力量(りきりょう)の意味とは? 能力との違いや使い方、ISO9001が求める力量管理も解説

力量(りきりょう)の意味とは? 能力との違いや使い方、ISO9001が求める力量管理も解説

「力量」とは、ビジネスシーンだけでなく、さまざまな場面で使われます。しかし、「力量とはどういう意味か」と聞かれると、具体的に説明するのは難しいものです。

そこで本記事では、力量の意味や使い方を例文つきで解説します。人事領域で重要とされる「力量管理」も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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    力量とは?

    力量とは、ものごとを成し遂げるために必要な能力や力の大きさを意味します。また、物理的な力やエネルギーの量を意味する場合もあります。

    力量を用いた例文

    力量を用いた例文には、以下のようなものがあります。

    • 彼には大規模なプロジェクトを成功させるだけの力量があった
    • 彼女の力量を信じて、重要な仕事を任せることにする
    • 自分の力量を高めることで今後のキャリアが広がる
    • 今の力量でも十分こなせる仕事だ

    力量と間違えやすい類語

    力量は、「腕前」や「能力」といった言葉と混同されがちです。力量と間違えやすい言葉の意味や例文を紹介します。

    腕前

    腕前とは、ものごとを巧みに成し遂げる能力や技術のことです。腕前を用いた例文には、以下のようなものがあります。

    • 先日のバーベキュー会では、部長に料理の腕前を披露してもらった
    • あの工務店は、最近職人の腕前が落ちたともっぱらの噂だ

    能力

    能力は、力量とほとんど同じ意味で使われます。しかし、能力が「ものごとを成し遂げる力そのもの」を指すのに対し、力量は「ものごとを成し遂げる力の程度」をあらわす場合が多いでしょう。また、能力は力量とは異なり、人間以外にも用いられます。

    能力を用いた例文には、以下のようなものがあります。

    • Aさんはクラスで最も運動能力が高かった
    • 工場の生産能力を高めるため、新しい設備を導入する必要がある

    人事領域における「力量」

    人事領域における力量とは、従業員が仕事で成果を上げるために知識やスキルを活用する能力を意味します。業務上必要なスキルを習得させ、実務に活かせるよう人材教育を進めるためには、個人の力量を把握することが重要です。

    また、従業員の力量の把握は、適材適所の人材配置にも役立ちます。営業やシステム開発などの業務に求められる知識やスキルを定義し、従業員の力量を可視化して比較すると、パフォーマンスを最大化する人材配置を検討できるためです。

    国際的な基準を定めている品質マネジメント規格ISO9001では、企業に対して従業員の力量を把握し、教育に注力するように求めています。ISO9001が求める「力量管理」については、次項で詳しく解説します。

    ISO9001が求める「力量管理」

    力量管理とは、従業員が持つスキルを把握して、経営や人材マネジメントに活用すること意味で使われます。

    ISO9001では「製品品質に影響がある業務に従事する人の力量を把握し、適切な教育・訓練を実施すること」を要求しています。

    つまり力量管理では、単に個人の力量を把握するだけでは不十分です。企業には力量を上げるための人材育成に注力する必要があります。

    実務で求められる力量は画一的なものではなく、一般的な知識やスキルが通用するとは限りません。力量管理を企業の成長につなげるためには、個人の力量を把握したうえで、人材を配置するとともに、配置したあとも実務に即した力量を上げていくことが重要です。

    力量管理によってもたらされる効果

    力量管理の実践は、企業に以下の効果をもたらします。

    • 最適な人材配置の実現
    • スキルアップの促進
    • 競争力の向上

    力量管理が、組織にどのような影響を与えるのかより詳しく理解するため、それぞれの効果について以下で解説します。

    最適な人材配置の実現

    力量管理によって従業員の力量を可視化すれば、個人の能力や経験に合わせた適材適所の人材配置を実現できます。実際に、人材配置を効率化させるために力量管理を導入する企業は少なくありません。

    最適な人材配置は、業務効率を上げ、労働生産性の向上につながります。適性に合う業務を任せることで、従業員一人ひとりが発揮できるパフォーマンスが向上するためです。

    本人にとっても自分に向いている仕事で成果を出し、周りにも評価してもらえる環境は居心地がよく、離職率の低下にもつながるでしょう。

    ただし、知識やスキルなどの能力面だけで配属先を決定すると、従業員のモチベーション低下を招く恐れがあります。業務への適性だけでなく、本人の意向も配慮して配属先を決めることが大切です。

    スキルアップの促進

    力量管理を実施すると、各従業員の「できること」「できないこと」が可視化されます。

    個人が保有する知識やスキルなどの「できること」が明らかになるのと同時に、不足している能力や経験などの「できないこと」が明らかになります。すると、一人ひとりの力量に合わせた配置転換や研修が可能になり、スキルアップの促進につながるでしょう。

    力量管理は個人の資質を伸ばすだけでなく、不足している部分を補うためにも活用できます。

    また、力量管理は、従業員本人の自己理解を深めることにもつながります。自分ができること・できないことが明らかになれば、今後のキャリアプランを描きやすくなるでしょう。

