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【社会保険】被保険者資格喪失届が必要な場合とは? 記入方法を解説

社会保険とは、病気・けがや失業などのリスクに備える制度です。従業員が社会保険の資格を喪失する際、企業は被保険者資格喪失届を提出する必要があります。

本記事では、社会保険における被保険者資格喪失届について、提出の手順や注意点を解説します。担当者の方はぜひお役立てください。

※本記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

【社会保険】被保険者資格喪失届が必要な場合とは? 記入方法を解説
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    社会保険における資格喪失届とは

    社会保険における資格喪失届とは、退職や死亡などの理由により、従業員が被保険者資格を喪失する際に提出する書類です。一般的には「資格喪失届」と呼ばれていますが、正式名称は「被保険者資格喪失届」といい、企業が作成・手続きを進める必要があります。

    また、その際、以下の点に注意することが大切です。

    • 健康保険証を返却してもらう
    • 健康保険特定疾病療養受給者証や健康保険限度額適用・標準負担額軽減認定証、高齢受給者証の提出が必要な場合もある

    もしも健康保険証を回収できない場合は「健康保険被保険者証回収不能届」を提出します。

    参考:『健康保険被保険者証回収不能届』日本年金機構

    雇用保険被保険者資格喪失届との違いを解説

    社会保険の被保険者資格喪失届が健康保険と厚生年金の被保険者資格を喪失したことを届け出る書類なのに対し「雇用保険被保険者資格喪失届」は雇用保険の被保険者資格を喪失したことを届け出るものです。

    届け出が必要なタイミングや提出先・提出期限もそれぞれ異なるため、両者の違いを把握しておきましょう。

    社会保険(健康保険・厚生年金)雇用保険
    提出が必要なとき・被保険者が退職したとき
    ・被保険者が死亡したとき
    ・60歳以上の従業員を退職後も継続して再雇用したとき
    ・被保険者が障害認定を受け、後期高齢者医療の資格を取得したとき
    ・被保険者が75歳に到達したとき など
    ・被保険者が退職したとき
    ・被保険者が死亡したとき
    ・被保険者が取締役に就任したとき
    ・被保険者とならない雇用形態に変更になったとき
    ・被保険者が出向したとき など
    提出期限事実発生から5日以内被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内
    提出先日本年金機構の事務センターまたは管轄の年金事務所管轄のハローワーク

    参考:『従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き』日本年金機構
    参考:『被保険者資格喪失届』厚生労働省
    参考:『雇用保険被保険者資格喪失届記載例』北海道ハローワーク
    参考:『雇用保険被保険者資格取得・喪失 必要書類一覧』厚生労働省
    参考:『事業主の行う雇用保険の手続き』厚生労働省

    社会保険の資格喪失届を提出する手順

    社会保険の資格喪失届は、おおむね次のような流れで提出します。

    1.被保険者資格喪失届をダウンロードする

    まずは、日本年金機構のホームページから「被保険者資格喪失届」のフォーマットをダウンロードしましょう。PDFのほか、Excelでのダウンロードにも対応しています。

    参考:『従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き』日本年金機構

    2.必要事項を記入する

    フォーマットをダウンロードしたら、必要事項を記入します。事業主や被保険者の情報を漏れなく記入していきましょう。その際、事業所整理番号や被保険者番号なども必要なので注意が必要です。

    3.必要書類を用意する

    被保険者資格喪失届を提出する際は、必要に応じて以下の書類も用意します。

    • 健康保険特定疾病療養受給者証
    • 健康保険限度額適用・標準負担額軽減認定証
    • 高齢受給者証

    その際、従業員から健康保険証を忘れずに回収しましょう。回収できなかった場合は「健康保険被保険者証回収不能届」の提出が必要です。

    参考:『健康保険被保険者証回収不能届』日本年金機構

    健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の記入例

    社会保険 被保険者資格喪失届

    参照:『健康保険・厚生年金保険資格喪失届(厚生年金保険70歳以上被用者不該当届)』日本年金機構

    社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者資格喪失届には、以下の項目を記入しましょう。

    1事業所整理番号・事業所番号新規に適用事業所となった際や名称・所在地を変更した際に付与された番号を記入します。
    2被保険者番号従業員が健康保険・厚生年金保険の資格を取得した際に付与された番号を記入します。
    3被保険者の情報住民票に登録されている氏名・生年月日・個人番号・基礎年金番号など、被保険者の情報を記入します。
    4資格喪失年月日被保険者の資格を喪失した年月日を記入します。資格喪失の日付は資格喪失理由によって異なるため注意が必要です。
    5資格喪失の原因資格喪失の理由に該当する番号に〇をつけます。
    ・退職など:4
    ・死亡:5
    ・75歳到達:7
    ・障害認定:9
    ・社会保障協定:11
    6保険証の枚数返却する保険証と、回収できなかった保険証の枚数をそれぞれ記入します。
    770歳不該当70歳以上の被保険者で、資格喪失理由が退職または死亡の場合にチェックします。

    参考:『被保険者資格喪失届』

    資格喪失日が異なるケースがあることに注意

    資格喪失届に記入する資格喪失年月日は、資格を喪失する理由によって異なる場合があるので注意してください。

    退職・死亡は「翌日」

    従業員が会社を退職したり、死亡したりした場合の資格喪失年月日は、事実発生の翌日です。なお、転勤や雇用契約の変更で資格を喪失する場合は、当日を資格喪失年月日とします。

