ゆとり世代とは|何歳? いつから? 特徴や仕事観を踏まえた付き合い方、さとり世代との違いを解説

ゆとり世代とは|何歳? いつから? 特徴や仕事観を踏まえた付き合い方、さとり世代との違いを解説

ゆとり世代とは、日本国内で1987~2004年に生まれた世代を指す言葉です。マイナスイメージを持たれがちなゆとり世代ですが、特徴を理解して上手に付き合うことで、優れたパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。

本記事では、ゆとり世代の概要や働き方の特徴、適切な付き合い方などを詳しく解説します。ゆとり世代の特徴や仕事観を把握して、採用や人材育成に活かしたいと考える人事・採用担当者は、ぜひ参考にしてください。

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    ゆとり世代とは

    ゆとり世代の概要や語源である『ゆとり教育』が導入された背景について詳しく解説します。

    ゆとり世代の年齢|今は何歳?いつから?

    ゆとり世代とは、2002~2011年の間に義務教育を受けた世代、つまり1987~2004年生まれの世代をあらわす言葉です。

    2002年に施行された新学習指導要領にある「総合的な学習の時間」に基づく教育、通称『ゆとり教育』が実施された時期と一致することが語源となっています。

    ゆとり教育が導入された背景

    ゆとり教育は、それまでの詰め込み教育による過度な負担を背景に、児童や生徒の精神的な健康を守り「心のゆとりを持つ力を育む」という目的で導入されました。

    また、1990年代初頭のバブル崩壊や少子化問題などを受けて、教育の質の向上と多様な能力を引き出す教育の必要性が問われたことも大きな要因です。

    ゆとり世代に対する問題提起

    一人ひとりの個性を尊重し、生きる力や考える力を育むことを目的に実施されたゆとり教育は、やがて「学力の低下」や「教育の二極化」など深刻な社会問題に発展し、批判の声が高まりました。

    学力の低下

    ゆとり世代には、基本的な知識や技能が不足していると指摘されてしまうケースも少なくありません。大幅に学習時間を削減されたことが、子どもたちの学力低下を招いたとされています。

    さらに、他者と比べずに競争を避ける方針のもとで、教育が行われていたことを受けて、競争意識の低下にもつながったといわれています。

    教育の二極化(格差)

    学力低下に危機感を抱いたゆとり世代の家庭は、子どもを国立や私立の中高一貫校に入学させたため、教育の二極化が深刻化しました。「やる子はやる、やらない子はやらない」という教育格差につながったことは、ゆとり教育の大きな代償といわれています。

    ゆとり世代の行動や考え方の特徴

    成長した時代背景や環境の影響から、ゆとり世代の性格・価値観には、複数の共通するポイントが指摘されています。ゆとり世代の行動や考え方の特徴を5つ紹介します。

    • 素直で真面目
    • ITリテラシーが高い
    • 多様性やフラットさを重視する
    • 合理的・効率的
    • ストレスへの対処能力が低い

    素直で真面目

    ゆとり世代は従来の詰め込み教育とは異なり、時間的にも内容的にもゆとりを持ったカリキュラムで教育を受けてきたため、素直で真面目な人が多い傾向があります。

    一方で、競争精神は乏しく、仕事やプライベートにおいて消極的な一面があるのも特徴です。

    ITリテラシーが高い

    ゆとり世代は、デジタルネイティブと呼ばれる世代です。幼い頃からインターネットやパソコン、スマートフォンなどのデジタルデバイスを利用してきた経験から、ITリテラシーが高く、IT関連の仕事に対しても抵抗感を持たない人が多く見られます。

    多様性やフラットさを重視する

    ゆとり世代は、ダイバーシティや多様性の考え方が普及したタイミングと学生時代が重なっているため、社会問題への意識が高い傾向があります。

    IT技術やグローバル化が加速した社会において、幅広い分野の情報と触れ合う機会が多く、性別や人種、国籍、価値観などの多様性に対する理解度がとても高い世代といえるでしょう。

    合理的・効率的

    ゆとり世代は、合理的・効率的な考えを好みがちです。

    幼い頃からインターネットを駆使した情報を収集してきた世代なので、必要な情報をみずから選択し、ものごとを合理的に判断するスキルに長けています。効率のよさやコストパフォーマンスを重視し、非効率な業務や慣習的なやり方を避ける人が多いのも特徴です。

