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転属(てんぞく)とは? 言葉の意味や類語との違い、企業側の注意点も解説

転属(てんぞく)とは? 言葉の意味や類語との違い、企業側の注意点も解説

転属とは、同じ社内において働く環境が大きく変わることを指します。ビジネスシーンでは比較的よく耳にする言葉ですが、転属と「異動」「転籍」を混同している人もいるでしょう。

そこで本記事では、転属の意味や類義語との違い、正しい使い方を例文つきで解説します。従業員を転属させる場合の注意点も紹介しているので、人材配置にかかわる担当者や経営者は、参考にしてください。

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    転属とは?

    転属の意味とは、職場や勤務地を変えることです。たとえば経理部から総務部、情報システム部から開発部といった変更を指します。同じ組織内において所属を変え、従業員を異なる環境に異動させることを意味します。

    転属は、配置換えや配置転換という言葉に言い換えて使われる場合もあるでしょう。

    転属を用いた例文

    転属という言葉を、より理解するために、例文を紹介します。

    転属を使った例文
    Aさんは広報部に転属になったらしい。
    Bさんは総務部への転属を希望している。

    転属と混同されやすい類語

    転属には混同されやすい言葉が多数あります。転属の類語の意味を例文を添えて解説します。

    転属と混同されやすい言葉
    異動
    転籍
    転勤
    出向
    配属

    異動

    異動とは、同じ組織内で勤務地や所属、役職などが変わることです。

    転属は異動の一種で、特に「現在とは異なる所属への変更」を意味し、異動よりも限定的です。異動は、出向や転勤、昇格、リストラなども含めた範囲の広い概念です。

    異動を用いた例文は以下の通りです。

    異動を使った例文
    Aさんは総務部から人事部に異動になった。
    Bさんは川崎支社に異動になった。

    転籍

    転籍とは、現在の会社を退職し、別の会社で勤務することです。多くの場合は、親会社から子会社、関連会社などに籍を移すことを指します。転属との違いは、会社自体が変わることを強調して意味する点です。

    転籍を用いた例文は以下の通りです。

    転籍を使った例文
    Aさんは関連会社に転籍になった。
    Bさんは家庭の事情により、実家に近い子会社への転籍を希望している。

    転勤

    転勤とは、同じ企業に所属したまま、別の営業所や支社などに異動になることです。転属とは異なり、同じ会社内の社員のまま、勤務地が変わることを強調している点が特徴です。

    転勤を用いた例文は以下の通りです。

    転勤を使った例文
    Aさんは札幌営業所に転勤した。
    Bさんは大宮工場からつくば工場に転勤することになった。

    出向

    出向とは、もといた会社に籍を置いたまま、子会社や関連会社に勤務先が変更になることです。企業間交流やキャリア形成の一環として実施する人事施策であり、もとの企業との間で雇用関係が維持されます。

    転属と異なるのは、所属する会社が変わる点です。

    出向を用いた例文は以下の通りです。

    出向を使った例文
    Aさんは子会社に出向することになった。
    グループ会社への出向で、新たな知見を身につけた。

    配属

    配属とは、企業が従業員を部署や部門に所属させることです。

    転属が今いる人材の異動をあらわすのに対し、配属は入社したばかりの従業員の所属部署を決める際にも使われます。

    配属は、新しい人材をどこに配置するかという検討プロセスであり、転属とは異なります。配属を用いた例文は以下の通りです。

    配属を使った例文
    新入社員の配属があらかた決定した。
    Aさんは配属ガチャでシステム開発部の所属になった。

    従業員の転属はどのように決まる?

