SOHO(ソーホー)とは? 意味と働くメリット・デメリット、賃貸オフィスとの違いをわかりやすく解説
働き方の多様化が進んでいるなか、SOHOという働き方が注目されています。SOHOは、一般的な会社員よりも自由度が高く、自分のペースで働きたい人におすすめの働き方です。
本記事では、SOHOの概要をはじめ、SOHOとして働くメリットやデメリットを解説します。フリーランスや一般的なオフィス物件との違いも紹介するので、SOHOとして働こうと悩んでいる方はお役立てください。
SOHO(ソーホー)とは
SOHOとは「Small Office Home Office」の略語。小さなオフィスや自宅のスペースで、受託した委託業務を行う働き方、もしくはその仕事場や物件を指す言葉です。
SOHOという言葉には、ビジネス用語や不動産用語など、複数の意味や定義が存在します。
ビジネスにおけるSOHO(ソーホー)の意味・定義
SOHOの正式な定義は存在しておらず、官公庁や各種団体によってその定義づけは異なります。ここでは、ビジネスにおけるSOHOの意味や定義について詳しく見ていきましょう。
テレワークや在宅勤務との違い
テレワークとは、企業との雇用関係を維持しながら在宅勤務をする働き方です。会社員が自宅やコワーキングスペースなど、仕事を社外ですることを意味します。
在宅勤務とは、自宅で働くスタイルを意味する言葉です。会社員はもちろん、内職や副業といった意味合いで使われることも多くあります。
一方で、SOHOは個人事業主を指すため、雇用関係の有無がテレワークや在宅勤務との大きな違いといえます。
フリーランスとの違い
フリーランスとSOHOは、個人事業主である点は共通していますが、働く場所が異なります。
フリーランスの場合、働く場所を特定しない働き方であるケースがほとんどです。クライアント先に常駐して働くケースも珍しくありません。
一方で、SOHOは小規模なオフィスを構えて仕事をします。基本的に同じ場所で業務にあたる点が、フリーランスとの大きな違いといえるでしょう。
ベンチャー企業やスタートアップ企業との違い
SOHOが個人での働き方を意味するのに対し、ベンチャー企業やスタートアップ企業は、企業です。つまり、法人化しているかどうかがSOHOとの大きな違いといえます。
SOHOから事業をはじめて法人化させるケースも多く見られますが、必ずしも法人化を前提としたものではありません。
不動産におけるSOHO(ソーホー)の意味・定義
不動産業界において、事務所として使用できる賃貸物件を「SOHO物件」と呼びます。ここでは、一般的な賃貸事務所やオフィス物件との違いを詳しく解説します。
事務所物件、賃貸オフィスとの違い
一般的な賃貸事務所や賃貸オフィスとの違いは、法人登記できるかどうかという点です。
事務所では認められる法人登記をはじめ、表札や看板を出すなどの行為は、住居契約であるSOHO物件では認められないケースが多くあります。
一方で、住宅兼事務所として貸し出されるSOHO物件は、非課税対象であるのが大きなメリットです。
参照:『No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など』国税庁
SOHO(ソーホー)に向いている業界・職種
SOHOに向いている業界や職種は、次の通りです。
Webデザイナー
ソフトが整備されたパソコンや通信環境があればどこでも作業できるWebデザイナーは、SOHOに向いている職業です。自分に合った環境を整備することで、よりクリエイティブな作品を生み出せるでしょう。
エンジニア・プログラマー
エンジニアやプログラマーも、パソコンやインターネット環境が整っていればいつでもどこでも仕事ができるため、SOHOに向いています。
ただし、社外秘の資料や個人情報を含む重要なデータにアクセスする際に制限がかかる場合は、対策を講じなければなりません。
ライター・編集者
記事の執筆や編集を行うライターや編集者も、時間や場所を問わず働ける仕事なので、SOHOに向いています。近年、チャットやビデオ通話などを使って気軽に打ち合わせができるようになったことで、SOHO向きになった職業といえるでしょう。
不向きな業界・職種
住居兼事務所としてSOHO物件を借りる場合、不特定多数の人が部屋を出入りしてしまうと、近隣住民の迷惑となるでしょう。
そのため、飲食業や医療関連の職種はSOHOに不向きな仕事です。SOHOという働き方は基本、パソコンを介してやりとりをする仕事が向いていると覚えておきましょう。
SOHO(ソーホー)で働くメリット
SOHOとして働くことで得られるメリットには、次の3つがあります。
ワークライフバランスを維持しやすい
SOHOとして働けば、仕事内容や仕事量を調整できます。プライベートが忙しい時期は、仕事の受注量を減らすことで、ワークライフバランスを維持しやすくなるでしょう。
出産や育児、介護などライフステージの変化で企業勤めを諦めなければならない方も、SOHOとして新しい働き方を見出せるかもしれません。
時間の制約がない
顧客との契約内容によって異なるケースはあるものの、SOHOの働き方は、基本的に自分の裁量で労働時間を調整できます。住居兼事務所としてSOHO物件を借りる場合は、通勤時間がかからないため、オフィスに通勤する働き方に比べて時間を有効活用できるでしょう。
仕事環境を自由に選べる
SOHOとして働くメリットの一つに、インターネット環境さえ整備されていれば、時間や場所に縛られず作業できる点が挙げられます。そのときの状況や気分にあわせて、オフィス以外の場所でも作業環境を自由に設定可能です。
SOHO(ソーホー)で働くデメリット
SOHOとして働くデメリットには、次の3つが挙げられます。
収入が不安定になりやすい
SOHOとしての働き方には、企業勤めのように毎月安定した収入を得られる保証がありません。また、社会情勢や景気の影響も受けやすいことを理解しておきましょう。
