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マンダラート/マンダラチャートとは? 大谷翔平選手も使った目標設定シート

マンダラート(マンダラチャート)は、81マスに目標に到達するまでの行動を埋めていくシンプルなフレームワークで、野球の大谷翔平選手が実践していたことで有名です。マンダラートは、絡まった思考を整理し、課題を分析することにも役立つため、ビジネスでも広く応用されています。しかし、マンダラートの作成には少しコツがあります。

本記事では、マンダラートの概要と大谷選手の活用例、作成によって得られる効果とデメリットなどを解説します。使えるアプリや達成に向けたポイントも紹介しますので、達成したい目標があるビジネスパーソンはもちろん、部下を指導するマネジメント層や経営者・人事担当者は、目標に一歩でも近づくためにお役立てください。

※「マンダラチャート」は一般社団法人マンダラチャート協会の登録商標です。

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    マンダラート(マンダラチャート)とは

    マンダラートとは、9×9=81個のマス目の中に、あるテーマについて順に書き込み、頭の中を整理していくツールです。

    目標達成に向けて必要とされる行動などを見える化することにも役立ち、目標設定のフレームワークとしてビジネスでも活用されています。

    大谷翔平選手も活用した目標設定シート

    マンダラートは、現役のメジャーリーガー大谷翔平選手が、学生時代に活用したことで話題になった目標設定シートともいえます。

    まず、正方形81マス(9×9)で構成されたシートの中心に達成したい大目標(メインテーマ)を記入します。次に、中心に接する8マスに大目標を実現するための要素(中目標など)を連想して書き込みます。そしてさらに、中目標から連想する要素(行動や態度などの小目標)を埋めて完成です。

    結果的に(大目標1つ+中目標8つ)×小目標8つ=72個の具体的なアイデアが生み出せます。

    そもそもマンダラとは

    そもそもマンダラとは、漢字で「曼荼羅」とあらわす仏教用語です。宗派によって絵柄の種類は異なりますが、幾何学的な模様で仏教の世界観を表現したものを目にしたことがある人もいるかもしれません。

    マンダラートは、この「マンダラ」と「アート」を掛け合わせた造語です。

    誰が考えた?

    マンダラートのもとになったチャートの書き方は、1979年に株式会社クローバ経営研究所の設立者・松村寧雄氏によって考案されました。

    人生とビジネスを豊かにすることを目的に開発され『マンダラ思考で夢は必ずかなう!』という書籍も出版されています。

    その後1987年に、デザイナーの今泉浩晃氏が考案したのが「マンダラート」です。現在は「一般社団法人マンダラチャート協会」が、開発者の意思を引き継いで活動しています。

    何のために使うのか?

    マンダラートは、基本的に目標を達成するために使用します。一番最初に中心に記載した目標を実現するために必要なアイデアを大量に書き出して考えを広げられ、やるべきことが明確になるためです。

    ほかにも、ToDoリストやスケジュールやプロジェクトの管理など、目標達成以外の活用方法もあります。

    マンダラート(マンダラチャート)とマトリックス法の違い

    マンダラートとよく似た思考法に「マトリックス法」があります。

    マトリックス法とは、異なる2つの変数(テーマ)を設定した縦軸と横軸で上下縦横を分割して、4つのマス目にキーワードを記入し、アイデアを生み出す方法です。

    マンダラートとマトリックス法は、マス目にキーワードを埋めていく手法は共通しています。しかし決定的な違いは「記入できるアイデアの内容が固定されていること」です。

    マンダラートは、1つの要素に関連したアイデアなら自由に記入できます。これに対してマトリックス法は、縦軸と横軸の両テーマを組み合わせたアイデアでなければ記入できません。

    マンダラート(マンダラチャート)大谷翔平選手の活用例

    マンダラートの活用例として、大谷翔平選手が花巻東高校時代に書いたとされる図をご紹介します。

    目標管理シートのテンプレートをダウンロード

    「ドラ18球団からドラフト1位指名を受ける」という大目標を達成するために「体づくり」や「コントロール」「キレ」「メンタル」「スピード160km/h」「人間性」「運」「変化球」の8要素を挙げています。そこから、全部で72個の具体的なアクションを書き出しました。

