裁量とは? ビジネスでの活用法と裁量労働制のメリット・デメリットを徹底解説
「裁量」は、個々の思考や判断に基づいて行動を起こすことで、ビジネスの現場で重要なスキルとされています。また、「裁量労働制」は、労働者が自身の裁量により仕事の進め方や時間配分を決定できる制度です。
裁量の意味や裁量労働制の種類、メリット・デメリット、導入する際の注意点について解説します。
裁量とは?
裁量とは、個々の思考や判断に基づいて行動を起こすことです。裁量は、ビジネスの世界で特に頻繁に用いられます。裁量を持つとは、自分自身でものごとを考え、判断し、行動を起こす能力を持つことを意味します。裁量は、ビジネスの現場で非常に重要なスキルとされています。
ビジネスにおける裁量の活用
裁量を持つ人の特徴
裁量を持つ人の特徴としては、まず自分の立ち位置を理解していることが挙げられます。自分が組織の中でどのような役割を果たしているのか、組織全体の中でどのような位置づけにあるのかを理解しています。また自分は何をすべきか、何をすべきでないかを判断することもできます。
さらに、裁量を持つ人は自身で意思決定をできるのも特徴です。自分の意見や考えを組織に反映させることができるということであり、自身の成長や組織活性化につながるでしょう。
裁量と権限の違い
裁量とは、自分の判断で行動を起こすことができる自由度のことです。一方、権限とは、特定の行動を起こすための権力のことを指します。
つまり、裁量と権限の違いは、権力の有無であるといえます。裁量の自由度は、権限が与えられている範囲によって高まります。権限が広範に与えられていれば、範囲内であれば自由に行動を起こすことができるでしょう。
裁量権を持つための条件
裁量権を持つためには、まず自分の能力を高めることが必要です。自分のスキルや知識を向上させることで、自分の判断で行動を起こすことができる範囲が広がります。
また、実績をつくることも重要です。自分の判断で行動を起こし、その結果よい成果を上げることができれば、評価され、裁量権が広がる可能性があります。
主体的に提案をすることも裁量権を持つための条件といえるでしょう。自分の意見や考えを積極的に表現し、実行に移すことで、裁量権を広げることができます。
裁量労働制とは?
裁量労働制の定義
裁量労働制とは、労働者が自身の裁量により仕事の進め方や時間配分を決定できる制度です。
裁量労働制の種類
裁量労働制には、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2種類があります。
専門業務型裁量労働制は、専門的な知識や技術を必要とする業務に従事する労働者に適用されます。具体的には、医師や弁護士、会計士などの専門職、研究開発職などが該当します。
企画業務型裁量労働制は、企画立案や調査研究などの業務を行う労働者に適用されます。具体的には、経営企画やマーケティング、商品開発などの業務が該当します。
裁量労働制と混同されがちなのが、フレックスタイム制です。フレックスタイム制は、労働者に時間管理の柔軟性を与える勤務形態です。フレックスタイム制では、一定期間における総労働時間が設定され、その枠内で従業員が日々の勤務時間を決定できます。特定の業務や職種に限定されることなく、幅広く適用可能です。
フレックスタイム制の特徴として、企業は「コアタイム」と呼ばれる全従業員が必ず出勤すべき時間帯を設定することができます。これにより、チーム内のコミュニケーションや業務の連携を確保することが可能です。また、フレックスタイム制では、定められた総労働時間を超過した場合、その超過分に対して残業手当が支給されます。
裁量労働制のメリット・デメリット
裁量労働制のメリット
裁量労働制の最大のメリットは、労働者が自分の働き方を自由に決められることです。自分のライフスタイルに合わせて働く時間を調整でき、仕事とプライベートの両立がしやすくなります。また、自分のペースで仕事を進められるため、効率的に働けるでしょう。
さらに、自身で判断できることが増えるため、やりがいを感じる機会が増えます。自分の裁量で仕事を進めることで、自己成長の機会も増え、キャリアアップにつながる可能性もあります。
裁量労働制のデメリット
まず、自分の裁量で仕事を進めるため、責任が大きくなります。その結果、ストレスも大きくなる可能性があります。また、自分の裁量で働く時間を決めることができるため、長時間労働を強いられることもあるかもしれません。
さらに、裁量労働制では、労働者の裁量権と待遇が見合わない場合があります。たとえば、自分の裁量で働く時間を増やしたとしても、見合った報酬が得られないかもしれません。
裁量労働制を導入する際の注意点
裁量労働制を導入する際には、いくつかの注意点があります。まず、裁量労働制では定められた労働時間内で自分の裁量で働くことができますが、休日出勤や深夜労働に対する割増賃金は適用されます。深夜10時以降から翌日朝5時までの時間帯や法定休日に仕事をした場合は、深夜で25%以上、休日は35%以上の割増賃金を支払う必要があるのです。また、1日の法定労働時間は8時間であるため、8時間以上のみなし労働時間を採用している場合、時間外手当を支払う必要があります。そのため、労働者が長時間労働を強いられる可能性があることを考慮する必要があります。
また、裁量労働制を導入する際には、労働基準監督署への届け出や労働者の同意を得る必要があります。これらの手続きを怠ると、法的な問題が発生するおそれがあるため注意しましょう。
まとめ
裁量とは、個々の思考や判断に基づいて行動を起こすことです。ビジネスの現場では、裁量を持つことが重要なスキルの一つとされることが多いでしょう。
また裁量労働制とは、労働者が自身の裁量により仕事の進め方や時間配分を決定できる制度です。裁量を持つ人の特徴をもとに、自身の裁量権を広げるための参考にしてみてください。