ビロンギングとは? 意味やダイバーシティ・インクルージョンとの関係性、注目される理由を簡単に解説

ビロンギングとは、従業員が自分の能力や個性を活かせる場所で、心地よく感じている状態です。ビロンギングの概念を社内で取り入れようと考えている企業も増えてきたのではないでしょうか。組織の中で多様な価値観を持った人が働く中で、心地よい環境を構築していく施策は大切です。
本記事は、ビロンギングの意味をダイバーシティやインクルージョンとの関係性を踏まえて解説します。ビロンギングが注目されている理由や根づかせる方法も紹介するので、経営者や組織開発の担当者はお役立てください。


ビロンギングの意味
ビロンギングとは、従業員一人ひとりが職場を自分の個性を活かせる居場所として心地よく感じられる状態です。ただ単に集団に属しているだけでなく、心理的な安心感や受容感をともなっていなければなりません。
近年は、DE&Iの考え方にビロンギング(Belonging・帰属意識)を加えたDEI&Bの概念が重要視されてきました。
DE&Iとは、多様性を指すDiversityおよび公平性・公正さを指すEquity、包括性を指すInclusivenessの頭文字を取った言葉です。
さまざまな背景を持った人が集まる職場で、一人ひとりが能力を発揮するためには、安心感や組織へ所属している感覚を持つことが大切です。一人ひとりの個性を活かすための考え方として知られるようになったのがビロンギングです。

ビロンギングと関連する用語
帰属意識をあらわすビロンギングにはさまざまな関連用語があります。
- ダイバーシティ
- インクルージョン
- エクイティ
- ユニークネス
- エンゲージメント
それぞれの意味とビロンギングとの関連、違いを解説します。
ダイバーシティ
ダイバーシティとは人種や性別、年齢、宗教、価値観などさまざまな背景を持つ人々が組織や集団で共存している状態のことです。1950〜60年代にかけて、アメリカで行われた公民権運動により注目を集めました。
ダイバーシティは表層と深層の2つから構成されています。

