スキルセットとは？ 意味と種類、職種別一覧を紹介

スキルセットの意味とは

スキルセットとは、能力や経験などの組み合わせを指す言葉です。

仕事を進めるうえでは、1つのスキルだけでなく、幅広い知見や経験が求められます。専門性の高い技術や経験そのものは、単独では十分に活かされにくいため、論理的思考力や想像力なども重要です。

従業員一人ひとりが仕事で成果を出し、組織が目標を達成するためには、複数のスキルを組み合わせ、スキルセットとして備えておく必要があります。

スキルセットとスキルの違い

スキルセットとスキルには、集合体か単体かという違いがあります。

スキルセットは複数の能力や経験などの組み合わせです。単独のスキルの集合体、スキル群を指しています。

一方でスキルは、1つの能力を指します。

たとえITエンジニアであってもITの関連知識やプログラミング能力以外にも、周囲と協力しながら進めるコミュニケーション能力が求められます。たった1つの能力だけでは、業務を円滑に遂行できません。

「スキルセット」は業務遂行に必要な複数の能力をまとめた総称、「スキル」は特定の能力を指します。

お役立ち資料

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スキルセットの種類

スキルセットは、ビジネスにおいて個人が成果を出すだけでなく、組織全体の成長や業績向上を達成するために欠かせません。

スキルセットに組み込まれるスキルには、大きく分けると以下の2つの分類があります。

• 「ソフトスキル」と「ハードスキル」
• 「コアスキル」と「スペシャルスキル」

「ソフトスキル」と「ハードスキル」

ソフトスキルとは、専門性を発揮するために基本となる個人の特性なども影響する能力です。一方でハードスキルは、学習などを通じて身についた専門的な技術を指します。具体例は以下の通りです。

仕事をスムーズに進め、より高い成果を出すためには、ソフトとハードスキルをバランスよく身につけ、スキルセットを構成することが大切です。

「コアスキル」と「スペシャルスキル」

コアスキルは、どのような職種においても活用できる、社会人として必要な力です。

一方のスペシャルスキルは、活用できる職種が限定される、仕事での経験や学習によって習得される専門的な力を指します。具体例は以下の通りです。

ビジネスでは個人の仕事を進めるだけでなく、チームや組織として成果を出す必要があります。コアスキルとスペシャルスキルの双方をバランスよく持ち、スキルセットを構成するとよいでしょう。

スキルセットに加えたい4つのビジネススキル

ビジネスパーソンとして必要なスキルセットの内容は多岐にわたります。なかでも、どんな職種に就いていても、以下の4つのスキルは必要です。

以上のスキルを組み合わせ、スキルセットとして持っておくことで、ビジネスを円滑に進められるでしょう。4つのスキルがどのようなものか、具体例とともに以下で詳しく解説します。

なお文脈や業界によっては、4つのスキルがそれぞれ「スキルセット」として解釈されることもあります。たとえば、いくつかの「対課題スキル」を組み合わせて、「対課題用のスキルセット」とすることがあります。

