人員配置表(図)とは? 作り方から活用まで最適化の方法を解説

人員配置表(図)とは? 作り方から活用まで最適化の方法を解説

人員配置表は、組織の今を映す鏡であり、人材活用の要となるツールです。「部署ごとの人数が適切なのか」「配置のミスマッチはないか」と悩む人事担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、人員配置表の基本的な作り方から、配置を最適化するためのポイントまでを解説します。すぐに使えるテンプレートの活用方法も紹介していますので、人員配置に課題がある方は参考にしてください。

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    人員配置表/人員配置図とは

    人員配置表・人員配置図とは、組織内の人材配置を可視化し、人材活用や経営判断を支えるためのツールです。

    部署ごとの人数や役割、従業員のスキル・経験などを整理することで、人材の過不足やミスマッチを早期に把握でき、戦略的な配置計画に活かせます。

    人員配置図はツリー形式で組織の構造やポジションを示し、人員配置表は氏名・スキル・異動履歴などを一覧化して管理します。これにより、後任育成や人材育成方針の検討、人的資本経営におけるデータ活用にも役立ちます。

    つまり、人員配置表・人員配置図は「組織の現状を見える化し、将来の人材戦略を描く」ために重要な人事マネジメントツールといえます。

    人員配置表にまとめる項目

    人員配置表には、組織の現状を正確に把握するための基本情報・スキル情報・キャリア情報をまとめます。主な項目は以下のとおりです。

    1. 基本情報

    • 組織の構成部署
    • 部署ごとの従業員数および従業員情報(氏名・年齢・性別・社歴・雇用形態など)
    • 所属部署・役職・社員番号・入社年月日

    組織全体の人員バランスを把握し、どの部署にどのような人材が配置されているかを確認するための基本データです。

    2. スキル・資格情報

    • 部署ごとに求められるスキル・資格および保有者の有無
    • 各従業員の専門スキル・語学力・熟練度・得意分野など

    スキルの偏りや不足を把握し、教育・育成や採用の方向性を検討する際に役立ちます。

    3. 評価・キャリア情報

    • 部署ごとの業績・エンゲージメント
    • 人事評価結果・昇進/昇格履歴・異動履歴
    • 研修受講歴・キャリア志向

    4. 組織パフォーマンス情報

    • 部署ごとの業績
    • エンゲージメント、従業員満足度

    部署単位での成果や状態を見える化します。

    なぜ人員配置表の作成が必要なのか

    なぜ人員配置表や人員配置図が必要なのでしょうか。

    人員配置表の作成が必要な理由は、限られた人的資本へ効果的に投資し、企業の目標達成につなげるためです。

    少子化や採用難で新たな人材確保が難しいなか、既存社員のスキル・経験・適性を正確に把握し、適材適所に配置する重要性が高まっています。

    人員配置表を作成すれば、次のようなメリットが期待されるでしょう。

    • 経営資源の最適化
    • パフォーマンスの最大化
    • 人材定着の促進
    • 働き方改革への対応
    • 業務の効率化とコスト削減

    どの部署にどの人材が配置されているかを誰にでもわかるように可視化しておくと、業務量の偏りやスキルミスマッチを早期に発見することが可能です。一人ひとりに適した人材育成や異動計画の立案、定着率向上やコスト削減にもつながります。

    新規プロジェクト立ち上げ時最適なチーム編成ができる
    営業部門スキル×成果データの分析で配置を最適化し、業績向上を狙える
    IT企業プロジェクト配属の精度を高められる
    育児中の社員が多い部署働き方に応じた柔軟な配置が可能になる
    製造現場技術継承を見据えた計画的な配置ができる

    人員配置表を作成する2つの方法

    人員配置表の作成方法には、主にエクセルを使用する方法とタレントマネジメントシステムを活用する方法があります。それぞれの特徴を理解し、組織の規模や目的に応じて適切な方法を選択しましょう。

    方法1.エクセル

    エクセルは、人員配置表を作成するうえで、もっとも手軽に始められる方法です。特別なシステム導入をせずに、すぐに運用を開始できます。

    多くの企業で標準的に導入されており、操作方法が広く知られているため、担当者が変わってもスムーズに引き継ぐことができます。初期費用がかからず、カスタマイズの自由度が高い点もメリットです。