    障害は「障害認定日当日」

    従業員が所定の障害を負った場合、資格喪失日は障害認定日当日です。65〜74歳の被保険者が障害認定を受けた場合は、後期高齢者医療制度に移行するため、これまでの健康保険の資格を喪失する手続きを行う必要があります。

    70歳に到達する場合は「生年月日の前日」

    従業員が70歳の誕生日を迎える場合は、生年月日の前日を資格喪失日とします。従業員が70歳に到達する場合の手続きとしては「70歳到達届」がありますが、以下の条件を両方満たす場合、提出は不要です。

    • 70歳到達以降も同じ事業主に雇用される
    • 70歳到達日時点の標準報酬月額相当額が到達日前日と同額

    75歳に到達する場合は「生年月日の当日」

    従業員の年齢が75歳に到達する場合は、生年月日の当日を資格喪失日とします。75歳になると後期高齢者医療制度の被保険者になるため、これまでの健康保険制度からの移行が必要です。

    社会保険の資格喪失届の提出先・提出期限とは

    次に、社会保険の資格喪失届の提出先や提出期限を詳しくまとめます。

    提出先

    社会保険の資格喪失届の提出先は、提出方法によって異なります。

    持参の場合年金事務所
    郵送の場合日本年金機構の事務センター

    提出期限

    社会保険の資格喪失届の提出期限は、事実発生の日から5日以内です。保険料の計算に影響が出ることもあるので、早めに対応するよう心掛けましょう。

    資格喪失届を提出したあとの社会保険料控除について

    社会保険料の控除は「前月分の社会保険料を今月の給与から控除する」というルールに基づいて行われます。また、社会保険料は月単位で徴収されるため、従業員が月の途中で退職した場合、退職月分の社会保険料を控除する必要はありません。

    ただし、従業員が月末に退職する場合は注意しましょう。たとえば、従業員が9月30日に退職する場合、社会保険の被保険者資格を喪失するのは翌日の10月1日です。

    つまり、このケースでは9月分の社会保険料を控除する必要があり、最後の給与から8月+9月の2か月分の社会保険料をまとめて控除しなけばなりません。

    参考:『退職した従業員の保険料の徴収』日本年金機構

    資格喪失届の控えは保管しておく

    社会保険の資格喪失届を提出したら、社内に控えを保管しておきましょう。労働基準監督署からの調査が入ったときに、提出を求められる場合があります。

    また、社会保険事務所からの問い合わせに応じて、内容を確認する必要が生じることもあるでしょう。のちのちのトラブルを回避するため、退職日や退職事由を明記しておくことが大切です。

    退職で資格を喪失した従業員が利用できる保険給付

    被保険者資格を喪失した場合でも、一定条件を満たすことで社会保険の各種給付金を受給できる場合があります。従業員が退職する際は、以下のような保険給付について案内すると親切です。

    出産手当金

    出産手当金とは、産前産後休暇を取得した際に支給される手当です。以下の条件を満たす場合は、資格喪失後も産前産後あわせて原則98日間の範囲内で支給を受けられます。

    • 資格喪失日の前日まで1年以上継続して被保険者であった
    • 資格喪失日の前日に出産手当金を支給されていた、または支給される状態であった
      (出産手当金の支給条件を満たしていた)

    参考:『出産で会社を休んだとき』全国健康保険協会

    出産育児一時金

    出産育児一時金とは、子どもを出産する際に支給される一時金です。以下の条件を満たす場合は、1児につき48.8~50万円が支給されます。

    ※2023年4月1日以降に出産する場合

    • 妊娠4か月(85日)以上の出産であること
    • 喪失日の前日まで1年以上継続して被保険者であった
    • 資格喪失日から6か月以内の出産であること

    参考:『出産育児一時金について』全国健康保険協会

    傷病手当金

    傷病手当金とは、業務外の事由による傷病により休業する際に支給される手当です。以下の条件を満たす場合は、資格喪失後も支給開始から1年6か月を限度に傷病手当金を受け取れます。

    • 喪失日の前日まで1年以上継続して被保険者であった
    • 資格喪失日の前日に傷病手当を支給されていた、または支給される状態であった
      (傷病手当金の支給条件を満たしていた)

    参考:『病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)』全国健康保険協会

    埋葬料

    健康保険の被保険者が死亡した場合、遺族に埋葬料として5万円が支給されます。以下のいずれかの条件に当てはまる場合は、資格喪失後も埋葬料を受給することが可能です。

    1. 資格喪失後3か月以内に死亡した場合
    2. 資格喪失後、傷病手当金または出産手当金の継続給付を受けている間に死亡した場合
    3. 2の継続給付を受けなくなってから3か月以内に死亡した場合

    参考:『ご本人・ご家族が亡くなったとき』全国健康保険協会

    社会保険の資格喪失届が必要なケースを把握し、速やかに対応しましょう

    社会保険の資格喪失届は、従業員が社会保険の被保険者としての資格を喪失する際に提出する書類です。社会保険の被保険者資格を喪失する理由は、退職や死亡だけでなく、障害認定を受けた場合や従業員が75歳に到達した場合など多岐にわたります。

    資格を喪失するケースや必要な手続きを把握しておき、届け出が必要な場合は速やかに対応できるよう準備しましょう。

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