DEI&Bとは? 意味やBelonging(帰属意識)の重要性も解説

DEI&Bとは、DE&Iに加えて、Belonging(帰属意識)を加えた考え方です。
DEI&Bは、アメリカで注目されていて、大量退職の防止やモチベーション向上に効果があると考えられています。日本でも終身雇用の衰退などにより、人材の流動化が進んでいるため、無関係ではありません。多くの企業が人材不足や人材確保に課題を感じているでしょう。
そこで本記事では、DEI&Bとはどのような考え方なのかをわかりやすく解説します。DE&Iとの違いやBelongingの重要性についても紹介するので、企業の経営層や人事担当者は参考にしてください。


DEI&Bとは?
DEI&Bとは、以下の頭文字を取った言葉です。
- Diversity(多様性)
- Equity(公平性)
- Inclusion(受容)
- Belonging(帰属意識)
DEI&Bは近年アメリカで注目されており、多様な個性を受け入れ、公平性を担保したうえで、従業員の帰属意識を重視する考え方です。
アメリカでは、従業員が大量に退職する「The Great Resignation(大量退職時代)」と呼ばれる社会問題に直面しています。
アメリカの大量退職は、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、人々が働き方や人生観を見直し始め、テレワークの浸透により従業員の帰属意識が薄れたことが大きな要因と考えられています。
そこで従業員にとって居場所を感じられる職場環境づくりが求められたことから、DE&Iに「Belonging」が加わったDEI&Bが注目されるようになりました。
まずは、Diversity(多様性)から派生した「D&I」「DE&I」という言葉の意味を簡単に紹介します。
D&Iとは
D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)は、以下の頭文字を取った言葉であり、多様な個性を受け入れ、人材が活躍できる環境の整備や働きかけを行う考え方です。
- Diversity(多様性)
- Inclusion(受容)
企業競争に生き残るためには、D&Iによって新しい価値観や発想を持った人材を集め、イノベーションを起こすことが重要といわれています。
DE&Iとは
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは、以下を掛け合わせた言葉であり、多様性を認め、公平性を担保したうえで個性を活かすという考え方です。
- Diversity(多様性)
- Equity(公平性)
- Inclusion(受容)
DE&Iは、多様性や受容だけでなく「公平性」にも目を向けているため、D&Iからさらに一歩進化した概念といえます。
Diversity(多様性)
DEI&BのDiversity(多様性)は、性別や国籍、思想や嗜好を超えてさまざまな属性の人が集まっている集団を指します。
集団や組織の中でさまざまな個性や価値観を認め合い尊重する環境は、新たなアイデアの創出や一人ひとりの活躍につながります。
Equity(公平性)
DEI&BのEquity(公平性)は、集団や組織において公平性が保たれている状態を指します。
集団や組織では、制度や手続きにおいて一人ひとりの状況に応じた配慮が必要です。公平性の担保された職場では、従業員が安心感や働きやすさを感じやすくなるでしょう。
Inclusion(受容)
DEI&BのInclusion(受容)は、お互いの違いを受け入れ、活躍できる状態を指します。
さまざまな個性や価値観が受容されれば、一人ひとりが能力を発揮しやすくなり、個人や組織のパフォーマンスの最大化を目指せます。
Belonging(帰属意識)
DEI&BのBelonging(帰属意識)は、従業員が組織の一員である自覚を持っている状態です。
帰属意識の高い従業員は、組織に属している安心感や課題を自分ごととして捉える責任感から、積極的にアイデアを出す傾向があります。結果的にモチベーションが向上し、成果につながるでしょう。
Belongingと愛社精神の違い
Belongingと混同しやすい言葉に愛社精神があります。
愛社精神は、組織への感謝や愛着から、自分の意思よりも忠誠心を優先して貢献する考え方です。一方で、Belongingは個人と組織が対等で、一体感が強い状態です。
たとえば会社の目標に対して、愛社精神は「会社のために達成したい」という感情であり、Belongingは「自分自身が達成したい」と自主的に思う気持ちを指します。
DE&IにBelonging(ビロンギング)が加わった理由

