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コーピングとは? 意味と3種類のやり方、リストの作り方、ストレスへの対処行動の例

コーピングとは、ストレスに対処するための行動を指すメンタルヘルス用語です。従業員が心身ともに健康な状態で働くために覚えておきたい行動であり、社内研修に取り入れることでパフォーマンス向上が期待できるでしょう。

本記事では、コーピングに関する概要や具体的な実践方法を解説します。

コーピングとは? 意味と3種類のやり方、リストの作り方、ストレスへの対処行動の例
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    コーピングとは

    コーピングとは、ストレスを感じた際に対処するための行動を指します。コーピングの主な目的は、ストレス要因の解決、もしくは負担を減らすことです。

    「対処する」「対応する」という意味を持つ英語の「cope」から派生した言葉で、アメリカの心理学者リチャード・ラザルス氏によって提唱されました。

    ストレスコーピングとは

    ストレスコーピングとは、ストレスへの対処法を知り、ストレス反応を緩和させることです。

    ストレスの基(ストレッサー)にうまく対処しようとすることを、ストレスコーピングといいます。
    ストレッサーによって過剰なストレスが慢性的にかかると心身へのさまざまな悪影響が考えられるため、健康を維持するにはうまくストレスコーピングすることが必要になります。

    引用:『ストレスコーピング(すとれすこーぴんぐ)』厚生労働省 e-ヘルスネット

    ストレスコーピングを実践すれば、ストレスを発散できたり、イライラしにくくなったりすると考えられています。ストレスと上手に向き合うことは、職場でのストレス対策にも役立つでしょう。

    防衛機制との違い

    防衛機制とは、ストレスを感じた際に、自分を守るために本能的に働く防衛反応のことです。コーピングは意識的に行われるのに対し、防衛機制は無意識に行われるのが大きな違いです。

    ビジネスで重要視されている背景

    ストレスコーピングが重要視されるのには、仕事でのストレスを抱えている人が多いという背景があります。

    厚生労働省が実施した『令和4年労働安全衛生調査』によると、仕事や職業生活に関することで強いストレスを感じている労働者の割合は82.2%であるとわかりました。

    ストレスがかかった状態では、パフォーマンスの低下や心身の不調を招いてしまう恐れがあるため、コーピングが果たす役割は非常に大きいといえます。

    参照:『令和4年労働安全衛生調査(実態調査)』e-Start政府統計の総合窓口

    なぜ人はストレスを感じるのか?

    ストレスとは、心や身体に対して、外部から強い圧力や負担を受けた際に生じる緊張状態のことです。ストレスの原因となる外的刺激をストレッサー、ストレッサーに対する心身の反応をストレス反応といいます。

    人によってストレスに感じる事柄は異なるため、何に対してストレスを感じやすいかを自覚することが重要です。

    ストレッサーの種類

    ストレッサーには、大きく分けて次の3つのタイプが存在します。

    生理的・肉体的ストレッサー

    生理的・肉体的ストレッサーとは、生理的状況の変化によってもたらされるストレス要因です。主に、次のようなものが該当します。

    生理的・肉体的ストレッサーの具体例
    ・疲労
    ・不眠
    ・健康障害
    ・感染症

    物理・化学的ストレッサー

    物理的ストレッサーとは、温度や音、光などの物理的な環境刺激のことです。また、化学的ストレッサーとは、化学物質や有害物質による刺激を指します。

    物理的ストレッサーの具体例
    ・暑さや寒さ
    ・騒音
    ・ブルーライトによる刺激
    化学的ストレッサーの具体例
    ・公害物質
    ・薬物
    ・金属
    ・アルコール
    ・タバコ

    心理・社会的ストレッサー

    心理的ストレッサーとは、個人的な状況がもたらすストレス要因のことです。また、社会的ストレッサーとは、社会環境によってもたらされるストレス要因を指します。

    心理的ストレッサーの具体例
    ・緊張や不安
    ・悩み
    ・怒り
    社会的ストレッサーの具体例
    ・経済状況の変化
    ・人間関係
    ・仕事に対する責任

