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社会保険の月額変更届の書き方とポイント【記入例】出し忘れや訂正の対応も解説

社会保険の月額変更届とは、社会保険料を変更する際に提出する書類です。事業者は、従業員の毎月の給与や手当のように固定で支払われる報酬額に変動があった際に、月額変更届の提出が求められます。

本記事では、社会保険の月額変更届の概要や書き方を詳しく解説します。月額変更届を提出する際に添付すべき書類や訂正方法も紹介するため、人事労務の業務に携わる方はぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

社会保険の月額変更届の書き方とポイント【記入例】出し忘れや訂正の対応も解説
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    社会保険の月額変更届とは【ダウンロード先】

    社会保険の月額変更届とは、標準報酬月額を変更するために年金事務所へ提出する書類です。正式名称を「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」といいます。

    標準報酬月額は、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料を算出する基準となるものです。厚生年金の場合は1〜32等級、健康保険の場合は1〜50等級に区分されており、該当する金額を標準報酬月額とします。

    社会保険料は、標準報酬月額の等級ごとに定められています。

    年度途中で給与や手当の額が大幅に変わり、特定の条件を満たす場合には、標準報酬月額の変更が必要です。これを「随時改定」といいます。

    随時改定が実施されるタイミングは、以下の3つの条件をすべて満たすときです。

    • 昇給や降給などで固定給が変動した
    • 変動前後で標準報酬月額に2等級以上の差が生じた
    • 変動月以降、3か月間連続で支払基礎日数が17日以上である

    上記の条件がすべてそろった従業員は、標準報酬月額を変更するため、月額変更届を年金事務所へ提出する必要があります。月額変更届は、日本年金機構の公式サイトより無料でダウンロードできます。

    参考:『随時改定に該当するとき(報酬額に大幅な変動があったとき)』日本年金機構

    社会保険の月額変更届の記入例

    参考:『健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届』日本年金機構
    参考:『令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)』日本年金機構

    社会保険の月額変更届の書き方・ポイント

    社会保険の月額変更届には、提出する日付と事業所にまつわる情報を記入します。

    「提出者記入欄」には、事業所の基本情報として事業所整理記号・所在地・名称・事業主氏名・電話番号を記入しましょう。

    事業所整理記号とは、事業所が社会保険の適用事業所となった際に日本年金機構から通知される番号で、数字とカタカナで表記されます。

    社会保険の月額変更届で記載すべき項目は、以下の通りです。

    記載項目記入内容
    1.被保険者整理番号被保険者の資格取得時に与えられた番号「健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書」に記載されている
    2.被保険者氏名被保険者の氏名を漢字で記入する
    3.生年月日元号の番号と年月日を記入する【元号】5:昭和、7:平成、9:令和【記入例】昭和61年6月15日の場合:5-610615
    4.改定年月標準報酬月額が改定される年月を和暦で記入する
    ※「9.給与支給月」で記入した3か月目の翌月
    5.従前の標準報酬月額現在の標準報酬月額を千円単位で記入する
    6.従前改定月「5.従前の標準報酬月額」が適用された年月を和暦で記入する
    7.昇(降)給昇給・降給があった月の支払い月を記入し、どちらかに○をつける
    8.遡及支払額遡及分の支払いがあった月と、支払われた遡及差額分を記入する
    9.給与支払月固定的賃金が変動した月から3か月分の月を記入する
    10.給与計算の基礎日数給与支払月の給与支払いの対象となった日数を記入する
    ※月給・週給の従業員:暦日数日給
    ※時給の従業員:出勤日数のように報酬の基礎となった日数
    11.通貨によるもの各月の給与や手当など、金銭で支払われるすべての報酬額を記入する
    12.現物によるもの報酬のうち、食事や住宅、被服、定期券など金銭以外で支払われるものがあれば記入する
    13.合計3か月分の報酬(11と12の合計)を記入する
    14.総計支払基礎日数が17日以上ある月の報酬の総計を記入する
    15.平均額報酬の総計を支払基礎日数17日以上の月数で割った額を記入する
    16.修正平均額3か月より前にさかのぼって昇給したことで対象月に差額分が支払われている場合は、差額分を除いた平均額を記入する
    17.個人番号(基礎年金番号)70歳以上の被用者の場合のみ記入する
    18.備考備考欄の項目に該当する場合は○をつける

    参考:『随時改定に該当するとき(報酬額に大幅な変動があったとき)』日本年金機構

    社会保険の月額変更届を記載する際に注意すべきポイントは、以下の通りです。

    • 変動がある月から3か月分の給与や支払基礎日数を記入する
    • 生年月日は元号と年月日を数字のみで記入する
    • 短時間労働者の場合はその旨を記載する

    月額変更届の書き方として、報酬に変動が生じた月から3か月分の給与や支払基礎日数を記入しなければなりません。

    生年月日は、記載例に表示されているように数字だけで記入します。

    また、特定適用事業所に雇用されている等の一定の条件を満たしたアルバイトやパートなど短時間労働者は、備考欄の「3. 短時間労働者(特定適用事業所等)」に○をつけましょう。

