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玉突き人事はリスク?メリットはある?注意すべきポイントと発生理由、適切な人事異動とは

玉突き人事はリスク?メリットはある?注意すべきポイントと発生理由、適切な人事異動とは

玉突き人事とは、空いたポジションに別の社員を異動させて、穴埋めをするために欠員を補充する人事異動の手法です。最初に異動した社員の穴を埋めるため、さらに別の社員を異動させなければならなくなります。玉突き人事このような連鎖が続くのが特徴です。

玉突き人事は、スピーディーな人材補充が実現できる一方、突発的な異動に戸惑いや反感を感じる社員があらわれるという課題があります。最悪の場合、離職など人材流失のリスクにもつながってしまいます。本記事では玉突き人事のリスクやメリットを、発生の背景とともに解説します。

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    玉突き人事とは

    玉突き人事とは、空席になったポジションを埋めるため、急きょ別の社員を異動させる人事手法をいいます。異動によって空いたポジションも埋めなければならず、その穴埋めとして別の社員も異動させることになります。結果、穴埋めのために玉突き人事が繰り返されるのです。

    玉突き人事の語源

    「玉突き人事」の「玉突き」はまずはビリヤードの球の動きが語源となっています。ビリヤードでは1つの球が次々とほかの球に当たり、動きも連鎖していきます。1つの異動が次の異動へと波及し、別の人材にも影響を及ぼす様子を「玉突き」にたとえたものです。

    玉突き人事の事例には縦と横の2パターンがあります。

    玉突き人事 「縦」のパターン

    わかりやすいのは部長などのポジションが空いた際に、直下の課長、主任…と順繰りに昇格していく玉突き人事です。これが「縦」のパターンです。

    玉突き人事 「横」のパターン

    もう一方の「横」のパターンとは、同等のポジションの穴を他部署から埋めるパターンをいいます。たとえば営業部長のポジションが空いた穴を開発部の部長を異動させて埋めます。開発部長の空いた穴へ総務部長を横滑りさせて埋める、これが「横」の玉突き人事のパターンに当たります。

    玉突き人事とジョブローテーションの違い

    玉突き人事と似ている言葉にジョブローテーションがあります。定期的なサイクルにおいて部署の異動や職務を変えるのがジョブローテーションです。ジョブローテーションでは、あえて本来の業務内容とは関係のない部署や配置を行い、会社全体を俯瞰できるような環境を設けます。社員が本来の業務と異なる場に置かれるため、ジェネラリストとしての視点も培えるのが利点です。

    玉突き人事もジョブローテーションも「現状のポジションから異動する」という状況は共通しています。しかしジョブローテーションは社員のスキル開発に重きを置き、あくまで人材育成目的で戦略的に実施されています。人材の穴埋め要素が多い玉突き人事とは、目的に大きな差異が生じています。

    玉突き人事と通常の人事異動との違い

    一般的に人事異動とは、社員の経験値や適性、個人の持つスキルなどを鑑みて実施されます。適材適所の人事異動が社員のキャリア開発にも好影響を及ぼし、組織全体の底上げにもつながります。このように人事異動は企業として戦略的、計画的に行われるものです。

    玉突き人事の場合、まずは空いたポジション、ポストを埋めることが優先されます。欠員補充が目的となっているわけです。また玉突き人事は、突発的に行われる場合がほとんどです。この点も通常の人事異動と玉突き人事は大きく異なります。

    人事異動の種類タイミング目的
    玉突き人事突発的欠員補充
    ジョブローテーション定期的(数カ月から半期、年に1度などのサイクルごと)さまざまな部署異動による人材育成
    (通常の)人事異動定期的(4、10月。決算期などによる)適材適所の人材配置による業績向上、昇給昇格、モチベーションアップ

