1on1で「話すこと」とは?ネタや話題などテーマの具体例を紹介
1on1ミーティングは、国内外の有名企業が導入し、成功しているマネジメント手法の一つです。1on1は従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めて、組織の生産性を向上し、成長を促進する効果が期待できます。
本記事は、「1on1で何を話すのか」「どんな会話のネタや話題が効果的なのか」を解説し、基本的な会話例も紹介します。話すことがわからず話題が続かないという方は、ぜひ参考にしてください。
1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的に行う1対1の面談です。対話を通してコミュニケーションを密にとり、お互いに信頼関係を構築していきます。上司側から見ると、部下の悩みや目標を把握する機会となり、部下側から見ると話し合いによって、自身の問題解決のヒントに気づくことが期待されています。
人事評価面談との違い
上司と部下の面談や人事が従業員に対して行う人事評価面談は、人事評価の一環として行っている企業も多いでしょう。人事評価面談は、業績や能力に基づいた昇給や昇進などの決定を主な目的としています。
一方1on1ミーティングの本筋は、あくまでも「部下の成長を促すこと」です。人材育成を目的としている点で異なります。
1on1ミーティングの進め方
1on1ミーティングは、対話の中で上司が部下の発言を引き出していくように進めるといいでしょう。上司が一方的に話したり、指示したりするのは望ましくありません。そのため、上司が部下にどんな話題を振るのかが重要といえるでしょう。
1on1ミーティングの目的
1on1ミーティングを始める前に、上司は目的を明確にし、部下と共有する必要があります。1on1の具体的な目的を4つご紹介します。
部下の意見を聞く
上司は、部下が現在の業務で抱えている課題を把握し、対話を通して一緒に解決方法を考えます。また、部下からの悩みや不満などを知ることで、適切な人材マネジメントのヒントも得られます。
部下が現状どのような精神状態であるか、どのようなキャリアプランを考えているのか、プライベートでの悩みも含め、部下本人の話したい話題や悩みを引き出せるよう、上司側が努めて促す必要があります。
部下の成長をサポートする
部下は、業務での成功や失敗を上司に話し、一緒に考えることを通して、問題解決や業務改善などについて強く意識するようになります。上司は部下の話すことに傾聴し、部下の能力を引き出すためのフィードバックを行い、部下の成長をサポートすることに注力します。
新規事業の適任者を発掘する
上司が部下のスキルや経験、また希望する業務やモチベーションなどを把握しておけば、最適な仕事を部下に割り当てられます。特に新規事業を立ち上げる際などには、適材適所の人材配置をスムーズに行える可能性が高まります。
社内では上限関係だけではなく、普段からのコミュニケーションや部下の目線に立った会話を心がけることで、社員にとって居心地の良い職場環境となり、会社へのエンゲージメントが上がることで離職防止等の効果も期待できます。
従業員や社内の状況を把握する
社員個人や社内の状況を把握することは、上司が適切な人事評価をする上で重要な要素です。結果だけでなく過程も含めた評価ならば、部下も納得して受け入れやすいでしょう。部下が評価への不服から急に退職するのを防ぐ効果も期待できます。
上司はこれらの目的を部下に伝えた上で、あくまでも「部下について知る・興味を持つ」という姿勢で1on1を実施します。ミーティングでは現況を確認し、上司が把握していることと部下本人の認識に大きな相違はないかをチェックしましょう。このとき、「困っていることがないか?」と聞いてみることから始めると、部下も話しやすくなるはずです。
1on1ミーティングで話すこととは?【テーマ】
1on1ミーティングの主役は部下のため、話すテーマを決めるのも上司ではなく部下ということを念頭において取り組むことが重要です。しかし、漠然と「好きなことを話して」と言われても、部下が困惑してしまいます。
そこで、上司はアジェンダを準備し、それをもとに部下から話を引き出していくと効率的でしょう。その後のマネジメントにも行いやすくなります。
ここでは、1on1ミーティングで話すこととしてテーマの例を提示し、具体的な会話と応用例をご紹介します。
基本編
1on1のテーマを準備するにしても、いきなり業務やキャリアなどのテーマを掲げると、部下は身構えてしまいまうでしょう。まずはプライベートな話や健康に関する話などの雑談から入り、徐々に深い話題へと進んでいくことをおすすめします。
「はい」「いいえ」で答えて終わる質問ではなく、自由な回答を期待できるオープンクエスチョンを多用するといいかもしれません。「新しい業務には慣れたか?」と問いかけると「はい」で終わってしまうこともあります。その場合は「新しい業務で学んだことは何か?」質問すると、部下の言葉を上手に引き出せる可能性が高まります。
プライベートの話題
プライベートな雑談は、緊張を和らげるのに役立ちます。
- 週末には何をしているのか?