    ストレスへの対処能力が低い

    ゆとり世代は、学校教育において強いプレッシャーやストレスを感じる競争などの機会が極めて少なかったことから、ストレス耐性が低い傾向があります。そのため、企業における激しい競争や順位づけなどに強いストレスを感じやすく、チャレンジ精神に乏しい人が一定数見られます。

    繊細さや感受性を持つ人が多く存在する世代であると覚えておくとよいでしょう。

    ゆとり世代の働き方の特徴

    ゆとり世代の一般的な価値観を踏まえると、仕事やキャリアにおいては、以下の6つの傾向が見られます。

    • 受け身で指示を待ってしまう
    • 仕事よりプライベート
    • 昇進への関心が低い
    • 転職に前向き
    • 競争より協調
    • 挑戦より安定

    受け身で指示を待ってしまう

    ゆとり世代は、積極的に行動したり新しいことにチャレンジしたりするのが苦手で、受け身な人が多いのが特徴です。業務を進めるうえでも、上司や先輩からの指示がないと行動できないという声も聞かれます。

    仕事よりプライベート

    ゆとり世代は、時間に余裕がある学生時代を過ごしてきたことから、自分の時間を大切にしたいと考える傾向があります。仕事とプライベートを天秤にかけたときに、プライベートを選びがちです。

    仕事に全力を注ぐのではなく、プライベートの時間を充実させられるかを重要視するため、激務や残業、仕事の飲み会などを好まないことが多いでしょう。

    昇進への関心が低い

    ゆとり世代は競争意識やチャレンジ精神が低いため、昇進への関心も低い傾向があります。安定したキャリアよりも、プライベートや仕事内容を重視する人が多く存在するのです。

    転職に前向き

    ゆとり世代の多くは、自分のニーズに合った職場を求めて転職することに対して抵抗がありません。

    終身雇用や安定したキャリアには関心が乏しいため、仕事で大きなトラブルがあったり、人間関係に悩んだりした場合は、早いタイミングで転職を決意する傾向にあるのが特徴です。

    競争より協調

    ゆとり世代は、競争する機会が少ない環境で育ったことも影響し、本来であれば「ライバル」である人も「仲間」としてとらえる人が存在します。

    競争意欲はないものの、仲間と協力して困っている人を助けるという働き方を好み、チームワークを重視する傾向があります。

    挑戦より安定

    ゆとり世代は打たれ弱く、失敗を恐れてみずからはあまり行動しない特徴もあります。失敗を避けようとするあまり、なかなか挑戦できないというネガティブな姿勢も見られます。

    上司や先輩から指摘や叱責をされると落ち込んでしまい、なかなか立ち直れないため、新しいことに挑戦するよりも安定を求める人が一定数いるでしょう。

    ゆとり世代の特徴を踏まえた付き合い方

    ゆとり世代の価値観や働き方の特徴を踏まえて、企業としてどのような対策や対処を行うべきなのでしょうか。仕事におけるゆとり世代へ指導するポイントを詳しく解説します。

    • 具体的な指示をする
    • 理由や意味を伝える
    • おひたしを意識する
    • 肯定的なフィードバックをする
    • 一緒に考える
    • 考え方や価値観を尊重する
    • MVVへの共感を得る
    • プライベートに干渉しない

    具体的な指示をする

    ゆとり世代は、明確なゴールや目標設定を望む傾向があります。指示に対して的確に行動できるゆとり世代の特徴を活かすためにも、具体的な目標を与えることが大切です。「いつまでに」「どのような状態」を目指すべきかを明確に指示するよう意識しましょう。

    理由や意味を伝える

    合理性や効率を重視するゆとり世代に対しては、その業務が必要とされている理由を示すことが大切です。非合理的な業務やあいまいな内容に強い嫌悪感を示す傾向があるため、仕事を任せる際は以下のポイントを伝えてください。

    • 業務が必要な理由
    • 業務を通して達成すべきこと
    • 仕事に取り組む際の手順

    ゆとり世代のやる気を出すためにも、明確かつ具体的な理由を説明するよう心がけましょう。

    おひたしを意識する

    ゆとり世代だけでなく、部下や後輩からの「報告・連絡・相談」に対して最近では「おひたし」を意識して接することが必要と考えられています。

    怒らない
    否定しない
    助ける
    指示する

    先輩世代の従業員も忙しい中で「おひたし」を意識するのは容易ではありませんが、決して上から目線で接しないように注意しましょう。

    肯定的なフィードバックをする

    ゆとり世代が仕事を通して何かしらの貢献をした場合は、改善すべき内容があったとしても、まずは肯定的なフィードバックをすることが大切です。

    打たれ弱く、叱られると萎縮しがちなゆとり世代は、褒められることで不安や緊張が取り除かれ、仕事に前向きな気持ちで取り組めるようになるでしょう。

    一緒に考える

    ゆとり世代は、高圧的な態度に強い嫌悪感を抱きがちで、強い口調で指摘やアドバイスをされると聞き入れないケースがあります。

    必要以上に気を遣う必要はないものの、対等な関係を築き偏りのない視点でゆとり世代と付き合うことが大切です。何か問題が生じた場合は、すべてを任せるのではなく、一緒に考えるスタンスで接していきましょう。