    現代人におけるストレスは、心理・社会的ストレッサーに該当するケースが多く見られます。

    ストレスコーピング理論について

    コーピングを提唱した研究者のリチャード・ラザルス氏が定義したストレスコーピング理論は、ストレス研究の基本となる考え方です。「ストレスの状況に直面した時点からどのように対処するか」という仕組みを説明する心理学のフレームワークとして、活用され続けています。

    ストレスコーピング理論では、ストレッサーとストレスをそれぞれ自覚・認識したうえでコーピングをすることが重要とされています。

    1.ストレッサーの自覚(一次的認知評価)

    一次的認知評価は、ストレッサーをストレスかどうか判断するプロセスです。ストレッサーが自分に対して有害だと判断した場合は「ストレスフル」の状態にあると認識します。

    2.ストレスの自覚(二次的認知評価)

    二次的認知評価は、一次的認知評価で認識したストレッサーへの対処法を検討するプロセスです。

    具体的には、次の2つの内容を確認します。

    結果期待ストレッサーへの対処法を把握しているか
    効力期待対処法は実現できそうか

    これら2つが不可能だと感じた場合、より一層ストレスが強まってしまうため注意が必要です。

    3.ストレス反応

    ストレス反応とは、ストレッサーを認知することで生じる反応を意味し、次の3つに分類されます。

    身体的反応頭痛や不眠、湿疹 など
    心理的反応不安感や活気の低下、イライラする など
    行動的反応暴飲暴食やひきこもり、仕事でのミスが増える など

    ストレス反応を放置すると?

    ストレスを解消しないまま放置してしまうと、心身にさまざまな悪影響を及ぼします。

    やる気や活力の低下、体調不良が引き起こされると、本来の能力を発揮できなくなってしまうでしょう。さらに、過食やアルコール依存などの行動につながり、最悪の場合は命にかかわる重大な病を発症してしまう恐れもあります。

    コーピングを活用して、上手なストレスとの付き合いやストレスマネジメントを学ぶことが重要です。

    3種類のコーピング方法と具体例

    代表的な3つのコーピング方法を紹介します。

    問題焦点型はストレッサーに対処する

    問題焦点型コーピングとは、自分の努力や周囲の協力によって問題を解決できるよう取り込む行動のことです。ストレスの根本を取り除き、ストレスフルな状態から抜け出すことを目的としています。

    問題焦点型の具体例
    ・ストレスの原因となっている人間関係や環境と距離を置く
    ・自分で解決法について調べる

    さらに、問題焦点型の一つである「社会的支援探索型コーピング」は、周囲に助けを求めるコーピング手法です。つらい気持ちに共感してもらうことで、精神的なストレスが緩和されるでしょう。

    情動焦点型はストレス感情に対処する

    情動焦点型コーピングとは、問題そのものにフォーカスするのではなく、自分自身の感情にフォーカスする方法です。

    情動焦点型の具体例
    ・気持ちが落ち込むようなことはなるべく考えない
    ・気分を高めるために楽しいことをする

    情動焦点型は、大きく分けて次の2つに分類されます。

    認知的再評価型周囲の人に聞いてもらうことで問題の認識を改める方法
    情動処理型問題のとらえ方を見直して、意識を変える方法

    このように、感情をコントロールしてつらい気持ちを変化させたり、解消させたりできれば、ストレスと上手に付き合えるでしょう。

    ストレス解消型はストレスから距離を置く

    ストレス解消型コーピングとは、ストレスを感じたあとにストレスを発散・解消する方法です。ストレス解消型には、次の2つがあります。

    気晴らし型好きなことや趣味を通して気分転換を行い、ストレスを解消する方法
    リラクゼーション型アロマテラピーや瞑想などでリラックスし、ストレスを解消する方法

    自分がリフレッシュできる行動や環境を把握することで、即座にストレスを緩和できるでしょう。

    ストレスコーピングの実践的なやり方

    ストレスコーピングの実践方法を4つ紹介します。

    ストレス反応をモニタリングする

    ストレスを自覚した際に、自分がどう感じたかをモニタリングする方法です。体にどのような反応が出たか、どのくらいの強さでストレスを感じたかを冷静に観察しましょう。

    輪ゴム法を取り入れる

    輪ゴム法とは、ストレスを感じた際に手首につけた輪ゴムを引っ張り、痛みをきっかけにストレス状態から断ち切るようトレーニングする方法です。意識的に気分転換ができるようになり、心身の負担も軽減できるでしょう。

