1on1は意味ない?無駄や苦痛に感じる理由、課題とデメリット、克服方法を解説
1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的に行う1対1の面談のこと。近年多数の企業が取り入れている人事施策です。効果的に運用できれば、多くのメリットが得られるはずの1on1ですが、昨今「意味がない」「無駄」「苦痛」という声も耳にします。
1on1ミーディングの実施にはコツがあります。
本記事では、1on1ミーディングは「意味がない」と感じてしまう理由や、人材育成を促す1on1にするためのポイントを紹介します。効率的で無駄のないマネジメント方法や、管理方法について知識を深めたい方は、ぜひお読みください。
1on1は意味ない? 課題
1on1ミーティングのメリットは、上司と部下の間でのコミュニケーションが促進されることでお互いの信頼関係が築け、部下の育成につながるという点。しかし「話すことがない」「誰の何のためか、目的がわからない」といったデメリットを指摘する声も上がるようになりました。
1on1ミーティングを導入しても形骸化してしまい、うまく運用できていない組織が多いのも現状です。積極的に1on1へ取り組むべき立場である上司の方は、お悩みになる機会も多いでしょう。まずは上司、管理者側が抱えている課題やデメリットについて、代表的なものを5点取り上げます。
心理的、工数的な負担
毎週のように一定の時間をミーティングに割く必要がある上司の方は、心理的に負担に感じることもあるでしょう。多くの部下を統括している管理者や、経験が浅い方であればなおさらです。
また受け持つ部下の人数が多いほど、全員とコミュニケーションを取るには相応の時間を要します。その細かなスケジュールの調整管理も必須となるため、負担は大きなものになるでしょう。
時間の無駄と感じる
1on1ミーティング中に双方にとって有意義な時間を過ごせていなければ、時間の無駄だと判断されてしまうでしょう。「この時間で別の仕事ができたのに」と感じてしまうこともあり得ます。
1on1ミーティングは、1人につき数十分の時間が設定されることが多く、それぞれ業務時間を割いて行われるため、意味のある時間を過ごせなければ、ただの時間の浪費と感じてしまう場合もあるでしょう。
話すことがない
1on1ミーティング導入時は話すことに困らなかったとしても、回数を重ねるごとに、話題が尽きてしまう場合も多いです。上司の期待に応えられなかったと部下が気を落とし、仕事へのモチベーションが低下してしまう恐れもあります。
時間がない
1on1ミーティングは、定期的に実施しなければ本来の目的を達成できません。しかし、上司も部下も常に多くの業務を抱えており、1on1より目先の仕事を優先しがちです。
繁忙期と重なった場合はなおさら時間がとれず、忙しさを理由にスケジュールの変更を繰り返し、なし崩し的に立ち消えになってしまうことさえあるでしょう。
かえって部下との溝が深まる
本来であれば上司と部下の信頼関係の構築を促す1on1ミーティングも、目的や会話の中身を誤ると、かえって双方の関係がうまくいかなくなってしまう場合もあります。
1on1の機会が億劫に感じられた場合、日々の業務に支障が出たり、最悪の場合、部下の早期退職につながることさえあります。そうならないように、トライアンドエラーを繰り返し、1on1の過程を記録に残すことも大切です。
1on1の意味を見出せない理由
なぜ1on1ミーティングが「時間の無駄」「意味がない」と感じられてしまうのでしょうか。1on1の意味が見出せない、失敗とされる理由をご紹介します。
1on1の目的が共有されていない
そもそも上司と部下双方で「誰が何のために1on1ミーティングを行うのか」という目的が共有されていないケースが多いです。
上司側は「部下の心配ごとや気になることを聞き、必要であれば解決の手助けをして、業務を円滑に進められるよう調整したい」と考え1on1を進めたとしても、部下側は「上司と面談する機会が与えられたので、質問された内容に答えているだけ」という認識にすぎないかもしれません。
業務の進捗が中心になっている
1on1ミーティングの時間が、具体的な業務の進捗報告や、設定した目標の確認だけで終わってしまうことがあります。仮に目標を達成していない場合、不達成の理由説明やいつまでに達成できるかなどに終始してしまうのは望ましくありません。
1on1ミーティングの目的は継続的に部下の成長を促し支援すること。目の前の業務を片づけるための確認時間になってしまっては、本来の目的とは外れてしまいます。
上司が一方的に話している
気づいたら上司しか発言していなかったというケースも少なくありません。
部下の役に立ちたいという気持ちがあってのことかもしれませんが、上司と1対1で対話をする1on1ミーティングは、部下にとって緊張感の高い場であることを忘れてはいけません。上司は部下をサポートしつつ、二人でコミュニケーションを取り合うことを意識しましょう。
上司が一方的に話すのではなく、意識的に部下が話しやすい雰囲気をつくり、普段部下が会社に対して抱えている本音についても、発言できるよう促していきましょう。
結論を急ぐ
1回の1on1ミーティングですぐに成果が見られることはありません。
部下によって抱える課題や環境はさまざまのはずです。すぐに結論を出さず、回数を重ねて継続的に部下の成長をサポートするのがいいでしょう。何かを急かしてしまうと、かえって部下の自発的な気づきや決断、判断を阻害する可能性があるので注意が必要です。