    本来人事異動は、社員の経験や適性、個々のスキルを見極めて計画的に実施されます。また、社員のキャリアプランなども考慮のうえで行われるものです。対して玉突き人事は「急きょ空いたポストを埋める」要素が大きい人事です。穴埋めの要素が強いため、計画的な人事異動とはかけ離れているケースがほとんどです。

    玉突き人事が起こる原因

    玉突き人事は、空いたポスト、ポジションの穴埋めが目的のため、戦略や計画性を考慮せず行われる場合が多くなります。社員の離職やミスマッチなどのリスクも高まります。できれば玉突き人事による急な人事異動は避けたいものです。玉突き人事が必要となる理由は主に次の3つです。

    欠員など急な人材調整

    会社として想定内の退職者が出るなど、突発的な事情によりポジションに空きが出た場合です。社員によって個人的な事由の場合もあるため、欠員補充のための人材異動を行わなければならなくなります。やむを得ない理由があるとはいえ、予想外の人材調整のため、計画性を欠いた人事異動になりがちです。

    社員の不正防止のため

    長期間人事異動もなく、業務内容に変化がない部署では、慣れによるマンネリ化が起こる可能性があります。緊張感のない部署では生産性も低くなり、場合によっては取引先との癒着など不正につながる恐れも生じます。部署の雰囲気を変え、新しい風を吹き込むために、あえて玉突き人事を行うこともあります。

    問題ある部署の改善や見直し

    人間関係などのトラブルにより、業務が滞るほど部署があったとします。このような部署では、玉突き人事により人材の配置を変えると問題解決につながる場合も少なくありません。

    部署間の人間関係は時に大きな問題となり、該当する社員の状況によっては迅速な対応が不必要となります。スピーディーな問題改善のため、あえて玉突き人事を行うケースです。

    玉突き人事はリスク?

    玉突き人事の実施は、欠員補充や部署内のリフレッシュなどやむを得ない事情が要因となります。ただ急な人事異動のため、組織としての戦略もなく、その場しのぎの対応になってしまいがちです。玉突き人事の導入により社員の離職などデメリットにつながる可能性も少なくありません。玉突き人事によるデメリットをご紹介します。

    玉突き人事で離職に至るケースも

    玉突き人事は空いたポジションを埋めるため、欠員を補うのが目的で行われます。社員にとってはスキルや適性を考慮していない人事だと感じられてしまうかもしれません。自らの意向を軽視され、またキャリアパスを妨げられるなど会社への不満が高まる可能性も出てくるでしょう。玉突き人事をきっかけにモチベーションも低下し、離職につながる場合も考えられます。

    玉突き人事のデメリット・問題点

    玉突き人事では、社員のスキルや適性を重視したものではないため、ミスマッチが起こる可能性も否定できません。場当たり的な人事によるミスマッチが起こり、異動先での人間関係のトラブルが多くなるリスクもあります。

    また、異動先が多忙な部署であれば、フォローも必要となります。異動した社員本人だけでなく、新たな部署の社員にとっても負担は少なくありません。

    玉突き人事に不満を感じる社員が増えれば、組織全体の士気低下にもつながります。玉突き人事で優秀な人材が社外に流失してしまうなど会社全体へのデメリットとなりかねないのです。

    玉突き人事をあえて行うことも?

    突発的な玉突き人事にはさまざまなデメリットがあります。しかし、場合によっては意図して玉突き人事を行うケースも存在します。あえて玉突き人事を行うのは次のようなメリットや理由があるからです。

    玉突き人事をあえて行うケース・理由

    長らく人事異動がなく、人の流れが滞ると部署内の雰囲気が悪くなったり、業績が上向かなかったりすることもあります。玉突き人事によってマンネリ化した人間関係をリフレッシュさせ、部署内の活性化がはかれます。組織全体の再生にもつながるでしょう。