    • 組織の規模に合わせてレイアウトを変更できる
    • 集計や分析機能を活用して、部署ごとの人員構成を可視化できる

    ただし、大規模組織では手作業での更新や複数人での同時編集に限界があり、ファイル管理やセキュリティ面には注意が必要です。

    小〜中規模の組織や、まずは人員配置の仕組みを整えたい段階では、エクセルが現実的で導入しやすい手段といえるでしょう。

    エクセルのテンプレート

    エクセルで人員配置表を作成する場合は、テンプレートを活用すると、効率的にスタートできます。

    テンプレートには、部署・役職・氏名・入社年度・スキルなどの基本項目があらかじめ設定されており、入力の手間を削減できます。

    無料で公開されているテンプレートを活用すれば、一から設計する必要がありません。自社の人事方針に合わせて、資格や勤務形態などの欄を追加してカスタマイズできます。

    まずはテンプレートを活用して基礎を整え、自社に合う項目を加えながら、戦略的な人員配置表へと発展させるのも一つの方法です。

    方法2.タレントマネジメントシステム

    タレントマネジメントシステムは、人材情報を一元管理し、データに基づく戦略的人員配置を助けるツールです。

    従業員のスキル・経験・資格・キャリア履歴などを効率的に管理でき、情報の更新や共有もスムーズに行えます。社内での共有や比較も容易です。

    • 従業員データをもとに、配置や昇進の判断材料に活用
    • 部署単位で年齢・スキル分布を把握でき、人材育成計画にも応用可能
    • ドラッグ&ドロップで手軽に、配置をシミュレーション

    情報をより総合的に分析し、効率性を高めたい企業には、システムによる管理が最適です。とくに従業員数の多い企業や、人的資本経営を推進したい組織に向いています。

    タレントマネジメントシステムの配置シミュレーション機能で人員配置表を作成

    配置シミュレーション機能を使えば、視覚的かつデータドリブンに人員配置を検討できます。

    直感的な操作で配置を入れ替えながら、部署ごとの統計データをリアルタイムに確認できるため、定量的な根拠をもって最適配置を判断できます。

    • ドラッグ&ドロップで人員配置を変更でき、変更後の平均年齢・勤続年数などを表示
    • 顔写真つきの組織図を使えば、メンバー構成をイメージしながら検討可能
    • データ更新や共有も自動反映され、異動案の比較検討もスピーディに行える

    人材情報を活用した適材適所の配置を実現するには、シミュレーション機能を備えたシステムの活用が効果的です。

    将来的な人材育成や組織最適化を見据えるなら、One人事[タレントマネジメント]をはじめ、システムの導入を検討するとよいでしょう。

    →配置シミュレーションの画面イメージは【こちら

    人員配置表の作り方|準備の3ステップ

    人員配置表の作成には、適切な準備と段階的なアプローチが重要です。以下の3つのステップに沿って作成することで、効果的な人員配置表を作成できます。

    1.人材情報の収集

    まずは最新かつ正確な従業員情報を集約します。氏名や年齢、社歴などの基本的な情報が必要です。一人ひとりのスキルや保有資格や適性、キャリア志向、経歴なども欠かせません。人事評価結果、昇進・昇格履歴、研修受講歴なども重要な情報として必要です。

    収集する際は、形式を統一し、管理や分析がしやすいように整理しましょう。人材情報は、従業員の成長度合いや今後の育成方針を検討する際の基礎データとなります。顔写真をあわせて登録しておくと、氏名との照合や認識がスムーズです。

    2.組織情報の収集

    次に組織の構成を整理します。 「管理グループ → 人事部 → 人事課 → 採用ユニット」といった階層構造を明確にし、部署ごとの役割や責任、必要な専門性・スキル、人員数をリスト化します。

    整理したい主な組織情報は次のとおりです。

    • 部署ごとの役割と責任範囲
    • 必要とされる専門性・スキル
    • 現在の人員構成
    • 業務量や繁忙期の傾向
    • 部署間の連携状況

    組織情報もまとめることで、業務の重複や抜け漏れを防ぎ、部署間で連携しやすくなります。また、将来的な採用計画やシフト調整、リソース管理にも活用できます。

    3.項目の設定と表の作成

    ステップ1・2で整理した情報をもとに、人員配置表を作成します。以下のような情報を中心に、部署ごとに整理して表へ落とし込みましょう。

    • 組織の構成部署
    • 部署ごとの従業員数
    • 従業員の基本情報(氏名、年齢、性別など)
    • 雇用形態
    • キャリア情報
    • スキルや資格情報
    • 業務経験

    単に情報を一覧化するのではなく、「各従業員のスキルや、経験が配置部署の業務内容に適しているか」を確認することが重要です。雇用形態や年齢層のバランスを確認し、将来的な異動や昇進の検討にも活かせるようにします。

    人員配置表は、現状分析だけでなく人事戦略の基盤となるツールです。定期的に情報を更新し、組織の変化に応じて柔軟に見直せる仕組みを整えておきましょう。

    人員配置表の活用法|最適化の3ステップ

    人員配置表は作成したあと、継続的な活用と改善をしていくことが重要です。組織の目標達成と人材の最適活用を実現するために、以下の3ステップで運用していきましょう。

    1.計画を立てる

    人員配置の最適化には、現状の把握と将来を見据えた計画立案が欠かせません。以下の4つの計画をもとに、組織全体の人員戦略を明確にし、アクションプランを策定しましょう。

    【定員計画】
    来期の目標達成に必要な人員の総数や構成を決定します。役職・階層ごとの人件費も見込み、増員・削減の方向性を定めます。組織全体の人的リソースの方向性を定める重要な計画です。

