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社会保険の加入に必要な書類と手続きの方法|加入要件や提出期限などを詳しく解説

社会保険の加入に必要な書類と手続きの方法|加入要件や提出期限などを詳しく解説

社会保険は、加入要件を満たす従業員がいる場合には加入しなければならないものです。手続きの方法や必要な書類は加入する社会保険の内容によって異なるため、正確に把握しておきましょう。本記事では、社会保険の加入要件や必要書類、加入手続きの方法などについて解説します。


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    社会保険の加入手続きが必要となる要件

    社会保険の加入手続きが必要となる要件について解説します。

    事業所の加入要件

    1人以上の従業員がいる法人企業の場合は、社会保険(厚生年金および健康保険)への加入が必須です。法人以外の事業所は、加入が必須の「強制適用事業所」と任意の「任意適用事業所」に分かれます。

    常時5人以上の従業員がいる適用業種の事業所は、強制適用事業所です。それ以外の事業所と「飲食店や理美容業、農林漁業などの適用対象外となる業種の事業所」は、社会保険への加入を任意で選べる任意適用事業所です。任意適用事業所の場合は、厚生労働大臣の認可を受ければ社会保険への加入が可能です。

    参考:『適用事業所と被保険者』日本年金機構

    従業員の加入要件

    適用事業者は、社会保険(厚生年金および健康保険)の加入要件を満たす従業員に対して社会保険の加入手続きを行うよう義務づけられています。従業員の加入要件は、下記の通りです。

    • 常時雇用されている従業員(正社員)
    • 週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上かつ1か月の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3以上である従業員

    また、正社員などのほかにパートやアルバイトなどの短時間労働者であっても、以下のすべてに該当する場合は社会保険への加入が必要です。

    • 従業員が101人以上いる企業(2024年10月から51人以上)に属している
    • 所定労働時間が週に20時間以上ある
    • 月額賃金が8.8万円以上である
    • 2か月以上の雇用見込みがある
    • 学生(夜間・通信は除く)ではない

    上記の項目を確認し、要件を満たした従業員については都度必要な手続きを進めましょう。

    参考:『被保険者数が51人以上の企業等の事業主のみなさまへ』日本年金機構

    加入手続きが必要な社会保険の種類

    社会保険は、事業所で働く従業員のさまざまなリスクに備えるための公的な保険です。企業が加入手続きをすべき社会保険は、下記の5つです。

    保険の名称制度の内容
    健康保険(医療保険)病院でかかる費用を補助する制度
    厚生年金保険(年金保険)将来、老齢年金や障害年金、遺族年金などの給付対象となる制度
    介護保険介護が必要になった場合にさまざまなサービスが利用できる制度
    雇用保険離職や出産、育児、介護などで働けなくなった場合に、給付が受けられる制度
    労災保険勤務中や通勤中の病気やけがに対して治療費などを給付する制度

    社会保険は、狭義の意味では健康保険(医療保険)・厚生年金保険(年金保険)・介護保険の3つを指します。また、雇用保険と労災保険の2つをまとめて労働保険とも呼びます。

    【事業者】社会保険の加入手続きに必要な書類

    各社会保険の加入手続き時に提出すべき「事業者にかかわる書類」について解説します。

    健康保険・厚生年金保険の手続き

    事業者がはじめて社会保険に加入する際には、健康保険・厚生年金保険新規適用届を提出します。健康保険・厚生年金保険新規適用届は、年金事務所または事務センターに、持参・郵送・電子のいずれかの方法で提出しましょう。

    なお、任意適用事業者が加入手続きをする場合は、従業員の2分の1が同意していることを承継する「任意適用同意書」が必要です。あわせて、健康保険・厚生年金保険任意適用申請書の提出も求められます。

    参考:『任意適用申請の手続き』日本年金機構

    雇用保険の手続き

    雇用保険の手続きで提出する書類は、従業員を雇用する段階に応じて変わります。具体的には、下記の2つのタイミングでそれぞれ書類を提出しましょう。

    雇用保険の対象となる従業員を
    はじめて雇用する場合
    事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届を提出する
    そのあと新たに従業員を雇用した場合雇用するたびに、雇用保険被保険者資格取得届を提出する

    いずれも、提出先はハローワークです。

    参考:『事業主の行う雇用保険の手続き』厚生労働省

    【従業員】社会保険の加入手続きに必要な書類

    各社会保険の加入手続き時に提出すべき「従業員にかかわる書類」について解説します。

    健康保険・厚生年金保険の手続き

    対象者となる従業員を雇用する場合は、その都度、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の提出が必要です。また、従業員に扶養家族や親族がいる場合は、あわせて健康保険・厚生年金被扶養者(異動)届を提出しましょう。提出先は、日本年金機構の事務センターか年金事務所、健康保険組合のいずれかです。

    雇用保険の手続き

    雇用保険の対象となる従業員を雇用する場合には、その都度、雇用保険被保険者資格取得届の提出が必要です。

    また、社内で転勤があったら雇用保険被保険者転勤届、氏名に変更があったら雇用保険被保険者氏名変更届をそれぞれ提出しましょう。雇用保険適用中に育児休暇や介護休暇を取る場合は、開始時と給付を受ける際にそれぞれ申請が必要です。

