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年末調整が必要な人・必要ない人とは? パート・アルバイトも含まれる? 対象者の条件などを解説

年末調整が必要な人の条件とは? 年末調整しない場合のペナルティや実施手順などを解説

年末調整が必要な人に対して、企業は手続きを進める必要があります。個別に確定申告が必要な人については、的確な説明が求められるでしょう。申告漏れがあると延滞税を払う可能性もあります。

そこで本記事では、年末調整が必要な人の条件や、年末調整しない場合に科されるペナルティなどを解説します。企業が年末調整を行う方法も解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

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    年末調整で知っておくべき3つのこと

    年末調整で知っておくべき3つのことは以下の通りです。

    • 源泉徴収の仕組み
    • 年末調整の目的
    • 年末調整と確定申告の違い

    順番に解説します。

    源泉徴収の仕組み

    年末調整の前に、源泉徴収について説明します。

    源泉徴収とは、企業が給与から所得税を天引きする仕組みです。所得税は1年間の所得に応じて納税しますが、源泉徴収は毎月の給与額から、おおよその所得税を計算して税金を納めます。そして、年末調整で最終的に確定した収入を元に所得税額が確定するといった流れです。

    年末調整の目的

    年末調整の目的は、源泉徴収した額と実際に納める所得税額との過不足の調整です。実際の給与や賞与額や控除額が想定と相違ないか確認作業が行われます。

    所得税の計算終了後、源泉徴収で徴収しすぎた分を従業員に還付し、不足があれば追加徴収を行います。税金であるため、確実な計算が求められるでしょう。

    年末調整と確定申告の違い

    年末調整と確定申告は申告義務者が異なります。年末調整は、企業が従業員の所得税額を計算したうえで申告しますが、確定申告では納税者自身が所得税額を計算して税金を申告します。

    会社員は基本的に年末調整の対象ですが、2か所以上から収入をもらっている人などは自分で確定申告しなければなりません。

    年末調整が必要な人・必要ない人の条件とは?

    年末調整が必要な人や不要な人について解説します。2023年6月現在、国税庁から発行されている資料を元に解説します。それぞれ条件が複数あるので、従業員が該当するか確認しましょう。

    年末調整が必要な人

    年末調整が必要な人は、以下の通りです。

    • 1年を通じて勤務している人
    • 年の途中で就職して年末まで勤務している人
    • 年の途中で退職した人のうち以下の人
      • 死亡により退職した人
      • 著しい心身の障害のため退職した人で、本年中に再就職ができないと見込まれる人
      • 12月中に支払期の到来する給与の支払を受けたあとに退職した人
    • パートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人

    該当する従業員は年末調整を行う必要があります。

    年末調整が必要ない人

    年末調整が必要ない人は以下の6パターンです。

    年末調整が必要な人の中で、本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
    年末調整が必要な人の中で、災害により被害を受けて「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予または還付を受けた人
    2か所以上から給与の支払を受けている人で、ほかの給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出している人や、年末調整を行うときまでに扶養控除等(異動)申告書を提出していない人(月額表又は日額表の乙欄適用者)
    年の途中で退職した人で、死亡が理由でない人
    非居住者
    継続して同一の雇用主に雇用されない、いわゆる日雇い労働者など(日額表の丙欄適用者)

    会社員は年末調整が必要な人が多いですが、副業や兼業で2箇所以上から給与の支払を受けている人などは確定申告で対応します。

    特殊な理由で年度途中で年末調整が必要な人

    特別な理由で年度途中で年末調整が必要な人は以下の通りです。

    年の途中で死亡により退職した人
    著しい心身の障害のため年の途中で退職した人で、本年中に再就職ができないと見込まれる人
    12月中に支給期の到来する給与の支払を受けたあとに退職した人
    いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人
    (退職後本年中にほかの勤務先などから給与の支払を受けると見込まれる人を除きます。)
    年の途中で、海外の支店へ転勤したなどの理由により、非居住者となった人

    非居住者とは以下の条件に当てはまる人のことを指します。

    • 日本国外で1年以上仕事をしている人
    • 外国籍で当該国の永住権を所有している人で、日本国内に生計をともにする配偶者や親族を有さないこと

    さまざまな理由で年末調整が必要な人がいますが、特殊な理由に該当する人は年度途中で年末調整を行いましょう。

    年末調整と確定申告の両方が必要な人もいる

    年末調整と確定申告の両方が必要な人は以下の通りです。

    • 年末調整ではできない所得控除を申請したい人
    • 本業の給与所得以外で20万円を超える収入がある人

    順番に解説します。

    年末調整ではできない所得控除を申請したい人

    年末調整では以下の控除ができません。

    • 医療費控除
    • 寄付金控除
    • 雑損控除
    • 住宅借入金等特別控除(初年度のみ)

    上記の控除を行う場合は、確定申告で行う必要があります。なお、住宅借入金等特別控除は1年目のみ確定申告で、翌年以降は年末調整で対応可能です。

    本業の給与所得以外で20万円を超える所得がある人

    本業の給与所得以外で20万円を超える所得がある人は確定申告の対象です。まず「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している企業で年末調整を行います。そのほかの収入を確定申告します。

