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ボトルネックとは? ビジネスでの意味と解消のためのTOC理論も解説

ボトルネックとは? ビジネスでの意味と解消のためのTOC理論も解説

ボトルネックとは、業務やプロジェクト全体を見渡したときに、停滞や非効率化の原因となっている部分です。特定の従業員がボトルネックになっているケースもあり、チーム全体に悪影響を及ぼしてしまうリスクがあります。

ビジネスでPDCAがうまく回らないのは、ボトルネックを見つけられていないからかもしれません。そこで本記事は、ボトルネックの意味や原因、具体例などを解説します。TOC理論に基づくボトルネックの解消方法にも触れているので、ぜひ参考にしてください。

 

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    ボトルネックとは|ビジネスでの意味を解説

    ボトルネックとは、業務全体のなかで停滞や非効率化を招いている工程や人のことです。

    瓶(ボトル)の首の部分に由来し、「一部が細くなっていることで、全体の流れに詰まりが生じてしまう」といったイメージから生まれた言葉です。また、ボトルネックを略して「ネック」と呼ぶこともあります。

    ボトルネックがあると、全体の作業効率が下がり、企業としての成果にも悪影響が及んでしまいます。たとえば、工場の生産ラインにボトルネックとなる箇所があれば、生産スピードが低下してしまう恐れがあるでしょう。

    あらゆるビジネスにおいて、ボトルネックの解消は必要不可欠です。

    ボトルネックの言い換え

    ボトルネックは、「制約点」や「障害点」などさまざまな言葉に言い換えられます。

    制約点特定のプロセスやシステムのなかで、最も制約となる部分
    障害点なんらかの障害や遅延の原因となる部分
    狭窄部物理的な流れやプロセスのなかで、最も狭い部分や制約となる部分
    遅延の原因特定のプロセスやタスクが遅れる主な理由
    制限要因ある目的やタスクの達成を制限する主な要因

    ボトルネックに関する用語

    ボトルネックの関連用語には、「ボトルネック効果」や「ボトルネック分析」などがあります。

    「ボトルネック効果(Bottleneck Effect)」とは、ある集団の個体数が一時的に大幅に減少したあと、再び増加するときに遺伝的多様性が失われる現象のことです。主に、生物分野の1つである集団遺伝子学で使用されます。

    「ボトルネック分析(Bottleneck Analysis)」の目的は、プロセスやシステムの制約・遅延の原因を特定するための分析です。ビジネスや生産性の文脈で使われることが多い用語で、ボトルネックを解消するための手だての1つです。

    ボトルネックの具体例【ビジネスシーン別】

    ここからは、ビジネスのさまざまなシーンにおけるボトルネックの具体例を紹介します。

    コミュニケーションが不足している場合

    具体例1新製品のマーケティングキャンペーンを開始したいが、多くの部署の承認が必要で、キャンペーンの開始が遅れそうだ。
    例文多くの部署の承認が必要なため、新製品のマーケティングキャンペーンの開始がボトルネックとなっている。
    具体例2開発チームとマーケティングチームの間でのコミュニケーションが不足していると、誤解や情報の伝達遅延が生じる。
    例文開発チームとマーケティングチームの間のコミュニケーション不足がボトルネックとなり、製品のリリース計画に誤解が生じている。
    具体例3最近のセールで商品Yの需要が予想以上に高かったため、在庫が急速に減少し、一時的に販売を停止しなければならない状況だ。
    例文商品Yの在庫不足がボトルネックとなり、一時的に販売を停止する必要が出てきた。
    具体例4関連部署やステークホルダーとのスケジュール調整がつかず、会議が開催できない。
    例文各部署のスケジュール調整がボトルネックとなり、プロジェクトのキックオフミーティングが遅れている。

    必要な情報が不足している場合

    具体例1新製品の詳細や価格情報が不足しているため、顧客への提案が難しい。
    例文新製品の情報不足がボトルネックとなり、顧客への適切な提案ができていない。
    具体例2上層部の承認が必要なため、商談の進行が遅れる。
    例文上層部の承認待ちがボトルネックとなり、商談のクロージングが遅れている。
    具体例3オンライン会議ツールの接続不良や機能制限。
    例文オンライン会議ツールの接続問題がボトルネックとなり、重要な商談が中断された。
    具体例4商談や会議のためのプレゼンテーション資料が未完成。
    例文プレゼンテーション資料の未完成がボトルネックとなり、明日のクライアントとの会議に間に合わせるのが難しい。

    ボトルネックを放置すると何がダメなのか

    ボトルネックを放置すると、以下のようなリスクが高まります。

    生産性が低下する

    業務プロセスや製造工程は、連続性を持った「小さな作業工程」の集まりです。たった1か所でもボトルネックがあると、全体の生産性にまで悪影響を及ぼします。

    たとえば、生産ラインのとあるマシンが故障して処理能力が落ちると、ほかの工程もそのスピードに合わせる必要性が出てきます。高い生産性を維持するためには、ボトルネックを的確に把握することが重要です。

