DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは何か?

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは何か?

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)は、ダイバーシティやD&Iを発展させた考え方として注目されています。多様な人材を受け入れるだけでなく、一人ひとりが公平な機会のもとで力を発揮できる環境づくりまで含めて考える点が特徴です。しかし、「DE&IとD&Iの違いがよくわからない」「推進したいものの、取り組みが思うように進まない」と感じている企業もあるでしょう。

そこで本記事では、DE&Iの意味や考え方をはじめ、D&Iとの違いや取り組むメリットを解説します。ダイバーシティ推進に関心のある企業や、すでに取り組んでいるものの課題がある経営者・人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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    DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは?

    DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは「ダイバーシティ」と「エクイティ」「インクルージョン」を掛け合わせた言葉です。

    公平性を担保したうえで、多様性を認めて個性を活かして活躍する取り組みや概念と理解するとよいでしょう。

    しかし、DE&Iを理解するうえでは、この3つの言葉の意味を理解する必要があるため、まずはそれぞれの言葉の意味を解説します。

    【D】ダイバーシティ(多様性)

    DE&Iの「D」であるダイバーシティ(=多様性)とは、性別や国籍、思想や嗜好を超えてさまざまな属性の人が集まっている集団のことを指します。

    集団や組織のなかで個々の個性や価値観を認め合って尊重する環境は、新たなアイデアが生まれやすくなったり、一人ひとりが活躍しやすくなったりすることにつながります。

    【E】エクイティ(公平性)

    DE&Iの「E」であるエクイティ(公平性)は、集団や組織のなかにおける制度や手続きなどの公平性が保たれていることを指します。

    一人ひとりの環境や状況が異なるため、状況に応じた配慮が必要ということです。公平性を保つことで、より働きやすく、安心して集団に属することができるでしょう。

    【I】インクルージョン(受容)

    DE&Iの「I」であるインクルージョン(包括性)は、お互いに個々の違いを認め合い、受け入れ、一体感があることを指します。

    さまざまな個性や価値観が受容されると、その集団や組織への帰属意識が芽生えやすくなるでしょう。

    そもそもダイバーシティマネジメントとは?

    ダイバーシティマネジメントとは、多様性を認め合うことでさまざまな人材の能力を最大限活かし、事業を成長させていくという企業経営のやり方や考え方です。

    性別や年齢、国籍や障がいの有無など、多様な人材の特徴を理解して組織力の向上につなげていくための経営戦略ともいえるでしょう。

    DE&IとD&Iの違い

    DE&IとD&Iは、似たような言葉として認識している方も少なくありません。

    しかし2つの言葉の意味合いには違いがあり、理解しておく必要があります。まずはそれぞれの言葉の意味を整理しましょう。

    D&I(ダイバーシティインクルージョン)とは

    D&Iとは、ダイバーシティが「多様性」を、インクルージョンが「受容」を意味する言葉です。

    個性を尊重しながら多様な人材が活躍できる環境を整えたり、働きかけたりすることを意味します。

    企業が目まぐるしく変化する社会に適応しながら競争に生き残るためには、画一的な考え方では成り立ちません。

    ダイバーシティ&インクルージョンによって新しい価値観や発想を持った人材を集め、イノベーションを起こすことが重要といわれています。

    DE&IとD&Iの違いは公平性の視点

    DE&IとD&Iの違いは、スタート時点において「公平性」が担保されているかどうかという点です。

    どちらの言葉も、多様性を認めて受容するという姿勢は同じです。しかし、どんなに平等や個性を認める環境であっても、スタート時点が公平でない限り、不公平や格差の原因になってしまうかもしれません。

    DE&Iは、多様性や受容だけでなく「公平性」にも目を向けるものであるため、D&Iからさらに一歩進化した概念といえるでしょう。

    D&IからDE&Iに変遷した理由

    D&Iから、DE&Iに変遷した理由にはどのような点が挙げられるのでしょうか。具体的な理由や背景について、ご紹介します。

    公平に配慮する必要性があるため

    DE&Iが重要視されるようになった背景には、平等な機会を与えた場合でも、格差が生まれてしまうことがあるためです。

    たとえば、同じ性別や年齢、経歴であっても、属性によって待遇や報酬に差がある場合があります。マイノリティに対する差別なども、不平等を導く要因の一つでしょう。

    そのため、まず最初のスタート地点において不平等な状況が生じることのないよう、公平な配慮ができるようにするという必要性が出てきたのです。

    スタート地点の違いによる不平等に配慮するため

    スタート地点で公平性が担保されていないことは、最終的な結果にも大きな影響を及ぼします。

    たとえば、日本で働く外国人が、日本語を流暢(りゅうちょう)に話せないケースも多くあるでしょう。その場合、同じ環境や条件で働いたとしても、言語の壁によって業務に支障が生じてしまい、思うような結果が出せない可能性も高いでしょう。

    また、低所得者層の家庭に生まれた子どもは十分な学習環境が用意されず、結果的に進学できなかったり、なりたい職業になる資格さえ持つことができなかったりする場合もあります。

    このように、最初の地点の公平性が担保されていなければ、どんなに同じ環境や機会を平等に与えても、結果に大きな格差が生じてしまうのです。

    DE&Iには、スタート地点での不公平さによる格差をなくす重要性が込められているのです。

    DE&Iを推進するメリット

    DE&Iの推進を企業で取り組む場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的なメリットについて、ご紹介します。

