労働保険の年度更新の電子申請のやり方は? 手続きの流れや注意点を解説

労働保険の年度更新は電子申請が一般的になりつつあり、特定の法人は電子申請が義務化されています。手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に完了しなければなりません。
電子申請は、業務効率化やミス防止に役立ちますが、不慣れな人にとっては不安も大きいでしょう。
本記事では、労働保険の年度更新における電子申請について、手続きの流れや注意点などを解説します。


労働保険の年度更新の電子申請とは
労働保険の年度更新の電子申請とは、毎年行う労働保険料の精算と新年度の概算保険料の申告を、インターネットを通じて手軽に完了できる手続きのことです。
年度更新は窓口への提出だけでなく、電子申請も可能です。紙の申告書を用いた手続きと比べて手軽で、事業主にとって負担が軽いため、電子申請が一般的になりつつあります。

特定の法人において電子申請は義務
労働保険の年度更新を電子申請で実施することは、特定の法人に対して義務づけられています。
事業者の負担軽減につながる電子申請を促進するため、政府は2020年より、特定の法人に対して「一部手続き」の電子申請を義務化しました。「一部手続き」には、労働保険の年度更新も含まれます。
以下のいずれかの条件に当てはまる企業は、労働保険の年度更新を電子化しなければなりません。
- 資本金、出資金または銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
- 相互会社
- 投資法人
- 特定目的会社
電子申請義務化の詳しい要件は厚生労働省が配布する資料でご確認いただけます。
参照:『2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます。』厚生労働省
労働保険と年度更新について
労働保険とは、雇用保険と労災保険の総称で、業務中の災害や失業に備える公的保障制度です。一部を除いて、従業員を1人でも雇用している企業には加入義務があります。
労働保険料は毎年4月1日から3月31日までの1年間で算出され、年に1度、前年度の精算と新年度の概算申告・納付をしなければなりません。
この申告・納付手続きを「労働保険の年度更新」と呼び、期間は毎年6月1日から7月10日までです。例年5月末ごろに都道府県労働局から申告書が送付されてきます。
労働保険の年度更新の電子申請前に準備すること
労働保険の年度更新を電子申請するためには、次の3つの準備が必要です。
- 電子証明書
- e-Gov電子申請のアカウント取得
- パソコンの環境設定
電子証明書
電子証明書とは、紙の申請書での手続きにおける印鑑証明書に相当するものです。本人確認書類として利用します。
マイナンバーカード取得済みの場合
マイナンバーカードには電子証明書が搭載されています。ICカードの情報を読み取る専用機器を用意することで手軽に手続きが可能です。
マイナンバーカード未取得の場合
マイナンバーカードを取得していない場合は、専用ソフトウェアをパソコンにインストールして、電子証明書の発行申請を行います。申請が受理されると、同じソフトウェアで電子証明書をダウンロードできます。
電子証明書なしでも申請できる?
法人・個人事業主向けの共通認証システムである『GビズID』のうち、「gBizIDプライム」と「gBizIDメンバー」を取得すれば、電子証明書なしで申請することも可能です。
e-Gov電子申請のアカウント取得
行政手続きの電子申請窓口である『e-Gov』のアカウントを準備します。「e-Govアカウント」「Microsoftアカウント」「GビズIDアカウント」の中から、自社に適したものを選択して登録します。
パソコンの環境設定
パソコンの環境設定をします。ブラウザの設定でポップアップがブロックされていないか確認し、電子申請でアクセスするサイトを「信頼済みサイト」に登録します。
設定方法は使用しているブラウザにより異なります。多くの場合は右上にメニューボタンがあるので、クリックしてから「設定」を選択すると設定画面に遷移します。
パソコンにe-Gov電子申請のアプリケーションをインストールしたら、準備完了です。
労働保険の年度更新に関する電子申請に必要な準備は、厚生労働省が配布する資料でも確認できます。
参照:『労働保険に関する電子申請の事前準備ガイドBOOK』厚生労働省
労働保険の年度更新における電子申請のやり方
電子証明書やアカウント取得などが終わったら準備が完了です。労働保険の年度更新手続きを、以下の電子申請の手順に沿って進めましょう。
- 賃金集計表を作成
- ログインして「労働保険年度更新申告」を検索
- 労働保険番号・アクセスコード、必要事項を入力
- 提出先を選択して電子証明書を添付
- 内容を確認して申請/保険料を納付
1.賃金集計表を作成
最初に労働保険料の計算のもとになる賃金総額を集計した「賃金集計表」を作成します。賃金集計表の作成には、厚生労働省が提供している支援ツールを用いると便利です。
2.ログインして「労働保険年度更新申告」を検索
次にe-Gov電子申請のアプリケーションを起動しログインします。「手続検索」の検索ボックスに「労働保険年度更新申告」と入力し、該当する手続きをクリックしましょう。
3.労働保険番号・アクセスコード、必要事項を入力