    クリップ法を取り入れる

    クリップ法とは、ネガティブな気持ちに気づいた際に、持っているクリップを別の場所に移動させる方法です。通常では行わない動作を取り入れることで、思考を認識させて感情をコントロールしやすくなります。

    コーピングリストを作成する

    ストレス軽減・解消法をまとめたコーピングリストを作成するのもおすすめです。コーピング方法を可視化することで、普段から意識して行動しやすくなるでしょう。

    コーピングリスト・レパートリーの例

    コーピングリストを作成する際は、次のようなレパートリーを参考にしてください。

    • コーヒーを飲む
    • 外の空気を吸う
    • 日光を浴びる
    • 好きなものを食べる
    • 本を声に出して読む
    • マッサージに行く
    • 頭皮マッサージをする
    • 半身浴をする
    • 部屋やデスク周りの掃除をする
    • 断捨離をする
    • 家族や友達に電話をする
    • 自分を褒める

    自分に合ったやり方で、ストレスのセルフケアに取り組みましょう。

    ストレスコーピング役立つ人事施策

    ストレスコーピングに役立つ6つの人事施策を紹介します。

    コーピング研修の開催

    心理的なトレーニングは意識的に行わないと身につかないため、定期的にコーピングに関する研修を開催することが大切です。人材育成研修のなかにコーピングを取り入れて、社員が安心して働ける環境を整備しましょう。

    1on1ミーティングの定期的な実施

    1on1とは、部下の成長を目的に、上司と部下が定期的に行う1対1の面談のことです。面談では上司から話すのではなく、部下からの話を聞くのが特徴です。

    部下が抱えている問題や感情を整理し、前向きな気持ちにシフトできれば、ストレスの軽減につながります。

    メンター制度の導入

    メンター制度とは、若手社員に対し、社歴の近い先輩社員が助言する制度のことです。何かあった際に相談できる人を明確にすることで、若手社員は不安や不満を解消しやすく、問題やストレスがあった場合も早い段階で適切に対処できます。

    ほかに、若手社員が先輩社員のメンターとして助言する「リバースメンタリング」も、コーピングの手法として注目されています。先輩社員が苦手とするデジタルスキルや若い世代の価値観を教えることで、社員同士のコミュニケーションが活性化すると期待されているのです。

    相談窓口の設置

    専門家による相談窓口を設置するのも、おすすめの人事施策です。専門知識や技術を駆使して受け入れてくれる体制が整っていれば、社員は安心して相談できるでしょう。

    専門家からのアドバイスによって新たな気づきが得られ、問題への認識を改めることにもつながります。

    社内環境の整備

    社員の要望を採用した社内環境整備により、ストレス軽減につながるケースもあります。業務に集中したい場合の専用スペースを設けたり、職場の温度設定を徹底したりなど、社員の声を参考にしながら業務に集中できる環境を整えましょう。

    社内コミュニケーション活性化

    同じ職場の人との会話や食事を通して、社内のコミュニケーションを活性化することも重要な働きかけの一つです。和やかな雰囲気の職場であれば、ストレスを過剰に抱える前に解消できる環境が整うはずです。

    ストレスコーピングで気をつけたいこと

    ストレスコーピングを実践するうえで注意すべき点は、次の3つです。

    • 自身の置かれている状況を把握する
    • 主体的に問題を解決するという意識を持つ
    • 効果が感じられるコーピング手法を選択する

    より効果的にコーピングを実践するためにも、上記のポイントを意識してください。

    コーピングを取り入れてストレスマネジメントを強化(まとめ)

    同じストレッサーを経験したとしても、ストレスに感じるかどうかは人によって異なり、ストレス反応もさまざまです。ストレスや問題をよい方向に転換させるためには、企業全体でコーピングに対する理解を深め、実践していく必要があります。

    本記事で紹介した内容を参考にしながら、自社に適した取り組みを検討しましょう。

    従業員のコンディション把握にタレントマネジメントシステム

    企業として、従業員の不調を未然に防ぐことはとても大切です。常日頃から人材データを集約し、従業員のコンディションチェックを行っていくためにも、タレントマネジメントシステムの導入を検討しましょう。

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