タレントマネジメント(システム)の市場規模|拡大理由と将来性について解説

タレントマネジメント(システム)の市場規模|拡大理由と将来性について解説

社員一人ひとりのスキルや適性を見える化し、能力を最大限に活かすために行う評価・配置・育成がタレントマネジメントです。取り組みを支援する「タレントマネジメントシステム」の市場は、年々拡大しているといわれています。

本記事では、タレントマネジメントや関連システムの市場規模、現状、そして今後の見通しについてわかりやすく解説します。「なぜ今、タレントマネジメントが注目されているのか?」「これからどう広がっていくのか?」という疑問を持つ人事担当者や経営層は、ぜひ参考にしてください。

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目次アイコン目次

    タレントマネジメントとは

    タレントマネジメントとは、企業に所属する従業員のタレント(能力)を一元管理し、人材育成や適切な人材配置などに活用する考え方のことです。今いる人材に最大限能力を発揮してもらい、最終的に経営目標を達成し企業の発展を目指します。

    タレントマネジメントシステムは、このタレントマネジメントを効率よく実施するためのシステムといえるでしょう。統一されたフォーマットで複数の従業員の情報を比較検討できるため、紙やエクセルでの運用では難しかった「適材適所」に人材配置が行えます。

    また、公平で透明性の高い基準で人事評価ができるなど、多くのメリットが存在します。現在、導入を検討する企業が増加しているシステムです。

    タレントマネジメント(システム)の市場規模

    タレントマネジメントおよびタレントマネジメントシステムの市場規模について解説します。過去と現在、そして将来、どれほどの需要があるのでしょうか。

    2020年は約180億円

    2020年のタレントマネジメントシステム市場規模は180億9,400万円です。この数値は前年から22.1%増加しており、かなり高い金額であることがうかがえます。

    出典:『タレントマネジメントシステム市場規模推移』株式会社矢野経済研究所

    2022年予測は約290億円

    日本におけるタレントマネジメントの市場規模は、2022年に約290億円を突破すると予測されています。2022年以降も右肩上がりに市場規模が増加していくと考えられており、これからのビジネスにおいて必要不可欠なシステムになっていくことが予想可能です。

    出典:『タレントマネジメントシステム市場規模推移』株式会社矢野経済研『ITナビゲーター2021年版』株式会社野村総合研究所

    タレントマネジメント(システム)の導入状況

    タレントマネジメントやタレントマネジメントシステムの導入状況について見ていきましょう。

    タレントマネジメントの活用状況

    タレントマネジメントシステムをすでに導入している企業と、導入を予定しており、導入に向け準備中である企業は合計で42.3%を占めます。現在は導入していませんが、これから検討する予定の企業も含めると、76.1%という数値になりました。大多数の企業が導入に前向きな答えを回答していることがわかります。

    出典:『タレントマネジメントシステム市場規模推移』株式会社矢野経済研究所

    業界別の導入状況

    業界別のタレントマネジメントシステム導入率は以下の通りです。

    金融20.8%
    機械器具製造14.1%
    社会インフラ13.8%
    建設・土木10.7%
    商社・流通10.0%
    サービス業8.7%
    素材製造8.3%

    出典:『企業IT動向調査報告書2021』一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)

    タレントマネジメント(システム)の将来性

    タレントマネジメントシステムの市場は今後も少しずつ伸びていくことが予測されています。

    業界によってまだ導入率の差があり、全体的な市場規模が拡大していることが理由です。これから拡大ペースは緩やかになると考えられていますが、将来性も見込まれるでしょう。

    現在は導入を考えていない企業も、ビジネスシーンの変化にともなって、必要性が高まる可能性もあります。

    たとえば、昨今話題になっている人的資本経営の実現に向けた動きとして、タレントマネジメントシステムの導入を考える企業が多いようです。

    タレントマネジメント(システム)の市場拡大の理由

    タレントマネジメントの市場が拡大したのは、なぜなのでしょうか。特に影響力が大きい理由を、3つピックアップしてご紹介します。

    働き方改革の影響

    政府の働き方改革の推進により、さまざまな働き方に対応した人材管理が求められるようになりました。正社員だけではなく、あえて契約社員を選んだり、フリーランスとして活躍したりする人も目立ってきました。ワークライフバランスを重視する従業員も、以前より増加しています。