    考え方や価値観を尊重する

    ゆとり世代の独特な考え方や価値観を尊重することも大切です。合理性を重視する考え方やプライベートを優先する価値観を決して否定せずに、受け入れるよう心がけましょう。彼らの持つ新たなアイデアを上手に取り込むと、イノベーションの創出につながるかもしれません。

    MVVへの共感を得る

    MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは、企業活動の在り方を表現する言葉です。ミッションは使命や存在意義、ビジョンは目標や理念、バリューは価値や行動指針の頭文字から取られています。

    MVVを設定することで、企業と従業員そして社会をつなげられ、企業の存在価値を明確にできます。社会問題への意識が高いゆとり世代には、MVVへの共感を得て、かかわる仕事に対して価値を感じてもらうことが重要です。

    プライベートに干渉しない

    ゆとり世代はプライベートを重視する傾向があるため、適度な距離感を保つことが大切です。

    「職場とプライベートは切り離すもの」「仕事は手段であり目的ではない」という認識が強いため、職場でプライベートの話をしたり、歓迎会や忘年会への参加を強要したりすることは避ける方がよいでしょう。

    ゆとり世代が影響を受けたとされる社会的な出来事

    ゆとり世代が影響を受けたと考えられる社会的な出来事は、以下の通りです。

    • バブル崩壊
    • リーマンショック
    • 東日本大震災

    多感な時期に世界中を揺るがす衝撃的な出来事を経験したことが、ゆとり世代特有の保守的で消極的な思想に結びついていると考えられています。

    ゆとり世代とさとり世代・つくし世代について

    ゆとり世代と似たような言葉として「さとり世代」や「つくし世代」があります。それぞれの特徴や、ゆとり世代との違いを詳しく解説しましょう。

    さとり世代

    さとり世代とは、高い目標を掲げることなく現実的な生活を好んでいる世代を指す言葉です。

    さとり世代には複数の定義があるものの、ゆとり教育の反省を踏まえて教育を受けてきた世代であることから、ゆとり世代(1987~2004年生まれ)の後半と考えるとよいでしょう。具体的には、1990年代後半から2000年代初期に生まれた世代をあらわすことが一般的とされています。

    さとり世代の特徴は次の通りです。

    • ブランド志向ではない
    • 現実主義者が多い
    • 安定性を重視する

    さとり世代は、ゆとり世代と同様に長く不景気を経験していることから、ブランド志向ではなく、コストパフォーマンスを重視する傾向があります。

    また、経済が低迷している時期に幼少期を過ごしたため、大きな夢は持たず、堅実的な現実主義者や安定性を求める人が多いのも特徴です。

    つくし世代

    つくし世代とは、相手に「尽くす」姿勢が強いことから、マーケターの藤本耕平氏により名づけられた世代です。つくし世代にも複数の定義があり、主に次の2つの世代に分けられています

    第1世代1985〜1991年生まれ
    第2世代1992年以降生まれ

    つくし世代の特徴は以下の通りです。

    • 人に尽くす
    • 仲間と楽しさを共有したい
    • 支配されることに嫌悪感を示す
    • 個性を大切にしている

    つくし世代とは、共感や同調を重視し、チームプレイを得意とする傾向があります。仕事においても誰かと協力して進めることを好み、誰かのためになるとわかるとやる気が出る人も少なくありません。

    参考:『つくし世代「新しい若者」の価値観を読む』光文社

    ゆとり世代の特徴を理解したマネジメントを

    ゆとり世代とは、1987~2004年に生まれて2002~2011年に義務教育を受けた若者を指し、仕事において受け身な傾向が指摘されています。

    幅広い世代で構成される職場では、世代別の特徴にも理解を示しつつ、一人ひとりの得意・不得意にも目を向けて、それぞれに適した役割を与えることが重要です。世代で一括りにするだけでなく、従業員のスキルや能力を適切に管理し、能力を発揮してもらえる職場環境を目指しましょう。

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