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目標を数値化するコツ【具体例】できない場合の方法と設定のメリットも解説

目標の数値化は、達成への道筋を明確にする手法です。しかし、なかには「自分の業務では目標を数値化するのが難しい」「どのように数値化すればよいかわからない」と悩む人もいるのではないでしょうか。

本記事では、目標を数値化するコツや数値化が難しい業務における目標の立て方などを解説します。数値化するメリットと注意点などを踏まえながら、具体的な目標を設定してみましょう。

目標を数値化するコツ【具体例】できない場合の方法と設定のメリットも解説
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    目標の数値化とは

    目標の数値化とは、目標達成の指標を具体的な数値で示すことです。たとえば「従業員の離職を減らす」という漠然とした目標ではなく「従業員の離職率を前年比マイナス◯%を目指す」とします。

    数値化することで、以下のメリットがあります。

    • 目標の進捗状況が明確になる
    • チーム全体が共通の目標を理解しやすくなる
    • 従業員間での認識の差異が生じにくくなる
    • 目標達成の評価が容易になる

    一方、漠然とした目標では、進捗状況を把握したり、チーム全体で共有したりすることが困難になり、目標達成の評価も曖昧(あいまい)になってしまいます。

    目標を達成するためには、まず具体的な数値で目標を明確にすることが重要です。

    目標を数値化する意味は? 5つのメリット

    目標を数値化することにどのような意味があるのでしょうか。得られるメリットからその意味を解説します。

    • 達成に向けた行動が明確になる
    • 進捗が追跡できる
    • モチベーション向上につながる
    • 客観的に評価できる
    • 途中で修正ができる

    達成に向けた行動が明確になる

    数値化された目標は具体的であるため、それに基づいて必要な行動や戦略を明確にできます。

    たとえば「月末までに10%の売り上げ増加を達成する」という数値目標があれば、営業チームは具体的な営業活動や顧客獲得策を計画しやすくなります。

    進捗が追跡できる

    数値化により、目標の進捗状況を定量的に把握できます。定期的な進捗確認や報告により、目標達成に向けた進捗状況が明確です。

    もし、進捗に遅れが見えるようなら数値に基づいたアクションプランを再調整できます。

    モチベーション向上につながる

    数値化された目標は達成感や成功体験を生み出し、従業員のモチベーションを高めます。明確な目標があれば「あとどのくらい努力が必要か」がわかりやすくなります。

    また、目標を達成できたことも明らかになるため、従業員は自身の努力が実を結ぶことを実感しやすくなり、次の段階へのモチベーションを高められるでしょう。

    客観的に評価できる

    数値化された目標は主観的な意見や解釈に左右されません。努力の結果が数字にあらわれ、目標達成の基準が明確になるため、従業員の成果や貢献を客観的に評価できます。

    また、目標未達の場合でも数値化されていれば、努力したかどうかもわかりやすくなります。

    途中で修正ができる

    数値化された目標は、進捗状況や環境の変化に応じて修正や調整が可能です。進捗の遅れや予想外の課題が発生した場合、数値目標を修正することで、達成可能な目標を再設定できます。

    漠然とした目標を数値化する具体例

    漠然とした目標を数値で具体化する例を、職種別やシチュエーション別に紹介します。

    • 営業事務
    • 接客業
    • 経理
    • 社内コミュニケーション
    • 人事
    • 労務
    • 人材育成

    営業事務

    漠然とした目標顧客対応の効率を上げる。
    数値化した目標顧客からの問い合わせに対して、
    平均応答時間を現在の◯時間から◯時間以内に短縮する。

    接客業

    漠然とした目標顧客満足度を向上させる。
    数値化した目標顧客満足度調査のスコアを現在の平均◯点から◯点以上に向上させる。

    経理

    漠然とした目標財務報告の正確性を高める。
    数値化した目標財務報告における誤差を現在の◯%から◯%以下に減少させる。

    社内コミュニケーション

    漠然とした目標チーム内のコミュニケーションを改善する。
    数値化した目標定期的なチームミーティングの実施を月1回から週1回に増やし、
    チームメンバーのプロジェクトへの貢献度の自己評価スコアを
    現在の平均◯点から◯点以上に向上させる。

    人事

    漠然とした目標ダイバーシティを促進する。
    数値化した目標管理職層における女性の割合を現在の◯%から◯%以上に増加させる。

    労務

    漠然とした目標労働時間を適正に管理する
    数値化した目標残業時間を現在の月平均◯時間から◯時間以内に削減する

    人材育成

    漠然とした目標従業員のキャリア開発を支援する。
    数値化した目標中堅管理職を対象としたリーダーシップ研修を年間に◯回実施し、
    参加率を◯%以上にする。

    目標の数値化が難しい業務・できない理由

    目標の数値化はさまざまなメリットがありますが、すべての業務目標を数値にあらわせるわけではありません。

    とくに、管理部門における目標の数値化は難しいといわれています。管理部門は会社全体のサポート役を担い、具体的な数値での成果測定が難しいためです。

    たとえば、人事部門の目標として「従業員の満足度向上」を設定する場合、満足度は主観的な要素が大きく、客観的な数値で表現するのは簡単ではありません。同様に、経理部門の目標として「業務の効率化」を設定する場合、効率化の程度を具体的な数値で表現することは難しいでしょう。

    管理部門の業務は中長期的な視点で行われることが多く、短期的な数値目標の設定が難しい場合もあります。外部要因や予測不能な変化が多いことも、目標の数値化が難しいといわれる理由に挙げられます。

