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執行役員制度とは? 導入のメリット・デメリットや成功のための留意点

執行役員制度は、企業経営における監督と執行の分離を目的とした制度で、企業の組織整備やコーポレートガバナンスの強化に役立ちます。

執行役員は各事業部門のトップとして、担当する業務の運営責任を負います。この制度は、米国型企業統治モデルに倣った制度で、企業の経営効率を向上させるための一つの手段として注目されています。

執行役員制度とは? 導入のメリット・デメリットや成功のための留意点
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    執行役員制度とは何か?

    執行役員の定義と役割

    執行役員とは、各事業部門のトップとして、担当する業務の運営責任を負うポストです。会社法の役員とは異なり、会社法で定められた役員の一つである取締役への就任は株主総会の承認を必要としません。

    執行役員は取締役や取締役会が定めた確定事項を受けて、現場メンバーに業務の指示を出す役割を担っています。そのため、執行役員は経営戦略の具体的な実行者としての役割を果たし、企業の業績向上に直接貢献します。

    執行役員の役割は、取締役から与えられた業務を遂行することであり、その業務範囲は取締役会で決定されます。そのため、執行役員は取締役会の方針に従い、具体的な業務を遂行することが求められます。

    また、執行役員は取締役会からの指示に従い、自身が担当する業務についての報告を行う責任もあります。

    執行役員制度の目的と背景

    執行役員制度の目的は、企業経営において、取締役・取締役会は会社の重要な方針決定と監督を担当し、執行役員は業務執行に関することを担当するという「監督と執行の分離」にあります。

    この制度により、取締役は経営全体を見渡す視点を持つことができ、よりよい経営判断を下すことが可能となります。一方、執行役員は具体的な業務遂行に専念することができ、企業の業績向上に寄与することが期待されます。

    執行役員制度は、米国型企業統治モデルにならった制度であり、近年のコーポレートガバナンスの強化の流れを受けて広まりました。この制度は、企業の経営効率を向上させるための一つの手段として注目されています。

    しかし、執行役員制度を導入する際には、その企業の組織体制や業務内容、経営環境などを考慮に入れ、適切な運用方法を見つけることが重要です。

    執行役員制度のメリット

    意思決定の迅速化

    執行役員制度の最大のメリットの一つは、意思決定の迅速化です。企業経営においては、迅速な意思決定が求められる場面が多々あります。市場環境の変化や競合他社の動向、新たなビジネスチャンスの発見など、これらの状況に対応するためには、素早く適切な決定を下すことが必要となります。

    執行役員が経営の実務を担当することで、意思決定のプロセスがスムーズになります。具体的には、取締役会での議決を待つことなく、執行役員が自らの判断で決定を下すことが可能となります。これにより、経営陣の負担が軽減され、経営の効率化がはかれます。

    経営陣の負担軽減

    経営陣は、企業の方向性を決定し、全体の経営を監督する役割を担っています。しかし、日々の業務遂行や具体的な業務計画の立案など、細部にわたる業務を経営陣が行うと、その本来の役割が十分に果たせなくなる可能性があります。

    執行役員が経営の実務を担当することで、取締役会の負担が軽減されます。これにより、取締役は経営に専念できるようになります。経営陣が経営全体を見渡し、長期的な視点で企業の成長を考える時間が増えることで、企業の競争力を高めることが可能となります。

    世代の後継者育成

    最後に、執行役員制度を導入することで、次世代の経営者を育成することが容易になります。執行役員は、経営の実務を担当することで、経営に関する知識や経験を積むことができます。これにより、将来的に経営陣に昇格する可能性のある人材が育成されます。

    また、執行役員制度は、優秀な人材のモチベーション向上にもつながります。経営陣への昇格が見込まれることで、役員の意欲や責任感が高まり、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。これらの要素が組み合わさることで、企業の持続的な成長と発展を支えることが可能です。

    執行役員制度のデメリットと問題点

    執行役員の地位の不安定性

    執行役員は、会社法に基づく役員とは異なり、雇用契約に基づいて役職を提供される「使用人」の立場にあります。そのため、法的な保護が十分に行き届かないという問題があります。

    具体的には、執行役員は役員会の決議によりいつでも解任される可能性があります。また、解任された場合の補償や退職金などの待遇も、役員会の裁量に委ねられています。これらの事情から、執行役員の地位は不安定であると言えます。