    玉突き人事のメリット

    玉突き人事の大きなメリットは人員不足の解消です。人材の適材適所を優先した通常の人事異動は慎重に行われるものです。時間をかけた戦略的な人材異動は人材育成や組織の安定化などさまざまな利点につながります。一方で柔軟な対応が難しく、スピーディーな変化は望めません。玉突き人事の迅速さは、部署の人員のバランスをとる面でも大きな意味を持っています。

    さらに問題を抱えた部署においては、トラブル解消効果をもたらします。特に人間関係などが問題となっていた場合、意図的な玉突き人事がリフレッシュとなるからです。部署内に新たな風を吹き込み、社員のモチベーションアップや生産性の向上など組織の活性化を促進する効果も生み出します。

    玉突き人事をあえて行う際の注意点

    意図的な玉突き人事は、人材の配置バランスを考慮するために役立ちます。部署や組織の活性化につながるなどあえて行う場合もあります。

    一方で玉突き人事は、想定外の人事異動に納得できない社員が離職するなどデメリットを生み出すリスクも持っています。玉突き人事をあえて行う場合、どんな点に注意すべきなのでしょうか。

    何よりも大切なのが、社員に納得してもらうことです。玉突き人事によって、異動する社員がモチベーションを低下させてしまわないよう、丁寧に話をする必要があります。欠員補充が理由であっても、あらためて異動の目的や意図を設定しましょう。なぜ異動や配置転換を行うのか、異動によって社員側にもどのようなメリットがあるのかを説明し、理解を求めることが大切です。社員に寄り添った対応が不可欠です。

    玉突き人事を防ぐには

    組織戦略など計画性に欠ける玉突き人事は、可能であれば避けたいものです。けれども欠員補充などの事情により、やむを得ないケースも出てくるでしょう。

    先ほどお伝えしたように異動する社員、異動先部署の社員に納得してもらえるよう説明を尽くすよう心掛けましょう。一方で、できる限り玉突き人事を発生させないためには次のポイントを意識する必要があります。

    社員の希望するキャリアパスを理解する

    場当たり的な玉突き人事を防ぐためには、日頃から社員それぞれが希望するキャリアプランに目を配ることが大切です。社員がどのような未来を描き、キャリアパスを描いているのかを理解していれば、ミスマッチを軽減できます。人事異動における納得感のある説明をすることも可能になるでしょう。

    異動の範囲を明らかにする

    意図しない玉突き人事に戸惑う社員が出てしまうのは当然です。このような状態で納得感を得るのは難しいといえるでしょう。ある程度の範囲の人事異動があることを、前もって誓約書や就業規則などの書面に記載するのも一案です。急な異動であっても、想定する範囲内であれば社員の納得感や理解も得られやすくなるでしょう。

    人事異動の戦略化を意識

    社員のキャリアプランを知って、人事異動そのものを戦略的に実施するのが重要です。異動における目的や理由を明らかにすることが適材適所の人事配置につながっていきます。人事異動の目指す先を明確にし、組織として長期的な戦略を計画していきます。

    適切な人事異動・人材配置とは

    できる限り急な玉突き人事などを行わないためにも、適切な人事異動・人材配置への理解が欠かせません。学歴、職歴から保有資格や研修受講状況、過去の人員配置や人事異動の経緯などを取りまとめ、人材のスキルや適性を把握しておきましょう。

    人材のスキルを理解し、本人の希望やキャリアの方向性を知っておけば、バランスの取れた人材配置にも役立てられます。社員のエンゲージメントをアップさせ、離職防止へも効果を発揮します。さらには人材配置の適性化によって組織全体の業績向上、生産性アップにつなげられるでしょう。

    適切に人事異動・人材配置を行うには

    適切に人事異動・人材配置を行うことは、生産性向上、経費削減にも好影響となります。長期的な視点で俯瞰すれば、組織の活性化に人事異動・人材配置は不可欠です。人材配置を最適化し、適材適所を実現させるためには事前に配置シミュレーションを行うなど現状の把握や従業員へのヒアリング実施などきめ細やかな施策を戦略的に行う必要があります。

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