをさせる点では共通しているといえるでしょう。
クラッシャー上司の特徴・チェックリスト
クラッシャー上司と呼ばれる人はどのような特徴を持つのでしょうか。主な特徴をチェックリスト形式でまとめました。
チェックリスト | ||
---|---|---|
□ | 実績を重視し、成果をあげている | |
□ | 部下を褒めたり、成功を認めたりできない | |
□ | 状況を客観視できていない | |
□ | 自分の考えに絶対的な自信がある | |
□ | 承認欲求が強い | |
□ | 部下が失敗したときは必要以上に厳しく叱責する | |
□ | 部下の人間関係やメンタルケアを重視しない |
実績を重視し、成果をあげている
クラッシャー上司は、実績を重視し、成果をあげることにこだわる特徴が見られます。利益や結果を第一に考え、効率的に仕事を進める能力が高いため、周囲からは「仕事ができる上司」とみなされることが多いです。
しかし一方で、部下を過剰に叱責してプレッシャーをかけることがあり、職場の人間関係には悪影響をおよぼす可能性もあります。成果を求めるあまり、チーム全体のバランスを崩すことも少なくありません。
部下を褒めたり、成功を認めたりできない
クラッシャー上司は、部下の成功を素直に褒めたり認めたりできないという特徴を持っています。自身が仕事に対して非常に厳しい基準を持っているため、部下の成果を当然のこととして捉え、成功して称賛しません。
結果、部下はクラッシャー上司からのフィードバックに失望し、モチベーションを失います。注意や改善点は指摘するものの、感謝や評価を示さないため、チームの士気を低下させるリスクがあります。
状況を客観視できていない
クラッシャー上司は、状況を客観的に把握する力に欠け、自分の行動が周囲に与える影響を理解していないことが多いです。また、自分の視点だけでものごとを判断し、他者の意見や感情を十分にくみ取れない特徴もあります。部下に対して一方的に自分の価値観を押しつけ、感情的に怒ることもあります。
クラッシャー上司の行動は一貫性に欠けるため、部下や周囲からの信頼を損なうことが少なくありません。
自分の考えに絶対的な自信がある
クラッシャー上司は自分の考えに絶対的な自信があるという特徴もあります。部下の気持ちや意見を汲み取らないため、一方的に自分の考えを押しつけます。仕事の進め方や考え方など、周囲と意見が合わないと論理的に追求する可能性もあります。
承認欲求が強い
クラッシャー上司は、承認欲求が強いという特徴もあります。自分の功績を過大にアピールし、チームの成果をあたかも自分だけの成果のように見せかけることがあります。ときには、他人のアイデアや業績を自分のものとして話すこともあるでしょう。
クラッシャー上司の態度は、チーム内の信頼関係を損なうだけでなく、職場全体の雰囲気を悪化させるリスクが高いです。
部下が失敗したときは厳しく叱責する
クラッシャー上司は、自分が仕事に熱心であるため、部下に対しても同じレベルの成果を求める傾向や特徴があります。部下が失敗したときは、厳しく叱責し、失敗を強く非難することがあります。部下はプレッシャーを感じ、失敗を恐れるあまり、積極的に挑戦できなくなるでしょう。
部下の人間関係やメンタルケアを重視しない
クラッシャー上司は、仕事の成果に集中するあまり、部下の人間関係やメンタルケアには無頓着です。人間関係やメンタルの健康を重要視せず、無視して仕事を進める傾向や特徴があります。
クラッシャー上司自身が、メンタルケアを行ってこなかった場合、部下に対する配慮が欠けてしまうのです。結果として部下の心身に悪影響をおよぼし、問題の深刻さも理解できません。
クラッシャー上司に多い口癖
一般的にクラッシャー上司に多いとされる発言を紹介します。次の口癖がある人は、クラッシャー上司といえる可能性があります。
- このようなこともできないのか
- そのような話は言い訳だ
- 自分で考えろ
- このような結果じゃ話にならない
- ほかの人でもできること
他人を責めるような発言は、部下のモチベーションを低下させ、職場の雰囲気を悪化させます。
クラッシャー上司は自分を基準に考えているため、部下ができていないと厳しい言葉をかけられます。本来であれば人材育成の観点から考えると、部下を尊重し、適切なタイミングで必要なフィードバックをする必要があります。
クラッシャー上司を企業が放置するリスク
クラッシャー上司を放置すると、会社全体にリスクがあります。考えられるリスクを紹介します。
- 従業員の離職率が高まる
- 従業員のモチベーションが低下する
- 人材育成が難しくなる
- 自社の評判が悪くなる
離職率が高まる
クラッシャー上司の存在は、従業員の離職率を高めるリスクをもたらします。
クラッシャー上司は、周囲と良好な関係を築けず、承認欲求や保身のために行動することが多く、部下からの信頼を得られません。その結果、従業員は強いストレスを感じやすくなり、職場に留まる意欲を失いがちです。優秀な人材の流出が続くと、会社の経営にも深刻な悪影響がおよぶリスクが高まるでしょう。
従業員のモチベーションが低下する
クラッシャー上司の叱責により、従業員のモチベーションが低下するリスクがあります。仕事とはいえ、モチベーションの低下を引き起こすと成長意欲も減少します。結果的に生産性の低下や売り上げの減少にまで影響をおよぼすでしょう。
