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雇用保険被保険者資格取得届は従業員の雇入時に必要|記入方法や添付書類を解説

雇用保険被保険者資格取得届は従業員の雇入時に必要|記入方法や添付書類を解説

たとえ従業員が1人だけでも、一定条件を満たす個人・法人には雇用保険の加入義務があります。雇用保険は自動的に適用されるわけではなく、事業主による手続きが必要です。

『雇用保険被保険者資格取得届』とは、雇用保険の加入手続きの際に作成する書類の一つです。しかし、これまで加入していなかった事業主や手続きをはじめて担当する方にとっては、なにかと不明な点も多いでしょう。

そこで本記事では、雇用保険被保険者資格取得届について、概要や役割、記入方法や添付書類、注意点を解説します。企業で社会保険関連の手続きを担当している方は、ぜひ本記事の内容をお役立てください。

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    雇用保険被保険者資格取得届とは

    早速、雇用保険被保険者資格取得届の概要や役割を解説していきます。

    従業員の雇用時に必要

    雇用保険被保険者資格取得届とは、雇用保険の加入条件を満たした従業員を雇用した場合に、ハローワークへ提出する書類です。「従業員が雇用保険に入れるようにするための申込書」と考えるとわかりやすいでしょう。

    雇い入れた従業員が雇用保険の加入条件を満たしている場合、企業は所定の書類を提出する必要があります。書類の提出先はハローワークで、該当する従業員を雇い入れた日の属する月の翌月10日までに提出しなければなりません。

    たとえば、従業員を雇用したのが10月20日なら、提出期限は11月10日です。

    また、従業員を雇い入れた際だけでなく、これまで雇用保険の対象ではなかった従業員が、労働時間が増えるなどの理由で加入条件を満たした場合にも提出します。

    雇用保険の加入条件

    従業員の雇用保険の加入条件は、次の2つです。

    • 31日以上雇用される見込みがあること
    • 所定労働時間が週20時間以上であること

    正社員やパートなどの雇用形態に関係なく、条件を満たした従業員はすべて加入させる義務があります。

    雇用保険被保険者資格取得届の記入方法

    次に、具体的な書類の記入方法を解説します。

    雇用保険被保険者資格取得届の様式

    届出用紙のフォーマットは、ハローワークの窓口や公式サイトから入手できます。

    参照:『雇用保険被保険者資格取得届』ハローワーク

    様式が定められているため、所定のフォーマットを使用することを忘れずに。なお、フォーマットは定期的に更新されるため、間違いなく最新のものであるか確認してから記入しましょう。

    雇用保険被保険者資格取得届の記入項目

    雇用保険被保険者資格取得届には、所定の記入項目があります。それぞれの項目に記入する内容や、注意点を解説します。なお、外国人を雇い入れる場合には、下記の項目のほかに在留期間などの記載も必要です。

    個人番号(マイナンバー)

    雇用保険に加入する従業員の個人番号(マイナンバー)を記入しましょう。

    なお、個人番号の取り扱いには厳しいルールが設けられています。従業員に個人番号を尋ねる際は、利用目的を本人に伝え、同意を得ることが大切です。

    被保険者番号

    従業員の雇用保険の被保険者番号を記入します。被保険者番号は雇用保険の加入時に発番されるものなので、はじめて加入する従業員については空欄で問題ありません。

    転職や再就職などで雇用保険に再加入する従業員については、最初に勤めた企業で発番された被保険者番号を記入しましょう。

    取得区分

    雇用保険への加入は新規なのか、再加入なのかを申告する項目です。新規加入する場合は「新規」、再加入する場合は「再取得」を選択しましょう。実際の記入欄には、それぞれに割り当てられた数字を書き入れます。

    被保険者氏名・変更後の氏名

    被保険者氏名、つまりは従業員の氏名を記入する欄です。結婚・離婚などで雇用保険の加入時から氏名が変わっている場合は「変更後の氏名」の欄に現在の氏名を記入します。

    性別・生年月日

    従業員の性別を選択し、生年月日を記入しましょう。

    生まれた年は西暦ではなく、元号で記入する形式です。まず元号の区分(大正:2 昭和:3 平成:4 令和:5)を選択し、年月日の数字を記入していきます。その際、数字が一桁の場合は「0」を足しましょう。

    たとえば、平成3年10月9日の人の場合は、以下のように記入します。

    4031009

    事業所番号(雇用保険適用事業所番号)

    雇用保険適用事業所番号とは、適用事業所設置届を提出した際、個別に発行される番号です。自社の番号は「適用事業所台帳」などで確認できます。

    被保険者となったことの原因

    「被保険者となった原因」の項目は、以下の6つから当該従業員に当てはまるものを選択します。

    • 新規雇用(新規学卒)
    • 新規雇用(その他)
    • 日雇からの切替
    • その他
    • 出向元への復帰等(65歳以上)