- 趣味は何か?
- 家族とどのように過ごしているか?
特に1on1ミーティングが始まった直後や会話が途切れてしまったときに最適なテーマといえます。1on1ミーティングでは、上司は基本的に部下の話を傾聴します。しかし、ときとしてみずからも積極的に自己開示をし、部下との相互理解を深め、信頼関係を築いていくことが大切でしょう。
心身の健康状態についてついて
心身の健康状態に関する話題は、業務にも直接影響する重要なテーマです。特に健康診断ではわからないメンタルヘルスについて意識的に把握するようにしましょう。
- 体調で気になることはないか?
- 極端に生活は乱れていないか?
- 仕事でストレスを感じていないか?
- 人間関係で悩みはないか?
モチベーション・エンゲージメント状況
1on1ミーティングでは質問を工夫して、部下のモチベーションやエンゲージメントの状況も把握しましょう。
- 業務の中で何にやりがいを感じているか?
- 会社に対する要望はないか?
部下が仕事に対して前向きに取り組み、会社に愛着を抱いているなら、その姿勢を積極的に褒め、さらに気持ちを盛り上げていくのも大切です。反対にネガティブな発言があった場合も、否定せずにまずは傾聴します。本人から労働時間や福利厚生、給与・賞与など制度にかかわる不満が出るなら、労務管理を見直すきっかけになるかもしれません。
業務、課題の共有や改善方法の話し合い
1on1ミーティングの機会を使って、業務や課題の進捗に支障をきたしていることがわかれば、改善策を提案するきっかけになります。以下のような話題を振って、チーム内の問題や悩みの可視化につなげましょう。
- 現在の業務に不満はないか?
- 課題の進捗に問題はないか?
- 業務上で改善したいことはないか?
業務状況が順調なら、褒めるのと同時に成功につながるノウハウを聞き出すといいかもしれません。部下が悩んでいるようなら、上司も一緒に考える姿勢で対応します。
目標の設定や進捗状況の確認、評価
1on1ミーティングのテーマとして、目標設定や進捗状況も確認も忘れないようにしましょう。その際は本人の自己評価も聞いて、上司の評価とのギャップを確認することも重要です。
- 次にできるようになりたいことは何か?
- 業務は何%くらい進んだか?
- 現在の業務状況は百点満点中で何点か?
自己評価と上司からの評価のズレは不満の種になりやすいため、ギャップを埋めるよう努めるといいでしょう。
人材発掘、キャリア開発
上司と部下の間に信頼関係が構築されたら、少し踏み込んだテーマを話すのもおすすめです。
- どのような業務に興味があるか?
- 将来はどのようなキャリアを目指しているか?
部下は意外なことに興味関心を持っていたり、個性的なキャリアデザインを考えていたりするかもしれません。部下の今後のキャリアや活躍を広げる場を提案し、人材発掘やキャリア開発を目指しましょう。上司はサポートをする立場であるという責任を持つことが重要といえます。
今後の方針や戦略について
従業員一人ひとりが、みずからの今後の方針や戦略について理解することも大切です。1on1ミーティングで上司は、部下に上層部の決定をわかりやすく伝えるのと同時に、決定に至った経緯や背景などを丁寧に説明します。
「上層部の決定についてどう思うか?」などの質問も織り交ぜながら、部下が自分ごととして考えられるように後押ししましょう。経営層と現場の従業員の意思疎通をはかる、中間管理職としての役割が期待されています。
1on1ミーティングの管理を効率化するには
1on1ミーティングは、従業員一人ひとりの業務状況や成長度を可視化し、人材育成につなげて組織として生産性向上を目指すための一手法です。上司と部下の信頼関係を深めるためにも、豊富な話題やテーマを事前に用意して望むといいでしょう。
1on1の実施をサポートOne人事[タレントマネジメント]
タレントマネジメントシステムのOne人事[タレントマネジメント]は、従業員一人ひとりの保有スキルや経歴などの人材データを一元管理する効率化ツールです。
1on1ミーティングのテーマ共有や話したことの記録管理がシステム上で完結できるため、管理職の業務効率化に役立ちます。目標に対するKPIやアクションプランの設定と進捗管理もまとめて管理でき、一人ひとりに適した人材育成を後押しするでしょう。
タレントマネジメントシステムで管理職の業務を効率化して無駄な工数を削減できれば、社内コミュニケーションの活性化やエンゲージメント向上による離職防止など、企業の生産性に大きく関わる従業な業務に注力でき、事業の成長を促進できるでしょう。