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ハードスキルとは?ソフトスキルやメタスキルとの違いや関係性を解説

ハードスキルとは、個人のキャリアや教育によって培われた、具体的な知識や専門的な知識のことです。従業員のスキル管理が重視されるビジネスにおいて、ソフトスキルやメタスキルとともに注目されています。

そこで「ハードスキルの具体例を知り、ソフトスキルとの違いを理解したい」「自分がハードスキルをどれほど持つか知りたい」「ハードスキルを鍛えたい」と考える人もいるでしょう。

本記事は、ハードスキルの概要や、ソフトスキルやメタスキルとの関係について解説します。ハードスキルを身につけるための方法も紹介するので、人材育成や人事部門の担当者、マネジメント層や経営者は参考にしてください。

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    ハードスキルとは

    ハードスキルとは、個人のキャリアや教育を通して得られた専門性の高い知識のことです。一般的に、仕事を進めるうえで必要とされるスキルを指します。

    資格取得などによって、現在の能力値やレベルを客観的に測定しやすいのが特徴といえるでしょう。

    スキルアップの方法が確立されている

    ハードスキルは、スキルアップする方法が確立されていることが多いです。そのため、研修や訓練を受けてもらうことで、円滑に従業員のスキルを高められるでしょう。

    従業員が身につけると企業側にもメリットがある

    ハードスキルを身につけると、従業員にとって「仕事に必要なスキルをわかりやすく可視化できる」というメリットがあります。

    企業側にとってもハイスキルな人材であることが把握しやすいため、人事評価において判断の材料になったり、人材配置や要員計画などに役立てられたりするでしょう。

    ハードスキルの7つの例

    ハードスキルにはさまざまな種類があります。主な例を7つ紹介します。

    • プログラミング
    • 語学力
    • 検索エンジン最適化(SEO/SEM)
    • UI・UXデザイン設計
    • データサイエンス
    • グラフィックデザイン
    • マーケティング

    プログラミング

    プログラミングとは、プログラミング言語を使ってシステムを設計・構築するハードスキルのことです。

    プログラミング言語にはさまざまな種類があり、扱うシステムの内容によって必要な言語は変わってくるでしょう。そのため、複数のプログラミング言語が扱える人材は、ハイパフォーマーと見なされやすいといえます。

    語学力

    複数の言語を扱える人材は、グローバル化が進む現代において重宝されるでしょう。語学力に長けている従業員は、海外赴任の対象にもなるはずです。

    ただしハードスキルといえるような語学力は、日常会話レベルにとどまらず、ビジネス商談が問題なく行えるようなレベルを求められることが多いです。語学力を鍛える場合は、滞りなくビジネス会話ができるまで習得する必要があります。

    検索エンジン最適化(SEO/SEM)

    自社サイトが検索エンジンで上位表示されると見込み客の獲得につながるため、検索エンジンを最適化するSEOやSEMの知識は、Webマーケティング業界で必須のハードスキルといえます。

    SEOに役立つハードスキルには、検索者のニーズに合わせたコンテンツ作成やキーワード調査、バナー設置や導線の調整などが挙げられます。検索結果の上位に自社サイトを表示させるために、さまざまな知識や試行錯誤が求められるでしょう。

    UI・UXデザイン設計

    UI(ユーザーインターフェース)サービスの利用者が目にするものや、操作するもののすべて
    UX(ユーザーエクスペリエンス)利用者がサービスを通して味わう、感動体験

    UI・UXデザイン設計とは、ユーザーが快適にサービスを利用できるようなデザインを設計するハードスキルです。デジタル化が進む現代において、重要なスキルといえます。

    アプリやサイトのデザイン性(UI)が優れていたとしても、ボタンの位置や導線(UX)がわかりにくいと、満足度にはつながりにくいでしょう。そのため、ユーザーの視点で使いやすいアプリやサイトを構築する能力が求められます。

    データサイエンス

    データサイエンスとは、膨大なデータを活用して分析するハードスキルのことです。たとえば、数学の知識や統計解析力が挙げられるでしょう。

    顧客の購買情報、天候データ、交通状況など集計された数字から判断し、課題解決につながる的確な答えを出す力といえます。データサイエンティストと呼ばれる専門家は、企業が抱える問題や課題点を解決する役割を担っています。

