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雇用保険の資格喪失日はいつ? 喪失届の作成・提出方法も解説

企業は、一定の要件を満たす従業員を雇い入れた際、雇用保険に加入させる義務があります。また、従業員の退職時や死亡時などには「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出が必要です。

本記事では、雇用保険の資格喪失にかかる手続きについて、資格喪失日や書類の作成・提出方法、届け出が必要なケースなどを網羅的に解説します。

※本記事の内容は作成日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

雇用保険の資格喪失日はいつ? 雇用保険被保険者資格喪失届の作成・提出方法を解説
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    雇用保険の資格喪失日はいつ?

    雇用保険の資格喪失日は、従業員が退職した日の翌日または死亡した日の翌日です。役員への昇進や所定労働時間の減少により加入資格を失った場合は、それぞれ当該事実のあった日から起算します。

    ただし、退職する事業所の資格喪失前に転職先で新たに雇用保険に加入した場合、その時点で以前の雇用保険の資格を喪失します。

    参照:『第5章 被保険者についての諸手続』厚生労働省

    雇用保険被保険者資格喪失届とは?

    企業(事業主)には、以下の要件を満たす従業員を雇い入れる際、雇用保険に加入させる義務があります。

    • 1週間の所定労働時間が20時間以上である
    • 継続して31日以上雇用されることが見込まれる
    • 学生ではない

    従業員を雇用保険に加入させる場合、企業は「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄のハローワークに提出しなければなりません。なお、提出期限は被保険者となった日の属する月の翌月10日までです。たとえば、入社日が11月1日なら、12月10日までに提出する必要があります。

    反対に、離職などの理由から従業員が雇用保険の被保険者資格を喪失した場合は「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出が必要です。

    参照:『事業主の行う雇用保険の手続き』厚生労働省
    参照:『雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!』厚生労働省

    雇用保険被保険者資格喪失届が必要なケース

    雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要なのは、以下のようなケースです。

    • 従業員が退職したとき
    • 従業員が死亡したとき
    • 従業員が法人の役員になったとき
    • 所定労働時間が週20時間未満になったとき

    それぞれのケースの手続きについて、詳しく解説します。

    従業員が退職したとき

    従業員が退職する際は、被保険者資格を喪失した事実があった日の翌日から起算して10日以内に、下記の2つの書類を管轄のハローワークに提出します。

    雇用保険被保険者資格喪失届雇用保険の資格を喪失したことを届け出る書類
    雇用保険被保険者離職証明書労働者が失業保険を受給するときに必要な書類

    なお、退職者が雇用保険被保険者離職票の交付を必要としない場合は、雇用保険被保険者離職証明書の提出は不要です。

    ただし、59歳以上の退職者には雇用保険被保険者離職票の交付が義務づけられているため、本人の希望にかかわらず上記の2つの書類を用意します。

    従業員が死亡したとき

    従業員の死亡時にも、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要です。死亡日の翌々日から起算して10日以内に、管轄のハローワークへ提出しましょう。基本的な手続きは、従業員の退職時と同様です。

    参照:『第5章 被保険者についての諸手続』厚生労働省
    参照:『手続き一覧表』厚生労働省

    従業員が法人の役員になったとき

    従業員が役員に昇格すると、雇用契約ではなく委任契約に移行し、雇用保険の加入資格が失われます。ただし、会社と雇用関係にあるかどうかは就労の実態や報酬の支払いなどで総合的に判断されるため、労働者的性格が強いと認められた場合はその限りではありません。

    そのため、従業員が役員に昇格した際は、雇用保険被保険者資格喪失届とともに、雇用の実態を確認できる書類などを管轄のハローワークに提出する必要があります。

    参照:『第5章 被保険者についての諸手続』厚生労働省
    参照:『Q&A~事業主の皆様へ~』厚生労働省

    所定労働時間が週20時間未満になったとき

    出勤日や勤務時間を減らすなどして、従業員の所定労働時間が週20時間未満になると、雇用保険の加入資格を喪失します。この場合も、管轄のハローワークへ雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要です。

    ただし、所定労働時間の減少が一時的であり、20時間以上に戻ることが予定されている場合には、雇用保険の加入資格は失われません。

    参照:『第5章 被保険者についての諸手続』厚生労働省
    参照:『被保険者に関するQ&A』東京労働局

    雇用保険被保険者資格喪失届の作成方法

    雇用保険被保険者資格喪失届の作成方法を解説します。雇用保険被保険者資格喪失届にはさまざまな項目があるため、情報をあらかじめそろえておくことが大切です。

    雇用保険被保険者資格喪失届の様式

    書類の様式(フォーマット)は、ハローワークの公式サイトからダウンロードできます。フォーマットの印刷だけでなく、パソコン上で必要事項を入力した書類を印刷することも可能です。

    参照:『雇用保険被保険者資格喪失届』ハローワークインターネットサービス

    ハローワークの公式サイト内では各項目の記入例も掲載されているため、ぜひ参考にしてください。なお、フォーマットは定期的に更新されるため、最新のものか確認してから作成しましょう。