人材育成が難しくなる
クラッシャー上司の存在は、長期的に見ると人材の育成に大きなリスクをもたらします。従業員は通常、さまざまな経験を通じて成長していくものです。しかし、クラッシャー上司の過度な圧力や批判が原因で、自信や仕事への意欲を失う傾向があります。結果的に、従業員が積極的にスキルを磨く機会が減り、企業にとって人材育成が一層困難になる可能性があります。
自社の評判が悪くなる
クラッシャー上司の存在は、会社の評判が悪化するリスクも高めます。社内環境が悪化し、従業員のモチベーションが低下すると、業務上のミスが増え、他社との会議や打ち合わせ時間の間違いなども生じやすくなります。ミスが外部に広まれば、会社の評判に打撃を与える可能性があるでしょう。
さらに、クラッシャー上司が原因で従業員が休職し、場合によっては民事裁判を起こす事態になるかもしれません。社内問題がほかの企業にも知れ渡り、信頼をさらに失うリスクが高まります。
クラッシャー上司を生み出さないための対策【企業向け】
クラッシャー上司を生み出さないために、企業ができる対策を紹介します。
- コンプライアンス研修を実施する
- 相談窓口を設置する
- 評価制度の見直しや配置転換を行う
コンプライアンス研修を実施する
クラッシャー上司への対策として、まずはコンプライアンスに関する研修を実施することが必要です。
クラッシャー上司は、どのような発言や行動が部下に悪影響を与えるかを認識していない場合があるため、定期的な研修により日頃から対策をすることが重要です。コンプライアンス研修を通じて、適切な部下とのかかわり方を学んでもらい、問題行動を防ぐ必要があります。
相談窓口を設置する
クラッシャー上司に悩む従業員が相談しやすい環境を整えるために、相談窓口を設置する対策もとりましょう。従業員は上司に対する不満を職場内で相談しにくい傾向にあるため、専用の窓口があれば、早期に問題を発見して対策を講じやすくなります。
評価制度の見直しや配置転換をする
クラッシャー上司への対策として、評価制度の見直しや配置転換も必要な方法です。不適切な発言や行動が、評価に反映される制度を導入すれば、上司の態度を改善する効果が期待できます。
また、クラッシャー上司の態度により従業員がストレスを感じている場合、配置転換によって職場環境の改善もはかれます。
クラッシャー上司による問題発生後の対応
日頃から対策を講じていても、クラッシャー上司による問題行動を防げなかった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。問題発生後に担当者ができる対応を紹介します。
- 事実関係を調査する
- 安全配慮義務を尽くす
- クラッシャー上司を指導する
事実関係を調査する
クラッシャー上司への対応として、まずは事実関係を調査します。被害を受けた従業員や同じ場にいた関係者から状況を詳しく聞き取ります。ヒアリングではプライバシーを尊重し、公平に調査を進めましょう。偏った判断を避けるため、利害関係のない第三者からも話を聞くことが必要です。
安全配慮義務を尽くす
クラッシャー上司による影響で、従業員の心身に不調が生じた場合、企業は安全配慮義務を果たす必要があります。企業には労働基準法や労働安全衛生法に基づき、従業員の安全と健康を守ることが義務づけられています。
第三条 快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない
引用:『労働安全衛生法 』e-Gov法令検索
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない
引用:『労働基準法 』e-Gov法令検索
クラッシャー上司の下で働いている従業員は、心身に不調を来しているかもしれません。必要に応じて、医療機関の受診や産業医への対応をすみやかに進めましょう。
クラッシャー上司を指導する
クラッシャー上司に対しては、コンプライアンス違反や法律に抵触する発言・行動を明確に伝え、適切な指導をします。調査内容に基づき、不要な発言があった場合は指摘し、改善を促します。調査内容によっては処分が必要となることもあるため、就業規則にしたがい厳正な対応が求められます。
まとめ
クラッシャー上司とは、部下に過剰な指導を行い、立場を利用して心身にストレスを与える上司のことです。部下が成果を上げても褒めず、失敗したときには厳しく叱責するという特徴があり、職場環境が悪化する原因となります。
クラッシャー上司を放置すると、従業員のモチベーションが下がり、離職率が上昇する恐れがあります。企業の評判が落ち、結果的に売上にも悪影響をおよぼすリスクもあるでしょう。
クラッシャー上司の存在を防ぐためには、コンプライアンス研修の導入や相談窓口の設置といった対策が必要です。健全な職場環境の構築は、企業の持続的な成長と従業員の幸福につながります。
クラッシャー上司の問題を放置せず、組織全体の生産性向上し、人材定着率の改善に取り組みましょう。本記事で紹介したチェックリストや対策を参考に、自社の状況を見直し、適切な対応をとることが重要です。
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