【2025年4月から】育休手当手取り10割の条件とは? 企業の対応や申請方法を解説

育休手当が手取り10割相当になる「出生後休業支援給付金」が間もなく開始されます。
- どの条件を満たせば適用されるのか
- 手続きの流れはどう変わるのか
- 企業は何を準備すればよいのか
以上のような疑問を持つ人事・労務担当者も多いはずです。
本記事では、育児休業中の手取りが10割になる「出生後休業支援給付金」の適用条件、企業の対応ポイント、申請方法までをわかりやすく解説します。企業の経営層や人事労務担当者は、制度の詳細を正しく把握し、適切な対応を進めましょう。


【2025年4月スタート】育休手当手取りが10割に?
2025年4月から育児休業中の手取りが「10割」になる新制度がスタートします。
「出生後休業支援給付金」 という新たな手当で、父母ともに育児休業を取得した場合に支給されます。
出生後休業支援給付金は、育児休業の取得率向上を目指すために導入されました。企業は従業員への周知を積極的に行い、適切に対応しなければなりません。
出生後育児休業支援給付金における「育休手当10割」の仕組み、適用条件、支給額などについて解説します。
参照:『2025年4月から「出生後休業支援給付金 」を創設します』厚生労働省
育休手当が「手取り10割」相当になる理由とは
出生後休業支援給付金は、育児休業中に給付される育児休業給付金を補填する制度です。
通常、育児休業給付金の支給額は、通常賃金の5割から7割程度です。
出生後休業支援給付金を利用すれば、要件を満たす従業員は育児休業給付金とあわせて賃金の10割相当を給付金として受給できるようになります。
「手取り10割」とは、給与明細上の総支給額(額面)ではなく、社会保険料や税金を差し引いた後の実際の手取り額を基準にしたものです。
育児休業給付金や出生後休業支援給付金は非課税であり、社会保険料の免除も適用されるため、実質的に休業前の手取り水準と同等の支給額を受け取ることができます。
育休手当手取り10割相当になる条件とは? 支給期間に注意
以下の条件を満たした場合、出生後休業支援給付金が支給されます。
- 夫婦ともに育児休業を取得している
- 男性は出生後8週間以内に14日以上の育児休業を取得
- 女性は産前産後休業後8週間を経過するまでに14日以上の育児休業を取得
条件1については例外があり、配偶者が育児休業を取らなくても適用される点に注意が必要です。
- 配偶者がいない(ひとり親世帯)
- 配偶者が専業主婦(夫)である
- 配偶者が雇用契約を結ぶ労働者ではない(フリーランスや自営業者など)
出生後休業支援給付金の支給期間は最大28日間 です。
参照:『令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について』厚生労働省
出生後休業支援給付金の支給額と手取り10割の仕組み
出生後休業支援給付金は、育児休業中の手取り額を10割に補填する制度です。出生後休業支援給付金と育児休業給付金の合算額は、休業開始時賃金日額の80%です。
【支給額の内訳】
給付金種類 | 支給割合 |
---|---|
出生後休業支援給付金(新制度) | 休業開始前賃金日額の13% |
育児休業給付金(出生後180日目まで) | 休業開始前賃金日額の67% |
合計 | 80% |
育休手当は非課税であり、育児休業中は、給付金制度に加えて社会保険料免除を適用できるため、実施的に手取りを100%(10割)にできるという仕組みです。
参照:『雇用保険法等の一部を改正する法律等の概要』厚生労働省
育児休業中の社会保険料免除
育児休業を取得すると、休業期間中の社会保険料が免除されます。
免除対象期間 | |
---|---|
開始月 | 育児休業を開始した月 |
終了月 | 育休終了日の翌日が属する月の前月 |
適用には企業が申し出を行う必要があります。対象の従業員が育児休業に入る際、「社会保険料免除申請書」 を管轄の年金事務所に提出しましょう。
本来であれば、社会保険料は企業と従業員の折半で支払いますが、育児休業中においては双方が免除されます。
従業員の負担を軽減するだけでなく、企業側の社会保険料負担も軽減できるというメリットがあるのです。

出生後休業支援給付金の具体的な計算例
実際にどのような支給額になるのか計算例を見てみましょう。
父親の休業開始時賃金日額1.5万円、母親が1万円の場合 | |
---|---|
父親 | 1.5万円 × (67%+13%) × 28日 = 33万6,000円 |
母親 | 1万円 × (67%+13%) × 28日 = 22万4,000円 |
合計 | 56万円 |
現行の育児休業給付金のみ(67%)で計算した場合に比べて、約9万円受給額が増加しています。父親が育児休業を取得することで、手取り額が増え、家計の負担軽減につながります。
出生後休業支援給付金の申請方法
出生後休業支援給付金の申請は、原則として「出生時育児休業給付金」または「育児休業給付金」の申請と同時に企業が行いますが、本人が行うことも可能です。
すでに育児休業給付金を受けている場合、あとから別途申請することも可能です。
企業が申請書類を従業員に案内し、必要な証明書類を準備すると親切かもしれません。
提出先はハローワークで、必要書類は以下のとおりです。
- 出生後休業支援給付金支給申請書
- 配偶者の育児休業取得状況の確認書類(該当する場合)
- 配偶者の状態を証明する書類(例:DV被害の証明書、無職証明など)
- その他、ハローワークが指定する書類
人事労務担当者は、従業員がスムーズに申請できるように、事前に育児休業の取得状況を確認し、適切に案内しましょう。
詳細な手続きについては、最寄りのハローワークまたは厚生労働省の資料で確認できます。
参照:『2025年4月から「出生後休業支援給付金 」を創設します』厚生労働省
そもそも育児休業給付金とは
育児休業給付金とは、育児休業を取得する雇用保険の被保険者が受給できる給付金です。企業は育児休業中の従業員に対して、給与を支給しないのが一般的です。収入の不安があると、従業員は安心して子どもを産み育てることができません。国が育児休業給付金を設け、働く人が安心して育児に専念できるよう支援しています。