    従業員の転属先を決める方法は、主に「パターンシャッフル制」と「指名制」の2種類に分けられます。それぞれの方法を解説します。

    パターンシャッフル制

    転属のパターンシャッフル制とは、人事部の裁量によって従業員の転属先を決定する方法です。従業員本人の希望にかかわらず、年次や実績、これまでの経験などを加味します。

    ある程度機械的な側面をもつ方法ですが、人事部が独断で転属先を決定することはありません。さまざまな意見や希望を聞いたうえで、本人の適性や能力などを見て、異動案を作成し、関係各所から承認が得られると正式に異動が決まります。

    指名制

    転属の指名制とは、通常行われるパターンシャッフル制とは別に、人材を指名する形で転属を決める方法です。従業員の適性や能力などを見て、人事部が「○○部にはAさんが適任だ」と指名するときもあれば、現場から「ぜひAさんに来てほしい」と直接指名されるときもあります。

    指名制による転属は特別枠のようなもので、実績が高く評価されている人材や、活躍著しい人材が選ばれます。また、所属する部署以外からの評判も、候補者を決めるうえでは重要な要素です。

    転属に関連する人事制度

    転属に関連して、3種類の人事制度について解説します。

    1. 自己申告制度
    2. 社内公募制度
    3. 社内FA制度

    自己申告制度

    自己申告制度とは、従業員に自身の適性や今後の目標などを評価させ、部署や勤務地の変更をともなう転属希望を申告させる制度です。上司や人事部からの客観的な評価と、従業員本人の自己評価を組み合わせることで、より適切な人材配置を実現しやすくなります。

    自己申告制度は、従業員が中長期的なキャリアプランを描くきっかけになります。また上司の評価が適正かどうかを判断する材料としても活用できるでしょう。

    ただし、自己評価と人事評価に差があると、従業員のモチベーション低下につながりかねないため、適切なフィードバックが必要です。

    社内公募制度

    社内公募制度とは、部署や部門が社内で希望者を募り、希望に応じて従業員が自発的に転属を希望できる制度です。社外ではなく、社内に対して行う採用活動と考えるとわかりやすいでしょう。

    社内公募制度は、主に退職や異動による欠員が出たタイミングや、新しいプロジェクトが発足した時期に活用されます。人材を求めている現場と、従業員の自発的な行動によって人材が配置されるため、人的リソースの最適化につながります。

    社内FA制度

    社内FA制度とは、従業員みずから転属を希望する部署に自分を売り込む制度です。

    人材募集に対して転属希望を表明する社内公募制度とは異なり、社内FA制度は募集の有無にかかわらず希望する部署にみずからを売り込むのが特徴です。

    社内FA制度は誰もが自由に転属を希望できるわけではなく、FA権を獲得した従業員のみが利用できます。

    FA権の獲得には、実績や資格などの要件を設定するのが一般的です。そのため、社内FA制度を導入すると、従業員がFA権獲得を目指して日々の業務やスキル向上に前向きに取り組むようになるメリットがあります。

    転属によるメリット

    人事施策の一種として従業員を転属させると、以下のメリットが期待できます。

    • 適材適所の人材配置を目指せる
    • モチベーションが向上する
    • 組織の活性化につながる
    • マンネリ化や属人化を防止できる

    適材適所の人材配置を目指せる

    転属によって、適材適所の人材配置を実現しやすくなります。

    入社前の面接や履歴書の経歴だけでは、人材の適性を正確に判断するのは困難です。入社後、最初に配属した部署が、本人がもっとも輝ける場所とは限りません。最近は配属ガチャという言葉も注目されています。

    入社後の働きぶりや本人の意思などを考慮して配属を決定できれば、パフォーマンスが最大になる適材適所の人材配置を目指せるでしょう。

    モチベーションが向上する

    転属により、自分の適性や希望に合った環境で働けると、モチベーションやエンゲージメントの向上につながります。

    自分に向いている仕事に就いて、個人のやる気が高まると、業務の生産性が高まります。一人ひとりが活躍できると、全体にとっても好影響が期待できるでしょう。

    組織の活性化につながる

    従業員の転属は、組織の活性化にもつながるためメリットといえます。異なる経験を積んだ人材を他部署に投入することで、硬直化を防げるためです。新たな視点を取り入れられ、部署間の垣根を越えて横断的にコミュニケーションが取れるようにもなるでしょう。