    グラフィックデザイン

    グラフィックデザインとは、情報やメッセージを伝えることを目的として、ビジュアルデザインを制作するスキルのことです。制作物にはWebサイトやアプリ、ポスター、広告などさまざまなアウトプットがあります。

    見た人の記憶に残るような視認性の高いデザインや、ブランドイメージに即したデザインを制作できることは、情報が溢れる現代において重視されるハードスキルといえるでしょう。

    マーケティング

    マーケティングスキルは、マーケターに必須の能力です。企業の商材を売り続けるために市場調査や分析を行い、商材が注目を集めるための戦略を立てて実行する一連の活動を指します。

    マーケティング職は幅が広いため、必要な知識やスキルも多岐にわたります。

    便利なサービスや製品が増える中で自社製品を購入してもらうためには、精密な顧客ニーズの分析や戦略立案が求められるため、企業にとってなくてはならないハードスキルの一つといえるでしょう。

     ハードスキルとソフトスキルの違い

    ハードスキルとよく似た言葉に「ソフトスキル」があります。

    ソフトスキルとは、社会人に求められる個人の特性のことです。仕事を進めるうえで土台となる能力や個性ともいえます。

    ハードスキルとソフトスキルには、以下のような違いがあります。

    • 評価の基準が異なる
    • 活用の場が異なる

    評価の基準が異なる

    ハードスキルには明確な評価の基準が存在しますが、ソフトスキルにはありません

    ソフトスキルには「コミュニケーション能力」「協調性」「リーダーシップ」など、数値化するのが難しい能力が多いからです。

    活用の場が異なる

    ハードスキルは専門性が高いため活躍の場が制限されることがありますが、ソフトスキルは汎用性が高いため、さまざまな場で活用できることが多いです。

    たとえばハードスキルの一種であるプログラミングスキルは、主にIT関係の職場で活用できます。飲食業界や建築業界で活かせる場面は、あまりないでしょう。

    一方、代表的なソフトスキルであるコミュニケーション能力や協調性は、ほかの業界に転職しても活かせるはずです。

    ハードスキルとソフトスキルやメタスキルの関係性

    ハードスキルと関連する、ソフトスキルやメタスキルについて解説します。

    メタスキルとは

    メタスキルとは「スキルを素早く習得する能力」や「スキルを使いこなす能力」のことです。そもそもメタ(mete-)は「つなぐ、越える」などの意味があり、身につけたスキルを活用するための応用的なスキルといえます。

    メタスキルは訓練や実践を繰り返すと、習得できるといわれています。本や座学では身につかず、時間をかけて感覚的に取得できるため、他者に説明するのが難しい経験的な能力とされています。

    メタスキルの例

    メタスキルの一例は、以下の通りです。

    • モチベーション管理
    • 自分に自信を持つ能力
    • 課題発見力
    • 自己認識力
    • 課題解決力

    ハードスキルやソフトスキルを使いこなすには、自身のモチベーションを管理したり、自信を持ってスキルを活用していく姿勢が必要なはずです。

    メタスキルは「スキルを使えるようにするスキル」といえるでしょう。

    ハードスキルとソフトスキル、メタスキルの関係

    ハードスキルと対になっているのがソフトスキル、ハードスキルやソフトスキルの土台となるのがメタスキルです。それぞれのスキルの特徴をまとめてみましょう。

    ハードスキル座学によって習得できる知識・能力言語化、定量化ともに可能
    ソフトスキル主に職場の対人関係における個人の習慣や特性言語化可能
    定量化が難しい
    メタスキルスキルの実践によって習得できる経験知言語化、定量化ともに難しい

    ハードスキルやソフトスキルを持っていても、メタスキルを持っていなければ、スキルを「点」として捉えることになります。

    たとえば、顧客と商談するときや顧客の問題解決をサポートするときに共通して必要なスキルに、コミュニケーション能力(=ソフトスキル)や語学力(=ハードスキル)が挙げられます。

    メタスキルを持っている人は、ソフトスキルとハードスキルの両方が必要な場面で実践と反省・改善を繰り返し、よりよい顧客対応につなげられるでしょう。

    一方でメタスキルが低い人は、それぞれの場面を「点」として捉えてしまうため、何度も同じ失敗を繰り返してしまうかもしれません。

    メタスキルが欠けていると過去の経験をもとに改善するのが難しいのです。

    3つのスキルのうちどれか1つを持っていればいいわけではなく、ハードスキルとソフトスキル、メタスキルをバランスよく身につけることが重要といえるでしょう。

    ハードスキルを身につける方法

    ハードスキルを身につけるには、どのような方法をとればいいのでしょうか。主な方法を5つ紹介します。

    • 研修に参加し、知識をつける
    • 資格を取得するために勉強する
    • PDCAを回してスキルを習得する
    • 副業を行う
    • 大学院や専門学校に通う

