目次バーンアウト（燃え尽き症候群）とは？
バーンアウト（燃え尽き症候群）とは、一つの物事に熱心に取り組んでいた人が、突然やる気を失ってしまう状態を指します。
この状態は、仕事への意欲や熱意が完全に消失し、心身の過度な疲労により社会生活に適応できなくなることを意味します。
1970年代に提唱されたこの概念は、WHOの国際疾病分類にも「バーンアウト」として認定されています。
定義と概要
バーンアウトは、仕事や学業、趣味などに深く没頭していた人が、突如としてその活動に対する興味や意欲を失う現象です。
心身の疲労が限界に達し、それ以上の活動が困難になる状態を指し、一時的なものから長期にわたるものまで様々です。
この概念は、1970年代に心理学者ハーバート・フロイデンバーガーによって提唱され、職業生活における深刻な問題として認識されるようになりました。
発症の背景
バーンアウトの主な原因は職場のストレスであり、特に医療・介護職などの対人サービス職において多く見られます。
使命感を持って働いていた人が休職・離職の要因となることもあります。過度な仕事量や高い職場の要求、不適切な人間関係などがストレスを生み、心身の疲労を蓄積させ、バーンアウトを引き起こすことがあります。
バーンアウトの症状
バーンアウトは、職場での長期間のストレスが原因で、身体的、精神的な疲労が蓄積し、仕事のパフォーマンスが低下する状態です。
症状は情緒的消耗感、脱人格化、個人的達成感の低下の三つに分けられます。これらは、特に人間関係が中心の職業で見られることが多いです。
情緒的消耗感
情緒的消耗感は、バーンアウトの最も一般的な症状の一つであり、仕事を通じて情緒的に力を出し尽くした結果の消耗感を指します。これは、長時間労働や過度のストレス、人間関係のトラブルなど、職場での様々な要因によって引き起こされます。
具体的な症状としては、朝起きられない、職場に行きたくない、イライラが募るなどがあります。これらは、自身の感情をコントロールする能力が低下し、感情の波が激しくなることを示しています。また、これらの症状は、仕事だけでなくプライベートの生活にも影響を及ぼし、家庭や友人関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
脱人格化
脱人格化は、バーンアウトの症状の一つで、非人間的な態度を取る状態を指します。これは、自己と他者との間に距離を置くことで、自己を保護しようとする防衛機制の一種とも言えます。
具体的な症状としては、消耗感や冷笑的態度が現れます。これは、他者に対する共感力が低下し、他者の感情や状況に無関心になることを示しています。また、これらの症状は、職場での人間関係の悪化や、職務遂行能力の低下を引き起こす可能性があります。
個人的達成感の低下
個人的達成感の低下は、バーンアウトの症状の一つで、ヒューマンサービスの職務に関わる達成感の低下を指します。これは、自己の能力や価値を疑い、自己評価が低下する状態を指します。
具体的な症状としては、仕事に対する興味や意欲の低下、仕事の質の低下、仕事に対する満足感の低下などがあります。これらの症状は、仕事のパフォーマンスの低下や、キャリアの停滞を引き起こす可能性があります。
これらの症状が見られた場合は早めの対策が必要です。自己ケアだけでなく、専門家の助けを借りることも重要です。
バーンアウトになりやすい人の特徴
バーンアウトとは、長期間にわたる職業的ストレスにより、身体的・精神的な疲労や無気力感が蓄積し、仕事のパフォーマンスが低下する状態を指します。
この状態に陥りやすい人の特徴や、その背後にある要因について詳しく見ていきましょう。
個人の特性
個人の特性に関しては、バーンアウトに陥りやすい典型的な例として、熱心で責任感の強い人物が挙げられます。彼らは仕事に対して何事も惜しまない姿勢を持ち、その結果として自己に対する過大なプレッシャーを自らに課し、ストレスを内に溜め込む傾向にあります。
また、高い理想と強い使命感を持つ人々もバーンアウトのリスクが高いと言われています。彼らは自らに対する期待が高く、その期待に応えるためには絶えず努力を重ねる必要があると感じており、自己評価が厳しく、失敗を許容しない性向があります。
完璧主義者や一途な努力家もまた、バーンアウトになりやすいと考えられています。完璧主義者は自分の成果に対して常に満足感を得られず、自己を追い込む傾向があります。一方で、一途な努力家は、仕事に対する熱意が強すぎて他の活動に時間を割くことが難しいという特徴があります。
職場環境との関連性
個人の特性だけでなく、職場環境もバーンアウトになりやすさに大きな影響を与えます。特に、過度な仕事を強いる環境、努力が報われない環境、仕事とプライベートの境界が不明瞭な環境、優秀な社員に仕事量が偏る環境などは、バーンアウトになりやすいとされています。
過度な仕事を強いる環境では、従業員は自分の能力を超えた仕事を強いられ、ストレスが蓄積しやすくなります。努力が報われない環境では、自分の努力が認められていないと感じ、モチベーションが低下します。
仕事とプライベートの境界が不明瞭な環境では、仕事のストレスがプライベートにも影響を及ぼし、リラクゼーションの時間が確保できないため、疲労が蓄積します。また、優秀な社員に仕事量が偏る環境では、仕事の負担が増え、適切な休息を取ることができないため、バーンアウトになりやすいです。
バーンアウトになりやすい人の特徴は、個人の特性と職場環境の両方に関連しています。これらの特性や環境を理解し、適切に対応することで、バーンアウトを予防し、健康的な職場環境を維持することが可能です。