基本スキル（基本のスキルセット）

基本スキルとは、どのような職種にも求められるスキルです。具体例は以下の通りです。

• 電話応対力
• 基本的なビジネスマナー（あいさつ、言葉遣い）
• 一般常識
• 初歩的なパソコンスキル

基本スキルは、社会人として確実に身につけておきたいスキル群といえます。

対課題スキル（対課題用のスキルセット）

対課題スキルとは、課題を解決するために必要なスキルです。具体例は以下の通りです。

• 立案力
• 分析力
• 論理的思考力
• マネジメント能力
• 対人関係に関するスキル
• ラテラルシンキング

対課題スキルは、物事をロジカルに考えて問題を乗り越えるために必要不可欠です。

対人スキル（対人関係用のスキルセット）

対人スキルは、他者と円滑なコミュニケーションをとるためのスキルです。具体例は以下の通りです。

• 営業力
• リーダーシップ
• コミュニケーション能力
• プレゼンテーション能力

対人スキルは、社外の相手と交渉を進めるときや、社内の人間との連携に必要です。

対自己スキル（対自己用のスキルセット）

対自己スキルは、自分自身の行動や感情を適切に管理するセルフマネジメントの能力です。具体例は以下の通りです。

• 体調管理能力
• ストレス対応力
• モチベーション管理力
• アンガーマネジメント能力

対自己スキルは、自分自身が心身ともに健康的に働くために、日頃から体調や精神を管理する姿勢も含むスキルの総称です。

職種別に必要なスキルセットの具体例

ここまではどんな職種においても必要なスキルセットの構成要素を紹介してきました。

ここからは、職種別に異なる必要なスキルセットを紹介します。職種別スキルセットの内容として挙げるスキルは一例です。

自身のスキルセットを強化したい場合は、課題や優先順位を踏まえ、スキルアップに努めましょう。

職種別スキルセット例の一覧表

職種別スキルセットの例を一覧で紹介します。。

エンジニア

エンジニアは、専門性が高く、高度な技術を持っています。プロジェクトマネージャーなどへのキャリアアップも考えられる職種です。

しかし、現場で高い能力を発揮し続けたい従業員もなかには存在します。管理職もプレイヤも企業にとってはどちらも必要です。

どのようなキャリアを形成しても、さまざまな能力や経験が必要になるため、エンジニアに必要なスキルセットを意識することが重要です。

エンジニアにおけるスキルセットの具体例は以下の通りです。

デザイナー

デザイナーは、顧客の課題解決や購買意欲を高められるようなデザイン力や発想力などが大切です。

デザイナーにおけるスキルセットを構成するスキルの具体例は以下の通りです。デザイナーだけでなく、その他のクリエイティブ職も参考にしてみてください。

クリエイティブ職は、サービスや商品の制作や宣伝を通じて売上に直接影響を与えます。そのため、専門的なデザインスキルに加えて、企画力や提案力、顧客の課題を理解する想像力も求められます。

営業

営業職は、直接顧客との接点を持ち、コミュニケーションを取らなければならない職種です。そのため、営業職のスキルセットは、多岐にわたるスキルで構成されています。

営業職におけるスキルセットを構成するスキルの具体例は以下の通りです。

営業職には、コミュニケーション能力やヒアリング力に加え、プレゼンテーション能力も求められます。相手に企画や提案を受け入れてもらうために、相手のニーズを的確に把握しながら商談を進めるスキルを備えていなければなりません。

人事

人事職は、経営層や従業員、求職者など、社内外問わず多くの人と接点を持つ職種です。そのため、人事のスキルセットも多岐にわたるスキルで構成されています。

人事職ににおけるスキルセットを構成するスキルの具体例は以下の通りです。

人事職は、社内外の多くの人とかかわるため、高い対人スキルが必要です。また、相手に不快な印象を与えないための基本スキルも求められます。

データサイエンティスト・データアナリスト

データサイエンティストやデータアナリストは、膨大なデータを分析して、ビジネスに反映させる力が求められます。

データサイエンティスト・データアナリストにおけるスキルセットの構成スキルの具体例は以下の通りです。

データサイエンティストやデータアナリストには、分析力だけでなく、統計学やITについて深く理解していなければなりません。

またクライアントのニーズを把握し、結果をわかりやすく伝える力も必要です。特にデータアナリストには、データをビジネスに応用する力が求められるため、基本のビジネススキルで構成されるスキルセットが重視されます。

マーケティング職種（マーケター）

マーケティング職には、市場やユーザーのニーズ変化を素早く察知し、需要の変化に対応する力が重要です。また他部署との連携が多いため、コミュニケーション能力も欠かせません。

マーケティング職におけるスキルセットを構成するスキルの具体例は、以下の通りです。

マーケティング職には、社内外を問わず、商品やサービスについて深く理解する力が求められます。また社会やユーザーのニーズ変化を早期に察知し、それに基づいた分析や予測する能力も重要です。