育児休業給付金の要件
育児休業給付金は「1歳に満たない子を育てるために、育児休業を取得する雇用保険の被保険者」が対象です。
育児休業給付金の支給条件は、以下のとおりです。
条件の内容 | ||
---|---|---|
1 | 育児休業の取得 | ・事業主が認めた育児休業である |
2 | 育休前の勤務実績 | 休業開始日前2年間が、以下のどちらか一方に該当する ・賃金支払基礎日数の11日以上ある月が12か月以上ある ・賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月(=完全月)が12か月以上ある |
3 | 休業中の就労 | ・ 一支給単位の就業日数が10日以下、または就業時間が80時間以下である ・賃金月額の8割以上が支払われていない |
4 | 有期雇用の継続性 | 子どもが1歳6か月に達する日までの間に、労働契約期間が終了しない(延長する場合は2歳) |
被保険者が初日と末日を明らかにして行った申出に基づいて、企業が認めた育休に適用されます。
育児休業取得者を休業期間中に就労させる必要がある場合は、賃金の支給額をあらかじめ確認し、調整しておく必要がある点に注意しましょう。
また、有期雇用契約を結んでいる従業員は、子どもが1歳6か月になるまでに労働契約が継続される見込みであることも重要です。
育児休業を延長できるケース
従業員が一定の条件を満たせば、育児休業は最長で子どもが2歳になる前日まで延長も可能です。
延長の主な理由は、以下のようなケースです。
- 保育園の利用申し込みをしても、保育園に入れない
- 子どもを育てる予定だった配偶者の死亡や疾病などにより、子どもを養育できない
- 配偶者と子どもが別居し、子どもの養育ができない
育児休業を延長する際は、育児休業給付金の受給も延長されます。
2025年4月からは、保育所入園の申請書類が必須になるなど、申請基準が厳格化される点に注意しましょう。
育児休業給付金の計算方法
育児休業給付金の計算方法は、以下のとおりです。
休業開始時賃金日額×支給日数×67%(もしくは50%) |
支給割合は、育児休業開始から180日目までは67%、181日目以降は50%です。
賃金月額が20万円だった人は、以下のようなイメージとなります。なお、支給日数は30日を想定しています。
時期 | 計算式 | 休業前賃金月額が20万円だった人の月当たりの受給イメージ |
---|---|---|
育児休業開始から180日目 | 休業開始時賃金日額×支給日数×67% | 20万1千円 |
育児休業開始から181日目以降 | 休業開始時賃金日額×支給日数×50% | 15万円 |
休業開始時賃金日額には、上限額(15,690円)と下限額(2,869円)が設定されています。毎年8月1日に見直されるため、企業の担当者は定期的に確認する必要があります。
厚生労働省が提供する特設サイトでは、育児休業給付金の概算金額をシミュレーションできるので活用してみてもよいでしょう。
参照:『育児休業中の就労について』厚生労働省
参照:『産休・育休はいつから?産前・産後休業、育児休業の自動計算詳細事項入力・計算』働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート
育児休業給付金の申請方法
育児休業給付金の申請は、企業がハローワークを通じて行います。基本的な申請の流れは以下のとおりです。
- 従業員から育児休業取得の申し出を受ける
- 企業が申請に必要な書類を準備する
- 企業が申請手続きを行う
- ハローワークから支給決定通知と次回申請書を受け取る
- 従業員に育休手当が支給される
- 2回目以降の申請を行う
育児休業給付金の手続きは企業側で行いますが、育児していることを証明する「母子手帳」など、従業員に用意してもらう書類もあります。
育児休業給付金の手続きをスムーズに進められるよう、必要書類についてあらかじめ従業員に伝えておきましょう。

まとめ
2025年4月以降「出生後育児休業給付金」によって、育休中の手当の受給額合計が最大28日間、手取りの10割相当になります。
出生後育児休業給付金は、従来から育児休業給付金に上乗せされるため、育児休業中の収入減に対する不安を抑える役割があります。
企業の人事労務担当者は、育児休業給付金や出生後育児休業給付金に関する知識を深め、適切に情報を案内しなければなりません。
将来的に育児休業を取得したいと考える従業員が、計画的に育休を取得できるよう、企業全体で支援する体制を整えましょう。
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