    マンダラート(マンダラチャート)を書くことによる効果

    マンダラートを書くことで、ビジネスにおいてさまざまな効果を感じられるでしょう。作成のメリットを3つご紹介します。

    ・目標が達成しやすくなる
    ・アイデアをブラッシュアップできる
    ・周囲からアドバイスをもらいやすい

    目標が達成しやすくなる

    1つめの効果は、目標を達成しやすくなることです。

    これから取り組むべき行動を明確にできるため、成功への道筋がイメージしやすくなります。計画の抜け漏れも防げるでしょう。やるべきことが明確だと、モチベーションが向上するとともに、効率よく目標を達成できるはずです。

    アイデアをブラッシュアップできる

    2つめの効果は、アイデアの内容をブラッシュアップできることです。70個以上のアイデアを生み出すことで発想力を鍛え、アイデア一つひとつのクオリティを高められます。

    周囲からアドバイスをもらいやすい

    3つめの効果は、解決したい問題や課題が可視化されて周囲と共有できるため、アドバイスをもらいやすくなることです。他人の目線で現状足りていない部分を客観的に指摘してもらいやすくなるでしょう。

    マンダラート(マンダラチャート)のデメリット

    マンダラートは効果的なフレームワークの一つとされていますが、デメリットも存在します。デメリットを3つご紹介します。

    ・事前知識が求められる
    ・初心者は時間がかかる
    ・アイデアを切り捨てなければならないこともある

    事前知識が求められる

    マンダラートに関する事前知識や、扱うテーマに関する情報が乏しい人は、マンダラートをうまく作成できないでしょう。すべてのマス目に要素を記入するには、一定の知識量が求められるのです。

    初心者は時間がかかる

    マンダラートを初めて作成する人や、扱うテーマについてあまり詳しくない人は、作成にかなりの時間を必要とします。

    新入社員や、異動したばかりの社員に業務についてマンダラートの作成を促しても、1人でスムーズに作成するのは難しいかもしれません。

    アイデアを切り捨てなければならないこともある

    せっかくマンダラートを作成しても、アイデアを切り捨てなければならないこともあります。

    マスの数が81個と決まっているため、既定の数よりも多くアイデアが出てきた場合は、絞り込んで書き出す必要があります。

    マンダラチャート(マンダラート)のやり方と例

    マンダラート作成の効果やデメリットが理解できたところで、具体的な作成手順についてご紹介します。

    1.達成したい目標を記入する
    2.目標を達成するための要素を記載する
    3.要素を達成するためのアイデアを書く

    1.達成したい目標を記入する

    まず、全部で81マスあるマス目の中央に「達成したい目標」を記入してください。より具体的な目標を選ぶと、周辺の要素がスムーズに埋まるでしょう。

    2.目標を達成するための要素を記載する

    次に1で設定した目標を達成するために「必要な要素」を、中央を囲っている8マスに記入します。1つのやり方に固定するのではなく、なるべく多岐にわたる行動や態度に細分化していきます。

    3.要素を達成するためのアイデアを書く

    最後に、2で設定した8つの要素をそれぞれ達成するためのアイデアを残りのマスに記入しましょう。この手順でマス目を埋めていくと、全部で72個のアイデアを導き出すことが可能です。

    マンダラート(マンダラチャート)作成に役立つツール

    マンダラートの作成には、アナログからデジタルまで多種多様な方法があります。複数の方法を試してみて、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。

    ・紙とペンを使う
    ・テンプレートを使用する
    ・エクセルで作成する
    ・手帳・アプリを利用する

    紙とペンを使う

    1つめは、紙とペンでシートを作成するシンプルな方法です。

    大谷選手も、手書きでマンダラートを作成していたといわれています。見やすいようにA4サイズ以上の大きな紙を使いましょう。

    テンプレートを使用する

    2つめは、インターネット上で配布されている無料テンプレートを印刷して使用する方法です。一から自分でシートをつくる必要がないため、気軽にマンダラート作成に取りかかれます。