    研修に参加し、知識をつける

    研修やセミナーに参加して専門知識をつけることが、ハードスキルの習得方法の定番です。社内で開催するものはもちろんのこと、外部の研修を調べて従業員や教育担当者がエントリーする方法もあります。

    実際に会場へ足を運ぶ方法もありますが、現在はオンラインで参加可能な研修やセミナーも増えているので、気軽にエントリーできることがメリットといえるでしょう。

    資格を取得するために勉強する

    資格取得を一つの目標に掲げて、勉強する方法も効果的でしょう。試験日を明確な期日として設けられることで、緊張感を持ちながら勉強を進められます。

    主なハードスキルに該当する資格例は、以下の通りです。

    プログラミングOracle認定Java資格、Ruby技術者認定試験など
    語学力TOEIC、IELTS、ケンブリッジ英検、国際連合公用語英語検定試験など
    データサイエンスOSS-DB技術者認定試験、統計検定など
    マーケティングIMA検定、中小企業診断士など

    PDCAを回してスキルを習得する

    スキル習得のために、PDCAを回してやるべきことを明確にしましょう。PDCAは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)という一連の作業を繰り返す業務改善手法です。

    無計画に勉強を重ねるのではなく、目標を設定したり、結果をもとに改善策を練ったり、効率よく学習を進めることが大切です。

    副業を行う

    企業側が許可しているなら、副業を通じてハードスキルを習得できます。

    プログラミングやWebデザインなどは、駆け出しでも小さな仕事を受注できる可能性があるため、副業で経験を積めるでしょう。1人で勉強を続けるよりも、実践的に技術の伸びを実感できるのもメリットです。

    副業はただの研修と異なり報酬が発生するので、責任感や達成感も芽生えやすくなるでしょう。

    大学院や専門学校に通う

    より専門的なハードスキルを身につけたいなら、大学院や専門学校に通うのも一つの方法です。

    モチベーションの維持や不明点の解決が難しいという独学でのデメリットを受けにくいため、専門講師のもとで学びたい場合に検討してみるとよいでしょう。

    今まで出会ったことのない講師や学生とやり取りするなかで、社会人としての経験値も向上するかもしれません。刺激的な空間で学びを深められると、多角的な視点も備わるでしょう。

    ハードスキルとソフトスキルはどちらが重要?

    ハードスキルとソフトスキルは、どちらも同じくらい重要です。なぜなら、互いに相関関係があるからです。どんなにハードスキルが高くても、ソフトスキルが不足している人は、仕事で思ったような成果が出せない可能性があります。

    たとえば、レベルの高いプログラミングスキル(ハードスキル)を持ちながら、コミュニケーション能力(ソフトスキル)が足りない人材を例にとってみます。

    複数のプログラミング言語を操るスキルがあっても、チーム内のメンバーと円滑にコミュニケーションがとれない人材は、せっかくの専門的知識を活かせず、期待されているような成果を残せないでしょう。

    まとめ

    ハードスキルとは、仕事で必要とされる専門的な知識や技術のことを指します。個人の特性でもあるソフトスキルと比較すると、レベルを数値化しやすいことと、スキルアップの方法が明確であることが特徴です。

    具体的にはプログラミングや語学力、データサイエンスなどが挙げられます。研修・セミナーへの参加や資格の取得などを通して、より専門的なハードスキルを高められるでしょう。

    ハードスキルとソフトスキルは相関関係にあるため、両方ともバランスよく鍛えることが重要です。

    変化が激しい社会情勢の中で企業が生き残るには、従業員のハードスキルを把握し、適切な人事評価や育成サポートによって、一人ひとりが認められて活躍できる環境整備が求められるでしょう。

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    企業側が従業員のハードスキルを把握するには、タレントマネジメントシステムの活用がおすすめです。
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    把握した従業員のスキルを評価基準として設け、適切な人事評価や人材配置にも活かせるでしょう。人材情報の集約によって、自社で活躍している人材の特徴を簡単に把握できるため、採用活動や要因計画の策定にも役立てられるはずです。

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