    役職の混乱と理解の難しさ

    執行役員制度を導入すると、役職の混乱や理解の難しさが生じる可能性があります。これは、執行役員の役割や立場が明確になるように注意が必要です。

    具体的には、執行役員と従来の役員との間で役割分担が明確でない場合、業務遂行に混乱をきたす可能性があります。また、執行役員制度の導入により役職名が増えることで、社内外からの理解を得るのが難しくなることもあります。

    執行役員制度の廃止動向

    執行役員制度を廃止する動きも増えています。これは、上記のような問題点を解消するため、または経営の透明性を高めるためとされています。

    具体的には、リクシルやロート製薬、クスリのアオキなどが執行役員制度を廃止し、代わりに取締役会を設置するなどの改革を行っています。これらの企業は、執行役員制度の問題点を解消し、経営の透明性を高めることで、企業価値の向上をはかっています。

    執行役員制度の導入方法と留意点

    導入手続きと社内規程の定め

    執行役員制度を導入するには、まず取締役会によって社内規程を定める必要があります。この社内規程は、執行役員制度の導入の目的や執行役員の選任・解任の手続き、役員の権限や責任などを明確に定めるものです。

    社内規程の定め方については、まず執行役員制度の導入目的を明確にします。たとえば、経営の迅速化や意思決定の効率化、業務執行の責任明確化などが目的となることが多いです。次に、執行役員の選任・解任の手続きを定めます。取締役会の決議により行われることが一般的です。

    また、執行役員の権限や責任についても詳細に定めることが求められます。これにより、執行役員がどのような業務を担当し、どの程度の権限を持つのか、責任はどこまで及ぶのかが明確になります。

    執行役員の権限と取締役会の機能の線引き

    執行役員制度を導入する際には、執行役員の権限と取締役会の機能の線引きを明確にすることが重要です。これは、経営の効率化をはかるためや業務執行の責任を明確にするために必要なステップです。

    具体的には、取締役会規程を見直し、取締役会がどのような役割を果たし、執行役員がどのような業務を担当するのかを明確に定めます。たとえば、取締役会は経営方針の決定や監督、執行役員の選任・解任などを行い、執行役員は具体的な業務執行を行う、といった線引きが考えられます。

    線引きを明確にすることで、取締役会と執行役員の役割分担が明確になり、経営の迅速化や意思決定の効率化を実現することが可能です。また、執行役員の責任も明確になるため、業務執行の透明性も向上します。

    しかし、線引きは企業の規模や業種、経営環境などにより異なるため、自社に合った線引きを行うことが重要です。また、執行役員制度の導入にあたっては、社員の理解と協力が不可欠であるため、十分な説明とコミュニケーションを行うことも忘れてはなりません。

    執行役員制度とコーポレートガバナンス

    執行役員制度の導入とコーポレートガバナンスの強化

    執行役員制度の導入は、会社のコーポレートガバナンスの強化に寄与します。コーポレートガバナンスとは、企業の経営を適切に行うための枠組みやルールのことを指し、中心的な要素として経営の透明性や公正性、責任の明確化が挙げられます。

    執行役員制度の導入により、取締役と執行役員の役割分担が明確化され、経営の透明性が向上します。また、執行役員が業務運営に専念することで、経営の効率化とスピードアップがはかられ、企業価値の向上につながります。

    さらに、執行役員制度の導入は、従業員のモチベーションアップにも寄与します。執行役員という役職を設けることで、従業員のキャリアパスが広がり、自身の成長とともに企業の経営に直接関与する機会が増えるためです。

    執行役員制度の導入には、適任者の選定や手続きが必要です。適任者の選定には、業務運営能力やリーダーシップ、経営理念への理解などが求められます。また、手続きには、取締役会の決議や役員の任命などが必要となります。

    まとめ

    「執行役員制度」は、企業経営において経営の効率化や意思決定の迅速化をはかるために導入される制度であり、具体的な業務運営を担当する役職です。この制度の導入により、経営陣の意思決定がスムーズになり、経営の効率化とスピードアップがはかれます。

    執行役員制度の導入には、適任者の選定や手続きが必要で、業務運営能力やリーダーシップ、経営理念への理解などが求められます。

    導入のメリットとしては、意思決定の迅速化や経営陣の負担軽減、次世代の後継者育成などがありますが、地位の不安定性や役職の混乱、執行役員制度の廃止動向などのデメリットや問題点も存在します。

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