    社会保険の月額変更届に添付する書類

    原則として、社会保険の月額変更届を提出する際に必要な添付書類はありません。

    ただし、年間報酬の平均が変動した際に実施する随時改定で、月額変更届を提出するときは、以下の添付書類を添付する必要があります。

    様式1・年間報酬の平均で算定することの申立書(随時改定用)
    様式2・健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額変更届
    ・保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意書(随時改定用)

    様式1には、年間報酬の平均で算出する理由とあわせて、事業所の所在地や名称、事業主氏名、連絡先など事業所に関連する情報を記載します。

    様式2には、昇給月または降給月以降の継続した3か月間における報酬の情報を記入する欄や、被保険者の同意を証明するための署名欄などが設けられています。

    加入する健康保険組合によっては独自の添付書類が必要なこともあるため、事前に確認しましょう。

    参考:『随時改定(月額変更届)』日本年金機構

    社会保険の月額変更届はいつ出す? 提出先も紹介

    届出が必要な従業員が出た場合、事業所はなるべく早いタイミングで社会保険の月額変更届を提出する必要があります。月額変更届の提出方法は、以下の3つです。

    • 電子申請
    • 郵送
    • 管轄の年金事務所への持ち込み

    月額変更届を提出する際は、デジタル庁が運営する総合的な行政ポータルサイト『e-Gov』や『届書作成プログラム』を活用できます。届書作成プログラムとは、届書データの内容を紙の届書として出力できるプログラムです。

    全国各地に設置された日本年金機構の事務センター宛に、月額変更届を郵送することもできます。ただし、事務センターでは持ち込みによる提出は受け付けていません。

    事業所を管轄する年金事務所に、月額変更届を直接持ち込む方法もあります。各エリアの事務センターや年金事務所の所在地は、日本年金機構の公式ホームページで確認してください。

    なお、以下の条件に該当する特定の法人は、月額変更届の電子申請が義務づけられています。

    • 資本金や出資金などの額が1億円を超える法人
    • 相互会社
    • 投資法人
    • 特定目的会社

    参考:『電子申請(e-Gov)』日本年金機構
    参考:『電子申請(届書作成プログラム)』日本年金機構
    参考:『全国の事務センター一覧(健康保険・厚生年金保険の適用に関する届書等を郵送する場合)』日本年金機構
    参考:『2020年4月から特定の法人※について 電子申請の義務化が始まっています。』日本年金機構

    社会保険の月額変更届の出し忘れ・訂正時の対応

    標準報酬月額の等級に変更があったにもかかわらず、社会保険の月額変更届を提出せずにいると、本来支払うべき社会保険料の未払いや過払いが生じてしまいます。事業所は、生じた差額分を適切に処理しなければなりません。

    特に過払いがあった場合は、従業員に大きな負担を強いることになるでしょう。

    また、未納の保険料が発生すると、最大で過去2年間さかのぼって保険料が徴収される恐れがあります。さらに、未払いの場合は滞納金が発生し、最終的に財産を差し押さえられるリスクも存在するため、注意が必要です。

    社会保険の月額変更届を出し忘れてしまったことに気づいたら、管轄の年金事務所に連絡したうえで早急に提出しましょう。必要な手続きを行えば、翌月以降の保険料の徴収額を調整してもらえます。

    ただし、昇給や降給など報酬の変更が発生してから長期間経過していると、遅延理由書の提出を求められることもあります。遅延理由書には提出が遅れた理由や対象の被保険者名などを記入し、月額変更届と一緒に年金事務所へ提出しましょう。

    また、一度提出した月額変更届の内容に誤りがあった場合は、以下の方法で書類に記載し、事業所を管轄する年金事務所に提出します。

    • 月額変更届の標題に「訂正(取消)」と追記する
    • すべての欄に正しい事項を黒字で記入し、誤っていた事項を赤字で記入する
    • 取り消しの場合は、すべて赤字で記入する
    • 備考欄に、訂正(取消)事由を記入する

    役員報酬が変更になった場合の社会保険月額変更届の書き方

    社会保険の月額変更届は、従業員の給与変更だけでなく、役員報酬の変更があった際も作成と提出が必要です。役員報酬が変わると、社会保険料も変わる可能性があります。

    役員報酬の変更により、標準報酬月額が2等級以上変動したら、随時改定に該当するため、月額変更届を提出しましょう。

    役員報酬が変更したときの月額変更届の記入方法は、以下の通りです。

    1. ​​事業所情報を記入する
    2. 被保険者の情報を記入する
    3. 役員報酬が変わった月から4か月目の日付を記入する
    4. 改定前の標準報酬月額と適用された月を記入する
    5. 昇給か降給かを記入する
    6. 実際に変更後の役員報酬が支給された月と金額を記入する
    7. 備考欄の該当内容を確認する

    上記の手順に沿って、必要事項を記入します。

    月額変更届の書き方を理解して正しい方法で手続きを

    社会保険月額変更届提出の必要性は、それぞれの企業の担当者が正しく判断しなければなりません。年金事務所や健康保険組合から通知が来ることはないため、担当者が主体的に動いて正しい手順で届け出を進める必要があります。

    固定的賃金に変化があった従業員の支払い内容を注視し、変動した月から3か月後の状況を確認したうえで、必要な手続きを進めましょう。

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