    競争力の向上

    力量管理によって適切な人材育成・人材配置や生産性の向上、スキルアップの促進などを実現できれば、企業としての競争力を高められます。

    個人の適性に合わせた教育訓練や配属先の決定により能力が向上すれば、企業全体の生産性が向上するためです。

    結果的にサービスや商品の品質・価値も自然と高まり、競合他社に差をつけることができます。

    また、企業が目指すゴールに対して、現状で何が・どの程度不足しているのかを逆算し、不足を補うための判断ができます。長期的な経営戦略・人材戦略を立てるうえでも、従業員の力量把握は重要です。個人の知識やスキルを可視化できると、資本である従業員に最大限活躍してもらえるでしょう。

    力量管理の基本要素

    アメリカの経済学者であるロバート・リー・カッツ氏は、力量管理には「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つの要素が含まれるとしています。

    力量管理が企業の成長と競争力向上に重要であることを理解するために、それぞれどのようなスキルを指すのか、以下で詳しく解説します。

    テクニカルスキル

    テクニカルスキルとは、業務を遂行するために必要な能力です。

    たとえば事務職には、WordやExcelなどの基本的な操作スキルや、パソコンスキルなどが求められます。また、海外の顧客とコミュニケーションをとる場合は、語学力が必要です。

    テクニカルスキルは、経験や学習により習得が可能です。先輩や上司に質問しなくても自分1人で業務をこなせる状態であれば、該当する業務のテクニカルスキルがあるといえるでしょう。

    ヒューマンスキル

    ヒューマンスキルとは、円滑なコミュニケーションや良好な人間関係の構築に必要な能力です。「相手の考えを理解する」「自分の考えを伝える」など、相互のコミュニケーションを促す能力を指します。

    部署や業務内容にかかわらず、ヒューマンスキルは多くのビジネスパーソンにとって必須のスキルといえるでしょう。

    コンセプチュアルスキル

    コンセプチュアルスキルとは、ものごとの本質を見極めて概念化する能力です。

    概念化とは、複数の事象において共通する性質や本質を見つけ出し、体系的に構築することです。たとえば、複数の成功事例から共通の要素やパターンを導き出し、自社の経営戦略に活かすためには概念化の能力が不可欠といえます。

    コンセプチュアルスキルを高めるためには、論理的思考力や、ものごとを全体的に見る力が求められます。

    力量管理表(スキルマップ)の作成手順

    力量管理表(スキルマップ)とは、従業員個人の能力や保有資格情報などをまとめた記録のことです。力量管理表は、次の手順で作成します。

    1.目的設定

    まずは、力量管理表を作成する目的を明確にします。人材育成に役立てる場合と、営業活動に役立てる場合とでは、必要な評価項目が異なります。

    2.対象範囲の設定

    次に、評価の対象範囲を設定します。最初は特定の部門に的を絞り、運用に慣れてきたら対象範囲を広げていきましょう。

    3.評価項目の選定

    力量管理表に記載する評価項目を選定します。現場の意見も取り入れながら、できるだけ細かく洗い出しましょう。

    4.評価基準の設定

    力量を評価する際の基準を設定します。評価の段階数と達成基準を決めることが大切です。

    抽象的すぎると評価軸が揺らぎやすく、反対に具体的すぎると評価にかかる労力が増してしまうので、客観的かつ簡潔な基準を設定しましょう。

    5.評価者の選定

    上長やリーダーなど、従業員の力量を評価する人物を選定します。ほかの業務に影響を与えないよう、配慮が大切です。力量を客観的に評価するため、特定の人物を評価者に定める場合もあります。

    6.フィードバック

    試験的に運用を開始し、評価者からのフィードバックをもとに改善します。評価しづらい点や、基準が不明確な項目がないか確認してもらいましょう。

    力量管理で一人ひとりに適した人材育成へ

    力量とは、ものごとを成し遂げるために求められる能力や力の大きさのことです。人事領域においては、主に業務を遂行するために必要なスキルを指します。

    従業員の力量管理は、適切な人材育成・人材配置やスキルアップの促進、企業の競争力向上にもつながります。力量管理には力量管理表(スキルマップ)を用いるのが一般的ですが、タレントマネジメントシステムの活用により、効率的に従業員の力量を可視化できます。

    タレントマネジメントシステムとは、力量に限らず、多岐にわたる人材情報の一元管理により、可視化されたデータを人事施策に役立てるシステムです。

    一人ひとりの力量を可視化して、計画的な人材育成や適材適所の人材配置を実現し、組織の成長につなげましょう。

    従業員の力量を可視化|One人事[タレントマネジメント]

    One人事[タレントマネジメント]は、従業員のスキルや経歴などを一元管理して、力量を可視化するツールです。適性に合った配置や現状の力量レベルをもとにした人材育成を実現いたします。

    人手不足が続く日本では、力量の可視化により、従業員一人ひとりに最大限の力を発揮してもらう考え方が重要となっています。

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