    エクセルで作成する

    3つめは、エクセルを使う方法です。

    エクセル用のテンプレートが多く配布されているため、枠組みのみをエクセルで作成・プリントし、内容は手書きにするというやり方もあります。マスの色づけなどを簡単に行えるところが便利です。

    手帳・アプリを利用する

    4つめは、手帳やアプリを活用する方法です。

    マンダラート生みの親・松村寧雄氏が設立した株式会社クローバ経営研究所は、マンダラートに取り組みやすい手帳「マンダラ手帳」を発売しています。初期費用を抑えたい人は、マンダラート専用のスマホアプリを使うのも一つの手です。

    マンダラート(マンダラチャート)を作成する際のポイント

    マンダラートを作成する際は、以下の4つのポイントに気をつけましょう。

    ・目標と目的の違いを明確にする
    ・アイデアに期限を設定する
    ・すべてのマスを埋める
    ・作成後は行動に移す

    目標と目的の違いを明確にする

    まずは目標と目的の違いを明確にし、理解することが重要です。マンダラートを作成するときは、目標と目的を下記のように棲み分けて定義しましょう。

    目標目的を達成するための目印
    目的結果的に実現させたいゴール

    目標と目的を混同してしまうと、実現が難しい目標を立ててしまったり、なかなかマス目が埋められなくなってしまったりするでしょう。最終的に叶えたい目的を決めてから、マンダラートに使う目標を考えるとスムーズです。

    また、目標を決める際は「どうしてこの目標を設定するのか?」とよく考えましょう。

    他者から強制された目標や、周りの真似をして決めた目標を設定しても、モチベーションは維持できません。自分自身のスキルアップやキャリアアップのために、挑戦したい目標を考えることが大切です。

    アイデアに期限を設定する

    マンダラートを作成して生み出した72個のアイデアには、すべて期限をつけるようにしましょう。

    たとえば「社員にアンケートを取る」ではなく「8月末までに、社員にアンケートを取る」という内容にします。タイムリミットを意識することによって、より早く効率的に目標を達成できるでしょう。

    期限を設定せずにいると、せっかく生み出したアイデアをあと回しにしてしまう可能性があります。結果的に目標の達成そのものが難しくなってしまうため、期限を設けることは不可欠です。

    すべてのマスを埋める

    マンダラートを作成するなら、81個すべてのマスにアイデアを記入しましょう。難しいテーマを扱うときや、初心者が取り組むときはなかなかマスが埋まらないこともあるかもしれません。

    しかし、マンダラートは「大量のアイデアを生み出すこと」に大きな意味がある思考法です。複数のアイデアを出すことで目標達成を促進できるため、できる限りすべてのマスを埋めるのが望ましいとされています。

    もしどれだけ考えてもマスが埋められないなら、経験者にアドバイスを求めるのもいいでしょう。

    作成後は行動に移す

    マンダラートを作成したあとは、実際の行動に移すことが重要です。

    作成するだけで満足してしまっては意味がありません。絞り出したアイデアに期限をつけ、その期限内にタスクが完了するように意識しましょう。

    また、マンダラートは定期的に修正しましょう。行動に移すことで得た気づきや、現時点で足りない要素などを追加することによって、内容をブラッシュアップできます。

    ビジネスでもマンダラートの活用がおすすめ

    マンダラートは大谷翔平選手が活用したことで知られる思考ツールの一種で、、目標設定と達成のためのフレームワークです。

    ・目標が達成しやすくなる
    ・アイデアをブラッシュアップできる
    ・周囲からアドバイスをもらいやすい

    というメリットがあるため、ビジネスでも大いに活用できます。

    紙やペンを使ったアナログな方法からアプリの活用まで、さまざまな作成方法があり、適したものを選んだうえで実行し、効率よく目標達成を目指しましょう。

    今回ご紹介した情報を参考にして、ぜひマンダラートを作成してみてください。