2045年問題とは? シンギュラリティや人間に与える影響も解説!

2045年問題とは? シンギュラリティや人間に与える影響も解説!

2045年問題をご存じでしょうか。2045年問題とは、AIが進化し続けた結果、人間の知能を超える技術的特異点(シンギュラリティ)を迎えることで、大きな問題や影響を及ぼすとされる問題です。

2045年について調べても、聞き慣れない単語が多くよくわからないと感じる方も多いでしょう。たとえば「人間の仕事はAIに奪われる」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。一方、2045年問題は私たち人間の社会や生活に密接にかかわり、メリットが得られる可能性もあります。

そこで本記事では、2045年問題についてわかりやすく解説しながら、2045年問題で予測されている影響やメリットとデメリットもご紹介します。

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    2045年問題とは

    2045年問題とは、2045年にAIが人類の知能を超える技術的特異点(以下、シンギュラリティ)を迎え、人間が予測不可能な問題が起こり、大きな影響を及ぼすとされている問題です。

    シンギュラリティが実際に起こるのかという点や具体的な時期についてさまざまな意見があるため、未知の問題ともいえます。

    シンギュラリティの提唱者

    シンギュラリティは、アメリカのAI研究を行うレイ・カーツワイル氏によって提唱されました。カーツワイル氏は1990年頃、コンピューター技術の進化やインターネットの普及など、高度なAI技術について予測し、評価されました。

    カーツワイル氏はAIに関する研究を行ってきた知見や視点から、未来におけるAI技術についてさまざまな予測を立てているのです。

    高齢化に関する問題も

    2045年は、日本の高齢者人口の割合が全国的に大きくなる傾向があるという問題があります。

    内閣府によると、秋田県では50.1%と半分が高齢者になると予想されており、もっとも割合が低い東京都においても30%を超えると見込まれています。

    このような高齢化の広がりとして、2045年を目安の年としているデータがありますが、一般的な「2045年問題」としては、シンギュラリティに関することと認識しておいてよいでしょう。

    参照:『令和2年版高齢社会白書(全体版)』内閣府

    シンギュラリティの根拠

    シンギュラリティは「ムーアの法則」と「収束加速の法則」を根拠としています。そこで2つの法則をわかりやすく解説します。

    ムーアの法則

    ムーアの法則とは、インテル社のゴードン・ムーア氏が提唱した法則で、半導体の性能が18か月で2倍になるという経験則から生まれました。

    この法則は、半導体産業のガイドラインとしても活用されています。半導体技術は進化し続け、小型化が進んでいます。ただし半導体の小型化が限界に近づいていることもあり、ムーアの法則自体も明確ではないとする意見もあるようです。

    収束加速の法則

    収束加速の法則は、シンギュラリティの提唱者でもあるレイ・カーツワイル氏が提唱しました。収束加速の法則とは、テクノロジーにおける進化の過程で、次の技術革新が起こるまでの期間が短くなり、掛け算のような指数関数的に向上する法則です。

    新しい技術が開発された場合、次の技術発明に利用されることで、新たな技術革新までの間隔が短くなることを指します。シンギュラリティにおいても、収穫加速によってテクノロジーやAIの進化が遂げられていることを意味しています。

    2045年問題が人間に与える影響

    2045年問題が実際に起こった場合、人類にはどのような影響を与えるとされているのでしょうか。諸説ありますが、とくに注目されやすい影響をご紹介します。

    • 失われる仕事がある
    • 労働に対する価値観や仕組みの変化
    • 見える世界が変わる

    失われる仕事がある

    2045年問題が起こった場合、失われる仕事があると危惧されています。これは、AIが人間の知能を超えることで、より効率的に業務を進めたり、処理能力や精度も向上するはずだからです。

    すでに技術の進歩によって、さまざまな仕事がAIにとって変わっています。お店に設置された無人レジや飲食店などの配膳ロボットがその一例です。もともとは、人間が必要な作業をすべて行っていましたが、いまや人間がいなくても機械があれば問題なく処理できるようになっています。

    このように、今後も技術やAIが進化することで、人間の仕事が減っていく可能性があるでしょう。

    労働に対する価値観や仕組みの変化

    AIの進化によって人間の仕事がなくなった場合、必ずしも「仕事がなくなる=生きることができない」ということではありません。

    本当に仕事がAIにとって変わった場合、人間は働く必要がなくなります。その場合、人間が長い歴史の中で行ってきた「労働」という価値観に変化が起こる可能性もあるでしょう。

    仮にすべての仕事をAIが行うようになった場合、収入に対する考え方や社会保障の仕組みなど、生きていくための概念やルール、仕組みも大きく変化するはずです。

    見える世界が変わる

    2045年問題によってさまざまな変化が起こり、AIが進化した場合、これまで人間が見ることのできなかった世界が見えるようになるかもしれません。過去にさかのぼれるようになったり、仮想空間を現実に実写化して見られるようになったりする可能性を秘めています。