    いずれも申告を行う必要があるため、該当する従業員がいたら忘れずに行うことを伝えましょう。

    年末調整で企業が受けるペナルティ

    年末調整で企業が受けるペナルティは以下の通りです。

    • 所得税の納付期限を守れなかった場合
    • 悪質な脱税とみなされた場合
    • 督促に対応しない場合

    懲役や罰金といった罰則が科される場合もあるため必ず守りましょう。

    所得税の納付期限を守れなかった場合は延滞税が加算される

    所得税の納付期限を守れなかった場合、延滞税が1日ごとに加算されます。

    延滞税は原則として年7.3%ですが、延滞税特例基準割合+1%の方が低い場合は、そちらが適用されます。2か月以上延滞した分は、年14.6%か延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合です。

    延滞税の計算方法は以下の通りです。

    納付する所得税額×延滞税の割合×滞納日数÷365日

    1日でも過ぎると延滞税が課せられるので、必ず納付しましょう。

    脱税とみなされた場合は罰金や懲役刑が科せられる

    故意に年末調整を行わず、脱税とみなされた場合は、所得税法240条または242条により罰則が科されます。罰則の内容は「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

    さらに悪質と判断された場合には、「10年以下の懲役または200万円以下の罰金」を科される可能性もあります。最初から脱税しようとしてお金を隠すなどの行為を行っていた場合、重い処罰を受けるでしょう。

    督促に対応しない場合は財産が差し押さえられる

    未納のまま督促状に対応しないと資産を差し押さえられる可能性があります。督促状または納付催告書の送付から10日までに税金を納めなければ、財産を差し押さえると法律で定められています。

    年末調整の5つのステップ

    年末調整の方法は以下の5ステップです。

    1. 年度途中の転職者から源泉徴収票を回収する
    2. 必要な書類を従業員に配布して回収する
    3. 年末調整の計算を実施する
    4. 過不足金の清算をする
    5. 法定調書を作成提出する

    それぞれ、順番に解説します。

    1.年度途中の転職者から源泉徴収票を回収する

    はじめに年度途中に転職してきた従業員から源泉徴収票を回収しましょう。年末調整は年度末に働いている企業でまとめて実施するため、発行に時間がかかる可能性があります。早めに提出するよう促しましょう。

    2.必要な書類を従業員に配布して回収する

    年末調整に必要な書類を配布して回収します。必要な書類は下記の通りです。

    • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
    • 給与所得者の保険料控除申告書
    • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

    住宅を購入したり、増改築を行なったりした従業員には「住宅借入金等特別控除申告書」を提出してもらいましょう。上記は住宅ローンの控除申請をする書類です。

    建築して1年目は従業員が自分で確定申告する必要がありますが、2年目以降は年末調整の対象です。

    3.年末調整の計算を実施する

    1年の給与総額から、各種控除や復興所得税も加味したうえで、正しい所得税額を算出します。年末調整を行う際は便利なシステムやソフトを使うとスムーズな計算が行えるでしょう。

    4.過不足金額を清算する

    計算した年調年税額をもとに、過不足を清算します。多くの企業は、12月の給与を支払う際に、過不足金額を清算しています。

    通常時と給与額が異なるため、従業員が不信感を持つおそれがあるかもしれません。そのため、あらかじめ通達しておくことで従業員も安心するでしょう。

    5.法定調書を作成・提出する

    法定調書とは、企業や個人事業主が給与などを誰にどのくらい支払ったのかを記載する書類のことです。所得税法や相続税法などで提出が義務付けられています。

    提出書類は以下の通りです。

    • 源泉徴収義務者が支払った内容を記載した支払調書
    • 税務署に提出する各種法定調書を集計した法定調書合計表
    • 従業員に渡したものと同じ源泉徴収票
    • 事業者から市区町村へ提出する給与支払報告書

    必要書類を記載したうえで税務署に提出しましょう。

    年末調整で所得税が還付される可能性がある人

    年末調整を行った結果、過納が判明すれば、その分は従業員に還付されます。また、それ以外にも以下に該当する場合などは還付される可能性があります。

    • 年の途中で結婚した場合
    • 年の途中で扶養対象者が増えた場合
    • 年末調整で一括控除する場合
    • 障害者もしくは、配偶者や扶養家族に障害者がいる場合

    従業員が条件に当てはまるか確認しましょう。

    年末調整を手際よく進めるコツ

    年末調整を手際よく進めるには以下の方法があります。

    • 専門家に相談する
    • ソフトやシステムを活用する

    専門家に相談する

    年末調整の手続きは税理士に依頼可能です。また、年末調整に必要な給与額や社会保険料の計算などは、社会保険労務士でも対応可能です。専門家に依頼すれば、効率よく業務を遂行できます。

    ソフトやシステムを活用する

    年末調整はソフトやシステムを活用すればスムーズな手続きが可能です。ソフトやシステムを活用すると、以下のようなメリットがあります。

    • 詳しい知識がなくても年末調整に対応できる
    • ミスや差し戻しの頻度が減り担当者の負担を減らせる

    システムを活用すると、面倒な計算も半自動化できます。勤怠管理や給与計算と連携できるサービスなら、業務を集約できてさらに効率化が進むでしょう。

    One人事」は、労務・勤怠・給与・タレントマネジメントを一気通貫で支えるクラウドサービスです。煩雑な年末調整の計算や徴収票の発行、調書の提出を円滑に進められます。

    従業員が年末調整に協力しない場合の対応

    年末調整を拒否した場合は、企業がペナルティを受けることはありません。しかし、従業員から確定申告の問い合わせ対応など余計な手間が発生します。必要書類を提出するよう促して、年末調整する方がよいでしょう。

    まとめ

    年末調整は毎年行うことですが、内容を知っておかないと余計に税金を払うことがあります。年末調整のやり方や法律内容を把握して、確実な納税を行いましょう。

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