    イノベーションの創出

    DE&Iのメリットには、イノベーションの創出も期待できます。

    多様な価値観を大切にすることで、これまでになかった意見やアイデアが集まり、商品やサービスの質を高めるきっかけになるかもしれません。

    商品やサービスの質が向上すれば、売上が上がったり、顧客満足度が向上してリピーターになったりする可能性もあるでしょう。

    人材の確保

    DE&Iのメリットには、人材の確保が挙げられます。

    ダイバーシティの推進では多様な人材を採用することがメリットとして挙げられますが、DE&Iではさらに一歩進んで、より優秀な人材の確保につながる可能性もあります。

    ダイバーシティに関する企業の取り組みは、D&IからDE&Iへとシフトし、より注目されているといえるでしょう。

    株式会社学情が実施した調査によると、D&Iを推進する企業に好感を持つ学生は8割にものぼります。また、D&Iへの取り組みを知ると、6割以上の学生が「志望度が上がる」と回答しています。

    参照:『2024年卒学生の就職意識調査』株式会社学情(2022年10月5日 )

    そのため、DE&Iに取り組む企業として認知されれば、ダイバーシティに関心の高い層やより優秀な人材の確保も期待できるでしょう。

    企業価値の向上

    DE&Iのメリットには、企業価値の向上も挙げられます。

    多様性を認めるだけでなく公平性も意識した取り組みによって、企業イメージが向上しやすくなるでしょう。

    企業価値が高まれば、人材が集まりやすくなったり顧客からの信頼が高まったりすることで、購買につながる可能性が高まります。

    DE&I推進に取り組む際のポイント

    企業がDE&I推進に取り組む際は、どのような点を意識すればよいのでしょうか。取り組む際のポイントや注意点について、解説します。

    DE&I推進に関する共有

    DE&Iに取り組む際はDE&Iに関する周知を行い、会社全体として理解を深めるようにしましょう。

    DE&Iを推進するためには、多様性を認めて個性を活かす環境の整備だけでなく、公平性を担保しなければなりません。

    なぜ公平性を担保するのか、どのような場合に公平性を保つ配慮が必要なのかも含めて、わかりやすく共有するようにしましょう。

    DE&I推進のための環境整備

    DE&I推進に取り組むためには、会社における制度や待遇の見直しや修正が必要です。

    とくにDE&Iの場合、公平性を担保するという点が重要になるため、さまざまな人材の状況を想定してルールを整備しなければなりません。

    たとえば、時短勤務対象者の労働時間や働き方の配慮、外国人従業員に関する語学サポートやメンターの整備、障がいのある従業員に対して通院休暇や車通勤許可などをはじめとした配慮が挙げられます。

    しかし、制度を利用したことによって評価に悪い影響が出ないようにしなければなりません。

    DE&Iのために新たな制度や待遇を設定する場合には、会社全体で理解を深めたうえで運用しましょう。

    社内コミュニケーションの活性化

    DE&Iを推進するために、社内のコミュニケーションを円滑化したり活性化させたりする必要があります。

    自分以外の価値観や属性を受容するためには、コミュニケーションを取って理解しなければなりません。また、多様性を認めることで、意思疎通が難しくなることも考えられます。

    DE&Iによって、さまざまな価値観や意見をイノベーションとして価値あるものに導くためにも、社内コミュニケーションの強化も意識しましょう。

    DE&IからDEI&B(DEIB)に

    欧米では、すでにDE&Iから「DEI&B」の概念が浸透し始めています。

    DEI&Bは、DE&Iに「B(Belonging)」が追加された概念で、心理的安全性や帰属意識がある状態を指します。公平性を担保されたうえで多様性が認められ、さらに従業員が安心していられる場所をイメージするとわかりやすいでしょう。

    帰属意識があると、自分の居場所や存在意義を見つけ、安心してその組織に身を置くことができるはずです。

    帰属意識が持てないと、自分の居場所が見当たらず、肩身の狭い思いや不安感、緊張感を常に抱きながら仕事をすることになるかもしれません。

    会社という組織が、従業員にとって自分の居場所として感じられることは、働くうえで安心感につながるでしょう。

    会社に対する安心感はエンゲージメントを高め、より長く働く意欲や会社のために行動する要因になるはずです。

    そのため、DE&Iの推進に取り組んだ先には、DEI&Bで従業員の帰属意識が持てる環境に移行していくのが理想的といえるでしょう。

    DE&I推進にはタレントマネジメントシステムも役立つ

    DE&Iを推進するには、従業員一人ひとりの状況を把握し、必要な施策につなげる仕組みづくりも重要です。たとえばタレントマネジメントシステムを活用すると、従業員のスキルや経験、希望する働き方、配置履歴、評価情報などを一元管理できます。

    多様な人材の情報をまとめて把握できれば、適材適所の配置や育成、公平な評価の検討にも役立てやすくなります。また、アンケートやサーベイ機能を活用すれば、DE&Iに関する従業員の意識や理解度、働きにくさを感じている要因も把握しやすくなるでしょう。

    One人事[タレントマネジメント]は、人材データの一元管理・可視化を通じて、人材配置や人材育成、人事評価などを支援するタレントマネジメントシステムです。従業員の状態をデータで把握し、DE&I推進に必要な現状把握や施策後の振り返りにも活用できます。

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    まとめ

    DE&Iは、公平性を担保したうえで、多様性を認めて個性を活かして活躍する取り組みや概念です。

    D&Iという概念にさらに「公平性」が意識されたものと理解しましょう。

    集団や組織において、どんなに平等な機会や環境が整備された状態でも、そもそものスタート地点で状況や環境によって差が生じているケースも少なくありません。スタート地点がすでに不公平な状態であると、最終的な結果にも大きな格差が出てしまい、自分の力でどうにもすることができないという不平等が生まれてしまうでしょう。

    DE&Iに取り組むことで、スタート地点での格差を踏まえ、最適な配慮を行うことができると、多様な従業員の間にも、公平性を担保できるでしょう。