取引先によって支払いの時期が異なるため、ある程度収入が安定するまでは長期的な視野で事業を進める必要があります。
プライベートと仕事の境があいまいになりやすい
住居兼事務所で生活していると、プライベートと仕事の境界線があいまいになりがちです。業務をこなすためには、スケジュール管理や自己管理をしながら作業環境を整える必要があります。
仕事内容が限られる
SOHOには、向いている職種もあれば不向きな職種もあります。すべての職種において適用できる働き方ではないことも、デメリットの一つです。
対面での接客が必要な業務や販売業、飲食業などの店舗型サービスは、SOHOに不向きです。また、法人化を検討している場合は、SOHO以外のオフィス形態の物件を探す必要があります。
SOHO(ソーホー)で働くには? 方法やステップ
SOHOとして働くために資格を取得したり、特別な許可を得たりする必要はないものの、準備はしなければなりません。ここからは、SOHOとして働く際に必要な準備の手順を紹介します。
1.仕事の内容を決める
SOHOとして働く際、どのような仕事をするかを決めましょう。これまで培ってきたスキルや経験をもとに決めるのがおすすめです。業務内容によって、必要な機材やソフトウェア、借りるべき物件が異なるためです。
仕事を受注してから慌てないように、必要な備品やデバイスを準備しておきましょう。
2.個人事業の開業届を提出する
仕事内容が決まったら、税務署へ個人事業の開業届を提出し、開業した旨を申告しましょう。届出をしなくてもフリーランスとしてビジネスは始められますが、開業届を出すことで屋号付きの銀行口座を開設できます。
開業届と同時に青色申告承認申請書の提出をすれば、確定申告時に青色申告の対象となるため、積極的に申請しましょう。
3.クライアント向け窓口を設置する
SOHOとして働くためには、取引先にみずから営業をかけて仕事を取らなければなりません。クライアント向けの窓口として、WebサイトやSNSなどのコンテンツの作成、クラウドサービスサイトへの登録が必要です。
ポートフォリオや自己PRを掲載して、クライアントにアピールしていきましょう。
SOHO(ソーホー)として働くうえで留意すること
SOHOとして働くうえで注意すべきポイントは、次の3つです。
仕事とプライベートの区別をつける
SOHOとしての働き方は、働く時間や場所に対する自由度が高いため、セルフマネジメントが非常に求められます。自由に働けるからといってルーズな働き方になってしまうと、結果的に納期が遅延したり、納品物の質が落ちたりするケースも少なくありません。
企業に勤めるのと同じように1日のスケジュールをある程度決めておき、メリハリのある働き方を意識しましょう。
責任感を持って働く
クライアントから仕事を受けたら、納期を守ることはもちろん、納品物の成果にもこだわる必要があります。修正や訂正などの依頼があった際も、クライアントからの指摘を真摯に受け止めて対応しましょう。
休日を設定する
SOHOは、いつでもどこでも好きなタイミングで仕事に取り組めるのがメリットです。しかし、休みを取らずに働き続けたり、毎日十数時間働き続けたりすると、過重労働で心身ともに疲弊してしまいます。
事前に休日を設定して、時間にも気持ちにも余裕を持った行動を心がけましょう。
SOHO(ソーホー)物件のメリット・デメリット
SOHO向けの物件と一般的な賃貸オフィス物件の違いを理解するために、SOHO向けの賃貸物件を借りるメリットとデメリットを解説します。
メリット
SOHO向けの賃貸物件を借りるメリットは、次の通りです。
- 賃貸オフィス物件よりも賃料や初期費用などのコストを抑えられる
- 寝泊まりできる
- 通勤が不要になる
- 時間の自由度が高まる
SOHO物件の最大のメリットは、オフィス物件よりもコストを抑えられる点です。オフィス物件は、家賃や敷金・礼金のほか保証金なども必要で、賃料の半年分から1年分程度の初期費用がかかります。
一方で、SOHO物件は初期費用や家賃が安いだけでなく、生活環境と仕事場が一体化しているため、オフィス専用の設備や家具の購入費用も大幅に節約できるでしょう。
デメリット
SOHO向けの賃貸物件を借りるデメリットは、次の通りです。
- 表札や看板が設置できない
- ビジネス向けでない間取りの物件がある
SOHO向けの賃貸物件では、表札や看板が設置できないため、新規顧客を獲得しづらいのがデメリットです。
また、インターネット回線や電力の容量がビジネスユースに向いていないケースも考えられます。実際に物件を内見し、業務スペースや業務時の動線を確認してください。
SOHO(ソーホー)物件を借りるポイント
SOHO向け物件を借りる際に押さえるべきポイントは、次の通りです。
- 1R以上の間取りの物件を探す
- 必要な家具や家電、設備を事前に確認する
- 立地や周辺環境
- 予算
働く場所と生活環境を明確に分けることで作業効率が高まると考えられるため、基本的に1R以上の間取りで物件を探すのがおすすめです。
また、業務をするうえで必要な家具や家電、設備を事前に洗い出しておきましょう。特に、インターネット回線が遅いと業務に大きな支障をきたします。ネットワークのセキュリティ対策も講じてください。
最後に、予算内で収まる物件であるかも重要なポイントです。多少の収入状況の変化にも対応できるよう、高すぎる物件は避けましょう。
SOHO(ソーホー)として自由度の高い働き方を実現しよう
SOHOに明確な定義はないものの、個人事業主の働き方として浸透しつつあります。SOHO物件は住居兼事務所として借りられるため、コスト削減や働き方の自由度が高まることなどがメリットです。一方で、法人登記ができず、メリハリをつけて働かなければならないことを理解しておきましょう。
本記事でご紹介した内容を参考に、自分に合った働き方について今一度考えてみてください。
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