    たとえば、高校や大学卒業後に新卒で入社した従業員は「新規雇用(新規学卒)」、中途採用なら「新規雇用(その他)」を選択します。

    賃金

    従業員の賃金を記入する欄です。まず、賃金の区分について以下から該当するものを選択します。

    1. 月給
    2. 週給
    3. 日給
    4. 時間給
    5. その他

    次に、入社時点の賃金を書き入れます。千円単位で記入するので、月給25万円の場合は千のマスに0、一万のマスに5、十万のマスに2を記入します。

    たとえば、月給制で働く従業員(月給30万円)の場合は、以下のように記入しましょう。

    10300

    資格取得年月日

    従業員が雇用保険の被保険者資格を取得した年月日を記入する欄です。被保険者資格を取得した日=雇用を開始した日を記載します。

    雇用形態

    従業員の雇用形態を選択する欄です。以下の7つの選択区分から、該当するものを記入します。

    • 日雇
    • 派遣
    • パートタイム
    • 有期契約労働者
    • 季節的雇用
    • 船員
    • その他

    職種

    従業員の職種を選択する欄です。第2面に職種ごとに1~11までの選択区分が提示されているため、該当するものを選びましょう。

    就職経路

    以下の4つの選択肢から、従業員を雇い入れたルートを選びます。

    • 安定所紹介
    • 自己就職
    • 民間紹介
    • 把握していない

    たとえば、ハローワークから紹介された場合は「安定所紹介」、求職者が直接応募してきた場合は「自己就職」を選択しましょう。

    1週間の所定労働時間

    従業員の1週間の所定労働時間を記入する欄です。入社時点において、就業規則や雇用契約書に記載されている1週間の所定労働時間を記載します。

    契約期間の定め

    期間を定めて雇用した場合は「有」を選択し、契約開始日と終了日、契約更新条項の有無を記入します。契約期間の定めがない場合は「無」を選択しましょう。

    雇用保険被保険者資格取得届の添付書類

    雇用保険被保険者資格取得届を提出する際は、添付書類が必要になる場合もあります。

    添付書類が必要なケース

    原則として、雇用保険被保険者資格取得届の提出時に添付書類は不要です。ただし、例外的に添付書類が必要となるケースもあるため注意しましょう。添付書類が必要となる具体的な例は、以下のとおりです。

    雇用保険被保険者資格取得届を初めて提出する場合

    事業主として雇用保険被保険者資格取得届を初めて提出する場合は「雇用保険適用事業所設置届」を添付する必要があります。雇用保険適用事業所設置届とは、雇用保険の加入条件を満たす従業員を初めて雇った際に提出する書類です。

    なお、届出が受理されるためには、先に「労働保険の保険関係成立届」の提出を済ませておかなければなりません。

    雇用保険被保険者資格取得届の提出期限が過ぎた場合

    雇用保険被保険者資格取得届の提出期限を過ぎた場合は「遅延理由書」を添付する必要があります。遅延理由書とは、文字通り雇用保険被保険者資格取得届の提出が遅れた理由を記載する書類です。

    添付書類が必要となるそのほかの例

    そのほか、以下のケースに当てはまる場合も、添付書類が必要です。

    • 事業主の届出内容が原因の不正受給が過去3年以内に発生した場合
    • 労働保険料の納付状況が著しく不適切である場合

    なお、社会保険労務士や労働保険事務組合を通じて提出する場合は、添付書類が免除されます。また、以下の場合は、添付書類とは別に雇用関係を確認する書類の提出が必要です。

    • 事業主と同居している親族の届出
    • 株式会社などの取締役等についての届出

    雇用保険被保険者資格取得届の注意点

    最後に、雇用保険被保険者資格取得届の提出における注意点を解説します。

    提出期限がある

    雇用保険被保険者資格取得届は、従業員を雇い入れた日の属する月の翌月10 日までに提出する必要があります。なお、提出期限を過ぎた場合も、最大2年までならさかのぼっての手続きが可能です。

    また、給与から雇用保険料が天引きされていたことが明らかである場合は、2年を越え天引きの確認できる最も古い日までさかのぼって加入手続きを行うことができます。

    ただし、提出期限を過ぎた場合は、遅延理由書も作成しなければなりません。提出期限を過ぎた場合の手続きには、賃金台帳やそのほかの追加書類も必要となるため、提出期限には十分注意しましょう。

    遅延理由書に記入する項目

    遅延理由書には、以下の項目を記入します。

    • 事業所管轄のハローワーク
    • 雇用保険被保険者資格取得届の提出が遅れた理由
    • 雇入年月日、被保険者番号
    • 雇用保険の被保険者氏名や生年月日、資格取得日
    • 事業主の情報

    上記とは別に、遅延の再発防止案をまとめた文章を記載すると、謝罪と誠意がより一層伝わりやすいでしょう。遅延理由書に決まった様式はありませんが、各都道府県の労働局のホームページなどからフォーマットをダウンロードすることが可能です。

    参照:『雇用保険関係』東京労働局

    雇用保険被保険者資格届は、期限を守って迅速に提出

    雇用保険被保険者資格届は、従業員が雇用保険に加入することを届け出る書類です。雇用保険被保険者資格届には、決められたフォーマットがあります。

    記入項目は多いものの、従業員の個人番号や氏名を記入したり、各項目で該当する選択肢の番号を選んだりするだけで簡単に作成可能です。提出期限を過ぎると追加の書類が必要になるため、期限を守って迅速に提出しましょう。

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