視座が高いとは? 意味や高い人・低い人の特徴と上げる方法|視野・視点との違いも解説

視座とは、ものごとを見るときの立場や姿勢のことです。視座が高い人は、高い位置でものごとを考えられるため、さまざまな可能性を見出せます。会社の場合、上司や経営者といった役職者視点で考えることで、組織全体がよい方向へ進むきっかけをつくれます。

本記事では視座の意味や視座が高い人・低い人の特徴を詳しく解説します。視座を高めるための方法も紹介するので、お役立てください。

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    視座が高いとはどういう意味?

    視座が高いとは、ものごとをより高い立場や広い視野で捉えることを指し、特に経営者や管理者といった上位役職者が持つべき視点です。たとえば、新規プロジェクトを企画した場合、従業員視点では、誰がどの役割を担当し、いつまでに実施するのかを考えます。

    一方、経営者や管理者の視座を持つと、取引先やお客様の意図をくみ取り、会社全体を最適な方向へ導けます。

    「視座が高い」の例|どこを見ている?

    視座が高い人は、物事を大局的に捉えて全体の流れや長期的な影響を考慮できます。上司の指示にしたがうだけでなく、自分の行動が会社全体や顧客にどのような影響を与えるかを考えています。

    例1.トラブル発生時

    視座が高い人は、たとえばシステム障害が発生した場合、問題解決に加えて、会社の業績や顧客満足度にどの程度影響するのかを考えています。視座が低い人は、障害を修復することだけを考えます。

    与えられた仕事だけをこなすのか、将来起こりうる可能性を踏まえて考えるのかで、今後のブランドイメージに影響するでしょう。

    問題解決だけでは同じ事態を繰り返す可能性があるため、視座が低いままでは注意が必要です。

    例2.目標設定

    視座が高い人は、組織の長期的なビジョンや理念に基づいて目標を設定します。長期的な視点で考えるため、組織全体にとっても利益が大きいといえます。

    視座が低い人は目の前の目標しか考えません。視座を高く持つことで、組織全体を見渡して最適な方向に進めます。

    視座と視野や視点との関係・違い

    視座・視野・視点は、立場や姿勢、ものごとの捉え方でそれぞれ異なります。視座と視野、視点の違いは以下の通りです。

    視座視野視点
    定義物事を見る姿勢や立場物事が見える範囲物事を捉えている観点
    意味どの高さから見ているのかどこまでを見ているのかどこを見ているのか
    ビジネスでの応用どの立場でどのように考えて判断するかどの範囲を考えて判断するかどう考えて判断するか

    視座は、物事をみるときの立場や姿勢のことです。

    視座が高い人は、より高い位置からものごとを考えるため、多様な可能性を見出せます。会社の場合、上司や経営者などの役職者視点で考えることで、組織全体をよい方向へ導くきっかけをつくれるでしょう。

    視野は、ものごとが見える範囲のことです。見渡せる範囲が広いほど、多くの情報を取り入れ、様々な要素を考慮に入れることが可能です。

    視点は、ものごとを捉える観点を意味し、どこを見ているかをあらわしています。視点を変えると、同じ事象を異なる角度から理解できます。

    視座とその他の用語では、それぞれ見る高さと見える範囲が異なり、違いを明確にしておくとよいでしょう。

    視座が高い人の特徴|低い人との違い

    視座が高い人の特徴は以下の通りです。

    • 多角的な視点を持つ
    • 全体最適を考える
    • 過去・現在・未来への影響を考える

    多角的な視点を持つ

    視座が高い人は、問題を多角的に分析し、長期的な視点で持続可能な解決策を模索するという特徴があります。組織全体の利益を考慮し、経営者や管理者の視点から戦略を立てます。

    一方で視座が低い人は、短期的な解決策に頼りがちで、目の前の問題に対して直接的で単純な対応をしやすい傾向があります。

    「鳥の目、虫の目、魚の目」で考えると、視座が高い人は全体像を把握し、長期的な視点を重視します。視座が低い人は細部に焦点を当て、短期的な対応を優先しがちです。魚の目を持つ人は市場の動向に敏感で、全体と細部のバランスを取りながら柔軟に対応します。

