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就業規則の意見書の書き方| 必須記載事項と記入例を徹底解説

就業規則の意見書の書き方| 必須記載事項と記入例を徹底解説

「就業規則の意見書」とは、就業規則を作成する際に、代表者や労働組合の意見をまとめた書類です。労働基準監督署長への提出が法律で定められています。

一方で、意見書の記入方法や作成方法がわからない方も多いのではないでしょうか。誤った方法で作成すると罰則を受ける可能性があります。

そこで本記事では、意見書の作り方について網羅的に解説します。実際に記入例も記載しながらお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。

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    就業規則の意見書とは

    就業規則の意見書とは、就業規則を作成・変更する際に必要となる代表者や労働組合からの意見をまとめた書類です。

    就業規則を新しくつくったり内容を変更したりする際に、労働基準監督署長へ提出しなければなりません。意見書の提出は法律で義務付けられており、欠かせない書類です。内容は賛成・反対どちらの意見が書かれていても問題ありません。

    あくまでも、社員と話し合った証明なので、就業規則が必要な場合に作成します。就業規則は、常時10人以上の社員を使用している事業所で作成します。

    もし常時10人以上の社員を雇用する予定がある場合、代表者を選んで彼らの意見を聞くことが必要です。就業規則作成に備えて早めの準備をしましょう。

    意見書の作成が義務づけられている理由

    意見書の提出は労働基準法第90条で義務付けられています。社員の意見を書面化することで、会社側に有利なルールになっていないかなど労使トラブルの回避が目的にあります。そのほかにも、社員が就業規則の内容の把握や、重要な意見や提案を聞く機会ができるため効果的です。

    参照:『労働基準法 第90条』e-Gov法令検索

    誰が就業規則の意見書を作成するのか

    意見書は労働組合の長か、社員の代表が作成します。ただし、作成は過半数労組や過半数の社員を代表する者でなければなりません。

    また、変形労働時間制など一部の社員に適用する就業規則に対する意見書であっても、代表者に記入してもらいましょう。

    就業規則の意見書に記載が必須な内容

    就業規則の意見書に記載必須の内容は以下の5つです。

    1. 意見書を作成した日付
    2. 社名と代表取締役の氏名
    3. 社員代表の意見
    4. 社員の代表者・労働組合名
    5. 代表者の選出方法

    いつ誰とどのような話をしたのか、代表者の選出方法などを明記しなければなりません。

    意見書は下記のようなフォーマットが一般的です。

    就業規則の意見書のサンプル
    就業規則の意見書のサンプル

    任意のフォーマットでも構いませんが、厚生労働省のホームページからもダウンロード可能です。

    参照:『様式集』厚生労働省東京労働局

    意見書を作成した日付

    意見書を作成した日付(話し合いをした日)を記入します。意見書を提出した日や、就業規則の届出日を記入する方もいますが、意見書を作成した日付を書いてください。万が一誤った日付を記入したら、新しく書き直しましょう。

    社名と代表取締役の氏名

    社名と代表取締役の氏名を記入します。記入方法は「〇〇〇〇〇株式会社 代表取締役〇〇〇〇殿」のような形で構いません。社名・氏名ともに間違えないよう事前に何度も確認してから記入しましょう。

    社員代表の意見

    例は下記の表にまとめました。

    記入例
    異議がない場合就業規則について異議はありません。
    異議がある場合就業規則案第◯条◯項に「〜」とありますが、民法第◯条により「〜〜」とされていることから適切ではないと考えます。
    修正をご検討いただきたいと考えています。

    異議がある場合は、どの項目で何を修正するのか具体的に記入しましょう。

    社員代表の氏名

    社員や労働組合の代表者の氏名をフルネームで記入します。いずれも社員の過半数からの支持が必須です。以下の項目を抑えて記入します。

    • 代表者名を記入する
    • フルネームを記入する

    また、押印は不要です。2021年4月1日から行政手続きにかかわる書類については、原則として押印が廃止されています。

    参考:『労働基準法施行規則等の一部を改正する省令に関するQ&A』厚生労働省

    過半数代表者の選出方法

    代表者の選出方法を記入します。記入方法は「投票による選挙によって選出された」「選挙で選出」のような文章で構いません。ただし、選出方法は民主的な方法によることが必要であり、会社側の一方的な選出などは許されません。