DEI&Bは、DE&Iに「Belonging(帰属意識)」が加わった言葉です。なぜBelongingという言葉が加わったのかについて、理由を解説します。
- 退職防止
- モチベーション向上
- 組織としての一体感を強化
退職防止
帰属意識が高い従業員は、組織への安心感が強く、働きやすさを感じているため、仕事に積極的に取り組みます。会社への帰属意識が高く意欲的な従業員が多くなるほど、離職率が低下し、定着率の向上が期待できるでしょう。
モチベーション向上
DEI&Bは、従業員のモチベーションを高めるためにも重要です。従業員は、会社への帰属意識が高いほど積極的に意見を出したり、自分を表現したりして、生き生きと働けます。
帰属意識がある従業員は、会社に自分の居場所があると感じるため、自己肯定感や会社への満足度が高まり、仕事へのモチベーションも向上しやすくなるでしょう。
組織としての一体感を強化
DEI&Bは、組織としての一体感を強化するためにも重視されています。
DEI&Bを推進することで、従業員が自分の存在や意見が尊重されていると感じやすくなります。これにより帰属意識や当事者意識が高まり、一人ひとりの役割に対する責任感が増します。一人ひとりの意識が高い組織では、チームワークが高まり、結果として全体の一体感が強化されるでしょう。
一体感の強い組織は、会社の成長に向けて一丸となって協力し合うため、目標達成や成果の創出につながります。
DEI&Bに取り組むメリット
DEI&Bに取り組むメリットは、どのような点にあるのでしょうか。具体的な内容は以下のとおりです。
- イノベーションが起こる
- 離職率が低下する
- 社会や市場の変化に対応できる
- 企業イメージが向上する
イノベーションが起こる
DEI&Bを意識した職場では、多様な価値観を持つ従業員によってさまざまな意見が出されるため、これまでになかったアイデアが創出され、イノベーションが起こりやすくなります。
離職率が低下する
DEI&Bの促進は、従業員の個性を受け入れて活躍できる職場環境や、従業員が安心して発言できる風土を構築できます。その結果、従業員の会社に対する帰属意識やエンゲージメントが高まると、離職率の低下も期待できるでしょう。
社会や市場の変化に対応できる
DEI&Bに取り組むと、社会や市場の変化にも柔軟に対応できるようになります。
DEI&Bの推進により従業員が高い帰属意識を持つことで、職場における心理的安全性が確保され、自由に斬新な意見やアイデアを発信しやすくなるためです。
変化が求められる場面でも、DEI&Bが推進されている組織は適応力が高く、迅速な対応策を導き出せるでしょう。市場のニーズに敏感に対応することで、競争力の維持につながります。
企業イメージが向上する
DEI&Bの促進は、企業イメージ向上にも役立ちます。従業員が働きやすい環境の構築に努めていると企業と見られ、社会的信用やステークホルダーからの評価が高まるためです。
DEI&Bを推進する方法
DEI&Bを推進するには複数の方法や心構えがあります。具体的には以下のとおりです。
- ビジョンの明確化
- 心理的安全性の確保
- チームワークの強化
- コミュニケーションの活性化
- 成長機会の提供
やり方を詳しく解説します。
ビジョンの明確化
DEI&Bの推進には、企業がビジョンを明確にすることが大切です。従業員の帰属意識は、企業の目的や目指す方向性を理解し、自分の仕事が企業の成長のためにどのように役立つかを感じ取ることで高まるためです。
従業員がゴールを理解できていなければ、役割意識を持つことができず、企業が多様性や公平性を担保していたとしても、十分に帰属意識を育めないでしょう。
心理的安全性の確保
DEI&Bの推進には、心理的安全性を確保することも必要です。
心理的安全性とは、集団の中で誰に対しても自分の意見を安心して発言できる環境です。たとえば、個人が発言することに対して、周囲が否定や叱責をせず、肯定的に受け止める風土を指します。
心理的安全性が担保された職場は、従業員にとって本当の自分を表現できる場所となり、居場所と感じやすくなります。企業が多様性を認めていたとしても、心理的安全性を確保していなければ、意見やアイデアは出にくくなるでしょう。
チームワークの強化
DEI&Bは、チームワークを高めることでさらに推進できます。
多様な人材が個性を受け入れ合い、1つの目標に向かって切磋琢磨することで、自分はチームに必要だと認識できるためです。チームワークが高まれば、帰属意識だけでなく、モチベーションや業務の生産性も高まるでしょう。
コミュニケーションの活性化
コミュニケーションの活性化もDEI&Bの推進方法の一つです。社内全体のコミュニケーションが活発になると、従業員は上司や同僚に対する親近感を感じ「一緒に働きたい」という帰属意識が高まりやすくなります。
さまざまな個性や経歴を持つ人々とコミュニケーションを取ることで、多角的な視野を育むきっかけにもなるでしょう。
成長機会の提供
従業員の帰属意識を向上させるには、成長の機会を提供することも有用です。
DEI&Bには大量退職を防止する目的があり、従業員の退職理由の一つに成長機会の不足が挙げられます。従業員は「さらなるステップアップのために新たな環境で働きたい」と考えたとき、退職を選ぶことがあります。
そのため、企業はストレッチ目標の設定やジョブローテーションの実施など、個人のステップアップにつながる機会を提供する施策を実施するとよいでしょう。
企業が十分な成長の機会を提供すれば、従業員は「期待されている」「自分のために環境を用意してくれている」と感じるため、帰属意識が高まり、退職を防げる可能性が高まります。
まとめ
DEI&Bは、DE&Iの考え方にBelonging(帰属意識)を加えた概念です。日本では、よりよい労働環境や成長できる職場を求めて、今後さらに人材の流動化が進む可能性があります。
多様性や受容、公平性に加えて、本記事で紹介した推進方法を参考に、従業員が「必要とされている」「安心して自分らしく働ける」と感じられるような環境づくりにも取り組んでみてはいかがでしょうか。