マネージャー

マネージャー職は、チームや組織の目標達成を実現するために、人材やプロジェクトを統括しなければなりません。

マネージャー・管理職におけるスキルセットを構成するスキルの具体例は、以下の通りです。

マネージャー職のスキルセットには、チームや組織を管理するために必要なスキルが重要です。単なるリーダーシップだけでなく、さまざまな立場の人から意見を聞いたうえで、適切な判断をする力も必要です。

経営者

経営者は、企業の方針や戦略を決め、企業を経営します。そのため、経営者に求められる具体的なスキルセットは以下の通りです。

経営者は、企業の方針や戦略を決定し、組織を運営していく役割を担います。そのため、経営者のスキルセットは、以下のようなスキルで構成されています。

経営者のスキルセットは、企業経営を円滑に行うために重要な知見や能力で構成されています。ビジネスを拡大するための対外的な関係性を構築する力も重要です。

スキルセットの強化に有効な施策

個人のスキルセットを強化するための施策を紹介します。

企業として、できるところから積極的に取り組み、環境を整備しましょう。

研修の実施

従業員のスキルセットの向上には、構成スキルを強化する研修の実施が有効です。

企業が講師を招き、必要な分野の研修を行ってもらいます。研修内容を会社側が把握しておくと、以後の育成計画にも役立つでしょう。

実施すべき研修の内容は、伸ばしたいスキルセットや担当講師によっても異なります。

マインドセット

スキルセットを習得するには、従業員が必要なマインドセットを持っておくことも大切です。

マインドセットとは、物事に対する考え方や姿勢、信念など、自分の行動や判断に影響を与える心の持ち方のことです。

そもそも仕事に対して、成長志向や継続力などのマインドセットを持っていないと、スキルの向上が難しくなるでしょう。

特に変化の激しい現代において、業務を円滑に遂行するためには、柔軟性や目的意識などが重要です。予期せぬ変化に対応するためにも、マインドセットを備えたうえで、必要なスキルセットの習得を目指しましょう。

外部ビジネススクールへの参加

従業員のスキルセットの底上げには、ビジネススクールへの参加も有効でしょう。

学べる内容はスクールによってさまざまで、一例として、マーケティングや労務関係などが挙げられます。

オンラインで参加できるものもあり、従業員の自発的な学習態度が求められます。

自己投資の支援

スキルセットの強化するためには、企業が従業員の自己投資を支援することも大切です。

積極的に自己投資して学ぼうとする姿勢は、従業員の成長にもつながります。

スキルセットの強化だけでなく、従業員の高い意欲や姿勢を支援すれば、人材の成長が期待できます。

スキルマップの作成

スキルセットの強化には、まずは現状把握が大切なので、従業員が現在保有するスキルを明確にするスキルマップの作成も必要です。

スキルマップとは、個人やチームの現在のスキル状況を可視化し、どのスキルが強化・補強の対象かを明確にするツールです。

スキルマップを通じ、従業員一人ひとりやチームが現状どのスキルを持ち、どのスキルが不足しているのかを確認したうえで、今後必要なスキルを明確にし、成長目標を設定します。

そしてスキルのギャップに応じて学ぶべき内容を決め、スキルセット向上の計画を立てます。

スキルセットの強化においてスキルマップを活用すると、成長過程が可視化され、学習のモチベーションも高まるでしょう。

個々のスキルセットを強化して組織の成長を促進

スキルセットとは、複数の能力や経験などの組み合わせです。人材や組織として成果を出したり成長したりするためには、単なるスキルだけではなく、スキルセットを活かす必要があります。企業では、従業員がそれぞれの職種に応じたスキルセットを身に付けられるよう、積極的な施策の実行を促進しましょう。

各職種に必要なスキルセットを強化することは、組織全体の成長を促進するために重要です。社員一人ひとりが必要なスキルを身につけることで、業務の効率が上がり、プロジェクトの成功率も向上するでしょう。

さらに個々のスキルアップが実現すると、チーム全体の生産性も向上し、組織としての競争力が強化されます。

従業員一人ひとりのスキルセットの充実は、組織の成長や変化への適応力を高め、ビジネスの成功を支えるでしょう。

まずは個々のスキルの可視化から始めることをおすすめします。

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