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コンセプチュアルスキルとは?高め方や構成要素をわかりやすく解説

コンセプチュアルスキルとは、物事の本質を見抜ける能力のことです。先行きが不透明で、未来の予測も困難な「VUCA時代」において、重視すべきスキルとして注目を集めています。トップマネジメント層に特に求められるスキルなので、コンセプチュアルスキルを高める方法も知っておきたい人もいるでしょう。

そこで本記事は、コンセプチュアルスキルの概要や高め方なども解説します。

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    コンセプチュアルスキルとは

    コンセプチュアルスキルとは、さまざまな事象について本質を見極められる能力のことです。ハーバード大学教授のロバート・カッツ氏によって提唱されました。

    コンセプチュアルスキルは、不明瞭な状況でも本質を見抜く能力であり、「概念化能力」とも言い換えられます。

    概念化とは

    概念化とは、概念(=おおまかな内容)を言葉や図などによってまとめあげることです。

    物事を概念化するとは、まとまりがない事象の中に「共通点」を発見できることでもあります。また、各事象の根底にある問題の把握にも役立つとされています。

    企業の人材育成を支援する教育企業「株式会社リスキル」では、コンセプチュアルスキルが必要になった背景について解説されています。

    参照:『コンセプチュアルスキルの高め方を解説【目の前の事象を明確にする】』株式会社リスキル

    コンセプチュアルスキルのモデル

    コンセプチュアルスキルが注目されるようになったのは、2つのモデルがきっかけとされています。カッツモデルとドラッカーモデルです。

    カッツモデル

    カッツモデルは、ハーバード大学教授のロバート・カッツ氏が提唱したビジネスモデルです。カッツモデルでは、役職別にコンセプチュアルスキル、ヒューマンスキル、テクニカルスキルが必要な割合を図にしています。

    カッツモデルにおいてコンセプチュアルスキルは、あいまいな内容を概念化するスキルです。上位の役職になるほど必要度が高まり、特にトップマネジメント層に求められるとされています。トップマネジメント層は、マニュアルが存在しない不明瞭な事象も、まとめあげる必要に迫られることがあるためです。

    そしてヒューマンスキルは、他者と円滑な人間関係を築けるスキルです。相手の特徴を把握し適切に対応する「コミュニケーション能力」や、双方の合意点を見つけられる「交渉力」などが含まれます。

    さらにテクニカルスキルは、業務遂行に必要な能力や知識のことです。担当業務を行う際に、必要なスキルだといえます。マニュアル通りに進められる「定型業務能力」や、必要な情報を集められる「情報収集能力」などが含まれます。

    カッツモデル

    コンセプチュアルスキルを説明するモデルの2つ目は、ドラッカーモデルです。
    ドラッカーモデルとは、カッツモデルを基準につくり出されたビジネスモデルです。オーストリアの経済学者・ピータードラッカー氏が提唱しました。

    ドラッカーモデルにおいてコンセプチュアルスキルは、すべての役職・一般社員に同じ割合で必要とされています。トップマネジメント層にいくにつれて必要とされるカッツモデルとは異なる点です。

    現代のような環境の変化が激しい時代では、すべての社員に自発性や柔軟性が欠かせません。一人ひとりに求められる課題が多様化し、さまざまな仕事に対して調整力や決断力が求められます。マニュアルがない仕事も多いです。そのため、コンセプチュアルスキルは役職問わず必要なスキルだとされているのです。

    また、ロワーマネジメント層の下に「ナレッジワーカー(知的労働者)」が追加されている点もドラッカーモデルの特徴です。

    コンセプチュアルスキルの構成要素一覧

    コンセプチュアルスキルは、トレーニングすれば高めることもできます。まずはコンセプチュアルスキルの構成要素を理解しましょう。

    以下に「コンセプチュアルスキルの構成要素」の一覧をご紹介します。

    コンセプチュアルスキル一覧【10の構成要素】
    ロジカルシンキング論理的思考。
    物事を主観ではなく、フレームワークで考えられるスキル。
    クリティカルシンキング発生した事象や課題に対し、批判的に考えられるスキル。
    既成概念にしばられず、客観的に物事を捉えられる。
    ラテラルシンキング常識や過去にとらわれず、自由な考えができるスキル。
    新たなアイデアの発想などに寄与する。
    多面的視野発生した事象に対し、多方面からアプローチできるスキル。
    壁にぶつかった際の打開策や、物事の本質を見極めるのに必要な能力。
    俯瞰(ふかん)力物事を全体として捉えられるスキル。
    自分や組織の置かれた状況を把握し、ベストな選択をするのに役立つ。
    知的好奇心新しい物事を受け入れたうえで、知識を得られるスキル。
    広い視野の保持につながり、多くの可能性が期待できる。
    探究心物事を深く理解すべく、調査や分析を行えるスキル。
    本質を見抜くきっかけにもなる。
    受容性自分と異なる価値観や特性も受け入れられるスキル。
    相手の意見に耳を傾けられるため、双方にとってよい結果を導ける。
    柔軟性予想外の出来事にも、臨機応変に対応できるスキル。
    自分の常識から抜け出すきっかけにもなる。
    先見性目の前の事象にとらわれず、数年後を踏まえて行動できるスキル。
    短絡的な行動をとらず、広い視点で物事を見極められる。

