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リフレーミングとは【具体例】効果やメリット・デメリット、練習法を紹介

リフレーミングとは【具体例】効果やメリット・デメリット、練習法を紹介

リフレーミングとは、日常の出来事や課題を新しい視点から見ることです。リフレーミングでは、ポジティブな面だけでなく、負の側面からも学びや成長の機会を見出すことが重要とされます。

本記事では、リフレーミングの具体的な意味や例を交えながら、その効果やメリット・デメリット、リフレーミングを気軽に取り組むための練習法について解説します。心の柔軟性を高め、ポジティブな気持ちを育むために、リフレーミングの力を活かしてみましょう。

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    リフレーミングとは|意味を簡単に解説

    リフレーミングとは、思い込みや固定観念、視点などの要素を通じて、状況や考え方を新しい視点から見直すことです。

    リフレーミングは「Re(再び)」と「Frame(枠組み)」の組み合わせから派生した言葉で、認知行動療法や心理学において使用されています。

    たとえば「締め切りまでまだ○日あると思うか」「あと○日しかないと思うか」と視点を切り替えることで、締切までの時間の捉え方が変わることがあります。このリフレーミングによって、時間とプレッシャーの認識が変化し、適切な時間管理が可能です。

    人材育成においては、リフレーミングがポジティブなマインドセットや成長志向を促進する手法として利用されることがあります。リフレーミングのトレーニングを積むことで、さまざまな状況に対して柔軟で前向きな考え方を養い、個人の成長と会社全体のパフォーマンス向上に役立ちます。

    NLP(神経言語プログラミング)の一技法

    リフレーミングは、神経言語プログラミング(NLP)の技法の一つであり、認知や感情のプロセスを変えるために利用されます。

    NLPはコミュニケーションや個人の成長において幅広く使用される心理学的なアプローチであり、その中でリフレーミングは特に重要な役割を果たしています。

    前向きな視点の変更だけではない

    リフレーミングによる視点の捉え直しは、前向きなものだけを指すのではありません。「リフレーミング」と「ポジティブシンキング」は、混同されるものの、異なる意味を持ちます。

    ポジティブシンキングは、事態や状況を肯定的な視点で捉え、楽観主義的な思考に焦点を当てるアプローチです。ポジティブな出来事や期待に焦点を当て、ネガティブな感情や考え方を最小限に抑えようとする特徴があります。

    一方、リフレーミングは、異なる視点から物事を見つめることを指し、ときにはあえてネガティブな捉え方を見直すことも含まれます。

    リフレーミングは2種類ある

    リフレーミングには、状況と内容の視点変換の2種類が存在します。

    状況のリフレーミング

    状況のリフレーミングとは、自分を取り巻く環境を見直すことです。自分にとって不利なことが起きた際でも「状況」の見方を変えると結果が変わったり、新しい発見につながります。

    たとえば、人事異動により配属先が変わり、個人の能力が開花して業績が上がった場合が該当します。一見、短所と捉えられる性質でも、環境を変えたことで長所に変わり、能力が発揮される可能性があります。

    内容のリフレーミング

    内容のリフレーミングは、ものごとへの考え方や捉え方を変えることで、新たな価値を見出す手法です。内容のリフレーミングを行うと、ネガティブな出来事が起きた際も「今の自分にとって必要な出来事だった」と考え、自己成長の糧に変えられます。

    たとえば、仕事で失敗してしまったとき、ただ落ち込むのではなく「今ミスをしなかったら、今後もっと大きな失敗をしていたかもしれない」と考えることで、自分の失敗を認め、改善につなげられるようになります。

    リフレーミングの具体例【シーン別】

    リフレーミングはどのように行うのか、具体的な場面を通して確認してみてみましょう。

    ミスをしてお客様を怒らせた場合

    レストランでホールスタッフとして働いているAさんは、あるお客様のもとに注文を運んだ際「注文したものと違う」という理由で怒らせてしまいました。

    このままでは、お客様の信頼を損ね、レストラン全体の評判に悪影響を与える可能性があります。

    「自分のミスでお客様を怒らせてしまったことにより、会社全体の評判に悪影響を与えてしまう」状況をリフレーミングしてみましょう。

    リフレーミングの思考ステップ
    1注文を誤配したことの原因は何か
    2注文を受けてから提供するまでの仕組みにミスが起きやすい仕組みがないか
    3店舗のリニューアル後もマニュアルが変更されておらず、席番号を間違えてしまった
    4このままマニュアルの改定をしないままだと、ほかの従業員も同じようなミスを起こすかもしれない
    5自分のミスがマニュアルを改定するきっかけとなった