    多様な価値観にあわせた経営をするには、人事管理も一人ひとりに寄り添ったものに対応していくといいでしょう。テレワークやフレックスタイム制といった新しい働き方を導入しやすくするためにも、多くの企業がタレントマネジメントシステムの導入を検討しています。

    転職の一般化

    転職がスタンダードなものになった社会的変化も、大きな理由の一つです。これまでの日本では、新卒から定年退職まで1つの会社で勤めあげる終身雇用制度が一般的でした。しかし現在は転職によってキャリアアップを目指す人も増えています。人材の流動化が進み、優秀な人材を確保するための難易度が上がっているため、今いる社員に最大限力を発揮してもらおうとするタレントマネジメントシステムの市場規模が拡大しています。

    HRテックの普及

    HRテックが普及しているため、タレントマネジメントシステムの市場規模も相対的に拡大しています。HRテックとは、ITなどにより人事業務を効率化する仕組みや技術、サービスのこと。タレントマネジメントシステムは、HRテックの中のひとつの技術システムといえるでしょう。

    タレントマネジメント(システム)海外の市場規模

    タレントマネジメントの国内市場規模が拡大しています。海外の市場規模はどのように推移しているのでしょうか。

    海外でもタレントマネジメントは市場拡大が見込まれます。アメリカをはじめとした諸外国でも、タレントマネジメントシステムの成長率は非常に高いようです。ある調査会社によると、世界の人材管理市場規模は、2021 年に 194 億 に届く勢いで伸びています。さらに今後 2030 年までに年間成長率 12.8% の割合で拡大すると予想されています。

    出典:『2022年から2030年までの人材管理市場規模、シェアおよびトレンド分析レポート』Grand View Research社

    タレントマネジメント(システム)市場 今後の動向

    タレントマネジメントの市場は今後どのような動きをするのでしょうか。今後の展望について、まとめました。

    戦略人事の推進

    これからの人事業務は、より経営と密接にかかわるようになっていきます。経営戦略を実施するために採用、配置、異動、育成、評価を行うことが求められているのです。経営戦略の実現に向けて戦略的に人材管理を行うことを戦略人事といいます。

    その際に大きな役割を果たすのがタレントマネジメントシステムです。一人ひとりのスキルや経歴の可視化、人材情報一元化などの体制を整えるためにシステムの活用は必須といえます。タレントマネジメントシステムは、戦略人事を進めるにあたって、重要性が増していくと予想されます。

    システム連携

    ほかの人事システムとの連携も、不可欠です。戦略人事を進めるには、人事部でタレントを管理するだけでなく、事業部を横断して人材情報を活用する必要があります。たとえば経理や会計システムなどと紐づけて財務情報、営業システムと紐づけて営業情報を取得し、人材マネジメントに活用するなどです。

    ほかのシステムとの連携によって、タレントマネジメントシステムの活用の幅は広がります。導入を考えている場合は、システムとの連携の柔軟さを視野に検討するといいでしょう。

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    人的資本経営の対応

    人事・HR領域でトレンドとなっている人的資本経営の実現に向けて、タレントマネジメントシステムの導入を考える企業が増えています。

    2019年にISO30414(人的資本に関する情報開示のガイドライン)が公表されたのをきっかけに、欧米では人的資本情報の開示が強く求められています。そして2020年には米国証券取引委員会(SEC)によって、アメリカの上場企業には11領域49項目の開示が義務づけられました。社員のスキルや育成など人材への投資状況を可視化することが、国際的に求められているのです。

    日本でも開示の流れは始まっています。政府は2022年中に人的資本開示の指針を示し、2023年には有価証券報告書に人的資本情報への記載を求める予定です。(2022年10月現在)

    タレントマネジメントシステムにも、ISO30414や日本政府の指針に沿った情報項目を登録・集計・分析する機能が搭載されるようになるかもしれません。

    タレントマネジメント導入にはシステム活用が便利

    タレントマネジメントを効果的に実施し自社に定着させるには、システムの導入がおすすめです。年々難易度が増している人材マネジメントを効率化し、担当者の業務負担を減らすことも期待できるでしょう。紙やエクセルでの管理に追われていた企業においては、特に導入効果の実感が得られやすいかもしれません。

    まとめ

    タレントマネジメントは、価値観が多様化して人材確保が難しくなっている中、組織の発展を目指すために重要な考え方といえます。

    タレントマネジメントシステムを活用すれば、より効率的に自社の人材管理の助けとなるでしょう。日本でも海外でも市場規模は拡大し続けており、今後も緩やかでありながら成長が見込まれます。


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