    就業規則の意見書の記載例

    本項では、意見書の記載例を紹介します。記入方法がわからない方や初めて作成する方は、ぜひ参考にしてください。

    異議ありの場合

    就業規則に異議がある場合、理由を細かく記入しましょう。社員側からどのような意見があるのか書くことで、お互いに働きやすい職場を構築できます。記入例は下記のイメージを参考にしてください。

    記入例
    「原則として賛成しますが、下記の規定につきましては、今後ご検討をお願い申し上げます」
    (1)第〇条については、〜〜〜としていただきたいと考えます
    (2)第〇条については、ーーーとしていただきたいと考えます
    (3)第〇条については、———としていただきたいと考えます

    箇条書きの方がどの点に異議があるかわかりやすいため、積極的に使用しましょう。

    異議なしの場合

    異議がない場合は「特になし」「異議はございません」などと記入します。就業規則に異議がないことが分かれば問題ありません。

    社員の代表になれない人とは?

    過半数の社員からの同意があっても代表者になれない人は、以下のいずれかを満たす人です。

    • 管理監督者
    • 会社の意向によって選出された者

    管理監督者は、代表者に選出できない社員の代表例です。管理監督者は労働条件の決定や労務管理について経営者と一体的な立場であると評価できます。そのため、労働基準法第41条2号に該当する管理監督者は、代表者として選出できません。

    仮に社員からの支持があっても、管理監督者は代表者として選出できないので覚えておきましょう。

    意見書作成時4つの注意点

    就業規則の意見書を作成するときは以下の4つに注意しましょう。

    1. 会社が社員代表を指名して意見書を書かせることはできない
    2. 反対意見を書かれても問題ない
    3. 意見書の提出を断られたら「意見書不添付理由書」を用意する
    4. 社員の代表に意見を聞かないで就業規則を作成すると罰則を受ける

    就業規則の決まりを守らないと労働基準法違反になるので、すべて気をつけながら作成しましょう。

    会社が社員代表を指名することはできない

    社員代表を会社側が指名することはできません。社員達の過半数が信任した人物でないと社員の代表として認められません。

    特に中小企業の場合、社長が勝手に指名して、総務課の担当者に承認させるなどの行為を行うことがあります。上記の場合、労働基準法違反です。どのような形であれ、社員の過半数の信任が必要です。

    反対意見を書かれていても問題ない

    意見書に反対意見が書かれていても問題ありません。意見書は、社員と話し合ったことを証明する書類のため、記載されている内容で提出が拒否されることはありません。

    しかし、納得のできる内容で改善の必要があると感じたら、変更も視野に入れてください。社員の立場からすると、意見が通らないとモチベーション低下や離職も考える可能性があります。

    意見書の提出を断られたら「意見書不添付理由書」を用意する

    代表者に意見書の提出を断られたら「意見書不添付理由書」を用意します。「意見書不添付理由書」とは、代表者から意見書を得られない場合に提出します。会社は就業規則についてすでに説明しているので、同意を得られなかったとしても違反にはなりません。

    意見書不添付理由書の作成方法については、労働基準監督署に問い合わせのうえ、作成することをおすすめします。

    社員の代表に意見を聞かないで就業規則を作成すると罰則を受ける

    就業規則は社員の意見を聞いて作成することが法律で義務づけられています。意見を聞かずに作成すると、労働基準法代90条1項違反となり、30万円以下の罰金が科せられます。

    参照:『労働基準法』e-Gov法令検索

    まとめ

    就業規則の意見書は社員の代表か、労働組合の長が記入します。会社と代表者が話し合うことで、両者が納得できる就業規則が作成できるでしょう。その結果、従業員満足度が上がり好循環が生まれます。

    また、反対意見が出ても問題ありません。そのまま書類を提出しても申請可能です。そして、変更が必要であれば内容の修正など適宜行いましょう。

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