    参考:『被保険者についての諸手続』厚生労働省 徳島労働局

    社会保険の加入手続きに必要な添付書類

    社会保険の加入手続きに必要な添付書類について解説します。

    事業所関連で必要な添付書類

    事業者がはじめて社会保険に加入するときは、健康保険・厚生年金保険新規適用届を提出しなければなりません。

    必要な書類
    ・登記簿謄本(法人)
    ・法人番号指定通知書などのコピー(法人)
    ・事業主住民票の写し(個人事業主) など

    雇用保険に適用する事業を開始したときは、雇用保険適用事業所設置届を提出します。

    必要な書類
    ・登記簿謄本
    ・労働者名簿
    ・賃金台帳
    ・出勤簿
    ・源泉徴収票 など

    事業主の名称や所在地が変更されたときは、雇用保険事業主事業所各種変更届を提出します。同届を出す際には、登記簿謄本なども必要です。

    従業員関連で必要な添付書類

    従業員を採用するときは、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届を提出します。

    必要な書類
    原則不要
    ただし、以下の書類が必要となる場合がある
    ・雇用保険被保険者証
    ・年金手帳 など

    従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときは、健康保険・厚生年金被扶養者(異動)届を提出します。

    必要な書類
    ・被扶養者の戸籍謄(抄)本
    ・住民票の写し
    ・被扶養者認定の証明書類 など

    労働者を雇用したときは、雇用保険被保険者資格取得届を提出します。

    必要な書類
    ・雇用契約書
    ・賃金台帳
    ・労働者名簿
    ・タイムカード など

    労働者が属する会社を変えずに転勤したときは、雇用保険被保険者転勤届を提出します。

    必要な書類
    ・異動辞令の書類
    ・賃金台帳
    ・転勤前事業所の被保険者資格喪失届
    ・氏名変更届 など

    被保険者の氏名が変わったときは、雇用保険被保険者氏名変更届を提出します。その際には、氏名変更を証明する書類が必要です。

    社会保険(厚生年金および健康保険)の加入手続きの流れ

    社会保険の加入手続きの流れについて解説します。

    1.社会保険加入に必要な書類を準備する

    まず、加入申請する社会保険で必要となる書類を準備しましょう。各書類は、日本年金機構のホームページからダウンロード可能です。PDF版とExcel版があるので、手続きが進めやすいほうを用意しましょう。

    参考:『健康保険・厚生年金保険 適用関係届書・申請書一覧』日本年金機構

    2.事業所・従業員でそれぞれ必要な書類を準備する

    次に、事業所・従業員でそれぞれ必要な書類を準備します。社会保険の必要書類は事業所が記入する欄と従業員が記入する欄に分かれているので、それぞれ該当欄に記入しましょう。また、事業所側、従業員側でそれぞれ添付すべき書類があるため、個別に用意しなければなりません。

    3.チェックしたうえで期限を守って提出する

    書類を準備したら、内容をチェックしたうえで提出しましょう。チェック項目は、必要書類がそろっているか、添付忘れはないか、記入漏れや間違いはないかなどです。また、提出期限を守って提出することが大切です。

    社会保険の加入手続きの期限

    社会保険の加入手続きには、それぞれ期限があります。

    健康保険・厚生年金保険の加入手続き従業員を採用して5日以内
    雇用保険適用事業所設置届従業員を雇用した日の翌日から10日以内
    雇用保険被保険者資格取得届従業員を雇用した翌月の10日まで

    そのほかの社会保険関連の変更手続きにも期限があるので、確認して守るようにしましょう。強制適用事業所であるにもかかわらず未加入のままだと、最大で2年間さかのぼって追徴されるほか、年金事務所の指導や立ち入り検査の対象になる恐れがあります。

    参考:『就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き』日本年金機構
    参考:『労働保険の成立手続』厚生労働省

    社会保険の脱退手続きの方法

    社会保険の脱退手続きの方法について解説します。

    健康保険・厚生年金保険の手続き方法

    健康保険・厚生年金保険については、従業員が退職または死亡した場合、被保険者資格喪失届を年金事務所に提出します。事実発生から5日以内に、持参か郵送、電子のいずれかで提出しましょう。提出の際には健康保険被保険者証を添付してください。

    なお、従業員から回収できない場合は、健康保険被保険者証回収不能届を添付します。

    参考:『従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き』日本年金機構

    雇用保険の手続き方法

    雇用保険については、従業員が退職または死亡した場合、雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書の提出が必要です。退職した日の翌々日から10日以内にハローワークに提出しましょう。労災保険は、雇用保険の資格喪失手続きによって自動的に喪失手続きが行われます。

    参考:『雇用保険被保険者離職証明書についての注意』厚生労働省

    社会保険の加入手続きは電子申請も可能

    資格取得届や被扶養者(異動)届、資格喪失届などは、持参や郵送に加えて電子申請も可能です。24時間どこからでも申請できるため、移動の時間や手間が省けるでしょう。

    電子申請の際には、日本年金機構のGビズIDの取得が必要です。具体的な申請方法は、行政による電子申請サービスe-Govでの電子申請、届書作成プログラムからの電子申請の2通りです。電子申請をする環境が整っていない場合は、電子媒体(CDやDVD)による申請も可能です。

    参考:『社会保険の手続きは 電子申請が便利です!』厚生労働省

    社会保険に関する手続きは遅滞なく正確に進めましょう

    社会保険への加入は、従業員の健康と安定した生活を支えるための基盤といえます。従業員が安心して働ける環境を整えるために、加入要件や加入手続きの方法、期限などを把握し、漏れなく正確に手続きを進めましょう。

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