    全体最適を考える

    視座が高い人は、組織全体の最適化を考えるという特徴があります。自分の立場だけではなく、経営者や管理者、関係者の視点からもものごとを考えます。さまざまな人の視点で物事を考えることで、全体がよりよい方向へ進むよう最適化されるでしょう。

    視座が低い人は、自分中心の考え方をします。。関係者の視点ではなく、自分の視点でものごとを考えます。そのため、全体最適には不向きでしょう。

    過去・現在・未来への影響を考える

    視座が高い人は、5年後や10年後の長期的な視点でものごとを考えるという特徴があります。過去・現在から得られる経験をもとに、未来に向けて全体が最適になるよう考えています。

    長期的な計画にはリスクがともないますが、リスクマネジメントを考慮したプランを立案できるでしょう。

    視座が低い人は、目の前のことしか考えないため、自分が知っていることや、やってみたいことだけを立案します。

    視座を高めると何がいい? メリット

    視座を高めるメリットは以下の通りです。

    • アイデアが出しやすくなる
    • 労働生産性が向上する
    • 目標達成意欲・モチベーションが高まる
    • 周囲からの信頼を獲得できる
    • リスクマネジメント能力を発揮できる
    • 組織全体の利益を考えられるようになる

    アイデアが出やすくなる

    視座が高くなると、さまざまなアイデアを生み出しやすくなるというメリットがあります。全体最適思考で考えるため、従業員視点だけでなく、組織全体の利益を生み出す施策を思いつきます。

    たとえば「部長ならどのような考えを持つだろう」「お客様はどのようなサービスが欲しいのか」など、他者の立場から考えます。

    自分視点で考えてわからない場合も、異なる立場から情報収集して、革新的なアイデアを生み出す可能性があるでしょう。

    労働生産性が向上する

    視座を高めると労働生産性向上が期待できます。どの業務を先に行うか、何をあと回しにするのか仕事の優先順位がつけられます。

    視座が高いと与えられた仕事をなんとなく進めるのではなく、仕事全体を把握できるため、効率的に業務をこなせるでしょう。結果的に会社への貢献意欲が芽生えて、さらなる生産性の向上につながるメリットも期待できます。

    目標達成意欲・モチベーションが高まる

    視座が高いと、どのようなスケジュールで目標を達成するのか、そのために何をするのか目標達成に向けた行動力が高まるメリットがあります。視座の低い人は目の前の目標達成だけで精一杯です。そのため、組織全体の利益を考えるのは困難でしょう。視座を高くすれば、さまざまな角度で物事を考えられるため、モチベーションの向上や目標達成意欲も高まります。

    周囲からの信頼を獲得できる

    視座が高い人は、周囲から共感を得やすいこともメリットです。「自分がこうしたいから」より「会社にとってメリットがあるから」と説明した方が、周囲からの信頼を獲得できます。上司や部下、クライアントの視点で問題を考えられるため、的確な提案が可能です。

    自分のメリットではなく、周囲がどのような恩恵を受けるのかを伝えることで、共感や協力が得られるでしょう。

    リスクマネジメント能力が発揮できる

    高い視座でものごとを捉えられると、リスクマネジメント能力が向上します。従業員視点ではなく、管理者や経営者視点で物事を考えられるため、予測できるリスクの範囲も異なるためです。

    視座が高いと問題が発生した際も、どのように対処すべきかを柔軟かつ短時間で考えられるため、対処能力が向上するでしょう。視座の高さは組織の安定性や成果に影響するため、高めることはメリットといえます。

    組織全体の利益を考えられるようになる

    視座が高いと管理者や経営者の視点で物事を考えるため、組織全体にとって最適な選択ができるのもメリットです。視座が低いと自分中心になりやすく、周囲のことを考えられないことがあります。視座が高いことで見渡せる景色が広がり、全体最適にふさわしいといえるでしょう。