    要員計画
    定員計画を具体化し、各部門で必要となる人員数や人材要件を明確にします。事業計画や部門目標の達成に必要な人材を定義し、採用や育成の方針を決定します。

    【人員計画】
    個々の従業員のスキル・適性・キャリア志向を考慮したうえで、異動・昇進・雇用形態の変更を含む配置案を作成します。

    【代謝計画】
    退職や異動などによる人員変動を想定し、要員計画と人員計画の差を埋めるための調整策(再配置・採用・教育)を立案します。人材の過不足を解消するための計画です。

    2.改善案を検討する

    現状の人員配置表をもとに、課題と改善点を洗い出します。以下の観点から分析すると、より実効性の高い改善策を導けるでしょう。

    • 業務量と人員のバランス:特定部署への業務集中や過剰配置がないかを確認
    • スキルと業務内容の整合性:保有スキルと担当業務のミスマッチを特定
    • キャリア開発の観点:従業員の成長やスキル習得につながる配置かどうかを評価

    分析結果を踏まえて、組織の目標達成に向けた改善案を立案します。

    3.現状と改善案を比較して再配置する

    改善案をもとに配置シミュレーションを行い、実施案を決定します。判断の際は、以下の観点で効果を検証しましょう。

    • 業務効率の向上:新配置で業務の流れが円滑になり、部署間の連携が強化されるか
    • 人材育成・キャリア形成:従業員のスキルアップや次世代リーダー育成につながるか
    • チームパフォーマンス:チーム全体の連携・生産性・雰囲気への影響
    • コスト最適化:人件費や教育・設備費を含めた総合的な費用対効果

    検証の結果を反映した最終案を人員配置表に落とし込み、継続的に更新することで、組織の変化に対応した最適な配置を維持できます。

    人員配置表の作成・活用のポイント

    人員配置表は、作成して終わりではなく、継続的な活用と改善が組織の成長に欠かせません。効果的な人員配置表の作成・活用の3つのポイントについて、具体的に解説します。

    自社の人員配置の目的を明確にする

    まず、自社における人員配置の目的を明確にしなければなりません。「経営目標の達成」「組織改革」「人材育成」「モチベーション向上」など、目的を具体的に設定することで、人員配置表を戦略的に活用できます。

    たとえば、製造業であれば「熟練技術の継承」を目的に、ベテラン社員と若手社員をペアにした配置が考えられます。

    営業部門では「営業成績や顧客満足度の向上」を目的に、スキルや経験に応じた担当エリア制を設けることで成果を高める戦略もとれるでしょう。

    適切な情報を収集・更新する

    人員配置表の精度を高めるには、従業員一人ひとりの詳細情報を定期的に更新することが欠かせません。収集・管理すべき主な情報は以下のとおりです。

    • 業務スキルや資格
    • 業務経験や実績
    • キャリア希望
    • 勤怠状況
    • 評価情報など

    情報を一元管理することで、「どの従業員がどの分野で力を発揮できるか」「どのようなキャリアパスを望んでいるか」を把握しやすくなります。

    スキルや資格は異動や新規プロジェクトの人選に、経験や実績はリーダー候補の発掘に役立ちます。また、勤怠や評価情報の更新は、業務バランスの最適化や早期戦力化に有用です。

    人員配置の結果を検証する

    人員配置の効果は、定量・定性の両面から継続的に検証しなければなりません。具体的な 検証項目の例は次のとおりです。

    • 業務効率の変化(作業時間・残業時間の推移)
    • 目標達成度(売上・契約数・プロジェクト成果など)
    • 従業員満足度(アンケート・面談)
    • チーム生産性や離職率の変化

    定期的に分析することで、現状の人員配置が組織の成果にどの程度貢献しているかを客観的に判断できます。また、部署ごとの傾向を把握すれば、配置方針の改善や人材育成計画の見直しに役立ちます。

    人員配置表の活用で人材配置を最適化(まとめ)

    人員配置表は、組織の人材活用を最適化し、事業目標の達成を支える重要なマネジメントツールです。適切な人員配置は、業務効率の向上に加え、従業員一人ひとりの成長機会の創出やモチベーションの向上にもつながります。

    効果的な人員配置を実現するには、まず現状を正確に把握し、課題を明確にすることが重要です。小規模組織であればエクセルでの管理も可能ですが、組織規模が大きくなるほど、データ更新や分析に多大な工数が発生します。

    そこで注目されているのが、タレントマネジメントシステムの活用です。人材情報を一元管理できるシステムを導入すれば、配置シミュレーションや効果検証をスピーディに行えます。

    直感的な操作で人員配置をシミュレーションできる One人事[タレントマネジメント]の活用もおすすめです。

    組織の持続的な成長のためには、人材の適材適所を実現し、一人ひとりの能力を最大限に生かすことが欠かせません。

    人員配置表を効果的に運用し、継続的な改善を重ねることで、組織全体の生産性と従業員満足度の向上にもつながるでしょう。