表層的ダイバーシティは目に見えて外部から判断しやすい要素、深層的ダイバーシティは外部から判断しにくい要素です。
表層 | 性別・年齢・人種・民族・容姿 など |
---|---|
深層 | スキル・能力・宗教・価値観 など |
多様な属性を持った人材の確保は、グローバル化が進み、労働力不足が指摘されている企業の人材戦略でもあります。
インクルージョン
インクルージョンとは、互いに尊重し合って平等に参加できる環境をつくることを意味します。直訳すると、「包括」「抱含」「包摂」です。
ダイバーシティを推進するためには、インクルージョンの考え方が欠かせません。すべての人が平等に機会を持ち、声を上げることができる環境を提供することが求められています。
エクイティ
エクイティは、個々の違いや必要に応じた公平な支援や機会のことです。株式や不動産の分野では一般的に「資本」という意味で使用されますが、本記事では「公平」という意味で解説します。
すべての人が同じスタートラインに立つために、状況に応じた配慮と支援を提供することがエクイティです。ダイバーシティやインクルージョンを実現するうえで前提となる考え方といえます。
ビロンギングは、ダイバーシティ・インクルージョン・エクイティの取り組みによって、すべての人が組織への一体感や帰属意識を感じられる環境を実現することです。
ユニークネス
ユニークネスとは、一人ひとりが持つ独自の個性や特徴のことです。ほかの人とは異なる、自分らしさや個性を意味します。
一方、ビロンギングは、自分が所属する集団への帰属意識や一体感をあらわす概念です。組織の中で自分の居場所があり、受け入れられていると感じられる状態といえます。
であり、ビロンギングは集団への帰属意識を重視し、ユニークネスは個人の独自性を大切にする考え方です。
一人ひとりの個性を活かしながら、みんなで協力し合える環境をつくることで、個性の尊重と所属組織への調和を両立できるでしょう。
ビロンギングとユニークネスのバランスを保つことで、個人と組織の発展につながります。
エンゲージメント
エンゲージメントとは、約束や契約を意味します。従業員と企業が双方に、貢献していくことを約束している状態と言い換えられるでしょう。
個々のエンゲージメントが高いと、業務に意欲的に取り組み、離職率の低下にもつながるでしょう。
ビロンギングには集団に対する感情や「自分はここに所属している」という帰属意識が含まれ、エンゲージメントは信頼関係と捉えられます。ビロンギングが高い従業員は、エンゲージメントも高くなる傾向があります。
なぜビロンギングが注目されているのか
ビロンギングが注目されている理由はさまざまです。
- コロナ禍を経たエンゲージメントの低下
- 人材の流動化
- DEIに向けた取り組みの広がり
- 産業構造の変化
コロナ禍を経たエンゲージメントの低下
新型コロナウイルスの感染拡大は、従業員や組織のエンゲージメントの低下と関係しています。
テレワークや在宅勤務により社会的な隔離が進んだ結果、従業員同士の会話が減少して、エンゲージメントの低下が表面化しました。
本来であれば、定期的に直接かかわる機会を設けると、組織へのエンゲージメントは維持・向上します。エンゲージメントが向上すると、ビロンギングも高まるため、注目されています。
人材の流動化
ビロンギングが重視される理由には、人材の流動化も影響しています。
近年は、雇用形態の多様化や転職による人材の流動化で、組織に所属する安心感が減少しています。転職により人の入れ替わりが激しいと、安心して意見を発言できる環境を損ないやすいでしょう。
優秀な人材には長期間働いてほしいと感じている企業は少なくありません。優秀な人材がビロンギングが高い状態で働ける環境整備が必要です。
DEIに向けた取り組みの広がり
DEIとは「ダイバーシティ(Diversity)」「エクイティ(Equity)」「インクルージョン(Inclusion)」の頭文字を取った言葉です。各従業員がそれぞれの個性を最大限に発揮することで、企業の価値や創造力を高める考え方です。
近年、企業はDEIを重視し、その価値を組織文化に組み込む努力をしています。たとえば、女性管理職の登用や障害者雇用です。各従業員が個性を発揮できる環境を提供することで、意欲的に働ける職場の実現を目指しています。
DEIはビロンギング(帰属意識)を促進するための基礎といえます。ビロンギングが高まることで、従業員は組織に対する帰属感を持ち、長期で働く意欲が増すことでしょう。ビロンギングの高い職場では、従業員同士の信頼関係も強化され、組織全体のパフォーマンスが向上します。
産業構造の変化
従来の日本型雇用では、ビロンギングはそれほど希薄ではありませんでした。しかし、終身雇用制度が衰退し、成果主義を導入する企業が増えたことで、ビロンギングが希薄になる傾向が見られています。
終身雇用が一般的だったかつては、企業に対する愛着や一体感が自然と生まれていました。しかし、雇用環境の変化にともない、従業員は企業に対してビロンギングを感じにくくなっています。
そこで従業員の帰属意識の醸成が課題となり、ビロンギングの重要性が改めて認識されるようになっています。
ビロンギングが企業にもたらすメリット
従業員がビロンギングを持つことによって、企業に与えるメリットを紹介します。
- 帰属意識が高まる
- 早期離職を防ぐ
- 企業のブランディングが強化される
- 業務効率化および健康が促進される
帰属意識が高まる
従業員が組織に対してビロンギング(帰属意識)を持つことで、モチベーションや生産性が向上します。本人の中に「会社に貢献したい」「より優れたサービスや商品を提供したい」という意欲が高まるため、企業全体に好循環が生まれるでしょう。
多くのメンバーのビロンギングが高くなると、コミュニケーションが円滑になり、従業員の満足度の向上にもつながるでしょう。結果的に、企業は従業員と長期的な関係性を構築できるというメリットがあります。
早期離職を防ぐ
ビロンギングの意識が高い従業員は、意欲的に仕事に取り組むため、全体の離職率が低下する可能性があります。従業員一人ひとりの安心感と所属感を満たすことで、社内で受け入れられていると感じられるためです。
定着率が高まると、企業は経験やスキルが豊富な従業員を多数確保できるというメリットがあります。
企業のブランディングが強化される
企業がビロンギングを重視する文化を育てると、従業員のエンゲージメントが高まり、ブランド価値の向上にもつながります。ビロンギングが強まることで、従業員は自分が尊重され居場所があると実感できるため満足度が上がり、生産性や定着率の向上が期待できます。
このような魅力的な環境は多様な人材を惹きつけ、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすくなるため、競争力も強化できるでしょう。
業務効率化および健康が促進される
ビロンギングが高まると、業務効率化が促進されます。長時間労働が減り、従業員の健康状態も改善する可能性があります。心身の健康が維持できている従業員は、より創造的で生産的な仕事に集中できるでしょう。
ビロンギングを企業に根づかせる方法
企業にビロンギングを根づかせるにはどのような施策が必要なのでしょうか。欠かせない4つの要素を紹介します。
- 実現したいビジョンの明確化
- 継続的な教育
- インクルージョンに基づいたマネジメントやリーダーシップ
- 環境の整備
実現したいビジョンの明確化
企業が実現したいビジョンや価値観を明確にし、従業員に共有することでビロンギングが高まります。明確な目標やビジョンを全員が理解し、その方向に向かって協力し合うと、仕事に打ち込みやすくなり、企業全体の結束力が強まるでしょう。
継続的な教育
DEIやビロンギングに関する教育やトレーニングを定期的に実施し、従業員の理解と意識を高めます。ビロンギングという言葉を耳にしたことあっても、具体的にどうすれば高められるのかわからない従業員もいます。
研修やトレーニングを通じて、全従業員が多様性とインクルージョンの重要性を理解して、業務に反映させる姿勢が必要です。
インクルージョンに基づいたマネジメントやリーダーシップ
インクルーシブ・リーダーシップとは、多様な個性や背景を持つメンバーを受け入れ、一人ひとりの強みを引き出すリーダーシップスタイルです。
管理職・マネジメント層がこのスタイルを実践すると、組織の多様性が活かされ、イノベーションが生まれやすくなり、業績向上や従業員のエンゲージメント向上につながります。
環境の整備
ビロンギングを高めるには、従業員が働きやすい環境づくりが大切です。具体的には、リモートワークやフレックスタイム制度の導入、コミュニケーションが取りやすいオフィスの整備などが挙げられます。
物理的な環境や勤務スタイルを整えることで、従業員のビロンギングが向上し、職場全体の生産性も高まるでしょう。
まとめ
ビロンギングとは、従業員が自分の職場に対して「ここが自分の居場所だ」と感じ、強い帰属意識や一体感を持つことです。コロナ禍や産業構造の変化、人材の流動化、DEIの取り組みの広がりなどを背景に重要性が増しています。
従業員のビロンギングを高めることで、個々のモチベーションや生産性、企業のブランド価値も向上します。そのためには、明確なビジョンの共有、継続的な教育、インクルージョンに基づいたリーダーシップ、働きやすい環境の整備が必要です。
本記事で紹介したビロンギングを根付かせる方法を参考に、従業員が「自分の居場所」を感じられる環境づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。