事業場の労働保険番号とアクセスコードを入力したら、申告書入力画面で、そのほかの必要事項も入力します。はじめに作成した賃金集計表の内容も転記します。
4.提出先を選択して電子証明書を添付
労働保険の年度更新に必要な事項を入力し終えたら、電子証明書をはじめとした添付書類を選択して、設定を保存します。
申請の提出先を選択したら「内容を確認」ボタンをクリックし、エラーメッセージが表示されないことを確認しましょう。必要に応じて内容を修正し、署名対象の指定に進んで電子証明書を添付します。
5.内容を確認して申請/保険料を納付
最後に行政手数料などの設定を済ませ、「提出」ボタンを押したら年度更新の申請は完了です。電子手続きを終えたら、労働保険料の納付に必要な情報を確認し、インターネットバンキングまたはATMで納付しましょう。
参照:『労働保険に関する電子申請の事前準備ガイドBOOK』厚生労働省
参照:『労働保険の電子申請説明動画パート2(年度更新申告書の作成、提出編)』厚生労働省公式YouTube
労働保険の年度更新は市販の労務システムで電子申請できる
e-Govと外部連携できる労務システムでも、労働保険の年度更新の電子申請が可能です。常日頃使用しているシステムから申請できると、手続きの難易度が下がるでしょう。
すでに利用しているシステムがある場合は、年度更新に対応しているか機能を確認することをおすすめします。
労働保険をはじめとした社会保険手続きを紙などで実施している場合は、労務管理システム(ソフト)の導入も検討してみてはいかがでしょうか。手続きの負担を軽くし、労務管理全体の効率化を実現します。
労働保険の年度更新を電子申請するメリット
労働保険の年度更新を電子申請すると、以下のメリットが期待できます。
- 手間やコストを削減できる
- ヒューマンエラーの防止につながる
- 過去の情報を引き継げる
- 時間や場所を気にせず申請できる
手間やコストを削減できる
労働保険の年度更新を電子申請で実施すると、年度更新の申請書類をスピーディーに作成可能です。書面での申請と比べて記入も簡単で、手続きにかかる手間を軽減できます。紙の申請書類を入手する必要もなく、窓口での待ち時間や移動費などコストの削減につながるでしょう。
ヒューマンエラーの防止につながる
労働保険の年度更新では賃金や保険料などの数字を取り扱い、書面での手続きではヒューマンエラーが起こりやすくなります。電子申請なら、入力内容のチェック機能や自動計算機能などの便利な機能を活用し、記入漏れやミスを防止することが可能です。
過去の情報を引き継げる
過去に一度でも電子申請を行っていると、企業概要や財務情報といった情報を自動で取り込むことができます。労働保険の年度更新手続きにおいて転記ミスが減らせるでしょう。
時間や場所を気にせず申請できる
インターネットを通じて電子申請をするため、時間や場所を気にせず手続きができるのもポイントです。オフィスはもちろん、自宅からでも24時間、労働保険の年度更新の申請を終えられます。
労働保険の年度更新を電子申請する際の注意点
労働保険の年度更新を電子申請する場合は、以下の点に注意しましょう。
- 事業区分を間違えない
- 納付後の修正申告は紙申請
- 特定の法人が紙で申請すると届出もれとなることもある
事業区分を間違えない
労働保険の適用事業には、「一元適用事業」と「二元適用事業」の2種類があります。
一元適用事業 | 雇用保険と労災保険を1つの労働保険番号で管理する事業 |
二元適用事業 | 雇用保険と労災保険を別々の労働保険番号で管理する事業 |
ほとんどの事業は一元適用事業ですが、二元適用事業の場合、労災保険分は別の申告書を使用します。申告書類を選択する際は、事業区分を間違えないよう注意しましょう。
納付後の修正申告は紙申請
労働保険料の納付が完了している場合、書面での修正申告が必要です。申告期限を過ぎている場合も同様に紙で申請します。管轄の労働局や労働基準監督署によっては、特殊なローカルルールを採用しているため、事前に問い合わせておくとよいでしょう。
労働保険料の納付が完了していない場合は、労働局に連絡すれば、電子申請での修正が可能です。賃金の集計ミスや過去にさかのぼって雇用保険の資格を取得した場合などが該当します。
特定の法人が紙で申請すると届出もれとなることもある
自社が特定法人に該当する場合は、労働保険の年度更新を紙で申請すると、届出が受理されない可能性があります。とくに罰則はありませんが、特定法人にあてはまる企業は電子化を確実に進めましょう。
参照:『【労働保険年度更新の手続選択誤りが多く発生しています】必ずご確認ください』e-GOV電子申請
労働保険の年度更新を効率化するなら、電子申請がおすすめ
労働保険(雇用保険・労災保険)は、毎月6月1日から7月10日までに年度更新をする必要があります。
年度更新では、「前年度の保険料の精算」や「新年度の概算保険料の申告・納付」といった複雑な数字を扱う手続きが不可欠です。
電子申請なら、計算の自動化やミスチェック機能により、ヒューマンエラーの防止につながります。オフィスや自宅にいながら、いつでも気軽に申請できるので、業務負担の軽減にもつながるでしょう。
一定要件に当てはまる企業には、電子申請が義務づけられています。電子申請を利用する企業も増えてきました。電子申請で、労働保険の年度更新の手続きを効率化しましょう。
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