    目標を数値化する方法|5つのコツ

    目標の数値化が難しいといわれる管理部門の業務も、コツを押さえることで実行できる場合があります。

    • 目標の達成状況を定義する
    • 達成までの必要な行動を考えてみる
    • 回数や活動頻度、時間、期限、過去に着目する
    • 理解度や達成度のランクを設定する
    • アンケートやテストを実施する

    目標の達成状況を定義する

    目標を数値化するには、まず「何がどうなれば達成なのか」を定義することが大切です。単に「従業員の満足度を向上させる」といった目標では、実際の満足度向上が測れません。

    具体的に「従業員満足度調査のスコアを平均◯点以上にする」といったゴールを定義しましょう。社内にどのような影響を与えるかという視点を持つと目標を数値化しやすくなります。

    達成までの必要な行動を考えてみる

    目標達成に必要な行動を考えてみましょう。たとえば従業員満足度の向上を数値化する場合、具体的な活動や取り組みを目標として設定します。

    ・従業員満足度調査を半期ごとに実施する
    ・個別面談を四半期ごとに行う
    ・社内向けの改善提案を月に2回募集する

    上記のようにプロセスやアウトプットに焦点を当てると数値化しやすいでしょう。

    ただし、活動だけに注目しすぎると、単なる「やることリスト」になってしまい、効果が薄れる可能性があります。そのため、数値化された成果目標との調和を保つ必要があります。

    回数や活動頻度、時間、期限、過去に着目する

    目標を数値化する際には、達成までに必要な回数や活動頻度、時間的な制約、期限などを考慮します。過去の実績や経験をもとに、現実的かつ具体的な数値目標を設定します。

    このとき、あまりにも無謀な数値目標を立てたり、簡単すぎる数値目標を立てたりすることがないように注意が必要です。100〜120%程度の努力で達成できるかどうかを指標に設定しましょう。

    理解度や達成度のランクを設定する

    数値化しにくい目標は、達成度や理解度を示すランクを設定することで具体化できます。

    たとえば、育成研修の習熟度を目標にした場合、研修終了後にアンケートを実施し「大変満足」「満足」「普通」「不満」「大変不満」など5段階程度のランクを設定します。

    そうすると「育成研修の習熟度において、参加者◯%からの『満足以上』を獲得する」といった数値目標が立てられます。

    アンケートやテストを実施する

    顧客満足度など、社内で評価できない目標に関しては、アンケートを実施するのも有用です。

    たとえば、購入者アンケートを実施し、自社サービスやサポートを評価してもらうことで、目標を数値化できます。社内研修の理解度を測る場合も、対象の従業員にテストを実施し、そのスコアを基準にした目標を設定できるでしょう。

    目標の数値化の注意点

    目標の数値化を行う際、次の3点に注意しましょう。

    • 数値以外の指標にも目を向ける
    • 数値目標以外の業務をおろそかにしない
    • 数値目標を適切に管理する

    数値以外の指標にも目を向ける

    目標の数値化は重要ですが、数値ばかりに頼ってしまわないように注意が必要です。

    会社が数値でしか従業員を評価しないために、数値目標を達成に向けて各々が自己中心的な行動をとると、エンゲージメントの低下や不正が起こりやすくなります。

    状況が悪化すれば、離職率が高まったり、ステークホルダーから信頼を失ったりする可能性もあるでしょう。数値では測れない指標にも目を向けることが大切です。

    数値目標以外の業務をおろそかにしない

    数値目標の追求に集中しすぎると、それ以外の業務や重要な活動がおろそかになる人もいます。

    たとえば、人事部門において従業員のスキル向上や組織文化の育成は数値では測りにくい施策ですが、企業の長期的な成長には不可欠です。数値目標とバランスを取りながら、全体的な業務管理が求められます。

    数値目標を適切に管理する

    目標の数値化するだけで、終わりにしないように注意しましょう。目標はあくまでもゴールまでの指標です。達成に向けた計画や実行、定期的な振り返りと評価が重要です。数値目標を設定したあとも、その進捗状況を把握し、必要に応じて調整や改善を行いましょう。

    また、数値目標の達成だけでなく、その背後にある意義や目的を理解し、組織全体が共通認識を持つことも忘れてはいけません。

    目標の数値化して生産性向上を(まとめ)

    目標は数値化することで具体的な行動をとりやすくなるため、業務効率化のためにも有効です。目標を数値化しにくいといわれる管理部門においても、コツを押さえれば、数値目標の設定が可能です。

    目標の数値化は、従業員のモチベーション維持にも役立つため、組織全体の生産性向上も期待できます。

    ただし、数値目標だけでなく非数値的な要素も考慮し、バランスを取ることが大切です。適切な計画や実行、振り返り、評価も忘れないようにしましょう。組織全体が目標に向かって一体となり、持続的な成果を追求することが成功につながります。

    目標の進捗を見える化するとモチベーションアップにつながる

    目標の数値化によって従業員のモチベーションをさらに向上させるには、グラフなどで進捗を管理するのが効果的です。一人ひとりの状況が見える化されるため、従業員は自身の進捗を確認し、他者と比較して遅れなどを把握できます。

    目標に対する達成度や残りのタスク量が明確になると、具体的なアクションプランを立てやすくなるため、目標達成の確率も上がるでしょう。目標を達成できた成功体験が積み重なると、さらなるモチベーション向上にもつながります。

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