    個人で視座を高める・上げる方法

    個人で視座を高める方法は以下の通りです。

    • ロールモデル・視座が高い人と話す
    • 他部署の人と交流する
    • 書籍や動画で多様な価値観に触れる

    ロールモデル・視座が高い人と話す

    視座が高い人をロールモデルにして、自分に取り入れる方法があります。会社の場合、上司や先輩など上位者が対象になることが多いです。

    ロールモデルの発言や行動を考え、なぜそのようにしたのか背景を考えます。考えたことをロールモデルに確認、合っているのか、異なっていたら何が違うのか確かめましょう。

    日頃から意識してかかわることで、視座の高まりが期待できます。

    他部署の人と交流する

    さまざまな人と交流することも視座を高める方法の一つです。普段かかわらない人とコミュニケーションをとることで、異なる考え方を学ぶことができるでしょう。

    交流する際は何について話すのか、事前に決めておくことをおすすめします。どのような視座を持った人と、交流を持ちたいのかをイメージして話しましょう。

    書籍や動画で多様な価値観に触れる

    書籍や動画を通して、経験したことない価値観に触れることも視座を高める方法として大切です。自分の知識が豊富になるだけでなく、創造性も高められるでしょう。

    視座が低いと、習得した知識が定着せず忘れてしまうことがあります。選択する書籍は文学作品や自然科学など、あらゆるジャンルに目を通すことがポイントです。

    書籍や動画から理想のロールモデルが見つかる場合もあります。インプットした内容をアウトプットしながら実践的に学ぶと、結果的に広い分野で議論が行えるでしょう。

    従業員の視座を高める施策

    従業員の視座を高める施策は以下の通りです。

    • メンター・OJT
    • 部門横断型プロジェクト
    • 社内コミュニティ

    メンター・OJT

    視座の高い人をメンターやOJTの担当者にすることで、日頃からかかわる機会を設けられます。

    メンター・OJTの施策を導入すると、指導する側も受ける側も互いに、行動や考えの背景や理由を意識しながらかかわることができます。メンティーはメンターとの違いを比べて、視座が高い人の考えを学べるでしょう。

    互いに接する機会を増やすと、視座を高めるポイントが明確になり、よい影響を与えられる施策の一つです。

    部門横断型プロジェクト

    部門をまたいだプロジェクトの施策は、視座を高めるよい機会となります。

    施策の狙いは普段かかわらない従業員とコミュニケーションを取ることです。活発なコミュニケーションにより、新たな気づきを得られ問題解決やアイデアのきっかけになるでしょう。

    部門横断型プロジェクトにより、さまざまな人とかかわると、今より高い視座を持って仕事に取り組むことが可能です。

    社内コミュニティ

    社内で視座の高い人材との交流を促進するグループを立ち上げるのも施策の一つです。社内セミナーを企画するのもよいでしょう。社内セミナーの場では、高い視座を持つ方々の見解を、直接聞く機会が得られます。

    視座が高い人の思考プロセスや行動の根拠について詳しく知ることができるでしょう。

    視座の高さについて学びを促進するには、聞きたいことを事前にリストアップしておくこともおすすめします。議論をより深め、有意義な情報交換が可能になります。

    以上のような施策・取り組みは、自己の課題や改善点を明確にする絶好の機会といえます。結果として、個人の能力向上や職業人としての成長につながる貴重な経験となるでしょう。

    まとめ

    高い視座を持つことは、経営層など上位役職者の目線で事象を捉える能力を指します。個人的な立場を超えて、組織全体の方針や価値観を考慮に入れて思考することです。

    高い視座を持つと、革新的なアイデアの創出や周囲からの信頼構築につながり、組織全体に好ましい影響を与えます。

    反対に、低い視座では自己中心的な考えに限定され、近視眼的な判断に陥りやすくなります。

    高い視座を養うには、能力を持つ人々との交流や、多様な価値観に触れる機会を積極的に持つことが重要です。書籍や映像コンテンツなどを通じて、さまざまな価値観に接するのも一つの方法です。取り組みにより新たな知見を蓄積し、より高い視座を獲得できるでしょう。

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