    リフレーミングにより、自分の行動やミスが起きた原因を客観的に振り返り、自分のミスがマニュアルの改定を行うよい機会となった、という解釈に昇華できました。

    予算が削減されてリソースを確保できない場合

    採用活動を担当している人事部のBさんは、採用にかかわるコストが前年よりも削減されたことに頭を悩ませていました。人手不足であるにもかかわらず、限られた予算の中で優秀な人材を採用するにはどうしたらよいのか、大きなプレッシャーも感じています。

    この厳しい局面を乗り切るために、置かれた状況を客観的に見つめ直し、事実を正しく確認してリフレーミングを行ってみましょう。

    リフレーミングの思考ステップ
    1前年よりも予算が15%削減されたが、そもそも前年の予算は何%使ったのか
    2前年は予算を90%しか使わなかったため、予算削減のダメージはそこまで大きくないのではないか
    3予算の制約を全体で共有し、チーム内で協力し合い、共通の目標を達成するための協力体制を構築するよい機会になるかもしれない

    データを用いながら事実を確認することで、実際に自分が置かれている状況を客観的に把握できます。

    スキル不足のメンバーがチームの足を引っ張っている場合

    プロジェクトのメンバーであるCさんは、同じチームのメンバーDさんのスキル不足に悩んでいました。計画通りに業務を進められないDさんのしわ寄せを受けることもあり、負担を感じて、イライラすることも多くあります。

    この状況を打破するために、リフレーミングを行ってみます。

    リフレーミングの思考ステップ
    1Dさんが計画通りに業務を進められないのは本当にスキル不足だけが原因か
    2Dさんはほかプロジェクトと兼任しており、もう1つのプロジェクトの負担が大きいのかもしれない
    3しわ寄せを受けるのはつらいが、Dさんは決してさぼっているわけではない
    4チーム内の協力体制を強化し、業務負担を均等化できないかリーダーに相談してみよう

    イライラしていると視野が狭くなりがちですが、落ち着いて状況を整理してみると、案外簡単な方法で状況を改善できるかもしれません。

    配置転換を命じられて不安を抱えている場合

    入社5年目のEさんは、これまで営業職として業績に貢献してきましたが、突然人事部への異動を命じられました。人事領域にかかわる知識がまったくないなか、果たしてうまくやっていけるのか、また部署にうまく馴染めるか、不安が次々と頭をよぎります。


    もし、Eさんの親友が同じような状況に置かれていた場合、Eさんは親友をどのように励ましたらいいか、リフレーミングを用いて考えてみましょう。

    リフレーミングの思考ステップ
    1常に自己研鑽(けんさん)を怠らないあなたなら、すぐにキャッチアップできるはず
    2もし合わなかったとしても、希望を出せば異動できるかもしれない

    リフレーミングにより、第三者の視点でほかの人を励ます気持ちで、自分の置かれた状況をポジティブに変換できます。

    リフレーミングを活用する効果・メリット

    リフレーミングの活用によるメリットは、目の前の問題を解決できることだけではありません。リフレーミングを行うことによって得られる効果とメリットを解説します。

    • モチベーションが高まる
    • 自信が向上する
    • 解決志向が身につく
    • 社内コミュニケーションが円滑になる

    モチベーションが高まる

    リフレーミングにより、困難な状況をポジティブな視点から見られると、チームのモチベーションが向上します。

    たとえば、コストやリソースの制約がある状況を「新たなアイデアを生み出すよい機会」とリフレーミングすることで、新たな挑戦に取り組む意欲を刺激します。メンバーが課題を前向きなチャレンジとして捉えられるため、困難に立ち向かう力が増し、モチベーションが向上するでしょう。

    自信が向上する

    リフレーミングを行うと、問題を前向きに捉えられ、課題や困難な状況の克服につながります。成功体験は自信となり、また問題が起きたとしても「以前に乗り越えられたから大丈夫」と前向きな姿勢で対処できるでしょう。

    解決志向が身につく

    リフレーミングによって課題解決力を養うことができます。課題や制約に直面したとき、ただ受け入れるのではなく、どのようにして乗り越えるかをさまざまな視点から考えられるようになるため、問題解決力が向上します。

    「どのようにしたら乗り越えられるか」「改善点は何なのか」という課題に対する積極的な態度と柔軟性が、問題解決のスキルを向上させ、未来の課題にも対処しやすくなるでしょう。

    社内コミュニケーションが円滑になる

    リフレーミングを通してポジティブな視点を社内で共有すると、共通の目標に向けて協力する意識を育むことができます。チームメンバーがともに困難を克服しようとする姿勢は、協力関係を深め、信頼関係の構築につながります。