    コストを浪費してしまう

    ボトルネックの放置は、時間や費用の浪費にもつながります。

    故障したマシンの例で考えると、マシンを適切に修理しなければ、製品をつくり上げるのに必要以上の時間がかかってしまいます。また、マシンの燃費が悪くなっていたとしたら、稼働させるための費用もかさんでしまうでしょう。

    このように、ボトルネックを放置していると必要以上のコストを払う事態にもなりかねません。

    精神的余裕がなくなる

    ボトルネックを放置していると、業務がスムーズに進まなくなります。すると、作業が思うようにできず、精神的な余裕がなくなってしまう従業員も出てくるでしょう。

    また、ボトルネックによる遅延をカバーしているうちに、ほかの業務が圧迫されてしまう恐れもあります。遅れを取り戻すために労働時間が増えれば、精神的にも、肉体的にも健康リスクが高まってしまいます。

    従業員が生き生きと健康的に働ける環境を整備する意味でも、ボトルネックの解消は重要です。

    ボトルネックが発生する要因

    ボトルネックが生じる原因はさまざまありますが、主な原因としては「人手不足」「業務の属人化」「アナログ業務の多さ」などが考えられるでしょう。

    業務量に対して人員が不足していると、1人あたりの業務量が多くなり、処理スピードやクオリティの低下を招く場合があります。また、業務が属人化していると、業務の進め方やノウハウが継承されず、担当者が多忙になった途端にボトルネック化してしまいます。

    さらに、アナログ業務が多い職場では、申請書類の作成や印刷、承認など1つの工程に時間がかかってしまうもの。承認者が出張や病欠などで不在の間は申請・稟議が停滞し、あとの工程が詰まってしまうケースも少なくありません。

    ボトルネックの解消に役立つTOC理論

    TOCは、イスラエルの物理学者であるエリヤフ・ゴールドラット氏が提唱した理論で、ボトルネックの解消を目的とした方法のことです。正式には『Theory of Constraints』といい、日本語では『制約条件の理論』と訳されます。

    TOCに沿ったボトルネックの解消ステップ

    TOCの理論に沿ったボトルネックの解消は、以下の5つのステップに分けられます。

    1. ボトルネックを特定する
    2. ボトルネック自体の原因を探る
    3. ほかの工程を最適化してボトルネックを解消できないか考える
    4. ボトルネックを改善する
    5. 新たなボトルネックがないか探る

    それぞれの工程について、詳しく解説しましょう。

    ボトルネックを特定する

    まず、ボトルネックを特定するところからスタートします。たとえば、生産ラインや業務プロセスにボトルネックが生じている場合は、生産ラインのどの部分が最も遅いか、どの工程で最も待ち時間が発生しているかを特定しましょう。

    ボトルネック自体の原因を探る

    ボトルネックが特定できたら、ボトルネックの原因を探り、最適化する方法がないか検討します。「不具合が生じている」「能力を最大限引き出せていない」など、ボトルネックになってしまっている原因を把握し、現状のままフル活用する方法を考案しましょう。

    たとえば、生産ラインや業務プロセスにボトルネックが生じている場合は、制約となっている機械や工程の稼働時間を最大限にするといった方法が考えられます。

    ほかの工程を最適化してボトルネックを解消できないか考える

    次に、ボトルネック以外の工程に目を向けましょう。ほかの工程を最適化することで、ボトルネックをカバーします。ボトルネックの解消が困難な場合に有効な方法です。

    また、ボトルネックにあわせて、全体の稼働率やスピードを調整するという考え方もあります。たとえば、生産ラインや業務プロセスのうち、Aという工程がボトルネックとなっている場合は、前後の工程をAのペースにあわせて調整します。

    ボトルネックを改善する

    ここまでは現状の設備やリソースを活かした方法でしたが、それでもボトルネックが解消されない場合は、ボトルネック自体の改善や強化を検討しましょう。たとえば、制約となっている機械のアップグレードや、追加リソースの投入などが考えられます。

    新たなボトルネックがないか探る

    ボトルネックが解消されたと思っても、また新たな制約が発生する恐れもあります。全体の工程に停滞を生む箇所はないか、業務効率が落ちていないか、常に注視することが大切です。

    新たなボトルネックが発生した場合は、はじめのステップに戻って特定・最適化・改善のプロセスを繰り返しましょう。

    ボトルネックの解消に向けて

    ボトルネックとは、業務全体のプロセスのなかで停滞を招いているポイントのことです。ボトルネックを放置していると、生産性の低下やコストの浪費など、さまざまなリスクを招きます。

    ボトルネックを解消するためには、TOC理論に則って特定・最適化・改善のプロセスを繰り返すことが重要です。たとえば、生産ラインにボトルネックがある場合は、全体のプロセスを見渡し、ボトルネックとなっている機械や工程を発見するところからはじめます。

    また、組織の人材課題についてボトルネックがある場合は、人材データを可視化することが不可欠です。

    人事課題のボトルネックを見つけるタレントマネジメントシステム

    人材データを可視化するなら、タレントマネジメントの導入もご検討ください。

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