    つまり、2045年問題が起これば、これまで人間が見たり聞いたりすることのなかった体験や経験ができるかもしれません。

    2045年問題によって考えられるメリット

    2045年問題が人間に与えるメリットについて注目してみましょう。

    • 仕事の精度向上
    • 身体の拡張

    仕事の精度向上

    2045年問題によって、仕事の精度が向上するといわれています。たとえばデータ分析は、進化したAIを用いることでより分析精度が向上し、より的確な予測を立てられるでしょう。

    また、AIによって仕事の精度が上がることは、人為的なミスの減少にもつながります。最終的にはさまざまな業務シーンにおいて業務効率化が進みます。

    身体の拡張

    2045年にシンギュラリティを迎えた場合、人間の身体にもよい影響を及ぼす可能性があります。人間がAIとテクノロジーを用いたり融合したりすることで、身体能力や身体機能を強化できるとされています。

    医療においても、AIをさらに駆使することによって、これまでできなかったような治療ができたり、寿命を伸ばしたりできるかもしれません。

    2045年問題によって起こり得るデメリット

    2045年問題が起こることによって人間の仕事がAIに変わるような場合、想定されるデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。具体的なデメリットについても確認してみましょう。

    • 雇用の縮小
    • 貧富の差が拡大

    雇用の縮小

    2045年問題によって雇用が縮小し、働けなくなる可能性もあります。雇用だけが縮小し、社会の仕組みや価値観に変化がない場合、仕事を失った人間は収入源がなくなってしまうのです。

    また、2024年問題に限らず、AIや技術の進歩によって「今ある人間の仕事の約半分はなくなる」という意見もあります。具体的に、野村総合研究所と英国オックスフォード大学の共同研究によっても同様の意見が発表されているため、注意しなければなりません。

    参照:「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」野村総合研究所

    貧富の差が拡大

    2045年問題が起これば、貧富の差が拡大する恐れもあるでしょう。多くの人が仕事を失う一方で、AIができない仕事もあるはずです。

    AIができない仕事とは、とくに人間の持つ「感覚」や「好み」の判断「コミュニケーション」を必要とする仕事です。つまり、AIは感性や意思決定を必要とする仕事を不得意としています。

    2045年問題は本当に起こるのか

    2045年問題とは? シンギュラリティや人間に与える影響も解説!

    2045年問題が実際に起こった場合、一般的にAIは人間と同等、あるいは超える能力を持つと考えられています。さらに、技術の進化が急速に進行すると「社会や経済への影響が予測しにくくなる」ともいわれています。

    一方で「AIが人類を超えるような時代はこない」という否定的な声があることも否めません。

    また、最終的には2045年問題もシンギュラリティについての予測であるため「2045年を迎えないと、どうなるのかは誰にもわからない」とする意見があることも理解しておきましょう。

    2045年問題への対策

    2045年問題を見据えて、どのような対策が必要なのでしょうか。具体的な対策をご紹介します。

    • 人間の能力を向上させる
    • AIが苦手とする仕事や領域に注目する
    • 人間とAIの共存を目指す

    人間の能力を向上させる

    AIが人間の知能を超えないよう、人間の能力を向上させることも大切です。

    とくに感覚や意思など、AIが苦手とする分野を強みとして、これらをさまざまな分野で活用や応用することで、AIが人間を超えることを防ぐ必要があるでしょう。

    AIが苦手とする仕事や領域に注目する

    雇用や仕事の面において、2045年やシンギュラリティを迎えるときに、AIが変わることのできない仕事や業務に就いておくのも一つの対策です。

    AIが得意とするデータ活用、事務処理を活用するような領域ではなく、人間の感覚や感情、表現、教育、医療現場やカウンセリングなど、さまざまな仕事があります。

    雇用や仕事は収入に影響し、貧富の格差にもつながるため、早い段階で考え動き始めることが重要です。

    人間とAIの共存を目指す

    AIと人間を対極で捉えるのではなく、共存を目指すことも大切です。AIの得意分野と人間の得意分野を踏まえて、すべてを切り離すのではなく、補足し合うような新たな関係性を築く選択肢もあります。

    AIによるメリットを享受しながらも、人間にしかできない部分を社会や仕事に反映できれば、人間の生活をより便利で豊かなものにできるでしょう。

    まとめ

    2045年問題とは、AIが人類の知能を超える技術的特異点(以下、シンギュラリティ)を迎える可能性のことです。人間が予測できないさまざまな問題が起こり、大きな影響を及ぼすとされています。

    2045年問題はあくまでも予測であるため、必ずしも起こるわけではないものの、AIは日々刻々と進化しており、シンギュラリティを迎える時期が到来するかもしれません。

    シンギュラリティが与える人間への影響が大きいことは否めませんが、過度に恐れるだけの状態でいるのではなく、前向きに捉えたり、場合によっては考えられる対策を講じたりすることも大切でしょう。