    【実践】リフレーミングのやり方・練習法

    続いて、リフレーミングのやり方とポイントを紹介します。

    言葉の定義を変えてみる

    ネガティブな状況や情報を異なる言葉や視点で捉え直すリフレーミング方法です。

    たとえば、上司から「あなたは少し神経質すぎる」と指摘されたとします。このとき「神経質」という言葉を「細かい部分にまで気を配れる」と言い換えると、前向きに捉えられます。

    時間を軸を変えてみる

    過去もしくは未来の視点に立って、状況をリフレーミングする手法です。たとえば、仕事でミスをしてしまったとき「ミスが起きる前の時間に戻れるなら、どのように対策するか」と考えると、同じミスを起こさないように今の自分が行うべき対策が見えてくるでしょう。

    事象を解体してみる

    ネガティブな出来事をぼんやりと捉えるのではなく、何が悪いのかがはっきりと捉えられるまで解体するリフレーミングの手法です。たとえば、上司が自分のことを嫌っているかもしれないと悩んでいる状況を想定してみましょう。

    リフレーミングの思考ステップ
    1本当に上司は私のことを嫌っているのか
    2なぜ嫌われていると感じたのか
    3そっけない態度だったから
    4ただ忙しかっただけなのかもしれない

    このように事象を解体することで、問題の原因が何なのかが把握できるため、解決策を考えるきっかけが生まれ、そもそも自分の思い込みだったことに気づく可能性もあります。

    自分はどうしたいかを問う

    問題に直面したとき「自分はどうしたい?」と自分自身に問いかけて、取るべき行動を意志に基づいて導き出すリフレーミング手法です。

    たとえば「明日のプレゼンテーションが不安」という状況に対し「自分はどうしたいのか」と問いかけます。

    リフレーミングの思考ステップ
    1明日のプレゼンテーションが不安
    2自分はどうしたいのか
    3プレゼンテーションを成功させて、契約を勝ち取りたい/上司からよい評価をもらいたい
    4そうするためには今何をすべきか?

    このようにリフレーミングで、自分が何をすべきかを導き出します。ネガティブな気持ちに隠れていた自分の意思に気づき、取るべき行動を明確にすると、漠然とした不安を解消できます。

    「もしも〇〇なら?」と仮定する

    困難な状況に直面したときに「もしも○○ならどうするか?」と仮定し、視点を変えて改善策を考えるリフレーミング手法です。

    たとえば、仕事で課題にぶつかったとき「もし上司ならどうするか?」と考えると、より広い視野かつ違う視点から課題の解決策を考えられるかもしれません。

    また「○○すべきなのに、なかなか行動に移せない」と悩んでいる場合は「もし期限があと1週間短かったら今何をすべきか?」と考えると、今すべきことがわかるようになるでしょう。

    リフレーミングのポイントデメリット・注意点

    最後に、リフレーミングを行う際に押さえておくべきポイントと注意点を解説します。

    事実をゆがめない

    リフレーミングを行う目的は、問題や状況を新しい角度から見つめ、新しいアプローチや解決策を見つけることです。

    しかし、事実をゆがめてしまうと、問題の本質を見失い、適切な解決策を見つけることが難しく、反省すべき点を見つけられずに成長の機会を失う可能性があります。

    リフレーミングする際は、新しい視点を見出す一方で、事実をゆがめずに現実を正確に把握するよう心掛けることが重要です。

    相手がいる場合は理解を示す

    他人に対してリフレーミングを行う際は、ただ「前向きな言葉で相手を励ますこと」を目的としないよう注意しましょう。

    相手に対してポジティブな言葉をかけるだけでは、本質的な問題の解決や状況の改善にはつながりません。「自分だったらどうするか」を考え、相手の立場や状況に寄り添ったリフレーミングを心掛けましょう。

    リフレーミングを人材育成に活用しましょう(まとめ)

    リフレーミングは問題や状況を新しい視点で見直す手法です。リフレーミングを行うことで、失敗やネガティブな状況に対する捉え方が変わり、自信やモチベーションが向上したり、柔軟な視点から問題解決に導く力を身につけることができるでしょう。

    柔軟な人材の育成と、組織の生産性向上のために、リフレーミング研修を導入してみるのもおすすめです。リフレーミング研修では、事象にはさまざまな捉え方があり、その捉え方によって問題を解決したりストレスを回避できたりすることを学んでもらいます。

    実際の事例やシナリオを使って、参加者にリフレーミングを体験してもらい、フィードバックを行うとよいでしょう。また、外部講師による研修の場を設けるのも効果的です。

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