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離職票が届かない場合の国民健康保険への切り替え方法や手続きの流れについて徹底解説

退職をしてから次の職に就くまで期間が空く場合は、現職の健康保険から国民健康保険へ切り替えなければなりません。切り替えでは、資格喪失連絡票の提出が必要です。また、離職票でも手続きが可能です。しかし、何らかの事情で離職票が手元に届かず、手続きできないこともあるでしょう。

本記事では、社会保険から国民健康保険に切り替える方法をはじめ、離職票が届かない場合の対応について紹介します。

※本記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

離職票が届かない場合の国民健康保険への切り替え方法や手続きの流れについて徹底解説
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    国民健康保険への加入手続きに必要な書類

    会社を辞めた人が、それまで加入していた健康保険から国民健康保険へ切り替えるには、扶養家族を含めて、加入するすべての人の資格喪失連絡票の提出が必要です。

    ただし、退職した本人のみが加入するのであれば、「退職日がわかる書類」を提出すれば問題ありません。退職日がわかる書類とは、いわゆる離職票や退職証明書のことです。

    離職票とは?

    離職票とは、従業員の退職にあたり、企業が申請してハローワークが発行する公文書です。正式名称は「雇用保険被保険者離職票」といい、退職日が明記されています。

    離職票が必要なのは、退職者が失業保険を受けるとき、または国民健康保険の加入手続きをするときです。企業の担当者は、手続きや書類の漏れ、渡し忘れがないように気をつけましょう。

    離職票の発行から受け取りまでの流れ

    離職票の発行から、退職者が受け取るまでの基本的な流れをおさらいします。

    1.退職者が会社に発行を依頼する

    まずは退職者自身で会社に離職票の発行を依頼します。企業は退職者から依頼されると、離職票の発行に応じる義務があります。しかし、退職後すぐに働くことが決まっていたり、すぐに起業したりする予定があるなら、離職票は実質的に使い道がありません。

    本来であれば、必要に応じて退職者自身で発行を依頼するのが一般的ですが、企業によって取り決めはさまざまです。依頼がなくても発行の準備を進める会社もあります。

    発行すべきか判断に悩んだら、退職者本人に要否を確認するか、ハローワークに相談してみてもいいでしょう。

    2.会社がハローワークに申請書類を提出する

    次に、離職票を発行してもらうための書類を準備します。用意する書類は以下の2点です。

    • 離職証明書
    • 雇用保険被保険者資格喪失届

    記入箇所を埋めて、期限内にハローワークに提出します。

    3.ハローワークが会社に離職票を送付する

    受理された書類をもとに、ハローワークが離職票を交付します。提出した記載内容に間違いがないかを確認され、問題がなければ「離職票-1」と「離職票-2」が企業宛に郵送されます。

    離職票-1には退職者の氏名など基本的な情報が、離職票-2には退職者への賃金支払い状況や離職理由などが記載されています。

    4.会社が退職者に離職票を郵送する

    最後に、ハローワークから届いた2種類の離職票を退職者に送付します。すでに従業員は退職済みで出社していないため、郵送で交付するのが一般的です。退職者の手元に届くまで、退職日から数えると10日から2週間程度かかると考えておくといいでしょう。

    離職票が届かないとき国民健康保険へ切り替えるための書類1:退職証明書

    離職票が何らかの事情で手元に届かない場合は、国民健康保険の切り替え手続きを退職証明書で代替できます。

    退職証明書は、退職者が企業に勤めていたことと、退職したことを確実に証明する書類です。離職票とは違って公文書ではありません。そのため、決められた書式がなく、企業によって記載内容やフォーマットが異なります。

    退職証明書は、ほかにも退職者が転職先で発行を求められたり、ハローワークで失業保険を受け取る際の仮手続きで必要になったりします。

    退職証明書が退職者の手元に届くまでの流れ

    退職証明書の発行から退職者の手元に届くまでの基本的な流れを順を追って紹介します。

    1.退職者が会社に発行を依頼する

    まずは退職者自身で、退職証明書を発行するように会社へ依頼します。退職者からの希望がない場合は、発行はする必要はありません。

    退職者が希望したときのみ、企業は発行する義務があります。労働基準法の定めにより、退職してから2年間は、依頼されたら退職証明書を発行することとされています。

    2.会社が退職者と話し合って記載項目をまとめる

    会社と退職者が話し合って、退職証明書に記載する内容を整理します。公文書でない退職証明書にはフォーマットがないため、自社で作成する必要があります。

    一般的には、以下の9項目を記載します。

    1. 退職者の氏名
    2. 会社や使用者の事業者名
    3. 発行日
    4. 退職年月日
    5. 使用期間
    6. 業務の種類
    7. その事業における地位
    8. 離職以前の賃金
    9. 退職の事由(解雇の場合はその理由も含む)