すぐに結果につながらないことに焦らず、継続的に実施し記録することで、部下の成長や変化を可視化することも重要です。
前回の話題を忘れてしまう
前回話したことをもう一度質問されたり、何度も同じ話題を振られたりすると、部下にとって「時間の無駄」と感じられるのも当然です。モチベーションが下がる一因となりかねません。「1on1ミーティングで話したことを毎回記録しておくのは、実施の最低条件といえるでしょう。
1on1を意味のある時間に変えるためのポイント
具体的にどのような点に気をつければ、1on1ミーティングでのコミュニケーションを活発にし、意味のある時間に変えることができるのでしょうか。例として7つの条件をご紹介します。
1on1の目的を共有する
1on1ミーティングで信頼関係を築くためには、上司と部下間で意識や目的を共有しておく必要があります。
1on1を導入時はもちろん、定期的に「この1on1ミーティングは、誰が何のために行っているのか」を話題にし、再確認するのもおすすめです。
明確な目的を互いに意識すれば、自然と次にとるべき行動や話題も見えてくるはずです。一方が理解したことを押しつけるのではなく、上司も部下も共通の目的を共有できれば有意義な対話ができ、「1on1は意味がない」と感じてしまうことも減るでしょう。
1on1の話題を事前に決める
ミーティング中に「話すことがない」と困ることがないよう、事前に準備をしましょう。上司側であらかじめ話し合う話題を決めておくのはもちろんのこと、部下側にも「話したい内容」を考えておいてもらっても良いでしょう。気まずさや居心地の悪さを感じないように配慮をすることが大切です。
次の1on1で話したいことはあるか、部下に前もって質問しておくことも1つの方法です。
人材育成の視点を持つ
1on1ミーティングを意味のある時間にするには、上司側にティーチング、コーチング、フィードバックという3つのスキルが必要です。
ティーチング | 知らない知識など答えを直接教えること |
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コーチング | 自発的な行動を促進し、自ら解決方法を見出せるよう導くこと |
フィードバック | 行動や発言に対して改善点などを適切に伝えること |
「意味がない」と感じられてしまう1on1では、上司がティーチングに終始してしまっているケースが多いです。上司は人材育成の視点を持ち、自発的な成長を促すためにも、上記のスキルをバランスよく使うことが求められます。
短時間でこまめに機会を設ける
諸般の事情で1on1の予定がなくなってしまった場合は、必ずスケジュールの再調整をしてください。
繁忙期や急なアクシデントが重なると予定が立ち消えになってしまうこともあるでしょう。1回でも予定が流れてしまうと、徐々に話す機会が減り、なし崩し的に開催されなくなってしまう懸念があります。
たとえ話す機会が短時間でも、定期的かつ頻繁にコミュニケーションを交わすことが大切です。毎回所要時間に差があったとしても、一度決めたサイクルや頻度は守るように努めるといいでしょう。
中長期的な視点を持つ
1on1ミーティングの成果は、すぐに結果が出るものではありません。じっくりと人材を育てていくという中長期的な視点で取り組むことが大切です。そのため、現在抱えている案件の対処方法などに限らず、数年後の目標や成長イメージなど先々の話題を振ってみるのもいいでしょう。
全社的に取り組む
上司が継続的かつ円滑に1on1ミーティングを実施できるよう、担当部署を設け全社的にサポートすることが大切です。
制度だけ導入して、あとは現場に丸投げというケースも聞かれます。たとえば問い合わせ窓口を設けたり、スキルアップ研修を設けるなどサポート体制を整えることで、上司側も安心感を持って取り組めるはずです。さらに必要に応じて進捗管理ツール導入などで効率化を図ることも、充実した1on1ミーティングの手助けとなるでしょう。
全社的に取り組み方を共有し、ときには人事部が主導となって体制を整えることで、「失敗」と思われる機会も減るでしょう。
内容を記録して継続的に行う
1on1ミーティングの話した内容などを目に見える形で記録しましょう。
1on1の実施記録や話した内容、次回のスケジュールなどを管理できるツールを利用するのもおすすめです。前回までに話した話題を確認し定期的かつ継続的に進める助けとなるので、1on1の本来の目的も達成しやすいでしょう。
形骸化させないためにも目的や記録の管理は必須です。
意味のある1on1を継続的に行うには
1on1ミーティングは、目的を明確にし正しい方法で実施することができれば長期的に見て大きな効果が期待できます。しかし取り組み方を間違えると「時間の無駄」「失敗」「意味がない」と感じられてしまう危険があります。
1on1の実施をサポートOne人事[タレントマネジメント]
意味のある1on1ミーティングを実施するには、スケジュール管理や内容、進捗の記録を効率的に管理することが必要です。
タレントマネジメントシステムOne人事[タレントマネジメント]なら、開催日、テーマ、次回までの目標アクションなど1on1の記録や進捗管理を効率化することで、継続的な実施に役立ちます。
1on1ミーティングを意味のある時間にできれば、上司と部下でお互いに充実感が得られ、部下の育成にもつながるでしょう。全社的に制度を整え、社員一人ひとりに寄り添った人材育成に取り組んでみてはいかがでしょうか。