    従業員が転属先で、今まで培った知見を活かせれば、アイデアやイノベーションが生まれる可能性も高まります。

    マンネリ化や属人化を防止できる

    転属を実施すると、業務に対するマンネリ化や属人化を防止できます。

    同じメンバーや業務内容を繰り返し長期間続けると、どうしても仕事がマンネリ化しやすくなります。転属により、新しい配置や環境で、ほどよい緊張感を保ちながら働け流のはメリットです。

    さらに転属にともなう引き継ぎの過程で、業務プロセスを標準化する必要があるため、属人化を防ぐ効果も期待できます。 担当者の急な退職や不在による業務の遅れといったリスクも軽減できるでしょう。

    従業員を転属させる際の注意点

    従業員を転属させる際には、以下のポイントに注意しましょう。

    • 事前にヒアリングする
    • 転属の理由を明確に伝える
    • 一時的な生産性低下を考慮に入れる

    事前にヒアリングする

    転属によって適材適所の人材配置を実現するためには、まず現場が求める人材を定義することが大切です。

    部署が抱えている課題や必要とするスキルについて、事前にヒアリングし、最適な人材を選定しましょう。

    また、転属にともない異動後の業務に影響が出ないよう、候補者の現在の所属部署に、ヒアリングする必要もあります。

    転属の理由を明確に伝える

    転属の際には、従業員に新たな配置への異動理由を明確に伝えることが重要です。

    理由が明確でなく、納得できないまま転属をしてしまうと、転属先で前向きに業務に取り組めなくなってしまいます。

    事前に転属先での業務内容に加えて、対象者が選ばれた理由や期待する成果を具体的に伝えましょう。

    一時的な生産性の低下を考慮に入れる

    転属後、従業員が新しい業務に取り組むまでは、一時的に生産性が低下する可能性があります。 新しい環境に適応するためには時間がかかり、教育担当者のサポートが必要です。また、教育担当者の生産性も一時的に下がることも懸念されます。

    転属をスムーズに進めるためには、慣れるまでの期間を考慮し、十分な受け入れ体制を整えることが重要です。

    転属が無効になるケースとは?

    転属は注意して実行しないと、労働者を保護するために、無効になる可能性があります。転属が無効になる主なケースは以下の通りです。

    • 就業規則や雇用契約書に転属について明記されていない
    • 業務上の必要性がない
    • 勤務地や職種を限定した雇用契約を結んでいる

    従業員に転属を命じる権利を「配転命令権」といい、就業規則や雇用契約書に「配置転換を命じることがある」という記載がなければ行使できません。

    配転命令権は、業務上の必要がある場合に限り使えます。何かのペナルティとしての転属や、退職をすすめる目的の転属は認められないと理解しておきましょう。

    また、勤務地限定契約や職種限定契約を結んでいる従業員に対しては、契約で合意した範囲での転属に限られるため注意が必要です。転属の可否や転属先の範囲について、自社のルールを確認しておきましょう。

    意味のある転属を実現するために(まとめ)

    転属とは、所属を変える意味をもつ言葉です。企業では、主に同じ組織内での部署異動を指します。従業員本人の希望や適性に合わせた部署異動は、適材適所の人材配置や本人のモチベーション向上につながります。

    しかし、企業の都合による一方的な転属は、従業員エンゲージメントを低下させかねません。また、無計画に人材を異動させると、転属前・転属後の部署に負担がかかります。

    従業員の転属を検討するときは、本人にあわせて、現場にも十分なヒアリングを行うことが大切です。事前に異動シミュレーションを実施して、転属が本当に望む効果が期待できるものなのか、よく検討しましょう。

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    全体バランスを考慮した異動を支援するタレントマネジメントシステムです。

    異動シミュレーション機能も搭載されており、本人のスキルや経歴を確認しつつ、組織図上で部署内のバランスを考慮しながら、転属を検討できます。

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