    コンセプチュアルスキルが高い人の特徴

    コンセプチュアルスキルが高い人には、共通する特徴があります。自社の従業員に備わっているか、チェックしてみるのもいいかもしれません。

    会話の内容がわかりやすい

    コンセプチュアルスキルが高い人は、物事の本質を見極められるため、わかりやすい会話を展開できる傾向にあるようです。また、論理的思考力にも長けていることから、話の筋も通っており、聞いている人を納得させられます。

    効率的に仕事を進められる

    コンセプチュアルスキルが高い人は、仕事に取り掛かる際に「この仕事に必要なことは何か」や「どうすれば早く終わるか?」を考えます。仕事の本質を見極めているようです。

    仕事の本質がわかったうえで仕事を進めると、最適な方法の選択ができるでしょう。仕事を効率的に進められるうえに、会社の業績にも貢献する人材であることが多いです。

    さまざまなアイデアを思いつく

    コンセプチュアルスキルが高い人は、固定概念にとらわれず自由に発想ができるので、さまざまなアイデアを思いつく傾向にあります。そのうえ、自由な発想をする際にも、物事の本質を捉える点は忘れていません。

    コンセプチュアルスキルを高めるメリット

    社員のコンセプチュアルスキルを高めると、企業にとってもさまざまなメリットが得られるでしょう。

    物事の本質的な解決ができる

    コンセプチュアルスキルを高めると、物事の本質を見抜く力が身につき、企業課題に対しても本質的な解決が目指せるでしょう。

    表面だけの解決に終始すると、問題が再発してしまうかもしれません。問題の早期解決により、問題が複雑化する前に対処できるでしょう。

    組織にイノベーションが起きる

    コンセプチュアルスキルを高めると、固定観念や古いやり方にとらわれず、あくまで本質的に物事を考えられます。前述したように、自由な発送でアイデアが生まれやすくなるので、新たなサービスやビジネスモデルにつながるイノベーションを起こしやすくなるでしょう。

    新たな価値を生み出し、社会にインパクトを与えることができるのは、企業にとっても大きなメリットといえます。

    社員のパフォーマンスが向上する

    コンセプチュアルスキルの高い社員は、もともと高いパフォーマンスを発揮している傾向にあります。物事を論理的に捉えられ、業務の効率的な進め方がわかっているようです。

    またコンセプチュアルスキルの高い社員は、自身の役割に対する理解も深いです。求められる役割に応じて適切に行動しているので、組織の全体のパフォーマンスに貢献できる点もメリットといえます。

    リスク回避ができる

    コンセプチュアルスキルの高い人は、知的好奇心や広い視野で見る力を活かして、他者が気づきにくい危険を早期に発見できます。市場のトレンドや最新の法改正などの知識も結びつけて考え、リスクを回避できるので、企業全体のリスク回避につながるでしょう。

    コンセプチュアルスキルの高め方

    企業は社員のコンセプチュアルスキルを高めるには、以下のポイントを意識するといいでしょう。

    物事を抽象化させる

    コンセプチュアルスキルは、「抽象的な内容」と「具体的な内容」を行き来し、物事の本質を見極めるスキルです。そのため、物事の「抽象化」について理解する必要があります。

    抽象化とは、ある物事に対し注目すべき要素を抜粋し、ほかはそぎ落とす手法です。余計な要素をなくすことで、物事の本質が見えやすくなります。

    物事を具体化させる

    コンセプチュアルスキルを高めるには、物事の具体化がポイントとなります。物事の具体化は、特に物事を伝えるうえで役立ちます。物事の具体化とは、「抽象的な内容」を「詳細な内容」に変換することです。

    「言葉の定義」の重要性を認識させる

    言葉の定義の重要性を認識させることも、コンセプチュアルスキルを高めるポイントの一つです。言葉の定義が明確でないまま話や思考を展開すると、「会話がかみ合わない」や「思考がまとまらない」という結果になってしまいます。

    コンセプチュアルスキルの育成方法

    企業が社員のコンセプチュアルスキルを育成するにはどのような方法があるでしょうか。主なものをご紹介します。

    言葉を定義させる

    コンセプチュアルスキルを高めるには、普段から言葉を定義させる習慣をつけることが役立ちます。

    たとえば、上司と部下の日々の業務の話し合いで、違和感を覚えた際にスルーしないことが重要です。言葉の定義について認識にずれがないよう、すり合わせをしましょう。

    また、日頃から「○○とは××である」と言葉の定義を言語化する練習をさせるのも一つの方法です。たとえば「営業とは?」について「ものやサービスを売ること」や「お客様の課題を解決すること」など、定義するのです。

    抽象的なものを具体的にあらわす

    コンセプチュアルスキルには、抽象的なものを具体的にあらわす力を含んでいます。一例として以下のような質問を投げかけ言語化することが、トレーニングになるでしょう。

    • この業務の目的は何?
    • 先方から契約を獲得するには、何を重視すべきか?

    ささいなことで構わないため、コツコツと続けるとよいでしょう。

    まとめ

    コンセプチュアルスキルは、物事の本質を見極めるのに必要な能力です。未来の予測も不能な「VUCA時代」において、多くの企業が重視するようになりました。自社の社員のコンセプチュアルスキルを高めたい場合、まずは社員のスキルレベルの把握から始めるといいでしょう。

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