    「使用期間」「業務の種類」「その事業における地位」「離職以前の賃金」「退職の事由」は、労働基準法に記載するように定められています。

    ほかにも、退職者に記載したい内容があるかどうかを確認するとよいでしょう。

    3.会社が退職者に退職証明書を渡す

    記載内容がまとまったら、会社が退職証明書を作成します。手渡しや郵送など、適切な方法で退職者の手に渡るように手配しましょう。

    離職票が届かないとき国民健康保険へ切り替えるための書類2:健康保険資格喪失証明書

    何らかの事情で離職票が届かないとき、健康保険資格喪失証明書でも国民健康保険へ切り替えられます。

    健康保険資格喪失証明書とは、健康保険に加入していた従業員が退職などにより、加入資格を失った場合に、その事実を証明する書類です。

    健康保険資格喪失証明書に記載される内容は、以下の通りです。

    • 退職者の氏名
    • 保険証記号・番号
    • 保険者名・番号
    • 基礎年金番号
    • 健康保険の加入期間
    • 退職日 など

    全国健康保険協会の加入者は、健康保険資格喪失証明書を日本年金機構のホームページからダウンロードできます。必須項目を記入したうえで、最寄りの年金事務所に提出しましょう。

    健康保険資格喪失証明書が退職者の手元に届くまでの流れ

    健康保険資格喪失証明書が発行されてから、退職者の手元に届くまでの基本的な流れを紹介します。

    1.会社は健康保険資格喪失証明書の書式を用意しておく

    健康保険資格喪失証明書には、決まった書式がありません。そのため、発行を依頼されたらすぐに対応できるよう、事前にフォーマットを用意しておくと手間が省けます。

    書式の用意がない場合は、各市区町村が発行しているフォーマットを活用してもよいでしょう。

    2.退職者が会社に健康保険資格喪失証明書の発行を依頼する

    退職者が健康保険資格喪失証明書を必要とする場合は、会社に発行を依頼します。会社は、退職者からの申し出を受けたら、事前に用意しておいたフォーマットを使って、健康保険資格喪失証明書を作成します。

    3.会社が退職者に健康保険資格喪失証明書を発行する

    健康保険資格喪失証明書を発行したら、退職者に原本を手渡しか郵送で交付しましょう。その際に作成した原本のコピーをとって保管しておくと、後日問い合わせがあったときに安心して対応できます。

    国民健康保険に切り替える際に必要な持ち物【退職者向け】

    退職者が国民健康保険に切り替える際に必要な持ち物をご紹介します。

    退職日が確認できるもの

    社会保険から国民健康保険への切り替えには、退職者が退職した日が証明できる書類が必要です。

    • 離職票
    • 健康保険資格喪失証明書
    • 退職証明書

    離職票を使って退職日を証明するケースが多いものの、健康保険資格喪失証明書や退職証明書でも退職日が証明できるため代用できます。

    本人を確認できるもの

    国民健康保険に切り替える際は、退職日が確認できる書類以外に「本人確認書類」の提出も必要です。

    1点のみでよいもの2点以上必要なもの
    ・マイナンバーカード(個人番号カード)
    ・運転免許証
    ・写真付き住民基本台帳カード
    ・パスポート
    ・在留カード
    ・身体障害者手帳、愛の手帳 など
    ・年金手帳
    ・年金証書
    ・各種保険証
    ・各種医療費助成受給者証
    ・母子手帳
    ・学生証
    ・社員証
    ・キャッシュカード など

    有効期限のある書類は、期限が切れていないことを確認しましょう。

    マイナンバーを確認できるもの

    国民健康保険への切り替え時には、マイナンバーが確認できる書類の提出も必要です。

    • マイナンバーカード
    • 個人番号通知カード
    • マイナンバーの記載がある住民票や住民票記載事項証明書

    住んでいる自治体によってはキャッシュカードや通帳、銀行届出印などを求められることもあります。ホームページで必要な書類を公表している自治体もあるので、手続きの前に確認しておくと手間取ることがありません。

    国民健康保険に切り替える際の提出先【退職者向け】

    国民健康保険への切り替え手続きは、住んでいる市町村の国民健康保険担当課で行います。自治体によって受付時間などが異なるケースがあるため、事前に確認しましょう。

    国民健康保険に切り替える際の提出方法【退職者向け】

    続いて、国民健康保険に切り替える際の具体的な提出方法についてご紹介します。

    市役所の窓口で登録

    基本的に、退職者が管轄内の役所に出向き、会社から発行された健康保険資格喪失証明書などの必要書類を提出して手続きを行います。

    指定された宛先へ郵送

    何らかの事情で窓口に行けない場合は、郵送でも対応している自治体もあるので、必要書類をそろえて各市町村が指定している宛先へ送付しましょう。

    国民健康保険に切り替える際の提出期限【退職者向け】

    国民健康保険へ切り替える際の提出期限は、社会保険の資格喪失日から14日以内です。社会保険の資格喪失日は退職日の翌日なので、仮に6月30日に退職した場合は7月1日が資格喪失日です。つまり、7月1日から14日以内に手続きをする必要があります。

    万が一、提出期限までに申請できなかった場合は、社会保険喪失日までさかのぼった保険料を納めなければなりません。期限内に余裕を持って加入手続きをしましょう。

    まとめ

    離職票は、退職者が失業保険を受けるために必要な公的な書類です。退職後の国民健康保険の切り替え手続きでも使うことがあります。

    何らかの事情で離職票が退職者の手元に届かない場合は、退職日の確認が可能な「退職証明書」や「健康保険資格喪失証明書」で代替できます。

    企業は退職予定者と適切にコミュニケーションを取り、必要な書類を余裕を持って準備しましょう。

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