    雇用保険被保険者資格喪失届の項目

    雇用保険被保険者資格喪失届には、以下のような記入項目があります。

    • 個人番号
    • 被保険者番号
    • 事業所番号
    • 資格取得年月日・離職等年月日
    • 喪失原因
    • 離職票交付希望
    • 1週間の所定労働時間
    • 補充採用予定の有無

    厚生労働省の記入例に基づき、それぞれの項目について解説します。

    参照:『雇用保険被保険者資格取得届の記入例』厚生労働省
    参照:『第5章 被保険者についての諸手続』厚生労働省
    参照:『雇用保険事務手続きの手引き』厚生労働省

    個人番号

    退職者の個人番号(マイナンバー)を記入する項目です。利用目的を本人に伝え、身元確認と番号確認を行いましょう。

    被保険者番号

    退職者の雇用保険被保険者証に記載されている被保険者番号を記入する項目です。

    雇用保険の被保険者番号は「4桁−6桁−1桁」の11桁の数字ですが、1981年7月6日以前に交付されたものは「6桁−10桁」の16桁の数字で構成されているため、後半の10桁の数字を記入しましょう。

    事業所番号

    自社の事業所番号を記入する項目です。

    正式名称は「雇用保険適用事業所番号」といい、雇用保険の適用事業所ごとに与えられた11桁の番号を指します。雇用保険の届出関連では、事業所番号を記入するケースがほとんどです。

    資格取得年月日・離職等年月日

    資格取得年月日には、従業員が雇用保険に加入した日付を書き入れます。次に、離職等年月日には、被保険者資格を有していた最終日を記入しましょう。

    喪失原因

    資格喪失の理由について、下記より該当する番号を選択します。

    1離職以外の理由
    23に該当しない離職
    3事業主都合の離職

    たとえば、転職の場合は「2」、従業員が死亡した場合は「1」を選びましょう。

    離職票交付希望

    退職者の離職票交付の希望有無を記入する項目です。

    希望する場合は「1有」、希望しない場合は「2無」を選択します。退職者が59歳以上の場合は離職票の交付が必須のため、本人の希望にかかわらず「1有」を選びましょう。

    1週間の所定労働時間

    1週間の所定労働時間を記入する項目です。就業規則や雇用契約書に基づき、通常の週に勤務すべき1週間の所定労働時間を記入します。

    補充採用予定の有無

    退職による補充採用の見込みの有無を記入する項目です。補充採用をする予定があれば「1有」を選択します。

    雇用保険被保険者資格喪失届の提出の仕方

    次に、雇用保険被保険者資格喪失届の提出方法や添付書類、提出期限について解説します。

    雇用保険被保険者資格喪失届の提出方法

    雇用保険被保険者資格喪失届の提出先は、管轄のハローワークです。

    提出方法は、窓口への持参・郵送・オンライン申請の3つ。郵送やオンライン申請なら管轄のハローワークに直接足を運ばずに済むため、手続きにかかる手間を軽減できます。

    管轄のハローワークの窓口に提出

    窓口に書類を持参し、手渡しで提出する方法です。このとき、担当者の印鑑を持参するとよいでしょう。

    郵送による提出

    郵送の場合は、郵便事故の防止のため、特定記録や簡易書留を利用するのがおすすめです。郵送提出では、返信用の封筒と返信にかかる料金の切手を同封しましょう。

    オンライン申請(e-Gov)

    オンライン申請は、電子政府の総合窓口e-Govから行えます。

    e-Govとは、各省庁が所管する行政手続きの申請・届け出を会社のパソコンで行えるサービスです。オンライン申請の方法は、厚生労働省の公式サイトで解説されています。操作画面のキャプチャーつきで申請手順がわかりやすく紹介されているので、詳しくは厚生労働省の手順書を確認してください。

    参照:『雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)電子申請手順』厚生労働省職業安定局

    雇用保険被保険者資格喪失届の添付書類

    雇用保険被保険者資格喪失届の提出時には、下記の添付書類が必要です。

    • 出勤簿(タイムカード)
    • 退職辞令発令書類
    • 労働者名簿
    • 賃金台帳
    • 離職理由が確認できる書類
    • 雇用保険被保険者離職証明書(雇用保険被保険者離職票が必要な場合のみ)

    参照:『第5章 被保険者についての諸手続』厚生労働省

    雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限

    雇用保険被保険者資格喪失届は、従業員が被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して10日以内に提出する必要があります。適切に届け出ない場合は、雇用保険法第83条により、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる恐れがあるでしょう。

    また、雇用保険法第76条3項により、退職者による離職票の請求に対し正当な理由なく交付を拒否することも罰則の対象です。

    参照:『手続き一覧表』厚生労働省
    参照:『雇用保険法』e-Gov法令検索

    雇用保険の資格喪失日を理解し、迅速に手続きを

    企業は、従業員が雇用保険の被保険者資格を喪失した際、管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する義務があります。適切に届け出ない場合は罰則が科せられる恐れもあるため、書類の作成方法や提出期限などをよく理解しておくことが必要です。

    従業員の退職や死亡、役員への昇格、所定労働時間の減少など、雇用保険の被保険者資格を喪失するケースを正確に把握しておきましょう。

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